グレイが召喚されました。   作:アステカのキャスター

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 では行こう!!




同盟相手を探す前に襲われる件について

 

 

 前回を振り返ろう。

 グレイを召喚した後、森に人払いの結界を張り、グレートビッグベン☆ロンドンスターに即連絡、即混乱された。

 

 そして……

 

 

『クイナ、この戦いが終わったら私と──』

「それ死亡フラグです」

 

 

 乱暴に電話を切った。

 まあとにかく、グレートビッグベン☆ロンドンスターが獅子刧さんとの同盟の場を設けるようにしてくれた。やったね。

 

 

 

 ★★★

 

 

「でっ!? 何で俺は追われてるわけっ!? しかもサーヴァントじゃなく人間に!!」

「イッヒッヒ、そりゃまあ神様に愛されてる(嫌われてる)からじゃね?」

「アサシン」

「はい」

「あ、ああああああぁぁぁ!?!?」

 

 

 俺はユグドミレニアの領地を散策していた。

 因みにグレイには隠蔽のルーンをかけた宝石を渡し、霊体化せずに俺の後ろを歩いていた。グレイは死んでるはずなのに地上を歩いているものが嫌いと言うか苦手で、それを滅ぼさずにはいられないくらい、霊的存在が苦手なのだ。自分も含めて、霊体化はあまり良い気分がしないらしい。

 

 まあ()()()()()()()()()()()()()()のは現代の英霊と言う事なのだろう。ユグドミレニアの城からかなり遠い位置にいたはずなのに、来るわ来るわで弓矢を放つ人間が屋根を通じて飛んでくる。

 

 

「人間じゃなくホムンクルスか! てか問答無用で殺しにかかってる辺り、魔術協会側の人間は信用ならないらしいね!」

「あの、拙が出ましょうか?」

「いや、相手は君の能力を見る為にけしかけたに過ぎないし、それにアサシンの情報は隠してこそでしょ。頑張って乗り切るから悪いけど霊体化しといて!」

 

 

 聖杯大戦において、14騎のサーヴァントは赤と黒に分かれる。このホムンクルスはユグドミレニアが生み出した奴等、色白でアルビノの裸眼は血の色をしているのがその証拠だ。

 

 だが今、黒の色であるマスターの俺を狙って来ている理由は二つ。一つは魔術協会側と言う事で信用ならないのだろう。排除と言うより、令呪を奪って活用するが正しい。

 

 二つ目、それが出来なくてもサーヴァントの戦闘能力を見たいようだ。さっきから()()()()()()()()()()()()程、覗かれている事が分かる。

 

 だが、俺の脚力を甘く見るなよ? 悪戯で意趣返ししたライネスがトリムマウを馬のフォルムに変えて襲い掛かってきて、なお逃げる事の出来た男! 次のコーナリングで勝負じゃああああ!! 

 

 

「……うっわー、コイツはちょっとヘヴィーかな……」

 

 

 勝負なんてするもんじゃないな(真顔)

 曲がり角に待ち構えていたのはかなりの大きさで作られた岩のゴーレム。魔術で作られた遠隔使用の使い魔に過ぎないが、それでも並大抵の魔術師では敵わないだろう。

 

 

「仕方ねえ、ちょっと本気を出しますか」

 

 

 右手に特殊な術式を刻んだ手袋を嵌め、ゴーレムの根本を躱しながら逃げ回る。飛んでくる矢を紙一重で躱しながらも短い詠唱を口にした。

 

 

「──Call(目覚めろ) Call Open(目覚めて開け)

 

 

 右手に現れたのは一丁の銃。

 この手袋は自分が生み出した虚数空間と繋がっていて、そこに魔導具を大体しまっている。飛行機とか拳銃を持ち込めない為、いつも虚数空間にしまっている。つまりゲームで言うアイテムボックスだ。

 

 そしてこの銃の弾は……

 

「ギャアアアア!?」

「じゅ、銃だと!? 一体何処から!?」

 

 

 弾を()()()()で生み出している。

 投影魔術はハッキリ言えば物質具現化(グラデーション・エア)の部類に入るが、劣化品しか作れない魔術。包丁を投影したら生肉も切れない質の悪い包丁が出来上がる。

 

 だが、使い方によってはかなり使える魔術だ。

 

 弾丸の強度はある程度劣化しても鉄に変わりないし、火薬は弱くとも撃ち殺せる強さだし、形も遜色ない。魔術によって作られた弾丸はある意味、魔銃と化している。弾は魔力が続く限り無限だ。

 

 

「まあゴーレムには無理だろうけど、()()は完成したぞ」

 

 

 弾丸はゴーレムを破壊するに至らない。

 屋根に居るホムンクルスは1人だけ再起不能にして他は全滅させた。俺の魔術師の持論はあくまで『死ななければ勝ち』なのだ。『死ななければ、魔術師らしからぬ事をしてもいい』と言う事で、生きる事に特化している戦闘スタイルだ。プライド? 何それ美味しいの? 

