ハリーポッターと化物となった少女   作:96℃

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一週間ぶりの投稿です。お待たせしました。仕事の都合で投稿が絶望的な週がでるようになりました。その場合は事前に前書きに書いておこうと思います。

今回は短めな上に地の文がくどいです。お気をつけください。



化物(フリークス)と賢者の石 三十一

 

 

sideメルセデス

 

 

 

 

「では、例の物の正体は賢者の石であると?」

 

『ニコラス・フラメルがわざわざダンブルドア校長に預けるような物なんだ。可能性は限りなく高いと思う。』

 

―――――――君に朗報があるんだ。

 

珍しく両面鏡を用いてダニーが連絡をしてきたのはクィディッチの試合が終わって暫く経った頃、自室にて箒への私怨しか書かれていないシャロンの魔法史レポートを破り捨てている時だった。伝えられたのはニコラス・フラメルがダンブルドアに何かを預けたという情報。つまるところ、賢者の石がホグワーツで守られている可能性の浮上であった。

 

正直、探し物の思わぬ手がかりに両面鏡を持つ腕が震えている。ホグワーツに来て以来停滞を続けている私の再生者(リジェネレーター)の研究は賢者の石を手に入れない事にはどうにもならない。石の組成すら分からないのでは結果の予測も出来ないからだ。出来れば直ぐにでも行動を起こしたい。だが、馬鹿正直に石の奪取に動くには不安要素が多すぎる事実が私の足を止めていた。

 

「……色々と考える必要がありますね。ダニー、今夜はその情報を受けての私達の行動指針を協議しようと思います。主な議題は本格的に廊下への侵入を試みるかどうか。ついでにずっと曖昧なままにしていたクィレル教授への対応も決めましょう。」

 

『了解だ。僕も消灯時間までに色々と考えておくよ。』

 

「お願いしますね。それと……よくニコラス・フラメルの情報を手に入れてくれました。何かご褒美をあげますからそれも考えておいてください。何でも構いませんよ?」

 

この情報がなければ直ぐ近くに石があるかもしれない事すら知れなかった。素晴らしい働きをしてくれたのだから何か報いなければならない。

 

『何でもいいのかい?』

 

「私の手が届く範囲なら。」

 

『……分かった、考えておく。じゃあ、また夜に。』

 

「ええ、また夜に。」

 

鏡からダニーの顔が消え、代わりに私の顔が映る。さて、今の会話の内容をシャロンにも伝えておかなければ。

 

シャロンの方に目を向ければ彼女は机の上の羊皮紙に向かって頭を抱えていた。私に破り捨てられたレポートの書き直しをしているのだろう。紙面を覗くと先程とは違い箒に肯定的な文章が綴られている。

 

「うむむ……なんでこんな心にも思っていないような事書かなきゃいけないんですか?自分の思いの丈をぶちまけてこそ真のレポートになると思うんですよ。」

 

「レポートなどむしろ心にも無い事を書く物でしょう?先日の魔法薬学のレポートだってそうです。レポートでもなければ一体誰が愛の妙薬を危険な薬だと書きますか?きっと皆、心の内では素晴らしい薬だと思っていますよ。」

 

愛の妙薬とは要するに惚れ薬の事で、効果を継続させるには定期的な投与が必要ではあるが効力は中々高く大抵の人間はあっさり落とす事ができるらしい。先日の魔法薬学ではこの薬の危険性についてのレポートを課題に出されていた。個人的に一年生に出すには早い内容だと思う。

 

「それはちょっとどうかと思いますけどね……メルセデスはどう思ってるんですか?愛の妙薬、ダニエルに使いたいとか……」

 

む、それは失礼と言うものだ。私達の間に薬に頼る必要は無い。

 

「あんな物を使わずともダニーは私を愛してくれますよ。私があの薬を評価しているのは人間関係への破壊力です。」

 

愛の妙薬を本来の用途に使う者など只の敗北者でしかない。本来の用途とはまた別の用途にこそ意義を見いだすのは当然だろう。

 

「………そういえば、さっきダニエルと何の話をしてたんですか?どうせこの後合うのに連絡してくるなんて余程急ぎの話だったんでしょう?」

 

「賢者の石がこのホグワーツに隠されているという話ですよ。まだ可能性の段階ではありますがね。」

 

「……?」

 

……シャロンが首をかしげている。賢者の石がホグワーツにあるかもしれないと知ればそれなりに驚くだろうと思っていたのだが……

 

「賢者の石……って何でしたっけ?この前研究がどうたらは聞いたんですけどそもそも賢者の石が何なのか分からなくて……」

 

「そこからですか……」

 

思わず肩を落としてため息を吐いてしまう。よく考えてみれば、そうか。賢者の石と言えど、多少なりとも錬金術をかじらなければ知る機会は無いのか。

 

「えっと……何かごめんなさい。」

 

「いえ……勝手にあなたが知っている前提でいた私の落ち度ですよ……賢者の石は中世から幾多の錬金術師達が目指した終着点の一つです。屑鉄を黄金に変化させ、あらゆる生命に不死を与える。正に究極の錬金術の産物だと言えるでしょう。」

 

「そんな物がホグワーツに?あ、例の廊下の先に隠されているのがその石って事ですか?」

 

