東方携帯獣   作:海老の尻尾

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第十六話 博霊神社の決闘

「あらあら私の愛弟子のチーム負けちゃったのね」

「チーム戦だから仕方ないわよ。それに鈴仙自身は勝ったんだから褒めてあげたらいいんじゃない?」

「リーダー力の差が浮き彫りになったんだからまだまだよ。後でお仕置きしないとね」

 

 永琳は鈴仙に治験……もといしつけをするのが大好きな人であった。どんな薬品を用いようか今から楽しみにしていた。ちなみにいつしつけを行ってもいいように傍らにいるベトベトンは体内にその危険な薬品を忍ばせられている。もし暴発しても体内で処理してくれるある意味世界一安心な薬品庫である。

 

「それで次はどのチームにする?」

「そうね。じゃあもう一人の愛弟子にしようかしら」

 

 永琳のリクエストを受け付けると紫はその二チームを博霊神社まで移動させた。

 

 

 

 博霊神社に降り立ったのは地上の兎、因幡てゐであった。彼女は現在困惑しておりその原因はチームメイトたちにあった。

 

「わー! 私霊夢さんと仲間なんですね~! 嬉しいです」

「私は巫女同士の熱い戦いとかしたかったですけどね!」

「あら? 私は変なピーマン野郎と決着つけたかったけどね」

「あー、やかましい」

 

 小人族の少名針妙丸、風祝の東風谷早苗、地獄の女神のヘカーティア・ラピスラズリ、そして博霊霊夢というオーバースペック集団に混ざるただの兎、因幡てゐ。どう考えても場違いすぎと考えていた。そしてその考えはてゐの隣に座っていた九十九弁々も同様であった。一応彼女も4ボスで決して弱いわけではないのだが。

 こんな無敵の陣営にも思える霊夢サイドだが決して油断はできない。相手もそれ相応に猛者揃いだからだ。参道を境として向こう側に魔法の森チームが控えていた。

 

「敵ですよ~」

「お、意外と知ってる顔多いね。弁々とか小人姫とか霊夢とか」

「でもこっちの戦力は低いな。まともにやったら勝てなさそうだね。ならば……」

 

 リリーホワイト、今泉影狼、ナズーリンなどが魔法の森チームのようである。博霊神社チームの層の厚さに驚いているようだがナズーリンは何か頭の中に思い浮かべているようだ。賢将は突破する妙案でも思いついたのだろうか。

 

「ちょっといいかい? 妖怪の賢者様」

「何よ~ 私大忙しなんだけど」

 

 ナズーリンが紫を呼ぶとしぶしぶとスキマから出てきた。面倒事は藍に投げっぱなしにしている癖に随分と忙しそうである。

 

「今回のバトルなんだが、あまりにも戦力差がありすぎると思うので一つ提案があるのだがいいかい?」

「他の人がOKしたならいいわよ。霊夢はどうかしら?」

「はあ? 何で私なのよ」

「どうせあなたが大将でしょ? それにあなたが納得しないと面倒そうだし」

「一々一言多いのよ。まあ別にいいんじゃない? そっちに有利すぎじゃなければ。皆はいいかしら」

 

 霊夢は皆の様子を見たが異論のある者は特にいないようであった。むしろ違ったルールでやることにわくわくしているようだった。早苗は手持ちの大幣をぶんぶん振り回してやる気十分である。

 

「先の二戦とは違い、ダブルバトルというものを所望したいのだがいいかい?」

「ダブルバトル? それって何かしら?」

「それについてはこの子から説明させてもらおう」

 

 ナズーリンがスーパーボールから取り出したのはトゲデマル。でんき・はがねタイプのまるまりポケモンでありナズーリンのパートナーである。トゲデマルはいつも宝塔を持っているナズーリンの手に飛び乗った。手にジャストフィットしており落ち着くようである。

 

「ダブルバトルっていうのはその名前の通り二対二で戦うバトルのことだよ。二対とも倒さないと勝ちにはならないよ。戦い方は自由で、タイマンで戦うのもいいしどちらか一方を集中砲火してもタッグを組むのもあり。戦術が大事になるバトルだね」

「へ~ 面白そうじゃない。それで誰が戦うの?」

「わたし! わたし! 東風谷早苗が出たいです! ねえ、霊夢さんも一緒に出ましょうよ!」

「えー、面倒臭いわよ。特にアンタが」

「え~、冷たいですね。巫女同士の共闘ですよ! 燃えるじゃないですか」

 

 早苗が一緒に戦おうと霊夢の腕を引っ張る。しかし早苗と組むと厄介なことにしかならないと分かっていたので拒否していた。周りのメンツも早苗の性格的に共闘はしたくなさそうだ。どれだけ人望ないんだと思っていると片一方の腕もいつの間にか誰かに引かれていた。

 

「お願いします! マスター友達いないんですから仲良くしてくださいよ~」

「ん? 誰よアンタ」

 

