感想くれた『ヴァナルガンド』さん『トマト0527@』さん『クルスマ』さん『ライデン1115』さん『緋彩鳥』さん『冷たい雨』さんありがとうございます。
良かったら感想、評価お願いします。では行こう。
前回を振り……いや止めよう黒歴史だ。
前回、寝ぼけているとはいえ、グレイに…グレイに……!
「……忘れよう」
そう。間違ってもライネスにバレたら弄られる。
ああ女神よ、どうか俺を導いてくれ!
………と思ったが恋愛に関してはあの女神様ポンコツだったのを思い出した。駄目だ、やっぱ導かなくていいわ。
★★★
朝の料理が美味しかった。
貴族の料理は俺自身も慣れていたつもりだが、やっぱ美味いなと感じた。アサシンは朝の事もあり少しだけ席を外す事になり、いってらっしゃいと平然を装って手を振っていた。
部屋に戻り、給仕のホムンクルスからコーヒーを一杯頂き部屋で優雅に飲もうとした矢先、ノック無しにルーラーがドアを強めに開けていた。何故ドアを強く開ける必要があったのか。
「何か遺す言葉はありますか?」
いきなりまさかの死刑宣告。
聖女はどうやら処刑人にジョブチェンジしたようだ。
「ステイステイ、ルーラー何怒ってんの?」
「私に吹き込んだ言葉、覚えてないんですか?」
吹き込んだ言葉?
……やべぇ、夢が大分濃厚過ぎて忘れた。
「あー、何だっけ、ショタに目覚めるな……いや違うな。このおっぱいで聖女は無理でしょ……でもない……あっ、そうそうジークを食べちゃ駄目だ、だ!」
「分かりました。最初の脱落者は貴方でいいですね」
「いやー!!襲われちゃう!……えっ、ちょっ、まっ…!?」
旗を振り下ろし、器用に避けるクイナ。
ベッドから転げ落ち、ぐえっと首から地面に叩きつけられた。旗で人を殴るとか聖女じゃねえだろ。それ味方を奮い立たせる奴やん。
「首が痛い……とまあ冗談はさておき」
「中々いい性格してますね。サーヴァントに対して」
「あの後ジークを助けたのはアンタだしね。ジークはどうなった?」
「親切なお爺さんが引き取ってくれました。聖杯戦争が終わったら彼を……」
「不安そうな顔すんな。仮にジークがその場所を離れたくないってんなら無理に連れ出したりしないよ。俺は魔術師だけど、美しいもの、尊い存在には手を差し伸べたいタイプだからな」
クイナ・バルハルクの起源は『接合』だ。
俺もキリシュタリアも共通していることはそれだ。俺は何事にも無関心故に関心を求めて日々探究する魔術師、足りない物を誰かが持つ何かで当てはめるツギハギの異端者、キリシュタリアは無価値と決めつけ独善的な自身の愚かさと訣別し、人が見せた真の人間の美しさ、それを求める魔術師として今を生きる人間。
互いに違う方向性を持ち、同じ場所を見たいと進む俺とキリシュタリアは友達になれたのだろう。
「んで、用件は何?」
「貴女が何故聖杯を所有してるのか。それについて答えてください」
「拒否権は?」
「ありません。聖杯大戦に於いて存在しない筈の聖杯が存在するだけで私が召喚される可能性がある。
まっ、それは俺も同感だ。
同じ立場ならそうしていただろう。今回の聖杯戦争は聖杯大戦にまでランクが上がっている。
特に後者の場合は聖杯が二つあってもおかしくはないが、今回定められた聖杯は一つ。それが二つ以上存在する場合、予測不能の事態に陥る可能性が高い。
「……亜種聖杯戦争の戦利品、と言えば納得?」
「アレは聖杯にしては完成され過ぎている。それで納得しろだなんて不可能です」
「……他言無用、あと真名に誓うのが条件だ」
「分かりました。真名、ジャンヌ・ダルクの元に誓いましょう」
ため息を吐きながらクイナは渋々話した。
「先ず、アレは聖杯なんかじゃない」
「えっ?」
「アレは俺が模して創った擬似聖杯なんだが……聖杯よりよっぽど聖杯になっちまった」
