FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」   作:タイキック新

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アニオリスピンオフで投稿した作品をこちらにも投稿します。



アニオリ1
村とキノコとモンスター


リート達が呪歌を倒してから約2日、現在リート達はマグノリアに歩いて帰ろうとしていた。

 

しかし、

 

リート達は熟練のハンターですら、一度迷ったら出られないと言われる蜘蛛の巣谷(くものすだに)に迷い混んでいた。

 

「あー!!もう!!ちょっとハッピーあんたまた迷ったでしょ!!歩いても歩いてもマグノリアの街に着かないじゃないの!!この方向音痴ねこ!!!」

 

「またって失礼しちゃうな、こないだは迷わなかったよ。今回が初めてなんだ」

 

「どの道、お前の言うとおりに歩いて来て迷ってんだから一緒じゃねぇか…」

 

はぁ~

 

歩き疲れたナツ達は、同時にため息をつく。

 

「腹減ったなぁ~」

 

「言うな、余計腹減るだろーが」

 

「減ったもんは減ったんだよ、あぁ?」

 

「だから減った減った言うんじゃねぇ!!!」

 

 

「お止めなさいな、ナツ、グレイ、余計な体力の消耗ですわよ」

 

ぐぅ~

 

「……」

 

「お前も腹減ってんじゃねぇか」

 

「お黙りなさい」

 

 

「確かに…減ったのぉ~」

 

リート達と共にマグノリアへ帰ろうとしていたマカロフも、腹ペコのようだった。

 

「「だからぁー!!」」

 

「よせ」

 

ぐぅ~

 

争っている二人を、エルザが止めようとするが、その前にエルザの腹が鳴る。

 

「「「「「……」」」」」

 

「今ぐぅ~って鳴ったぞ、ぐぅ~って」

 

「鳴ってない、空耳だ」

 

「言い訳が苦しすぎるぞエルザ」

 

 

 

「あーーっ!」

 

リート達がエルザに意識を向けていると、ハッピーが崖下を見て、目を輝かせながら騒ぎ始めた。

 

「?どうしたハッピー」

 

「何騒いでんだよ」

 

「ナツ!あれ見て!!」

 

「?」

 

ハッピーが指差す方を見ると、そこには羽の生えた魚が何匹も飛んでいた。

 

アイ キャン フラーイ

 

ユー キャン フラーイ

 

「なんつー鳴き声の魚だ…」

 

「なんか気持ち悪いですわ」

 

 

「幻の珍味!!羽魚(はねさかな)だ!!あれ滅茶苦茶美味しいんだ」

 

「美味しいって…食ったことあんのか?ハッピー」

 

「ありません」

 

「ねぇのかよ!!」

 

 

 

「幻の珍味…」

 

「羽魚…」

 

「旨そうだな!!」

 

「とりあえず、食えるってんなら取っ捕まえて食ってみるか」

 

「でかしたハッピー…よく見つけたのぉ」

 

全員あまりにも腹が減っていたのか、マカロフに至っては涙さえ流して腹を鳴らせていた。

 

「皆お腹空きすぎです…」

 

ぐぅ~

 

ツッコミを入れるルーシィだが、そのルーシィの腹もなっていた。

 

「お前もな」

 

「あい…」

 

 

 

「釣竿なら用意しておきましたわ!」

 

ラリカは、即席の簡易釣竿を作って用意していた。

 

「手際良すぎねぇ!?」

 

「よーし!釣るぞー!!」

 

それからしばらく…

 

リート達は釣糸を垂らしてジッと待ち続けているが、一向に釣れる気配がなかった。

 

「くっそー、こいつら釣れそうで釣れねぇなぁ」

 

「オイラ頑張るぞぉ!!」

 

「なんかあんまり美味しそうに見えないんだけど」

 

「黙って釣れ、この際食えればいい」

 

「もはや味とか気にしてられねぇんだな…」

 

「私もさすがにお腹が空いてますの、少しでも足しになるならもう何でもいいですわ」

 

 

「羽魚食べたいぞぉ!!美味しいぞぉ!!幻の珍味だぞぉ!!」

 

………

 

「飽きてきました」

 

1番気合いの入っていたハッピーが、1番最初に釣りをやめた。

 

「意志よわ!!」

 

「さっきの気合いはどこ行った…」

 

「だって全然釣れないんだもん」

 

「お腹空いてるんでしょ?だったら頑張ろうよ、諦めないで、ね?」

 

ルーシィは、ハッピーを励まそうと言葉をかける。

 

「ルーシィのいじわるぅ~!!」

 

「えーー!!?励ましたんですけどぉ!!!」

 

 

 

結局、羽魚は二匹だけしか釣れなかった。

 

「難しいのねぇ」

 

「結局二匹だけか」

 

ボゥ!

