ハリーポッターと化物となった少女   作:96℃

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化物(フリークス)と賢者の石 二

 

sideメルセデス

 

 

 

 

ウォルター家の談話室、煙突飛行の為の暖炉が設置されている部屋で私とダニーはダイアゴン横丁へ行く準備の確認をしていた。

 

「さて...これで準備は整ったかな?」

 

「これで大丈夫かと。お金はこれからグリンゴッツで卸しますし、容量を拡大した鞄さえあれば大抵のことはなんとかなりますからね。」

 

今日の私達の服装は、魔法使いとしては一般的なローブ一式にショルダーバッグを肩にかけているだけだ。

 

このショルダーバッグには検知不可能拡大呪文がかけられているので、中が見た目より遥かに広くなっている。学校で使う教材を全て収納することができる程度には容量がある優れものだ。この屋敷の物置に乱雑に放って置かれていたものを拝借している。

 

バッグの中にはグリンゴッツで使う鍵と買うものを書き留めたメモ、それといくつかの携帯品しかまだ入っていない。

 

「よし、それじゃ行こうか?」

 

ダニーは暖炉の上にある壺から煙突飛行粉(フルーパウダー)を一匙すくい、それを暖炉の炎にばらまいた。粉が撒かれた炎はたちまち緑色に変化していく。

 

ダニーが緑の炎の中に入り行き先をはっきりと叫んだ。

 

「ダイアゴン横丁!」

 

ダニーの姿が消えたことを確認した私は続いて炎の中に入った。そよ風のように感じる緑色の炎の中で、多少灰を吸い込みながら私は叫んだ。

 

「ダイアゴン横丁!」

 

私が行き先を叫ぶと吸い込まれるような感覚を感じる。しばらくそのあまり好きに慣れない感覚を感じていると目的地に着いた。

 

目的地のある暖炉は漏れ鍋というパブの中に設置されていた。暗くて薄汚れたパブで普段はそこまで活気があるような場所では無かったのだけど、今日はどうも様子がおかしかった。

 

大勢の客が一点に集中して騒いでいる。客達の話し声に耳を傾けてみると、ハリー・ポッターという名前が聞こえてきた。

 

「ハリー・ポッター?」

 

「ああ、どうやらハリー・ポッターが店に居るみたいだね。大人たちに隠れて全く見えないけど。」

 

振り返ると、先に暖炉に入っていたダニーが背伸びをしながら群衆を見つめていた。

 

ハリー・ポッター―――――生き残った男の子、魔法界の英雄。十年前、英国魔法界で悪逆の限りを尽くした闇の帝王を僅か一歳の時に打ち破った少年だ。そして、将来()()()()()()可能性のある存在だった。

 

「ハリー・ポッターが来ているのなら是非とも会って見たいですね...私達もあの人だかりに入りますか?」

 

「そうしようか、僕も彼には会ってみたいからね。噂の英雄がどんな人間なのか興味が尽きないよ。」

 

ダニーの合意も得たので人だかりへと突入する。暫くの間は全く人の壁が薄くなることが無かったけれど、人の壁から頭三つ分くらい飛び出た大男が群衆を散らした所でやっと姿が見えた。

 

群衆の中から現れたハリー・ポッターは普通の少年のようにしか見えなかった。いや、余程食生活に問題があったのか見るからに痩せ細っているため、むしろか弱そうにすら見えた。彼がハリー・ポッターであると知らなければ誰も彼が英雄と呼ばれているなどと想像もしないだろう。

 

大男が彼を連れていこうとしたところ、彼の視線が私達の方を向いたので挨拶をすることにした。

 

彼を緊張させないように、同じ男であるダニーが先に声をかけ、握手を求めた。

 

「やぁ、君がポッターさんかい?お会いできて光栄だ。」

 

彼はダニエルの握手に応じつつ、何処か恐縮した様子で答える。

 

「うん...そうだよ。僕、ハリー・ポッター。君は?」

 

「おっと、名乗るのが遅れたね。僕はダニエル・ウォード。それでこっちが...」

 

ダニーが目配せをしてきたので、一歩前に出て名乗る。

 

「メルセデス・ウォルターと言います。お会いできて光栄です。ミスター・ポッター。」

 

私が彼に握手を求めようとすると、私達の様子を眺めていた大男がいきなり大声をあげた。

 

「ウォルター!?オスカーとアイリーンの娘か?よく見れば二人によう似ちょるわ。」

 

どうやらこの大男は両親を知っているようだ。それも、二人を呼び捨てにするくらいなのだからかなり親しかったのだろう。

 

「私の両親を知っているのですか?」

 

私が質問すると大男は感極まったような声で話始めた。

 

「知っているなんてもんじゃねぇ!あの二人は俺の恩人だった...ホグワーツの先輩でよぅ。俺がホグワーツを退学になるってなった時にも最後まで抗議してくれたのがあの二人だったんだ...あんな優しい二人がマグルを三十人も殺して自分も死んじまったなんていまだに信じられねぇ。」

 

大男はしばらく涙ぐんだ後に私の方を向いて名乗った。

 

「俺はハグリッドだ。ルビウス・ハグリッド。ホグワーツの森番をしちょる。お前さんもハリーと同じで今年からホグワーツだろ?何かあったら頼りに来るといい。」

 

