あ、赤バーが!?(驚愕)
感想くれた『アドメラレク(゜.゜)』さん、『弥生凛音』さん、『クルスマ』さん、『アニメ·ゲーム大好き神影』さん、ありがとうございます!!
良かったら評価、感想よろしくお願いします!!
では行こう!!
前回を振り返ろう。
ホムンクルスやらゴーレムに襲われた俺とグレイは何やかんやで敵を殲滅する。そしてカウレスに電話をかける。
「もーしもし、此方『神様の気まぐれと書いてクソったれと呼ぶ』が座右の銘のクイナでーす」
『酷い座右の銘だな!?』
その後、ダーニックと繋がって苛ついた俺は意趣返しとして遠見の結界を破壊した。ふっー、スカッとした!!
★★★
ルーマニアの街を歩きながら、探索用のルーンで魔力を感知しながら悠々と進むクイナとその後ろを歩くグレイ。
「いやわざわざ後ろを歩かなくても……」
「拙は今はサーヴァントです。従者と言う立ち位置に変わりありませんから……」
「じゃあ命令、隣に歩いてくれない? 話し難い」
「……分かりました」
グレイはクイナな隣で歩き、クイナは話し始める。
現在、深夜2時であり、その街中は暗くて中々に怖い。何せ聖杯戦争は闇討ち騙し討ちなんでもござれだ。
あー、聖杯戦争とかマジ滅びろ!!
まあ愚痴を言ってもしょうがないので、グレイと一緒に情報の確認をする。互いの陣営、黒と赤についてだ。
「んじゃあ先ず、赤の陣営から話をしようか」
「はい。えっと、判明しているのはアーチャーであるアタランテでしたよね?」
「ああ、ギリシャと言う口を滑らせた時点で確定だね。アルテミスから授かった女神の矢を持ち、速さではギリシャのトップクラスに位置する英雄アタランテ。アタランテの耳は多分、終盤で獅子にされた名残なんだろうね」
獅子の耳に尻尾はそれが理由なのだろう。
金の林檎を粗末に使った夫のヒッポメネスと共々、神々の罰により獅子にさせられた。つまりはそう言う事なのだろう。
因みにあれが本物ならモフモフしてみたいと言う好奇心が疼く! 因みに俺は猫派。
「となれば必然的に考えれば女神アルテミスから授かった弓と、獅子に変容したと言われる毛皮かな? 神罰としてアルテミスからカリュドーンの毛皮を渡されたらしいし」
「毛皮を使われるとどうなるんですか?」
「そこまでは分からないけど予測は出来る。獣になると言う言葉は現代において理性をなくすとされる訳だし、理性を代償にステータスを上げるって事くらいかなぁ?」
グレイはその答えに僅かながら驚愕していた。
魔術や神秘の解体に至っては師匠であるロード・エルメロイII世の領分だが、クイナもそれに近しいくらい知識に貪欲で、神秘解体の推理は間違いなく理にかなっている。
「す、凄いですクイナさん!」
「ふふっ、ドヤァと言うべきかな?まあ赤は他に出会ってないから分からないとして、お次は黒の陣営かな?」
「えっ? 黒の陣営はまだ誰とも出会ってませんよ?」
黒のサーヴァントとは確かに合っていない。
ホムンクルスやらゴーレムを仕向けられたが、サーヴァントが出てきた訳じゃない。それだけじゃ、サーヴァントを知るのは不可能だとグレイは言うが、チッチッチと指を動かして否定する。
「じゃあグレイ、君に問題だ。ホムンクルスは別としてゴーレムを仕向けてきたのは間違いなくキャスターだ。ではゴーレムの始まりとされる意味は何だと思う?」
「えっ? ……始まりの意味ですか?」
「そう。10秒以内に答えよ。10、9、8──」
「わ、わわわっ!? えっと……胎児……ですか?」
おー、勤勉なんだなぁ。まあ先生の弟子だし。
そもそもゴーレムとはカバラの術の1つであり、名は『胎児』や『形作られざるもの』などを意味する。人の感情が血を流させる原因ならば、感情無き人間と同じ行動をするゴーレムは
「ピンポーン。正解、そもそもあれは使い魔の類ではなく、自立し命令に従うゴーレム。じゃあグレイ、ルーン魔術で作れるゴーレムとあのゴーレム、何が違う?」
「えっと……魔術がそもそもにして違うんじゃ……」
