投稿遅れました。
大学の課題とか課題とか宇津見エリセとか!!
色々大変だったんですよ!!(血涙)
今回グレイちゃんほぼ空気です。それでも良ければ感想、評価お願いいたします!!では行こう!!
前回の振り返りをしよう。
「ストッープ!! ちょ、ちょっと待ったあああああああ!!?」
自害しようとした大英雄を止め、軽くもんじゃを吐きそうになった。その後、神の亜種聖杯を取り出した。さらっと出したけど、かなり大変だった。
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「なっ……!」
「へっ? な、何でそんなもの持ってんの!?」
「話は後でする。ライダー、その子供を横にしてくれ」
「う、うん! 分かった!」
そのホムンクルスを横にして聖杯の中の澄んだ魔力を傾ける。聖杯の無色の魔力がホムンクルスの口へと注がれていく。中身が少し減ったのを見計らって、聖杯を傾けるのをやめた。
ホムンクルスの身体が光り出した。小さくか細い身体がまるで長い年月を得たかのように成長していく。
光が収まると身体は成長され青年くらいの大きさで止まっていた。
「……成る程な。アインツベルンの生み出す聖杯とは全く別、無色の魔力の器が無ければ器となる外面が強化されるようになるのか」
「う、動いてる! 生きてる! 良かったああああああああっ!!」
「ライダーちょっと退いてくれ。身体の方を軽く調べる」
泣きつくライダーにため息をつきながら、調べようとするがライダーが退かないのでグレイがライダーを引き離してくれた。首元や心臓部に軽く触れて身体機能が正常か調べるが、異常は特にない。
「うん。問題ないな」
意識はあるか? と頬を軽くペチペチしているとホムンクルスの少年は目を覚ました。目を覚ました瞬間、ゆっくりと口を開いた。
「……俺は……どうなって…………」
「まあとりあえず、無事復活? 外面的、つまりホムンクルスとしての機能が強まったから身体機能が普通の人間よりに戻ったみたいな感じかな」
アインツベルンの聖杯を生み出す技術は俺も知っている。
てか流出したから亜種聖杯戦争なんてものが起きたからだ。アインツベルンの聖杯は器に英雄の魂を注ぎ、英雄の魂から抽出した力で根源の孔が開かれ、そこから溢れ出た無色の魔力がどんな願いも叶える聖杯となる。
このホムンクルスも多分アインツベルンから流出した技術によって生み出されたのだろう。聖杯の器として製造はされていないが器になる資格がある。だから聖杯の魔力で器そのものを生み出す事に成功したと言う事だ。器の大成に伴って身体機能は人間と同等になったと考えるべきか。
「アサシンのマスターよ」
「ん?」
「……すまない、俺の願いの為に君の力を借りることになってしまって」
「そこはすまないじゃなくてお礼の方が何倍もポイント高いんだぜ? 因みに100ポイント貯まると願いが叶うとじっちゃんが言ってた」
「……ああ、そうなのか。──ありがとう、この子供を救ってくれて」
「いやそこはツッコめよ。どういたしまして。……っと、来たか」
どうやら、黒の陣営が全員集合のようだ。
うわっ、凄い壮観だな。歴代の英雄達がこの場に集結するのは滅多に目にかかれない。そして魔術師、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアを始めとする魔術師達、カウレスやその姉、ライダーのマスターも顔だけ知っている。
