「ふぁ…眠たい…」
今頃はお城で勇者様達は宴か…俺達兵士は夜なのに街の巡回だ。
「おい。しっかりしろ」
くっそ。隣のクソ真面目な同僚に頭がくる。勇者様達が撃退した化け物が島を渡ってロモスまで来るもんか。
「ん?なんだあれは?」
「んあ…どうしたんだ?」
同僚が夜空を見上げると小さな赤い火の玉が見える。
「んん?」
よく見るとどんどん近づいてくる。
「うわわわッ!!」
大きな音と共に赤い何かが空から落ちてきた。街の内部、門の前に大きな粉塵が舞う。
「なんだなんだ!」
「一体どうしたんだ!?」
「さ、さがって下さい!」
住民が集まってくるのを同僚が抑える。俺は【てつのやり】を持って警戒しながら近づく。
「そ、そんなまさか!?」
粉塵が晴れたそこには松明を持った大きな赤いエビが佇んでいた。
「ば、化け物だぁ!!」
「きゃーっ!」
「逃げろぉ!!」
住民達はパニックになり逃げ出す。俺も逃げ出したいが腰が抜けて立ち上がれない。
「あわわわ……」
「ん?」
化け物は俺に気付き、目の部分をギョロリと動かす。
「うわあわぁ!!あ、あっちにいけぇぇ!!」
俺は無我夢中でてつのやりを振り回す。
「ふん!」
「ふぇ??」
化け物は俺のてつのやりを掴むと簡単に圧し折った。
「あ、あわあわあ……」
「私はロブスター族のボストン。偽勇者に用があって来た。偽勇者を連れて来てもらおう」
「に、偽勇者?」
「そうだ」
「い、今すぐにぃぃ!!」
俺は同僚に抱えられ大急ぎで城へ戻り報告する。
「し、失礼します!」
「何事じゃ!?あの音はなんじゃった!」
上司がみんな宴に参加していた所為で俺がその場に居た王様に直々に聞かれる事になった。
「と、突如空からエビの化け物が襲撃!偽勇者を出せと言っております!」
「な、なんじゃと!?」
王様が余りのショックに顔色を悪くさせる。
「何をしておる!兵士達を早く化け物の所へ!民を守るのだ!」
「「はっ!」」
俺達兵士は大急ぎで支度して化け物の所へ向う。
「くっそ!どうして勇者様が行かねぇんだよ!」
「それはそうだろう。化け物が来たのはロモスだ。ここで勇者様に泣きついたら王国の恥だ」
また、てつのやりを装備して向う俺の悪態に同僚が答える。クソ。俺は化け物と戦って死にたくねぇよ!
「ぐぇ!?」
「ぐッ!」
「あ、悪夢だ…」
門にはおびただしい量の怪物が集まり音を立てていた。そして屈強なロモスの兵達がエビの化け物に倒されていた。
「っ!はぁぁっ!!」
「甘い」
「がっ!?」
また一人てつのやりで突撃した兵士が倒される。既に20人近くが倒されていた。
「ふう。さあ偽勇者はどこだ?早く呼んで来て貰おうか」
「ひ、ひぃぃ!」
こ、こんな化け物勝てるわけねぇ!