「単純なルーンでは限界があるのさ。原初のルーンだろうと、ルーン魔術で作るゴーレムは不完全なものだ。走れと言ったら走り続けるし、意思がない分決定する力も認識する力もない。そこで必要になってきたのが、カバラの数秘術だ」
カバラの中には様々な意味合いもあるが、その中で数秘術は現代のプログラミングに近い発想だ。まあ俺の『天秤』も
「ゴーレムの行動のコマンドを入力し、人間のように思考し、最適解の行動が出来る。これを量産出来るとするなら多分キャスターの正体はだいぶ絞られるが、俺の予想ならただ1人」
「……キャスターの正体は」
カバラの基盤を生み出した人物。
ゴーレム、即ち楽園の使者を生み出し、楽園を作り出そうと考えた人間は1人しか知らない。
「アヴィケブロン。カバラの提唱者であり、苦悩に満ちた民達を楽園へと導く偉大な王として君臨された人物」
魔術王ソロモンのように、一つの系統の魔術の始まりとして歴史に名を残した研究者であり、信仰者だ。
つまり、魔術の基盤を生み出したと言っても過言ではない。ゴーレムに特化しているとは言え、他の魔術もあるかもしれないし、ゴーレムだけの魔術技量に関して言えば右に出るものはいないだろう。
「まあゴーレムと魔術式だけじゃまだ本当にキャスターの正体が当たってるのかは不明だけどね」
赤のアーチャー、黒のキャスターの真名は多分分かった。まあ真名を知っていれば勝てると言う訳でもないのだが、アタランテの死因に関連する事は獣に落ちた後に死亡した訳だし、アヴィケブロンは病弱だった為、早死になったくらいだ。
それに類似した死に方の再現は弱点にはなるが、周りくどい事するより脳筋ゴリ押しの方が早いと思うのは誰でも同じだろう。
「……いえ、大分情報が絞られましたし……助かります。あっ、そう言えばクイナさんの『天秤』はどれだけ完成しているんですか?」
「情けない話二割以下、まあ聖杯大戦なんて大規模な戦いに、未来予測なんて後半にしか役に立たないし……」
天秤は日頃からの癖みたいなもので、自分の思い通りに事が進めば楽出来ると言う為だけに作った簡易的数秘術の勝率判定に過ぎない。勝率判定が80%を越えれば、それに見合った的確な行動が可能で、それがある意味敵の動きを読む未来予測と勘違いされる。
「あー、もう無理! 天秤の範囲が広すぎて全然掌握出来る気しない!! まだ神の聖杯戦争の方が立ち回りが良かったよ!!」
愚痴を零したくなるのも無理はない。
全パラメータを把握して、チェスの駒を慎重に動かす事は中々難しいのだ。それこそ味方が居なければキツイ話だ。
「あの、大丈夫ですか?」
「ああまあストレスから愚痴っただけだよ。いやー参った参った。本当、真面目を張り通すなんて俺らしくないのに」
「いつもそうしていたら師匠に怒られないのでは?」
「アレは趣味だ」
「なお悪いですよ」
ふふっと微笑むグレイ。
何せ俺のスキルには生徒(胃痛): EXがついている為、最早先生は爆弾を抱えたも同然なのだ。まあ労ってあげているのがグレイだから複雑な気分なのだろうけど。
「おっ、アレじゃないか?」
「あっ、はい。獅子刧さんですね」
「グレイ知り合いだったんだ」
「たまたま師匠達と一緒に行ったお城で会ったんです」
「へぇー、おーい獅子刧さーん」
手を振りながら友好的に迫る俺。
中々厳つい顔とサングラス、黒ジャケットを着て強面の印象の男の人と、その隣に居る金髪の女……凄いボーイッシュな格好に目が行くより、何故かグレイに似ているような。
「っっ……!?」
「えっ?」
「グレイ!!」
ガキィン! と響き渡る金属音。
いち早く反応し、即座に槍を出しセイバーに迎え撃つクイナ。赤く銀色の刀身をした大剣は赤雷を纏いながら力で押し潰さんとするようにクイナに襲いかかる重圧。
赤のセイバーが鍔迫り合いをしながらも叫んだ。
「何故、何故貴様がここに居る! アーサー!!」
「っっ……!?」
まさか、アーサー王の血縁!?
いや、アーサー王に恨みを持つ存在の中で『
円卓の騎士か!?しかも名高い叛逆の騎士!!