「凄い壮観だな。サーヴァント七騎がここに揃うって普通の聖杯戦争なら絶対あり得ないけど、こうして見ると凄いと思わないか? アサシン」
「はい。確かに……そう思いますけど」
「君がクイナ・バルハルクとアサシンか」
「話が早くて助かるよ。そう! 俺は時計塔でちょっと有名な問題児、問題児コンビのフラットと一緒にロードに胃痛を与える事でプチ有名なクイナ・バルハルクとは俺の事さ!!」
「いや威張る所じゃないだろ……」
カウレスがげんなりした顔で突っ込む。
だが、ダーニックは無表情のまま倒れているセイバーのマスターとライダーの背後に隠したホムンクルスを見据える。
「ライダー、セイバー、何があった。そしてそこのサーヴァントは何者だ?」
「私はルーラー、此度の聖杯戦争の裁定を行う者です」
「まっ、そうだな。此処からは俺が説明しようかね。今さっきまで起きた出来事を」
俺は聖杯の事を伏せて全て説明した。
ライダーはホムンクルスを逃がそうとして、セイバー達に見つかりホムンクルスを捕らえようと重傷を負わせ、そこにやってきた俺達がそのホムンクルスを治癒していたと言う事を話した。
「ダーニック、このホムンクルスは炉心として有用だ」
「ライダー、セイバー、彼を引き渡せ」
「「断る」」
「くだらぬ事で令呪を使わせるな。ならばクイナ・バルハルクにアサシンよ。彼を引き渡してもらえるか。君達ならそのホムンクルスの有用性に気付く筈だ」
キャスターの炉心にあたる魔術師。
まあキャスターの真名を看破した時点で予想はしていたがやはりそうか。
「ライダーから聞いたよ。キャスターの宝具に必要ってな」
「その通り、だからこそ彼は此方の陣営に大きな役割を担える。君なら理解出来る筈だ。そのホムンクルスがどれだけ重要な役割を担えるのか」
「ホムンクルスを引き渡せば、勝率が上がる」
「ああそうだ。だから──」
「
その言葉にダーニックは「……はっ?」とポカンとした顔で硬直していた。他のサーヴァントも誰もがその言葉に
「このクイナ・バルハルクの最も好きな事の一つは、自分より強いと思っている奴にNOと断ってやる事だ!!!」
ババン! と効果音が付くくらい、いっそ清々しい程に言い切ったクイナに誰もが固まっていた。ルーラーどころかグレイまで硬直している。ライダーの腹筋が崩壊した。ウケる。
「っしゃ! 一度は言ってみたかったランキングベスト3を言えるとは幸先がいい! ……とまあ今言った通り、俺の答えはNOだ。俺は彼を引き渡さない」
「何を馬鹿な……魔術師であるならば理解出来ない筈が無い事を、断ると言うのか!?」
「ああ、何せ大英雄達の頼みであり、願いであるからな。悪いが俺はその願いを尊重したに過ぎん」
ほう、とランサーは納得したように呟く。
乗馬しているとは言え、このサーヴァントは王の風格があるな。多分、この場所では絶対勝てない。理由と言うか勘がゾクゾクッと来てる。そう言う奴に限って勝率が低いのだ。
「アサシンのマスターよ。君は何故大英雄の願いに手を貸した?」
「んなもん、理屈なんてねーってのは魔術師らしくないな。うん。理屈があるとするなら、ライダーは彼を逃がそうとした、セイバーはマスターよりも彼を優先した、ルーラーは彼の魂を守ろうとした、俺はそうだな……まあ……何なんだろうな?」
「結構自信無さ気だねっ!? 普通に彼の意志を尊重したでいいんじゃない!?」
なるほど、ライダー頭良いな。
自信なさげな様子にルーラーは少し呆れ顔だが、無視する。まあ助けた人でいいんじゃないかな? アレ? 俺多分、命の恩人だよな? なんでそんなに視線が冷たいの?