 霊夢の視線の先には早苗と同じ位の緑髪が立っており早苗同様に霊夢を共闘、というか友達にしようとしていた。

 

「何言っているんですかサーナイト。私にも友達くらいいます! ……多分。それに霊夢さんは友達ではなくライバルですよ!」

 

 早苗のパートナーはサーナイトだった。ポケモン界の中でもかわいい部類に含まれており気になった人をマスターと認めるポケモンである。早苗のこのはっちゃけ具合に興味を持ったので自らパートナーになったのである。だがサーナイトの早苗に対するムーブは保護者そのものであり、マスターと呼んではいるが早苗のことは妹のように思っているかもしれない。

 

「すみません、霊夢さん。どうかマスターと一緒に戦ってくれませんか?」

「あの子のパートナー? ずいぶんしっかりしてそうじゃない」

「恐縮です」

「……まあいいわ。ここで承諾しないとますます面倒になりそうだしね」

「本当ですか!? ありがとうございます~!」

 

 思っていたよりも礼儀正しいポケモンであったので霊夢は承諾した。実際に戦うのは早苗ではなくこのサーナイトであり的確な指示だけ出せばいいので実際それほど問題はない。

 

「で、そっちは誰が相手になるの?」

「ふふ……こっちはもう決まっているよ。さ、二人ともよろしく」

 

 ナズーリンとトゲデマルが指を差したその先には一人と一匹がいた。しかもどちらも霊夢に深く縁のある人物であった。

 

「霊夢と早苗? これまた厄介な相手ね」

「霊夢さん~! 普段は私が守護る立場ですが今回ばかりは胸を借りるつもりでいきますよ」

 

 霊夢の旧友である七色の魔法使いアリス・マーガトロイド、この魔法の森チームのリーダーである。そしてもう一匹、博霊神社の狛犬の高麗野あうんである。奇しくも霊夢の性格を把握しているメンツであり、一筋縄ではいかなそうだと霊夢は考えた。

 

「じゃあ早速バトル始めましょうか。出ておいでゴチルゼル」

 

 アリスのゴージャスボールから出てきたのはてんたいポケモンゴチルゼル。漆黒の体に鋭い目、それに加えて強力なサイコパワーが特長のポケモンである。アリスがいつも通り魔法の研究をしているとどこからともなく現れて懐いたポケモンである。アリスと出会ったことでそのパワーに磨きがかかったようで相手が幻想郷の中心人物であろうと堂々としていた。

 

「ルガルガン~ お願いします!」

「おう、任せろ」

 

 あうんのパートナー、ルガルガンも一週間経って見違えるほど凛々しくなっていた。あうんとともに特訓を積んだのだろう。簡単には倒せそうにはないのだろう。

 

「サーナイト、ここでもアンタと相対するとはね」

「あら、私はマスターとともに強くなったんですよ? 今日こそ勝ち越してみせますよ~」

「サーナイト、アリスさんのパートナーと知り合いですか?」

「はい。彼女は私の友達兼ライバルって感じですね。エスパーの力をいつも競っているんですよ。残念ながら今のところ負け越しているんですけどね」

 

 普段彼女たちは様々なジャンルでエスパー対決をしている。念力でどれだけの重い物を浮遊させ続けられるかだったり単純に技をぶつけ合ったりと多岐に渡っている。決して仲が悪くはないのだが勝負ごとになると話が別になる。温和なサーナイトだがその瞳は静かに燃えていた。

 

「あ、ついでにアンタも出なさい」

 

 霊夢は自分のボールからアンノーンを出した。アンノーンはその巨大な目をさらに大きく見開いた。相手が遥かに格上だからであり、それはゴチルゼルも同様だった。相手が遥かに格下だったからである。

 

「え、霊夢? あなたのパートナーってあのアンノーンなの?」

 

 ゴチルゼルが霊夢に問いかける。それもあのという部分を強調して。霊夢はただただ普通に頷いたがそんなに弱いのかと改めて認識した。

 

「じゃあ全員ポケモンを出したことだし……ダブルバトルスタート!」

 

 紫の合図でほぼエスパータイプのダブルバトルが始まった。




 読んでいただきありがとうございます。ナズーリンのあたりで詰まってしまい中々筆が進まなかったです! これも全てナズーリンのせいだ!(とばっちり)。というわけで賢将の紹介です。

No.12 ナズーリン はがねタイプ 相棒ポケモン トゲデマル でんき・はがねタイプ

使える技 ほっぺすりすり ニードルガード でんじふゆう アイアンローラー

 一応バトルに参加しないポケモンの技も載せることにしました。賢将は暗躍する方が好きらしいですしトゲデマルもサポートの方が向いていると自分で言っており意外と気の合う二人です。アローララッタとトゲデマルで迷いましたがアニメで活躍した方にしました。
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