命蓮寺チームと有頂天チームの戦いの最中、咲夜は紫から渡された進行表を確認していた。表には対戦する相手チームとそのメンバー及び相棒ポケモンも記載されている。それを踏まえて咲夜はこう呟いた。
「これ……一方的なリンチね」
相手のメンツがメンツなためシングルバトルでもダブルバトルでも一瞬でケリがついてしまう。勝ち抜き勝負ならなおのこと三縦を決めてしまいそうであった。大丈夫なのかと不安に思いながら対戦表を読んでいくと下欄に対戦方法が書かれていた。
「? 何かしらこの勝負方法。ねえキリキザン、知っているかしら」
「いや、俺も知らないな。何だこのバトル方式」
詳しい説明は書かれているがあまりピンとこないものばかりだった。キリキザンが知らないとなると別の地方独特のルールなのかもしれない。びっしりと書かれているため説明は可能ではあるため問題はない。ルールを前もって頭に入れている間試合は恙なく進行していた。
「さてそろそろ次の会場に移りますか」
咲夜はキリキザンとともに次なる舞台である灼熱地獄跡に向かった。名前に恥じないほどの暑さに二人とも汗がほとばしる。特にキリキザンははがねタイプであるためこの暑さは堪えており、ボールに戻って退避していた。
「ここには確か妹様と……」
「あ、来た来た! もー咲夜遅いよー!」
核融合炉の遠くから七色にキラキラ光る羽を携え、手を振って現れたのは悪魔の妹、フランドール・スカーレット。見た目は完全に幼女だが495年幽閉されるほどの問題児である。ありとあらゆるものを破壊する程度の能力を有しているが今回は参加することが可能になった。
「申し訳ございません妹様。少々手間取りまして」
「咲夜とも戦いたいんだからね! 勝手に負けるのは許さないわよ!」
「ありがたく存じます」
本当はフランの参加はレミリアに止められていた。いつ能力が行使されてしまうか分からないからだ。しかしフランの相棒ポケモンの説得により参加することが認められた。実際そのポケモンと一緒に一週間ほど暮らしていたが経過は良好だった。
「咲夜さん、どうして妹様と別のチームなんですかぁ……?」
「私に言われても知らないわよ。こあ」
咲夜の隣から目をウルウルさせながら擦り寄ってきたのは、咲夜と同じくレミリアとフランに仕えている小悪魔だった。いつもはキラキラと輝く綺麗な赤髪も心なしかへなっとしていた。それもそのはず、小悪魔は地霊殿チームに属しているのだが対戦相手である灼熱地獄チームのメンツがヤバいからだ。
「我の実力を見ていたくだされ太子様!」
「ねえフラン、私ルナと戦いたいなー」
「ねえお燐、私の相棒ポケモンって何タイプだっけ?」
「どこからどう見てもほのおとひこうタイプでしょ」
このチームには他のチームとは違いリーダーは存在しておらず、各々好き勝手にしていた。上空を差して声高らかに宣言している物部布都。フランの周りをクルクル旋回しているサニーミルク。霊烏路空にポケモンのタイプ相性についてもう一度教えている火焔猫燐という濃いメンツだった。なお、藤原妹紅は相手チームの蓬莱山輝夜と殴り合いの喧嘩をしていた。地霊殿チームもまた自由にしていた。
「はぁ……スミマセン妹様。皆の注意を引いてもらってもよろしいでしょうか」
「うん、いいよ!」
そう言って取り出したのはフランがいつも所持している棒状の物体。おそらく禁忌『レーヴァティン』を放とうとしているのだろうがそんなもの放てば核融合炉が爆発してしまう。
「ポケモンに頼んでください」
「チェー、まあいいや。出ておいで、ビクティニ!」
フランは口を尖らせながらもポケットの中からボールを取り出した。深紅に輝くプレシャスボールから出てきたのはしょうりポケモンビクティニであった。40cmほどの小さいサイズであり頭の上にオレンジ色のVの字が輝いていた。
「んー? どうしたのフラン?」
「ちょっとらいげき打ってくれない? もちろん当てないでね」
「分かったー」
特性しょうりのほしで命中率が上がっているためうっかり当ててしまうことがないように気を付けた。青く光るらいげきがこの大地に突き刺さり、皆の注意を一斉にフランとビクティニの方に向けることができた。
「皆さん、そろそろ試合の開始のお時間です」
「ちょっとフラン! 核融合炉に刺激与えないでよ」
「いえ、万が一のことがないようにあらかじめ見えない結界を張ってるから大丈夫よ」
焦るお燐だったが核融合炉を刺激しないように対策は既に取られていた。それを取ったのはもちろん咲夜たちではなく別の妖怪によるものだった。
「さとり様! そうでしたか、ならばよかったです」
「もう準備は出来ているからいつでも始めていいわよ」
地霊殿の主、古明地さとりが奥から現れた。ペットのお燐、お空とは別のチームになってしまい、試合が始まる少し前まで残念そうにしていた。しかし試合がもうすぐ始まるということでキリっとした顔をしていた。さとりは既に紫から指示を受けていたようでどんなバトルになるかは知っていた。