「んじゃそれで、俺は英雄じゃないけど、それでも人類史を生きた英雄達が守りたいと思ったのが彼だぜ? 俺はそれに乗っかった。要するに自己満足だな」
「自己満足で黒の陣営に損失を生むと言うのか?」
「そうだな。けど、それの何が悪いんだ? 他人の足引っ張る事か? それともキャスターの宝具を揃えられない事か? んなもん知らん。我が道を行くのが英雄なんだろ? ライダー然り、セイバー然り、願いは自分が進んだ道の先にあるものだ。なら俺はそれを信じただけさ」
セイバーもライダーもその言葉に少しだけ笑った。
英雄として、認めてくれているからこそ信じて助けてくれている目の前の魔術師に少し尊敬する。ルーラーも少しだけ驚いた表情をしている。英雄と魔術師は全く違う。在り方が自己的な魔術師と他人を優先する高潔さを持つ英雄では決して理解し合う事は難しい。
それを踏まえて、なお信じているクイナ。
グレイはクイナの隣に立ち、ランサー達を見据える。
「そして、それを奪おうって言うなら是非も無い。ルーラーも含め四騎対四騎だ。黒の陣営で争うかダーニック? まさかお前がサーヴァントを使い魔と称して、願いを踏みにじるなんて真似をする筈が無いよな?」
「っっ!!」
この言葉はダーニックに特に響いた。
ランサーであるヴラド三世は高潔で寛大な王だ。それを使い魔と称した時点で良好だった関係は一瞬にして崩れ去る。まだ序盤だ。そんな中で黒の陣営同士で殺し合いでもすれば聖杯を護る手は一気に失う。ユグドミレニアは魔術協会から離反したのだ。今更後戻りは出来ない。
「余のマスターを脅すか?」
「おっと、それは悪い。気に障ったなら謝罪しよう。なら交換条件だ」
「何?」
「
「何っ!?」
クイナの一言はダーニックには到底聞き逃せなかった。
ランサーを王様と見抜いた。まだサーヴァントの真名は明かしていない。にも関わらず、ランサーを王様と言った。
「……ほう? だが、その情報の信憑性は?」
「黒のキャスターの真名はアヴィケブロン」
「「「っっ!?」」」
「ゴーレムに仕組まれた魔術はカバラを用いた数秘術、ゴーレムの意味は楽園の使者、元々カバラはセフィロトの樹、人界と天界の魂の階級を示す身分階級表の中の一つ、
アヴィケブロンはあくまで苦しむ民を救いたかったユダヤ教の信者だ。ゴーレムと言う存在は人が生み出す負や悪意が取り除かれた完璧な存在、セフィロトの樹における天使や悪魔、身分階級表を示したものにあたる。
俺の魔術ではゴーレムを作れない。単純なルーンじゃコマンド不足の欠陥品しか作れない。数秘術を限りなく簡略化した未来予測が天秤にあたるが、アレとは方式が全く違う。数秘術で他人の心理から行動予測するアレとは似ても似つかない。
「そしてそこから導き出される答えはカバラの提唱者であり、苦悩に満ちた民達を楽園へと導く偉大な王として君臨された人物。どうだ? 百点満点だろ?」
ニヤリと笑うクイナにカウレス達はあり得ないと言う顔をしていた。だがそれがクイナの推理を証明する事になる。そして、その有用性も証明される事になる。
「……確かに、僕の真名はアヴィケブロンだ」
「まっ、この推察力はご察しの通りだ。そんな俺が知っているサーヴァントの情報は、今後のアドバンテージに活かせると思わないか?」
俺がダーニックに乗せた天秤の秤。
片方を取ればサーヴァントを使い魔と称する行為に等しいが、取らなければキャスターの宝具は完成が遠退く。だが、まだ序盤で自分の本性を己がサーヴァントに晒す訳にはいかない。
「さて、お前はどちらを取る? ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア」
クイナ・バルハルクの天秤の上に乗せられた究極の2択。ある意味この場の主導権を握っているのはクイナの後ろにいるルーラーだ。それに今、ランサー達を使い魔と称してしまえば今後に影響が生じる。
辛酸を舐めたような顔でダーニックは決断した。
「…………いいだろう。そのホムンクルスは見逃そう」
「! ダーニック、それは……!」
「領王よ、このご決断を如何いたしましょう」
