エビの大冒険   作:彼是

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ボストンの強さは全盛期のアバンぐらいを想定してます。
正し、技を殆ど閃いていませんし、対人戦闘が少ないのでアバンなどの実力者には経験不足で強い技を閃かないと勝てません。


デルパ!イルイル! 前編

 ある日の事。私が島でのんびりしていたらかすかに集合の笛が聞こえてきた。

 

「?何かあったのか?」

 

 寝転がり日向で甲殻を乾かしていたので立ち上がり集合の笛が鳴った場所へ向う。

 

「ブラス」

 

「おお。ボストン殿」

 

 ブラスを見つけて声をかける。てっきりブラスが呼んだものだと思ったが違うのか。

 

「一体何じゃろうな?」

 

「わからん」

 

 二人で笛が鳴った浜辺へ行くと島中のモンスター達と4人の人間がいた。老人の魔法使い、若い男戦士、若い女僧侶、青いマントの若い男だ。

 

「み、みんなどうした?何事じゃ?」

 

「ほう鬼面道士が一匹生き残っていたか…」

 

「勇者様!?」

 

 ほう。あの青いマントの男が勇者か。弱そうだな。

 

「い、いや…違う。本当の勇者様はもっと澄んだ目をしておられる…!貴様らは誰じゃ!何しに来た!」

 

 ブラスが警戒し、その姿を見た島のモンスターが警戒する。

 

「…うるさいジジイだ…!」

 

 目が淀んだ勇者は剣を抜き中々の速さでブラスに切りかかる。

 

「そら!」

 

 ブラスを攻撃するなら敵だろう。

 

「……」

 

「なにぃ!?」

 

 私がハサミで剣を掴めば、目が淀んだ勇者は驚く。

 

「事情はわからんがお前達では私に勝てない。大人しくしているんだ」

 

「っち!おい!」

 

「ふぅんっ!」

 

 目の淀んだ戦士が斧で切りかかってくる。

 

「っ!」

 

バキン!

 

「はぁ!?」

 

 ハサミに力をいれて剣を砕き、斧に対してはハサミを動かし逸らす。

 

「ひぃ…メ、【火炎呪文(メラ)】」

 

 ダイやブラスより大きな【火炎呪文(メラ)】が目の淀んだ魔法使いから飛んでくる。私の甲殻は物理攻撃にはかなり強いが術、魔法には弱い。しかし、このまま避ければブラスに当たるかもしれない。

 

「仕方ない。はぁ!」

 

 ハサミを勢いよく【火炎呪文(メラ)】に叩きつけ、ある程度かき消す。

 

「なぁ!?そんな馬鹿なッ!?」

 

 ハサミが痛い。やはり完全にダメージを逃す事は出来なかった。要練習だな。

 

「さて、大人しく捕まるか、痛い目を見て捕まるか…どちらがいい?」

 

「「「「うぅ…」」」」

 

 目の淀んだ者達は周りのモンスター達が怒っている事に気が付き縮みこまった。

 

「ただいま~。って勇者様!?」

 

 ダイがゴメちゃんと戻ってきたのは私達が彼らを縄で拘束しているそんな時だった。

 

「え~!?じゃあこいつら勇者様じゃないの!?」

 

「そうじゃ。こんな勇者様は淀んだ目をしておらん」

 

 たしかにダイ達に比べ彼らは目が淀んでいる。

 

「っく。放せ化け物!俺達を放さないとロモス王が許さないぞ!」

 

「そ、そうだそうだ!」

 

「ぐ、軍隊が来るわよ!」

 

「軍隊は言いすぎじゃが船の救援ぐらいは来るじゃろて」

 

 上から勇者、戦士、僧侶、魔法使いの順番だ。しかしロモス王か…

 

「よし。なら行って事情を説明してくるか」

 

「「「「「「え?(ピィ?)」」」」」」

 

 事情を話しに船まで行って、それから王様に会わしてもらえばいい。それでも無理なら戦えばいい話だ。

 

「ま、まて!わしらが悪かった。許してくれ!」

 