「ど、どう言う事ですか!?」
意味が分からない。
アレは間違いなく聖杯だ。聖杯じゃないと言う意味が分からない。
「俺の故郷のアメリカに里帰りしてたんだよ、結構田舎で小さな街、それ以外は山に囲まれた場所でさ。休暇貰って、久しぶりに街を散策しようとしたらあらびっくり、何と
「し、神殿!?」
「まあ簡潔に話すと、故郷の霊脈が歪み過ぎて魔力が溜まり過ぎて暴発寸前だったらしく、その魔力を発散する為に擬似的にサーヴァントを呼ぼうとしたんだ。だが、聖杯の設定も無し、令呪の設定も無しに呼んだ魔術師は何を呼んだと思う」
「まさか……本物の神?神霊級のサーヴァントを!?」
「最初に出たのがデュオスクロイらしいんだが、召喚された瞬間即座に斬り殺されたらしい。だが問題は、それだけじゃなかった」
クイナは深く語り始めた。
あの人生で最も過酷と呼べる亜種聖杯戦争について。
★★★
「……まさか、神様が召喚されるなんてなぁ」
千里眼擬きで見た感じ、
本来ならサーヴァントとはマスターがなければ存在出来ない。存在するとなれば『黙示録の獣』に存在する獣か、根源そのものに接続する事が出来る存在のみ。
だが、あの神にマスターたる人間が居ない。
「しかし、聖杯戦争は聞いた事はあっても聖杯になるものが無い状態でサーヴァント、しかも神霊を降したらどうなるか考えたくないな……」
『
一種の儀式魔術などが代表的な例だろう。神が、主がいませりと聖者が嘆くように神による神が伝え、神によって今を正しく生きるとされる人間は確かにいる。教会や聖地とか、
「確か小聖杯にくべられた魂を繋げて大聖杯を開くんだったっけ。だとしたら、大聖杯も小聖杯もない中であのサーヴァント達が召喚されたのはキチぃんだけど」
自分の右手には令呪が無い。
そりゃそうだ。大聖杯に繋がってるわけでもなければ小聖杯すらない。霊脈の魔力によって現界している以上終わりは存在するだろうが、神秘の漏洩は絶対に駄目。
「霊脈、聖杯、令呪、うーん。霊脈は良いけど問題は形創る聖杯と令呪によるパスだな」
召喚が出来てもパスが繋がらなければ現界し続ける事も出来ない。それに聖杯のようなものが無ければ神を殺せたとしてもこの場所そのものに影響を及ぼす。急造なら聖杯の器は用意は出来る。俺の家にあるレプリカの聖杯を小聖杯に見立てて、魔術で魔改造すれば出来なくはない……と思う。問題は令呪。
神は傲慢さや格の違いがある。それを御し得る為には令呪は欲しい所だが……無理だろうな。フラットみたいに魔術ハッキングとは違って大前提の聖杯が無い以上は無理だろう。
「つーかどうやって神様を召喚したんだろう?」
普通無理だし、何の目的があったのかは分からない。
傍迷惑とだけ言っておこう。神様を使い魔にして全知零能でも手に入れようとしたのかは知らんが、おかげで聖杯戦争擬きをしなければならない此方の身になってほしい。
「……よし」
やる事は決まった。
下準備をした後に、俺は神様とやらを召喚しようじゃないか。
★★★
「––––馬鹿なんですか?」
「まさかの辛辣ぅ!?酷くない!?」
まさか聖女から罵倒がくるとは思わなかった。
別に興奮しないし、何かに目覚める事もない。単純に呆れられているのだ。
「令呪も無しに主を……神霊を召喚するなんて無茶無謀過ぎます!と言うか、どうやって神霊を召喚したんですか!普通格が違い過ぎて召喚出来ない筈では!?」
「まー、それは案外難しくはないぞ?応じるかは別として、神霊を降ろすなら
まあ俺の場合は頑張って、
「ですが触媒は!?普通召喚には縁となる触媒が無ければ……!」
「触媒は俺。俺は良くも悪くも
稀にいるんだよなぁ。
幸運が無くて
相性で召喚されるならクイナはむしろ
「いやいや、神に見放されてるって、そんな筈ありません!主は平等に人々を見て––––」
