グレイが召喚されました。   作:アステカのキャスター

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 亜種聖杯戦争って五騎だけだったのを知らずに訂正しました。『桜ナメコ』さん、ありがとうございました。

 大学の通信授業が始まり、投稿が遅れました!!ちょっとペース落ちるかもしれませんがよろしくお願いします!

 良かったら感想、評価よろしくお願いします!では行こう!!


大英雄が託そうとしたもの

 

 前回の振り返りをしよう。

 

 

 アーチャーをグレイが倒した。

 おしまい!以上!それ以外!グレイが可愛かったから言う事無ぁし!!

 

 

 

 ★★★

 

 

 

「……はっ! なんか回想が雑だった気がする!」

「……何を言ってるんですか?」

 

 

 前回、然程シリアスが足りなかったと呟く。アレだ。オチが無い的なアレだ。……冷静になると何を言ってんだ俺。

 

 今2人はセイバーを追っているのだ。

 強化なしで走るクイナに並走するグレイ。改めて見るとサーヴァントってやっぱり凄いよな。常人の数十倍の力を有しているってのは知っていたが……改めて再認識する。

 

 

「あの……拙がマスターを抱えていった方が……」

「いやなんかそれは恥ずい」

 

 

 サーヴァント、英霊として現界したとは言え同い年の女の子におんぶかお姫様抱っこってなんか恥ずかしい。逆の構図ならまだしも、女の子にフランクに話せるとは言え密着するのはちょっと心に余裕が無くなるし。

 

 そう、グレイは美少女だ。

 だからこそ、だからこそ普通逆じゃね!?と叫びたいが今のグレイはサーヴァント、命じれば行動してくれるからと言って変な事命令したら先生(過保護)とライネス(悪魔)から殺されそうなので却下。

 

 揶揄いはするが基本的に平穏に明け暮れていたらの話だ。平穏からかけ離れた真っ只中で殺されたくはない。いや、むしろ平穏を望んでいるのに首突っ込んでない俺?今更だけど?

 

 まあ美少女に密着出来る余裕はない。てか知り合いなら尚更だ。

 

 

「いや待てよ? グレイがアーサー王の現し身なら無くはない? でも騎士王としてならあり得てもグレイは騎士って訳じゃないし……いや、でもサーヴァントという立場なら……アリあのか?」

「あの……運びましょうか?」

「やっぱ無しでお願いします」

 

 

 おい、今ヘタレとか言った奴、前に出やがれ。

 

 

 ────────────────────

 

 

 気絶したマスターとそこに立つセイバー。

 小さな身体は鋼鉄のような拳で殴られ、命が終えようとしているホムンクルスを抱えていた。

 

 

「どうして、もっと早く決断しなかった! 止められたはずだ! 君なら、あの馬鹿を止めることができただろう!」

 

 

 黒のライダーが涙を流しながらセイバーを責めた。

 ライダーはホムンクルスの傍らに膝を突き、その手を握り締めている。ホムンクルスは今にも死んでしまいそうで、もはや、一刻の猶予もない。すぐに、然るべき処置を施す必要がある。

 

 だが、そのためには魔術師に助力を請わねばならない。それは、できないのだ。ライダーはその魔術師からホムンクルスを救うためにここまで逃れてきたのだから。

 

 

「すまない」

 

 

 セイバーはライダーとホムンクルスに謝るしかできなかった。だがその言葉にライダーは激昂する。

 

 

「すまないで済むか! こんな……彼は必死に生きようとしただけなんだぞ! ボクたちはソウルイーターで、人殺しで、ただのサーヴァントかもしれないけど、でも……生きようという意思を、尊重することすらもできないなんて……」

 

 

 その嘆きをぶつけてホムンクルスを見つめるセイバーに近づくサーヴァントの姿があった。金髪で旗を持ち、普通のサーヴァントとは違う存在……

 

 

「黒のセイバー」

「……ルーラーか」

「ルーラー?」

 

 

