申し訳程度のHELLSING要素一つめがでます。また、今回は捏造設定の嵐です。描写は上手くありませんが残酷な描写のような何かもございます。お気をつけください。
ウォルター邸の地下室 仕掛け扉によって隠された階段の下にある学校の講堂ほどの空間は、壁のようにすら思える重厚なカーテンで二つに分けられている。扉を入って直ぐは天井に届かんばかりの高さの本棚に埋め尽くされ、その奥には、気の弱い者が見れば直ぐに吐き気を催すだろう光景が存在していた。
壁には様々な刃物、鈍器が吊り下げられており、並べられた棚の中には多種多様な薬品が収められていた。部屋に入った者の目を最も引くものは中央に置かれた金属製の台とその横に立つ少女であろう。台の上には全身を血で染め上げられた男が横たわっており、少女はその男の心臓に向かって今まさにナイフを振り下ろさんとしていた。
少女の振り下ろしたナイフは何の抵抗もなく心臓へと突き刺さり、傷穴はどす黒い血の塊を周囲に撒き散らした。ナイフを振り下ろした少女もまた、吹き出した血によってどす黒く染まっていく。ナイフを刺された男は多少身動ぎをした程度で声すら出さなかった。
台の上に横たわった男からは、知識が無いものでも一目で致死量を越えていると判るほどの血が吹き出している。しかし、よくよくその男を観察してみると何事も無かったかのように生命活動を行っていることが見てとれる。それどころか、ナイフが深々と突き刺さった筈の胸からは最初から傷などついていなかったように傷穴が消えていた。
ナイフに着いた血を布で拭き取っている少女―――――メルセデス・ウォルターは傷が消えた胸を確認すると満足そうに声を洩らす。
「ここまでは完璧ですね......さて、次は頭ですか。」
メルセデスは血を拭き取ったナイフを壁に吊り下げて懐から杖を取り出すと男の眉間に突き付け、呪文を唱えた。
「
至近距離から放たれた衝撃呪文は男の眉間を容易く貫通し、男の後頭部からは脳髄が音をたてて撒き散らされる。しかし.......
「素晴らしいです。まさかここまでの損傷すら再生してしまうとは......流石はバチカン教皇庁の技術の結晶、
後頭部から脳髄が撒き散らされて尚、男の生命活動には何の支障も出ていなかった。男の意識は一度途絶えたようだが、男の眉間に空いた風穴はたちまち再生していき、最終的には胸の傷穴と同じように消え去っていた。
賢者の石を模倣することを目的とした数々の失敗作の中の一つ、人に尋常ではない再生能力を付与する液体を生み出す「生命の石」。この石をマグルの技術によって身体の血液の循環に組み込み、それに合わせて
メルセデスは何故かこの地下室に安置されていた
それは目的のため、自らの心だけでなく、身体までもを完全な
彼女の望みを果たすためには、幾つもの死線を乗り越えなければならない。心が化物であっても、身体が人のままであるのは大きな不安要素であった。
そのため、メルセデスはバレれば即アズカバン行きであろう人体実験をするに至ったのだが、人体実験に使われてきた
「次は......まぁこれは結果がわかっているのですが、念のためにやっておきましょう。」
頭部の穴を観察し終えたメルセデスが壁から取り上げたのは、大振りの鉈である。大人でも少々振り上げるのに苦労するような大振りの鉈を彼女は片手で軽々と振り上げ、台上の
――――――ガツン――――――
メルセデスが振り下ろした鉈は易々と骨ごと腕を両断し、腕の下の金属製の台に一筋の切れ込みを入れる。腕の切断面からはやはりおびただしい量の血が溢れ、周囲を赤く染めた。
「.......ふむ、やはり欠損したものを再び造り出すことまでは出来ないのですね.....」
メルセデスは腕の切断面を観察するが、新しく腕が生えてくるようなことは無く、表面が皮で覆われていくのみであった。
生命の石は対象に再生能力を付与するものの、その再生はあくまで傷を塞ぐ程度のものであり、賢者の石のように失ったものを造り出すことはできない。これが生命の石が賢者の石の劣化版たる所以である。
「やはり、私が求めるレベルの不死性を得る為には賢者の石を使わないといけませんね.....しかし、賢者の石を現在所有しているのはニコラス・フラメルのみ。彼はフランスにいるでしょうから奪いに行くには時間がかかります。それに、今まで幾多の魔法使い達が不死を求めて彼を襲ったでしょうに彼は数百年間賢者の石を保持し続けている。そう簡単に奪えもしませんか....」
メルセデスは生命の石を使う方法に限界を感じていた。先ほどのように切断されてしまったものまでは再生できず、広範囲を爆発等で吹き飛ばされてもそれを再生することは出来ない。また、魔法界で戦うならば必ず飛んでくるであろうある呪文も防ぐことができなかった。
「録るべき記録は全て録り終わりました。この
メルセデスは虚ろな表情で虚空を見つめる台上の男に杖を向け、別れの挨拶をする。
「私の実験にお付き合い頂き、深く感謝しています。ご苦労様でした.....
メルセデスの杖から放たれた緑の閃光が男を貫く。胸を抉られようと、眉間に風穴を空けられようと止まらなかった男の生命活動は、死の呪文によってあっけなく止められていた。
「再生能力は素晴らしいですが...この魔法界において死の呪文を防ぐことが出来ない不死身の身体には何の価値もありません。やはり、賢者の石、またはそれに準ずる何かを見つけなければ...」
生命の石に替わる物質を思い浮かべながらメルセデスは死体の処理をしていく。小規模な悪霊の火を作り出して死体を塵と化させ、消失呪文で塵を消し去った。
「メルセデス、いるかい?」
メルセデスが死体の処理を終えた所で地下室にダニエルが入ってくる。ダニエルは鼻に布を当てていた。地下室の中には血や幾つもの薬品、死臭によって混沌とした臭いが充満しているためである。
「あ〜メルセデス?派手にやったね.....全身が血まみれだ。
部屋の惨状に少し眉をひそめたダニエルが浄化呪文によってメルセデスの身体ごと部屋の中の汚れを消し去っていく。
「いつもありがとうございます、ダニー。」
「礼なんて言わなくていいよ。おかげで浄化呪文の精度が飛び抜けて高くなった。浄化呪文だけならダンブルドア先生にだって勝てそうだよ。」
ダニエルはそう言って愉快そうに笑う。
「それで、どうしたのですか?」
「ああ、そろそろマッドアイが屋敷にくる頃だと思ってね、地下室を隠して欲しいと言いに来たんだ。」
今日は八月の三十一日、ホグワーツ入学の前日である。マッドアイが二人がホグワーツに行く前の最後の見回りと称して入学を祝いにくる日だった。
「わかりました。研究も今日で終わることが出来ましたし、本棚の本を幾つか取り出した後にこの地下室を封印するとしましょう。」
メルセデスは本棚から幾つか必要になりそうな本を魔法のかかった鞄に入れていく。取り出した本の多くは、決闘のための魔法が多数載せられている歴代のウォルター家が執筆したものであった。
本をしまい終わり地下室から地上へと出ると、メルセデスは壁の窪みに隠された仕掛けに向かって衝撃呪文を放つ。仕掛けは与えられた衝撃によって歪み、修復しない限り作動することは無い。
「封印は完了です。さあ、マッドアイを出迎える準備でもしましょう。警戒している相手から歓迎を受けるとどんな気分になるのでしょうね?」
「普通に嬉しがるんじゃないかな?心の中で。」
二人はマッドアイを迎える用意を始めていった。
活動報告にて今後の活動についての報告を載せました。