「何も無いところを歩けば転び、大通りに出れば食べ歩きしてた人の食べ物のソースがついたり、今回の聖杯戦争でルーマニア通っただけなのに令呪が宿ったり、故郷の近くに神様が降ろされたり……平等に見える?」
「うっ……しかしそれはあくまで運が悪かったと……」
「俺が召喚したのはブリュンヒルデだよ?」
「……すみませんでした」
遂に聖女が諦めた。
いや俺が言うのもなんだがそこは頑張って欲しかった。
ブリュンヒルデ。
北欧神話に於ける悲劇の女。 『ヴォルスンガ・サガ』において大英雄シグルドの運命の相手であるシグルドリーヴァと同一視される戦乙女。ワルキューレの長姉として神霊の身であった頃には自我の薄い『人形』のように振る舞っていたものの、父たる大神の怒りに触れて地へ落とされた神霊だ。
神に見放されてた意味合いでは俺と同格だろう。幸運値Eだったし。
「まあ良くも悪くもブリュンヒルデは戦乙女だからな。神性が落ちてようが、戦闘に慣れてない神よりアドバンテージが高くて助かった」
「じゃあ貴方が使っていた槍は––––」
「ああ、ブリュンヒルデの槍。『
確かに強いが、これめちゃくちゃ重くなる。
身体強化した状態でも英雄みたいに軽々しく使おうとするなら40キロが限度だ。この槍は彼女の心に燃える『愛』が高まるほどに槍の性能が強化され、重量とサイズが増大すると言う特性が反映され、俺が持つ相手の好感度によって槍は重くなるのだ。その分性能も上がるが……人間に使えるものじゃない。
因みに愛し合うレベルが最大(シグルド)級だった場合サイズは10m・重量は8トンくらいまで達するらしい。何それヤンデレ怖い。
「まあ今回の場合、マスターが俺以外居なかったからな。神殿を破壊しては器に魂を収め、壊しては収めの繰り返しで生き延びたわけだし」
「ちょっと待ってください。魔力供給は?令呪が無い以上パスが……」
「……聞きたい?ねえ聞きたい?」
「……やめときます」
まあそっち系じゃない。
あくまで他の神達も神殿があるから現界出来ている。それを真似して擬似的な神殿を作っているから聖杯のバックアップ無しで現界出来る。俺の起源『接合』のおかげでパスを繋ぐ事も出来て魔力供給は問題無く出来た。まあ条件が『互いの体液を交換する』と言う事だから生々しいけど。
……いや、血だからね?唾液じゃないよ?
「まあそれを繰り返してる内に聖杯そのものが高次元化したんだ。普通の英霊の魂と違って
そのせいで、殆どの願いが
「とりあえず中身を出来る限りブリュンヒルデの願いに使ったりして中身を減らしてたんだが……大して減らなかったから俺の身体の中に『接合』して擬似的に融解させてる」
「そうですか……」
「いやマジでしんどかったなあの戦い。神様四騎も相手にしなきゃいけなかったんだぜ?イシュタルやデュオスクロイ、アフロディーテにアルテミス、どれも聞いた事ある神様だし、ギリシャ偏り過ぎなんだよと愚痴ったしな」
「………よく生きてましたね」
「ああ、全くだ」
クイナはため息をついた。
もしかして神様を殺したから神様に呪われてるとか?ありがちだから怖いのだが……
「因みに女神ブリュンヒルデはどんな願いを?」
「大英雄シグルドの再会。まあ一週間くらい現界させたけど、あっち側から抑止力が来るとか言ってランサーと一緒に帰って行った」
その時、戦いや原初のルーンを教わった。
まあ故郷と言う事もあって、二人が住む場所もどうにかなったし聖杯の魔力で一年くらいは現界出来そうだったが、それでも二人は消滅を選んだ。それは幸せそうに。
そういや、いつかブリュンヒルデが妹達と会わせたいと言ってたが、ワルキューレって天使級の神性持った存在じゃね?多分相性が悪い気がして未来が不安なのは俺だけか?