大男――――ハグリッドはホグワーツの森番のようだ。随分と情に厚そうな性格に見える。何かあったら利用させてもらうことにしよう。

 

「メルセデスとそっちの、あ〜、少年はこれから入学の準備か?」

 

ハグリッドが私達にたずねる。どうやらダニーの名前は記憶から飛んでいったようだ。

 

「ダニエル・ウォードです。ハグリッドさん。あなたの言う通り、僕達はこれから入学の準備に向かう所でした。」

 

ダニーが答えると、ハグリッドはそれは都合がいいと言うように大きく頷いた。

 

「それなら、俺達と一緒に来ねぇか?ハリーも同じ年頃の子供がいた方がいいだろう。どうだ?お願いできねぇか?」

 

英雄と知己を得ることができるのは良いことだろう。彼がこの先どのような運命を辿るにしろ、彼の性格や考え方を知っておくことは彼が敵になったとしても味方になったとしてもマイナスに働くということは無いはずだ。

 

私とダニーは目配せをしあい、お互いの意見が一致していることを確認するとダニーは快い返事を返した。

 

「ええ、構いませんよ。最初はグリンゴッツですか?僕達は最初にグリンゴッツへ行く予定だったのですが。」

 

「おお、そうだ。俺達もグリンゴッツに行く予定だった。それなら丁度いいな。よし、行こうか。」

 

そうしてハグリッドは漏れ鍋の奥へと歩き出した。それを三人で追いかける。道すがら改めてミスターポッターへと握手を求める。

 

「先ほどはうやむやになりましたけど、改めてよろしくお願いしますね?ミスター・ポッター。」

 

ミスターポッターは多少しどろもどろになりながら受け答えた。

 

「う、うん。よろしく。ええと...なんて呼べばいいかな?」

 

ミスター・ポッターは随分と人との関わりに慣れていないようだ。一体どのような環境で育ってきたのだろうか?まぁ、人との関わりに問題があるのは私も人のことを言えないのだけど。

 

「メルセデスと、そう呼んで頂ければ結構です。」

 

「なら、僕もハリーでいいよ。敬称をつけられる程今の僕は偉くはないんだ。」

 

「僕もハリーと呼んでいいかな?僕のことはダニエルと呼んでくれると嬉しい。」

 

「わかったよ、ダニエル。これからよろしくね。」

 

そんな話をしている内に壁に囲まれた小さな中庭に着いた。先に着いていたハグリッドが壁の前に立っている。どうやらレンガの数を数えているようだ。いちいち数えずに済むように覚えておけばいいのに。

 

「三つ上がって.....横に二つ.....」

 

それを見たハリーがダニーに声をかけていた。

 

「ねぇ、あれ、何をしているの?」

 

「ここに来るのは初めてなんだろう?ハリー。なら、楽しみを奪う訳にはいかないから教えられないな。僕も初めてここに来た時は随分と楽しんだもんだよ。」

 

しばらくブツブツと言っていたハグリッドはハリーへ声をかけた。

 

「よしと。ハリー下がってろよ。」

 

ハグリッドが手に持っていた傘の先で壁を三度叩くと、叩かれたレンガが震え、左右に別れていきアーチ形の入り口へと姿を変えた。その向こうには石畳の通りが続いているのが見える。

 

「ダイアゴン横丁にようこそ。」

 

壁が入り口へと姿を変える光景に、ハリーは大層驚いた様子だった。

 

私達はアーチを越えてダイアゴン横丁を歩く。

 

鍋屋にふくろう百貨店、箒屋にマントの店、望遠鏡の店、通りを行く魔法使い達.....

 

私達にとっては既に見慣れた光景でしかないが、つい最近までマグル界で暮らしていたらしいハリーにはこの光景の全てが不思議と驚きに満ちているのだろう。彼は目が二つしか無いことが惜しいと言わんばかりに周囲を見渡していた。

 

初めてダニーと共にここへ来た時も、ダニーはハリーと同じように周囲を見渡していた。最も、その時のダニーは今のハリーよりは魔法界の知識があったためにここまでの興奮を見せることは無かったのだけど。

 

小さな店が立ち並ぶ通りを歩いていくと、前方に周囲の建物よりも遥かに高く立派な白い建物が見えた。

 

魔法界の銀行、グリンゴッツだ。英国魔法界ではホグワーツの次に安全な場所であるとされていて、盗みに入るのは狂気の沙汰だと言われている。

 

「ほれ、あれが小鬼(ゴブリン)だ。」

 

白い石の階段を登りながら、ハグリッドは声を潜めてハリーに小鬼(ゴブリン)のことを話していた。

 

小鬼(ゴブリン)は私達よりも頭一つ小さく、浅黒い肌、先の尖ったあごひげに、とても長い手足の指が特徴的であった。

 

私達は小鬼(ゴブリン)からお辞儀を受けながらグリンゴッツの中へと入っていった。

 

そこで私とダニーが見たものこそ、私が現状最も手にいれたいものであったと知ったのは、数ヶ月先の事であった。

 

 

 

 

 




今さらですが、どうも私は話を引き伸ばしてしまう質のようです。完結するまでには途方もない時間がかかると思いますが、気長に待って頂けると幸いです。

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