「まぞっほ!?何を言う!」

 

「いいから話を聞け!コソコソ」

 

「「「コソコソ」」」

 

 まぞっほと呼ばれた魔法使いは内緒話を始めた。

 

「そ、そうだな。急に攻撃してきて俺達が悪かった」

 

「そうね。ごめんなさい」

 

「すまん」

 

 まぞっほ達は急に謝りだした。どうやら反省したようだ。

 

「どうするブラス?」

 

「え?ど、どうすると言われましても…」

 

 ブラスはあたふたする。確かに判断に困る。殺すわけにいかないしどうするか…

 

「とりあえず逃がしてやるか」

 

「…そうですじゃな」

 

「「「「ふぅ…」」」」

 

 安堵のため息を吐くまぞっほ達を解放し、小船に乗せる。

 

「いいか?急にモンスターに切りかかるなよ?怖いのはわかるが話せばわかる奴もいるんだ」

 

「ああ。これからは気をつけよう」

 

「ぼうや、ごめんね」

 

「ふん!」

 

 ダイは目の淀んだ勇者がブラスに切りかかったと聞いてお怒りだ。

 

「……」

 

「ブラスどうした?」

 

 彼らを見送り、不安そうなブラスに声をかける。

 

「いえ、邪な人間達でしたのでこのまま帰してよいものかと…」

 

 気持ちはわかる。はっきり言って彼らは信用出来ない。しかし、邪悪まではいかないと思う。

 

「…しかし殺すわけにもいかないだろう?もし次来た時のことを考えよう」

 

「……そうですじゃな」

 

 イーと怒って船を見送るダイを見ながら私達はそう結論を出した。

 

 その日の夜。

 

ドカンッ!!

 

「!?」

 

 夜に大きな爆発音で目が覚めた。どうやら北の岩礁付近からだ。

 

「な、何事じゃ!?」

 

 ブラスも飛び出てきた。ダイ達の家近くで住んでるモンスター達も飛び起き集まる。

 

「ガウガウ?」

 

「何!?そ、そういえばダイとゴメが居ない!」

 

「!?」

 

 そういえば真っ先に出てきそうな二人が居ない。

 

「っく!」

 

「ボストン殿!?」

 

 私は音があった方へ急いで走り出す。

 

「はぁはぁ…」

 

 急いで駆けつけたが間に合わなかったようだ。地面には抉れた戦闘の後、傷だらけのダイと海のモンスター達が横たわっていた。

 

「みんな!【生命の水】」

 

 一人づつ傷が深い者から術を使う。ダイが一番重症で二度術を使う事になった。

 

「ぼ、ボストン…」

 

「ダイ!気が付いたか!?」

 

「ボストン…ゴメちゃんが…俺の所為で…」

 

「!?」

 

 ダイから話を聞けば、彼らが夜に小船で近づき、海のモンスターに帰る前に今日の事をもう一度ダイに謝りたいと言って来たそうだ。

 彼らはそれを信じてダイを呼び出し集団で嬲り、ゴメちゃんを誘拐したそうだ。

 

「…ゆるせん」

 

「俺!…ゴメちゃんを助けられなかった!」

 

「ダイ。ゴメちゃんを助けるぞ」

 

「ッ!?」

 

 ハッと私を見るダイ。そうだ、泣いてばかりでは意味は無い。男だったら立ち上がれ。

 

「ぐずっ…う゛ん!」

 

「よし!まずはブラスと合流するぞ」

 

 ブラスを合流した私達はブラスをお叱りも早々にゴメちゃんを助ける為の作戦を練る。

 

「あ奴らはロモス王の話をしておった。ゴメはロモスに連れて行かれた可能性が高いじゃろう」

 

「ロモス王国か…」

 

 私ではここから急いでも4日はかかる。船で先に進んだ奴らには追いつけない。マーマンにラインリバー大陸まで連れて行って貰っても3日はかかるだろう。

 

「更にあ奴らはダイに【爆裂呪文(イオラ)】を使ったという事は中々の腕じゃ」

 

 確かにこの島のモンスター達では難しいだろう。

 