「あくまで可能性です。しかし、廊下の先にあるものが本当に賢者の石ならばクィレル教授が狙う事にも納得できます。単純に不死は誰もが求める物ですからね。また……石を使えば、ヴォルデモート卿がどれだけ力を失っていようと彼を全盛期以上の力を持って復活させる事ができます。」

 

ヴォルデモート卿の名前が出たところでシャロンは嫌そうな顔をした。前々から感じていたがシャロンどうもヴォルデモート卿に苦手意識があるらしい。まあ、戦争の後に英国魔法界で生まれた者なら誰もが彼の話を聞いて育つ。シャロンの反応も当然か。

 

「あ~、これでまた帝王様がホグワーツにいる理由が増えましたか……メルセデスもその賢者の石とやらを狙うんですよね?」

 

「そのつもりです。研究に必要なのもそうですが、あれをダンブルドアの手元に置いておくのもヴォルデモート卿の手に渡るのもあまり好ましくありません。」

 

ダンブルドアは勿論、ヴォルデモート卿とも敵対する可能性がある。あの二人に相対した時、敵が不死身の力を手にしていたのでは魔法力と経験で劣る私には手に負えない。勝ち目の無い闘いというのも乙なものかもしれないが勝てるようにできる闘いには勝ちたいのだ。

 

「それにしても、そんな悪い人を集めそうな石をよく学校に持ち込みましたね~実際にそれを狙っている悪い人が二人もいるじゃないですか。校長先生は何考えてんでしょう。」

 

「そうですね……それは大きな疑問です。」

 

フラメル夫妻の次にあの石と関わってきたダンブルドアが賢者の石を求める人間の数を知らない筈が無い。あれを学校に持ち込めば盗人が毎日のように侵入してきてもおかしくは無かった。だが、今のところ石を狙って起きた事件はクィレル教授によるものしか無いように思える。石がホグワーツに存在すると知る事ができたのが元から教師であるクィレル教授のみであったということだろうか?だとすればかなり情報操作を上手くやったものだと思う。しかし、何故そこまで徹底して外部に洩らさなかった情報をクィレル教授には簡単に洩らしたのか。これが分からない。

 

聞くところによればクィレル教授は二年前まではマグル学の教授としてホグワーツにいたらしい。それが昨年、研究旅行に行くと言って一年間も行方を眩ました。戻ってきたのは今年の七月だったとの事だ。人が変わるのには一晩もいらない。一年間もあれば尚更である。マグル学を志した人間が正反対の思想を持つ帝王に心酔してしまう事などいくらでもある事なのだ。それを知らないダンブルドアでは無い、クィレル教授を必ず怪しんだだろう。それでも情報を洩らしたと言うのならそこには何らかの意図がある筈だ。

 

あの老人の思考に追い付くには常識で物を考えてはいけない。突飛な予測をしよう。とりあえずクィレル教授の裏にヴォルデモート卿がいると仮定する。もうほぼ確信に近いのだからいちいち悩むのも馬鹿らしい。そうだ、ダンブルドアは最初からヴォルデモート卿の存在に気づいていたというのはどうだ?敢えて彼を自分の目の届く所に置いておき、賢者の石という餌で釣り続ける事で影で勢力を拡大される危険を防ぐ。それならば石をダンブルドア自身で管理しない理由になる。奪う事ができるかもしれないという希望があるなら諦め難くなるものだ。それをホグワーツという学舎でやるのは狂気と言う他無いが……いや、それなら自身で帝王を討つ方が早いのではないか?彼の存在自体は確実に気づいている筈だ。ダンブルドアには自身で動く気が無いのか?

 

まだ疑問が残る。生徒が簡単に入れる所に石を配置し、わざわざ全校生徒にあそこには何かがありますよと宣言した事だ。生徒の中には入るなと言われれば入りたくなる連中が一定数存在する事ぐらい長年教師をしていれば分かる筈。何故生徒に危険な廊下を周知させた?広大なホグワーツには生徒がほとんど立ち寄る機会の無い場所などいくらでもあるし、扉だって合言葉で開くようにすればいい。生徒が侵入してしまう状況は限りなく零に出来る。にも関わらず廊下へ続く扉には鍵開け呪文で開けられる錠しか掛かっていなかったと言うではないか。鍵開け呪文など一年生でも使える。生徒の誰かに入ってもらいたい理由でもあるのか?こういう時に特別扱いを受けそうな生徒と言えば……ハリーか。いや、それは無いだろう。もしそうならダンブルドアはハリーをヴォルデモート卿と鉢合わさせようと……

 

「っ!」

 

そうか……そういうことか、ダンブルドア。巷では聖人のような扱いを受けているにも関わらず度しがたい所業をする。おまけに運任せが過ぎる博打ときた。賭け金はハリーの命と賢者の石。随分と分の悪い勝負にベットしようとしているものだ……!

 

「どうしたんですか?口角が上がってますよ?」

 

「ふふ……賭け事というのもたまには悪くないと思いまして。」

 

「………?」

 

ダンブルドア、私はその賭けを勝たせる手伝いをしよう。だが、貰う物は貰っていく。あなたの疑いの目を反らし、横合いから全てを奪い去らせてもらおう。ヴォルデモート卿の力も賢者の石もだ!

 

 

 





そう言えば先週の月曜日にランキングに浮上したようですね。一体何が起こったのでしょう?何はともあれ読んでくださっている皆様に多大な感謝を。
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