 

 

「──接続(セット)

 

 

 効率の良い動きと予測した未来からゴーレムの攻撃を難なく躱す。

 ゴーレムに対してお得意のルーン魔術で(アンサズ)を放つ。俺のルーン魔術はランサーとセイバーに教えてもらった()()()()()()()()()使()()()()()、ゴーレム一体を派手な火葬した後に迫り来る二体目の攻撃を難なく躱し、ゴーレムに触れて魔術を解析する。

 

 

「ん……成る程、そう言う魔術か」

 

 

 ゴーレムに自分の魔力を通して制御を乗っ取る。魔術の練度は然程高くない。キャスターにしては杜撰すぎる。これはある意味量産型かもしれない。三体目のゴーレムを乗っ取ったゴーレムとぶつけて相殺する。

 

 

「悪いアサシン、あと三体は任せた!」

「はい。アッド、第一段階限定解除!!」

「イッヒッヒ、任せなぁ!!」

 

 

 合図をするとグレイは走り出す。

 グレイが持つアッドは封印型魔術礼装であり、最果ての槍(ロンゴ・ミニアド)を隠す為に存在している。そして今契約しているならば、アッドが()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()

 

 

「せいっ!!」

 

 

 サーヴァントも元を正せば死者に変わりない。アッドの存在はそう言う意味では()()()()()()()()()()()()()()()()

 二体、三体とゴーレムを切り裂いたグレイは俺の近くにトコトコと近づいてきた。

 

 

「ありがとうアサシン」

「いえ、拙は貴方のお役に立てましたでしょうか?」

「ああ、めっちゃ役に立ってくれた! 本当、君を召喚出来て良かったよ!」

「い、いえ……///それ程でもないです……」

 

 

 あっ、可愛い。

 自己評価が低いが、かなり役に立ってくれたのは確かだ。その気になればゴーレムを1人で殲滅出来ただろうが、やっぱ連携が取れる味方と戦うのは楽でいい。大した手の内を晒す事も無かった訳だし。

 

 

「さて……」

 

 

 スマホを取り出し、電話をかける。

 ユグドミレニアには知り合いが居たのを忘れていた。遠見の魔術は残念ながらあっちの声は此方に届かないので仕方なく電話する。

 

 

「もーしもし、此方『神様の気まぐれと書いてクソったれと呼ぶ』が座右の銘のクイナでーす」

『酷い座右の銘だな!? 何のようだよクイナ』

 

 

 親友の()()()()と電話が繋がった。

 カウレスは現代魔術科に居た生徒だったのだが、ユグドミレニアに居た為、其方に引き込まれたのだろう。

 

 グレイも一応知ってはいるから正直認識阻害で隠し通せるか微妙だが、この時のカウレスはグレイを知らないらしい。ちょっと安心していたクイナだった。

 

 

 ────────────────────

 

 

『やあやあカウレス君だっけ? 俺はクイナって名前なんだけど、君はどんな魔術を使えるの?』

 

 

 初めて会った時はなんだコイツと思う程、ストレートに気味が悪いと思った。知識に対して貪欲であり、変な奴なのに引き離そうとする気にならない。

 

 簡単に言うなら天才馬鹿だった。

 

 特にルヴィア嬢を揶揄っては宝石のガンドを飛ばされながら愉快に逃げ回り、先生に殴られて正座されていたり、ライネス嬢を揶揄い返したら馬に乗ったライネス嬢から全力で逃げ回って先生に殴られて正座させられていたり、フラットと一緒に魔術研究をしていたらゲテモノ魔術に2人してアイアンクローをかまされたり……と先生の胃痛を増やす要因なのだが天才だった。

 

 魔術の実績は16歳にも関わらず典位(プライド)と言う前代未聞の才覚を持つ。天体科のキリシュタリア・ヴォーダイムとも仲が良く、その魔術の才覚に限って言えば魔術協会の中で五指に入ると言っても過言ではない。

 