 ライダーはよく分からないまま聞き返すが、セイバーは眼を閉じて自分の贖罪を告げる。

 

 

「俺は、また道を踏み外してしまった。目の前の俺に願わぬ、誰かを見捨てようとしていた。自分で考えようとせず、誰かに選択を委ねようとした」

「一体何を……」

「ともすれば非業な運命を背負わせるかもしれない。だがそれでも、彼に捧げるべきモノがある」

「っっ! 待ちなさい!! 待ちなさい、ダメッ!!」

 

 

 セイバーは自分の手を胸に力強く食い込ませようとした。

 自分の迷いのために、生きようと願う一つの命が失われようとしている。ならば、その責は己の命で贖うべきだ。それがセイバーのやるべき事だった。

 

 だが……

 

 

「ストッープ!! ちょ、ちょっと待ったあああああああ!!?」

 

 

 

 そこに居たのは食い込ませようとしたセイバーの右腕を掴んで止め、息切れしながら叫び、咽せているクイナの姿だった。

 

 

 

 ★★★

 

 

 遠見の魔術でセイバーの行先を覗いていたら突如心臓を抉り出そうとしてギョッとした。強化の魔術をかけて超全力で走って止めた。

 

 いやあああああ!どう見ても自害寸前ですありがとうございました! 『御帰り()』は彼方になりま……ってちょっと待てコラアアアアアアアアアアアア!!? 

 

 ちょっと心臓を抉り取るなんてちょっと心臓に悪い事をしようとしたらマジちょっと罪滅ぼしになるとかちょっと心臓と胃が痛くなるので無理でした! グロ無理!! 

 

 

「ゲホッ! ゲホッ! ヴァー、間に合ったあっぶなっ!! 何この状況、セイバー今死のうとしなかったか?」

「だ、大丈夫ですか? マスター」

 

 

 遅れてやってきたグレイが背中を摩ってくれた。

 昼間に食べたご飯がもんじゃになって出てくる事になったかもしれない。割とガチで。マジでありがとう。

 

 

「き、君は?」

「げほっ…、ハァ、ハァ、アサシンのマスターだよ。お前はランサー……いや、ライダーか?」

「き、君魔術師だよね! だったらさ、この子を見てやってくれないか!?」

「はっ? この子……まあ分かったけど、説明しろよ?」

 

 

 ライダーが抱えている小さな子供に軽く触れて治癒の魔術を施すが、残念ながら臓器が潰れている。と言うか硬い物で殴られたような……もしかしてそこに寝ている魔術師か?

 

 詳しく調べてみると肺の片方は潰れ、呼吸もままならず、骨も幾らか砕けてしまっている。原初のルーンでさえ、治癒が困難だ。

 

 

「悪い……かなり厳しい状態だ。人間とは違って、多分この子はホムンクルスなんだろ? 人体理解していれば難しくはないけど、明らかに造り方が分からないこの子に治癒のルーンで治せるのは砕けた骨程度だ」

「そんな……」

「セイバー、ライダー、説明してくれ。この子は一体何だ?」

 

 

 ライダーは少し伝えたくなさそうな顔をしていたが、それでも話した。このホムンクルスはどうやら魔術師として一流の魔術回路を有してしまいキャスターの宝具の炉心に使う為に黒の陣営が捕らえようとしていたが、ライダーが逃す為に動いたらしい。

 

 うーん。まあそう言う事か。

 

 

「成る程ね……キャスターの宝具の炉心としてこの子が……んで、ライダーは逃そうとした訳か」

「う、うん。あっ、君でもこの子は渡さない! あの場所に戻すくらいならボクは君を倒してでも!!」

 

 

 槍を向けるライダーにグレイも黙っていられずに構える。だが、クイナはグレイを右手で制しながらも落ち着かせ、ため息をつきながらも、ライダーに対して質問する。

 

 