「良い。赦そうではないかダーニック、貴様の決断も、その少年の勇姿も、そしてセイバー達の誇りを持った英雄としての願い、それを踏みにじる程、余の器は狭くない」
それにホッとするライダーとグレイ。
だが、ダーニックの一言でクイナは目を見開いた。領王、と言ったと言う事はルーマニアが祖国であり、ルーマニアの歴史の中に王であり、吸血鬼として名を馳せた人物はただ一人。
「なっ……! 王は王でも領王!? じゃ、じゃあまさかルーマニアの領王って事はまさか……!」
「ほう、それだけで気付くとは目敏いな。我が真名はヴラド・ツェペシュ。ルーマニアの領王として君臨するものだ」
ま、マジかー。
まさかの串刺し公だったとはなー。となれば領地内で勝ち目がない訳だ。護国の鬼将と呼ばれる彼は文字通り、領地に至る場所に於いて莫大な戦闘力、信仰を手にしている。それによる戦闘ボーナスがあるのだろう。領地で行われていた彼の神話を発動出来ると言う事だ。そりゃ勝てないわ。
「んじゃ、この後どうする? 俺達は捕縛? それとも待遇?」
「待遇でいいだろう。ライダー、セイバーも城へ戻るぞ」
「俺、後から付いてくんでアサシン。悪いけど先に行ってて」
「は、はい」
ちぇー、とライダーは少しだけ不満ながらも彼から離れていた。セイバーも頭を軽く撫でると、背を向けて黒の陣営へと戻っていく。
とりあえず、この一件は収まってくれて良かった。ため息をついて、ホムンクルスの頭に手を当てる。
「さて、君はこれで晴れて自由だ」
「俺は……自由になっていいのか?」
「英雄達が望んだんだ。良いに決まってるだろ?」
ホムンクルスの彼は若干まだ生に対する執着よりホムンクルスとしての本能が強い。だから、これから様々な事を知っていかなければならない。まだ赤子、生きる理由なんてわかる筈がない。
「そうだなぁ。差し当たっては名前だな。ルーラー、何かいい名前ないか?」
「名前……そうですねぇ、ホムンクルスだからホム君とか?」
「お前に任せた俺が馬鹿だった。反省してる」
「アレ!? 即却下されました!?」
名前か、名付け親は俺になる。
俺がパパになるんだよぉ! 的な事はないが、少しでもいい名前にしようと悩んだ結果、ジークフリートが命をかけてでも救いたかった願いが彼なので、ここは大英雄からとって……
「──ジーク。君の名前はジーク・バルハルク。どうだ?」
「ジーク……竜殺しの大英雄と……バルハルクは貴方の家名?」
「ああ、どちらにせよ大戦が終わったらウチで引き取るよ」
その言葉を聞いた瞬間、ルーラーが旗を構えてジークの前に立つ。おい、なんか誤解してないか? そ、そんな固くて太いものを俺に向けないで! と内心ふざけていたが、流石に武器を構えられた状態でふざけたら串刺しにされそうなので考えるのをやめた。
「まさか、彼を実験に……!」
「んな訳ないだろ。流石に聖杯の中身を流し込んだとバレたら魔術師達が彼を狙うだろうし、バックアップがなきゃ彼が大変だよ? 今はルーラーに任せるけど」
「……分かりました。けど、聖杯に関しては後で説明してもらいますよ」
「オーケー。んじゃあジーク、これ俺の予備端末、終わったらコレに連絡するから持っとけ」
ポケットに入っていた予備端末をジークに投げ渡す。
因みに俺はポケットに予備端末をジークに渡したのを除いて3つ持ってる。まあプライベートと仕事用と色々あるからだ。因みにジークに渡したのはAnd○oid、高性能だ。
「済まない……貴方にまで迷惑をかけてしまって」
「まだお前ガキなんだ。生まれたばかりの奴は大抵迷惑をかけるものだ。気にすんなよ。んじゃ、俺も行くからルーラー、後はヨロピク」
クイナはそう言ってジーク達から離れていく。
そして、なぜか準備運動して、ジーク達に振り向く。なぜかクラウチングスタートの構えをしながら。
「あっ、そうだ」
「?」
「ルーラー、二人きりだからって……襲うなよ?」
「なっ、ななな何言って……!!」
「じゃあまたな、ジーク!」
「あっ、待ちなさい!!」
顔が真っ赤になったルーラーを横目にクイナは全力で逃げた。まあ後で絶対に怒られそうだが、ふざける事で気を紛らわせようと言う事もあった。
「まさか……ジークもか……」
あの時、微かにジークの左手の甲に