「分かりました。それでは皆さん試合を始めさせていただきます」
「でも咲夜さん、このチーム戦じゃ試合になりませんよ~」
「分かってますよ小悪魔さん。相手チームはお強いですからね。その辺りの調整はお願いしました」
皆が咲夜の方を向いており試合のルールが説明された。小悪魔が泣きつくもさとりは話に割って入った。どうやら紫と交渉してできる限り公平になるようにルールを変えてもらったようだ。
「咲夜さん。この勝負は私が仕切らせてもらってもよろしいでしょうか? もちろんフェアに行いますとも」
「まあ勝手が分かっている者がしてもらった方が都合がいいからね。じゃあ頼むわ」
咲夜は紫からもらった進行表を手渡して司会役を分担してもらうことになった。
「結局何をするのだ? 我らは何も聞かされておらぬぞ」
「ええ。今回してもらうバトルは一風変わったバトルです」
「その名もポケスロンという勝負です!」
ポケスロン。その名前を聞いた瞬間この場にいる数名のモンスターボールが反応した。特にホウオウとルギアに関して言えばパートナーの妹紅、輝夜のボールから勝手に飛び出した。懐かしいな、と言った言葉や俺が勝ち越しているからな、と言った言葉が出てきた。一方ビクティニは頭に疑問符を浮かべていた。全てのポケモンが知っているというわけではないようだ。
「何だいそれは。アタイたち聞いたことないけど」
「簡単に言えば様々な競技に力を合わせて挑戦するスポーツみたいなものです」
咲夜は皆に分かるように説明をした。ホウオウやルギアの住むジョウト地方が発祥の競技であり、パートナーと力を合わせて勝負するものであった。単にパワーだけでなくスピードやテクニックも要求されるため一方的な勝負にはなりにくかった。
「でもさとり様、じゃあどうして地霊殿でしなかったんですか?」
「アンタが暴れて屋敷が壊れたら困るからよ。ここなら核融合炉さえ結界張ればいいだけだからね」
さとりはお空が勝負をすると決まった時点で対策を講じていた。地上で戦うとポケモンよりも大暴れしてしまうのは火を見るよりも明らかだった。紫に協力してもらって結界を張ってもらった。だがそのせいで地霊殿には最近帰っていなかった。《今現在どうなっているのか》も把握できていなかった。
「でも面白そうね! 早速やろうよ咲夜!」
「ええ。それでは参りましょう。第一試合はリングアウトファイトです」
さとりが指をパチンと鳴らすと地面からトランポリンが出てきた。しかし出てきた場所が最悪の場所だった。なんとフィールドの真下は核融合炉だった。このバトルは各チーム代表三名で地面に突き落とすというシンプルなものだった。トレーナーの介入なし以外は何でもありのルールだった。さとりと咲夜は一通りの説明を行った。
「う、うわぁ……随分大味なバトルですね」
「もちろんこんな勝負ばかりではないから安心していいわよ。さあそれじゃあ皆さん選出をお願いします」
小悪魔は疑っていたが一試合目はパワーが重視される試合だった。両チームとも相談の上何とか三名に絞ることができた。特に灼熱地獄チームはフランが出たいと渋ってしまったが温存してもらった。確実に勝ちにいくためにも考えなしはいけない。しかも相棒のビクティニはどちらかというとスピードの方に自信があった。
「まずはアタイたちか」
「私の相棒の力見せてあげるわ!」
「私が出るのは構わないんだけど……問題はあっちよね」
灼熱地獄チームから選ばれたのは、お燐、サニーミルク、そして妹紅だった。妹紅の視線の先には地霊殿チームの選ばれた三名があった。
「あらやっぱり妹紅が出てくるのね。けちょんけちょんにしてあげるわ」
「うーん、勝てるかな……」
「それより早く終わらせたいね。僕の竹も燃えちゃいそうだよ」
妹紅が出てくるならば当然出てくるのは輝夜だった。それをサポートするのは赤蛮奇と丁礼田舞であり、二人は口では輝夜ほどやる気ではなさそうだった。しかし大事な初戦に負けるつもりはなかった。
「それでは試合開始!」
六名のモンスターボールが熱く燃え滾る核融合炉上空に放り出された。
読んでいただきありがとうございます。まさかのポケスロン戦始まりました! HGSSやり込みまくったから入れようと書き始め当初から決めてました。ですが種目はものすごく悩んで普段の倍時間かかりました。展開的に無理のない種目だったりキャストだったり選ぶのが大変でした。次回からガンガンバトル始まるのでお楽しみに。
No.29 リリーホワイト フェアリータイプ 相棒ポケモン チェリム くさタイプ
使える技 にほんばれ ソーラービーム フラワーガード ウェザーボール
既にバトル終わっているけど出番がなかった人たちの紹介時々していきます。春告精のリリーホワイトはやっぱりチェリムですね。飛び回っていたら勝手についてきました。幻想郷は適当な妖精や妖怪が多いですからこういう相棒のなり方している者が多いです。リリーも戦うならば大妖精と戦わせてみたかったですね。超どうでもいいですけど昔私の兄が晴れパのアタッカーとして使っていましたね。