「まあ待てよ。ライダー、この子を逃すと言う事は黒の陣営の損失なんだろ? ──それでも、助けたいか?」

「うん、僕は彼の願いを尊重しただけさ! 目の前の子供1人救えないならボクは英雄になんかなってないからね!」

「──セイバー、お前も同意見か?」

「ああ」

 

 

 眼を細め、真剣な眼差しでクイナは聞いた。

 大英雄がまさか頼まれなかった人間、目の前に居る人間を救う事だとは思わなかったが、心臓を抉り出そうとしたのでそう言う事なのだろう。

 

「聖杯に託す願いと同じくらい、この子を救いたいと望むか?」

「ああ、そうだ。だから俺は彼に──」

「だったら尚更、お前が死ぬべきじゃないだろ馬鹿」

「!」

 

 

 何を勘違いしているのか知らないが、今後如何なるか分からない以上、まだセイバーを死なせるつもりはない。そもそも、赤の陣営を減らした中で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、無駄にサーヴァントを切るのは愚作だ。

 

 てか何? 救う為に心臓を抉り出して心臓を埋め込むつもりだったの? そりゃねえよ流石に。

 

 

「お前が死んだら、それこそお前がそこのマスターはどうなんだ。子供を殴った最低な奴でも、俺はお前の英雄としての高潔さを知った以上、尚更死なせるつもりはないぞ」

「だが、それでその子が死ぬなら……俺の判断のせいで、死なせてしまうのは耐えられない」

「だから命を捧げてでもこの子を助けたい……か?」

「ああ」

 

 

 クイナはため息をつきながら金髪のサーヴァントを見る。見た感じサーヴァントなのは間違い無いのだが、何というか……在り方が()()()()()()()()()()()()()()()()のは気のせいって訳じゃないだろう。

 

 

「──アンタは? 見た感じサーヴァントだろ? クラスは分からんけど?」

「私はルーラー、聖杯戦争の監督役のような立場です」

「あっ、マジ? そんなクラスあるんだ? んじゃルーラー、質問するが聖杯戦争に関係ない人を保護出来るか?」

「はっ? ……はい、可能ではありますけど」

 

 

 成る程、それは良かった。

 一応、このサーヴァントは良心的なタイプだ。グレイに少し似ているが、多分アレだ、お母さん的なタイプなのだろう。言ったら怒られそうだから言わないけど。

 

 

「──それが仮に黒の陣営と敵対してもか?」

「問題はありません。私は一般人を巻き込まない為に召喚されたようなものですから」

 

 

 何それそんなクラスあるんだ。

 ルーラー、別の意味では調律者、聖杯戦争を監督するサーヴァントねぇ? と言う事は、サーヴァントに対して何かと有利な能力があるのだろう。まあ、毅然としているし問題ないだろう。多分。

 

 と言うか、そんなクラスがあるならあの時の亜種聖杯戦争に召喚されて欲しかった(切実)

 

 

「分かった。此処に居る全員、悪いが企業秘密で頼む。今からやるのは魔術師にバレたら不味いからな」

 

 

 バレたら封印指定どころではない。

 幾多の魔術師に命を狙われる状況になってしまうが、今切れるカードで出来るなら、多少の覚悟は必要だ。魔術回路全てを全フル稼働し、詠唱を紡いでいく。

 

 

「──If I have a golden cup in my hand(我が手に黄金の杯あり)and I am the magician who holds the cup of(我が身は神の杯を正しく扱う者)God in it answer my call(彼方にて我が呼び声に応えよ)!」

 

 

 長い詠唱を得て右手に光が収束していく。

 亜種聖杯戦争から封印を開ける事は永遠に無いと思っていたが、まさかこんな早くその約定が崩れるとは思わなかった。

 

 

「なっ……!」

「へっ? な、何でそんなものが!?」

「…………っ!?」

「クイナさん!?」

 

 

 右手に収束した光がやがて形と為している。

 そこにあったのは亜種聖杯戦争の勝利品。震えながらもルーラーがその手に持つ物の名を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「…………聖……杯……?」

 

 

 クイナがランサーと共に手にした戦利品。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

 

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