 あの時、鬱陶しく聞かれたアイツが。

 俺の電話番号を持っている事に今程後悔した事はない。

 

 

『惚けてもらっちゃあ困るぜ()()()()。そっちにマスター達とサーヴァント達が居るんでしょ? 出来れば音量最大にしてくれない? こっちも色々と言う質問したいしさ』

「……何の事だよ」

「じゃあ言い方を変える。──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に変われ。分からない君でもないでしょ? ()()

「っっ……!」

 

 

 見破られていた。

 ユグドミレニアに張った高度な結界に容易く干渉し、結界越しに此方を見ていた。戦闘の時は驚く程、人が変わり魔術師としての冷酷さを兼ね備えた完璧過ぎる人間。

 

 

「カウレス」

「……はい、ダーニック叔父様……」

 

 

 カウレスのスマホがダーニックに渡る。

 電話では魅了魔術は使えない。ある程度の印象操作と言うのは電気信号で表されると効果がない。

 

 

「カウレスに変わり私が相手をする。ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアだ」

『やってくれたな。ホムンクルスを嗾け、ゴーレムで俺を捕縛した後、令呪を奪って俺を殺害、それがお前の目的だったかは知らんが……アンタは一つミスを犯したな』

「何の事だ? 私は────」

『惚けなくて結構、視てるんだろ? そっちの高度な結界から。ゴーレムを仕向けたのは失敗だったな……えいっ☆』

 

 

 可愛い擬音を口にした瞬間、此方から見えていた遠見の結界がバキッ! と音を立てて消え去った。それを見たマスター達は動揺している。遠視に気付かれ、逆算して術式を乗っ取られ、破壊された。

 

 ユグドミレニアに張られた結界は割と大規模なものだ。それを難なく破壊したクイナに畏怖を隠せない。

 

 

「なっ!?」

『それじゃあ今日はこの辺で、まあ俺を襲った罰ですたい。んじゃまあ、()()()()()()()()()()()()()()♪』

「貴様……! 待っ──」

 

 

 動揺しながらも、次の言葉を発そうとした瞬間、クイナの方から電話を切られた。ダーニックは魔術協会を敵にしているからこそ、クイナから令呪さえ奪えれば、後々人質としても役に立つと踏んでいた。

 

 

「くっ……やられた」

 

 

 苦い顔をするダーニック。

 結界が破られ、しばらく他の英霊達の監視が出来なくなった。あの妙な言い回し、ゴーレムからキャスターが誰なのか判明したのかもしれない。そして戦場で妙に場慣れしている分、危険過ぎる。

 

 

「王よ。どうされますか?」

「ふむ、アーチャーにキャスターよ。奴をどう見る?」

 

 

 ゴーレムを難なく対処されたキャスターと、数々の英雄を育てたアーチャーの意見をランサーは聞いた。

 

 

「魔術分野はゴーレムの他はあまり詳しくはないが、魔術技量は神代の領域に踏み込んでいる。あのルーン魔術も、原初のルーンに近いものだと僕は思う」

「戦闘経験も豊富、周りの気配りもしながら的確な対処、魔術師というより魔術使いに近いかもしれません。ある意味厄介だと思います」

 

 

 どちらの意見にもマスター達は驚いている。

 だが、キャスターの意見は正しい。神代の領域に踏み込んだ魔術である事は確かだ。アーチャーの意見も間違ってはいない。戦闘のスイッチが入った彼は効率よく魔術を使う事に長けている為、魔術使いの戦いとしている為、あながち間違ってはいない。

 

 

「ふむ……奴等はアサシン……ならば放っておけ。単独で動けば奴等が他のサーヴァントと戦う機会が増えるだろう」

 

 

 確かに単独ならば、その考えは間違っていない。

 サーヴァント一体に二体のサーヴァントで戦わせても、相手の真名さえ分かればいいくらいの捨て駒として利用出来る。

 

 今回は一度だけ見逃す。しかし次はない。

 ランサーの意見には誰もが反対をしなかった。

 

 

 

 ★★★

 

 

 

 一方でダーニック達がクイナの対策を練っている所……

 

 

「何故、何故貴様がここに居る! アーサー!!」

「っっ……!?」

 

 

 獅子刧とクイナが出会った瞬間、獅子刧の召喚したセイバーがグレイに斬りかかっていた。咄嗟に受け止める俺達と怒り狂うセイバー、まさに一触即発だった。

 

 何故だろう。俺、神様に嫌われてない? 

 

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