「止めろセイバー!」
「止めるなマスター! コイツだけは、オレの手で殺さなきゃ気が済まねぇ!! アンタの治政で民を殺し、オレに王位を譲らずにブリテンの国を終わらせたコイツだけはな!!」
「ぐっ……! 重っ……! って違う……っつーの……!!」
無理矢理ながら身体機能をルーンで強化してセイバーの剣を弾き、距離を置く。たかが魔術師に自分の一撃が止められた事に驚愕しながらも、目の前にいる魔術師のクイナは叫んだ。
「グレイはアーサー王じゃねえ!! 別人だ! アーサー王の呪いを受けた現代の英霊だ! アンタがアーサー王を恨んでるかは知らねえが、アンタは仇と似た人間の区別すらつかないのかよ!!」
「黙れえぇぇぇぇ!! オレは! オレはあの人より強い!! あの人を超えたはずだ!! 今更現代の亡霊が引っ掻き回してんじゃねぇぇぇ!!」
「っっ……! グレイ!」
「はい! 第一段階、限定解除!!」
籠に入ったアッドを変形させ、鎌のような形状でセイバーと迎え撃とうと構える。一触即発の状況でセイバーが飛び出そうとするその前にセイバーの肩を掴んで止めようとした人物が居た。
「あァ!?」
「落ち着けっての。俺はこんな事に令呪を使いたくねえんだわ」
「獅子刧さん……」
頭を痛めたような素振りを見せながらもセイバーを止める獅子刧さん。グレイを見て、「マジで召喚されたんだな」としみじみ思いながら呟き、グレイに挨拶する。
「久しぶりだなグレイの嬢ちゃん。いや、今はアサシンと言うべきか?」
「はい。お久しぶりです。獅子刧さん」
「マスター知り合いなのか!? 英霊のコイツに!?」
「まあ一時世話になったからな。現代の聖杯戦争で召喚されたアーサー王が消えた後、突如アーサー王に成り変わっちまったのがそこのお嬢ちゃんと言う訳だ」
「なっ……!?」
あり得ない。と言いたいが、セイバーは押し黙る。
グレイは暗い顔をしていた。アーサー王に成り変わってしまった存在。それは現代では地獄にも等しいのかもしれない。突如自分の顔から別のナニカに変わったら気味が悪くて仕方がない。
「拙は……
「ハァ……助かりました獅子刧さん」
「いんや、こっちこそ悪かった。同盟の話の前にセイバーが斬りかかるなんて俺も想定外だったわ」
セイバーの真名は今分かったし、グレイがアーサー王と瓜二つだった事を忘れていたようだ。マジ死ぬかと思ったからそこは気を配って欲しかった。
と言うか、今ので腕に軽くヒビが入ったし。無茶な状態で強化なんてするものじゃないな。うん。
「まあそこは水に流しますよ。同盟の件はどんな感じに考えてます?」
「どちらかの陣営が崩壊するまでお互い不戦協定、各陣営の情報は相互提供、片方の陣営が崩壊したら共闘ありの同盟。どうだ?」
「悪くないですね。グレイ、あとセイバーは賛成?」
「拙は大丈夫ですが……セイバーさんは?」
「あァ? あー、まあ良いぜ。父上と同じじゃねえってのは、そこのマスターの言った通りだしな。けどその前に一つ聞きてえ」
セイバーが睨みを聞かせながら俺達を睨み付ける。
アーサー王としての願いの確認なのか、それとも俺達自身を試すような質問なのか。答えはCMの後と言いたいがふざける事は出来ない。
「お前らの聖杯への願いは何だ?」
「拙は……その……もう叶っていますし……ありません」
「俺は無いぞ? 飛行機で帰ろうとしたら偶々令呪が宿って襲われて仕方なく参加したし」
「お前さん良く生きてたな……」
うん。よく死ななかったよね(白目)
ハッキリ言ってあんな刺激的な経験は2度としたく無い。何処の世界にパラシュート無しでスカイダイビングし、いきなり殺されかける人間が居るのか。居たよ俺だよ。
「んだよつまんねえ。まあ良い、顔合わせだけだろ! 行くぞマスター!」
「ああ分かった分かった。『
「まあ妥当ですね。はい、コレ俺の電話番号」
付箋を取り出し、自分の番号を書いて獅子刧さんに渡す。
見た感じ、さっき話していた内容と同じ、見落としもなければ特に問題は無い。右手の指を軽くナイフで切り、血で名前を書く。
「ああ助かる。ほらよ、俺の番号だ。『
「問題ないですね。ほいサイン完了」
「そんじゃ、俺達は今から不戦協定だ。聖杯を手にする前に先に死ぬなよ?」
「お互いに」
不敵な笑みを浮かべながらお互い逆方向の道へと歩いていく。此方も収穫が大きい。セイバーの真名も分かり、後半戦になればなる程、生存率はかなり高くなる。
獅子刧さんは魔術使いだ。
戦場を知るあの人と手を組めたのは運がいい。神様は嫌いだが今回ばかりは幸運だ。
「でも正直意外です。クイナさんとあっさり同盟を結ぶなんて……」
「曰く、暗殺者は絶対に殺せると言うのは絶対に死なないと同義と語った。曰く、勝てないと分かった敵に真っ先に矛先を向けさせない事こそ敗戦なれど勝利と同義に他ならない。今夜は俺達の勝ちだ」
「勝ち……ですか」
「聖杯戦争を生き延びる俺、願いを達成したグレイ。良いんだよ俺達は、無理して勝つ必要は無い。生き延びる事が勝つ事なんだから」
グレイの頭を撫でながら告げると、グレイは柔らかな笑みと顔を赤くしてフードを深く被った。照れているのか頭をわしゃわしゃすると、「ひゃっ!」っと言う声がしてちょっとだけ面白かった。肩をポカポカ叩かれたけど。
「結局、飛行機の時間もあって宿は取れなかったか」
「野宿するしかありませんね……」
「いや明日の天気予報、雨なんだけど……」
「「…………」」
結果、翌日まで野宿してずぶ濡れになり、宿が取れる時間帯に俺達はびちゃびちゃの状態で駆け込んだ。
えっ? 手袋に刻まれた虚数空間に傘とかテントとか無いのかって? こんな状況を一体誰が予想できたらテントなんて虚数空間にしまうんだい?
まあちょっと髪が濡れたグレイにドキッとしたのは墓場まで持っていくとしよう。