「それでも俺はゴメちゃんを助けたい!」

 

「「ガウガウ!」」

 

「「キーキー!」」

 

 島のモンスターが集まってきて自分も助けたいと声を上げる。この島のみんないい奴だ。

 

「まぁ待つんじゃ。少し待っとれ……確か……」

 

 ブラスは家に戻り何かを探す。色々とひっくり返しているようで結構な音がする。

 

「え~っと。あれでもない。これでもない…おお!あった。あったわい」

 

 そうして少し埃に塗れたブラスが持ってきたのは20本程の筒だ。

 

「これは魔法の筒と言って生き物を一体だけ封じ込める筒じゃ」

 

「なんと!」

 

 すごい筒が出てきた。凄いアイテムだ!

 

「飛行出来ないモンスターはこれに入りダイの助けをしてやって欲しい」

 

「「ガウガウ!!」」

 

「飛行出来るモンスターはダイとボストン殿を乗せてロモスまで乗せておくれ」

 

「「キーキー!!」」

 

 なるほど。確かに空から行けば相当な速さで向う事が出来る。

 

「じいちゃんは?」

 

「ワシは何かあった場合、島を守らねばならぬ」

 

 確かに全員で行くのは不味い。もし奴らのような者が来た時ブラスが居るなら安心だ。

 

「よ~し!みんなでゴメちゃんを助けるぞ!」

 

「「「「おおぉぉ!!」」」」

 

 いつもは静かな夜の島に大きな声が木霊する。

 

「魔法の筒は持って『デルパ』と唱えれば中身が飛び出す。『イルイル』の呪文で相手を封じ込める」

 

「『イルイル』かぁ」

 

パカ

 

「?うぉ!?」

 

 ダイが魔法の筒を持ち呪文を唱えると魔法の筒が目の前に居た私を吸い込もうとする。

 

「ボストン!?」

 

「ふぅ…思ったより吸い込むな」

 

 ある程度の力があれば引っ張られる程度のようだ。普通に警戒していれば封じられる事はないだろう。

 

「ふぅ…これ!ダイ!無闇に唱えるでない!」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 そんなこんながあり、朝には準備が出来た。ダイの装備は【ぬのの服】【魚鱗】【魔法の筒】×20、【ひのきの棒】。私は【ハサミ】、【ロブスターメイル】【魚鱗】。ダイは回避優先、私は玄武術強化(水系)、軽減を重点に装備を整えた。そしてダイはキメラ、私はバピラスに乗ってロモスを目指す。

 

「必ずゴメちゃんを助け出すんだ!」

 

「ダイ。万が一はこれを…」

 

 ブラスがダイに渡したのは金の魔法の筒だ。

 

「これはワシが昔魔王よりゆだねられたものだ。何が入ってるか恐ろしくて開けた事が無い」

 

 そう言ったブラスは後悔や懺悔を思わせる顔をする。どうやら過去に魔王と何かあったらしい。

 

「はるか時空より来たれリものと聞くが……」

 

「……」

 

 はるか時空…アビスだろうか?しかしアビスの魔物ならば魔法の筒に入らないと思うが…気にしておこう。

 

「ボストン殿も居られるがもしもの時に使ってみるがいい」

 

「ありがとうじいちゃん!」

 

 ダイは金の魔法の筒を胸にしまい、キメラに跨る。

 

「よーし!頼むぞキメラ!」

 

「キェエエッ!」

 

「よろしく。バピラス」

 

「クワッ!」

 

 キメラ達は大空へ羽ばたく。ぐんぐんと上がって行き、あっと言う間に島が小さくなった。

 

「おお!!すごい!」

 

 基本海に住んでいた私が空を飛ぶとは…仲間が知ったら驚くだろうな。もしかしたブラック達も体験した事は無いかも知れん。

 

「こんな時じゃなければ、このまま冒険に出たいものだ…」

 

「クワッ!」

 

 バピラスも同意の様なのでまた今度ネイルの村まで一緒に行こうと誘うか。




原作一話までで結構長く書いてしまった。
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