「くっ!」
「目を閉じるな。閉じればそれだけ危険が増す」
森の中で私とダイは近接戦闘訓練をしていた。ダイの装備は【ひのきのぼう】に【ぬののふく】。私は持ち前の【ハサミ】【ロブスターメイル】だけ。
「っ!?うぉぉっ!!」
軽く当てるつもりでダイにハサミを振り下ろす。ダイは私がワザと作り出した隙を見て、ひのきのぼうで切りかかる。
「甘い」
「っっ!?ぐあぁぁっ!!」
読んでいた攻撃をもう片方のハサミで受け流す。驚いたダイに軽く膝蹴りを入れる。
私の甲殻は相当硬い。正直、今のダイでは普通の剣を持ってもダメージを与える事は出来ない。しかし、ただ受けてやる必要も無い。
「痛いのはわかるが直ぐに回避しないと追撃を受けるぞ」
「っっ!?ぐああぁぁ!!」
攻撃を受けるのは仕方ない。問題はそこからどうするか。ダイの場合は身体が小さいし、甲殻も無い。耐えられる攻撃は良くて2~3だろう。
私との訓練では攻撃を受けた後、如何に生き残れるか。それを徹底的に叩き込もう。
「ここまでにしよう」
「っぐ…ま、まだまだ……」
ダイは汗を滝の様に流しながら立ち上がる。その根性は本当に凄い。
「わかった。ならもう一度」
「とりゃぁ!!」
「む?」
弱っているはずなのに先ほどより鋭い攻撃を繰り出したダイに驚愕する。
(すごい才能だな)
私はロブスター族の中でも相当強い。幼い時から訓練して才能があると言われた事もある。その私から見てもダイは異常だ。
「だりゃぁ!!」
私がハサミで受け流す事を予測して、ひのきのぼうを滑らせる様に胴体を狙う。後ろに下がる事で攻撃を避け、足払いでダイを転がす。
「くっ!」
私が足で踏みつけようとするとダイは転がりながら避ける。そのままある程度離れたら体勢を立て直す。
「はぁはぁ…」
呼吸が荒いダイに私は追撃をする。敵は呼吸を整える事を待ってはくれない。
「……ふぅー。っ!」
「なんと!」
ダイは乱れた呼吸を【息吹】…深く息を吐く事で無理やり整えた。私のハサミを避け、鋭く斬りかかってくる。
「たぁぁ!」
今までで一番鋭い攻撃をハサミで掴み、そのまま肩でダイに体当たりしてその勢いで木に叩きつける。
「ぐえぇ!?」
「最後の一撃はよかった。次は余力を残す事だな」
独学だったダイは基本攻撃全てが全力で防御が疎かだ。そんな闘い方をすれば長生きできない。理想は攻撃に6防御に4。相手にダメージを与え、相手からダメージを貰わない事が一番いい。
「……」
「ピィピィ!!」
「む?」
ゴメちゃんが気絶しているダイに駆け寄る。駆け寄る?間違っては無いか。
「【生命の水】」
私がハサミを組み術を唱えるとダイの真上に大きく綺麗な水滴が出来てダイを一瞬包む。
「よし。帰ろうか」
「ピィピィ!」
傷が癒えたダイを担ぎブラスの待つ家へ戻る。この所は数日に一回この近接戦闘訓練をしている。
気絶するまで闘い、傷を癒して帰ってブラスの作るご飯を食べる。最近ではダイも中々いい攻撃をしてくる。
「しかし私は剣術が出来ないからな…」
「ピィ?」
「私では近接戦闘の手助けは出来ても剣術は出来ない。どこかに教えれる人がいればいいのだが…」
ダイは勇者を目指している。勇者とは伝説の剣を使うらしい。拳なら教えられるのだが…
「仕方ない。周囲を冒険するついでに探してくるか」
「ピィピィ」
「むにゃむにゃ」
私は帰り道に次の満月にでも周囲の冒険をしようと決めた。
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