 

ナツは一瞬で、二匹の羽魚を焼き上げた。

 

「ハッピーとラリカ食えよ」

 

「でも、オイラとラリカだけじゃ」

 

「そうですわよ」

 

ナツの好意をハッピーとラリカは断ろうとするが、グレイやリート達が二人に薦める。

 

「そんなのちょびっとずつ別けて食ったら余計腹が減るわ」

 

「人の好意は素直に受け取っておけって、な?」

 

「遠慮するな、食え食え」

 

 

「そう?」

 

「では、ありがたく頂きますわ」

 

ハッピーとラリカは、嬉しそうに羽魚にかぶりつく。

 

ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~

 

ハッピー達の後ろでは全員腹を鳴らせて、羽魚を食べるところを見ていた。

 

はむはむはむ

 

「こんな魚を美味しそうに食べられるなんて、あんた達本当に幸せね…」

 

「「マズゥ!!!」」

 

「「不味いんかい!!!」」

 

結局、羽魚釣りは諦め、全員はまたマグノリアの街に向け歩きだした。

 

「それにしても…」

 

「腹が…」

 

「減ったのぉ」

 

すると、リート達の歩く行き先に1つの村が見えてきた。

 

「お?」

 

「村だ」

 

「家だ!」

 

「だったら食べ物があるかも!!」

 

「食いもんだぁーー!!!」

 

ナツ達は、全速力で村へと入って行った。

 

リート一人を残して…

 

「はぁ…」

 

そして、街の中心まで走ったナツ達は、あることに気がつく。

 

「誰もいねぇぞ」

 

「なんか、静かな村ね」

 

「昼寝でもしてんじゃねぇのか?」

 

「村中の人達が一斉になんてありえませんわよ」

 

「おーい!!誰かいねぇかぁ?」

 

「お腹減り減りですぅ!!誰か食べ物をくださーい!!」

 

「そこの猫、露骨すぎだから」

 

「けど、この村に人がいねぇのは間違いないみてぇだぜ?」

 

歩いてナツ達に追い付いたリートは、辺りを見渡しながらそう言った。

 

「人の声どころか、物音1つ、さっきから聞こえてこねぇ、不気味なくらい静かすぎるからな」

 

「村中酔っ払って寝とるんじゃないかのぉ?」

 

「それは妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけですわ」

 

「ハハーッ!そうとも言うのぉ!!」

 

「いびき1つ聞こえてこねぇんだ、それもあり得ねぇな」

 

「ええーい面倒くせぇ!!力ずくでも何か食ってやる!!」

 

「おい、そりゃちょっとした強盗だろ」

 

「って、おまえもその気だろーが!!」

 

ナツとグレイは、小走りで建物に向かっていく。

 

「どっちもどっちじゃねぇか…」

 

1つの建物にたどり着いたナツとグレイは、ゆっくりとドアを開いた。

 

「ん?」

 

そこには、まだ冷めきっていないスープと、焼き上がったパンが机の上においてあった。

 

「やっぱ誰もいねぇな」

 

「とにかく食い物だ」

 

ナツは、机の上に置かれたパンに手を伸ばす。

 

「よっしゃ!まだ食える。いっただきまー」

 

「待て」

 

「んあ?」

 

ナツがパンを口に運ぼうとした時、エルザがそれを止めた。

 

「なんだよ?」

 

「様子がおかしい」

 

「あぁ、乾燥しきってないパンに、まだ温かいスープ…ついさっきまで誰かがここで食事しようとしていた感じだ。この家に住んでたやつは何処に行った?」

 

「知るかよ、とりあえず食おうぜハッピー!」

 

「あい!」

 

ナツがもう一度、パンを食べようとする。

 

「待て!!」

 

「は、はい!」

 

 

しかし、エルザが睨み付けて止めたことで、ナツも食べようとするのをやめた。

 

「先に村の様子を調べる必要がある」

 

「まぁ、そうだな、現状だと村の状態が怪しすぎる。下手に村の物に触らねぇ方がいいかもしれねぇ」

 

「そういうことだ、今まで我慢してたんだ。もう少し我慢」

 

ぐぅ~

 

エルザの腹が鳴ったことですべてが台無しになる。

 

「お前もちょっとは腹の虫を鳴らすのやめてくれ…」

 

「エルザ、お腹鳴りすぎ…」

 

「説得力ゼロじゃな」

 

「ナツ達はキノコか何かを探してこい、村の食べ物にはさわるな!その間に私とリートとマスターは村の中を調べる」

 

ナツは、食べ物にさわるのをやめて外に向かう。

 

「あ~ぁ、わかったよ。行くぞハッピー」

 

「あい!」

 

(なぜキノコ?)

 

そして、ナツ、グレイ、ルーシィ、ハッピーは村の近くの森の中にキノコ採集にきた。

 

「せっかく旨そうな食い物があったのによぉ、キノコなんかじゃ腹膨れねぇよ」

 

ナツ達は足下にキノコが生えていることに気付く。

 

「お?」

 

「キノコだ」

 

「あったー!旨そぉ~!!」

 

(なぜキノコ?)

 

「オイラ知ってるよ」

 

「なに?」

 

ハッピーが何かを知ってるようで、話し出す。

 

「ナツが笑い茸みたいな毒キノコを食べちゃうんだ。お約束なんだ」

 

至ってどうでもいい情報だった…

 

「何言ってんだハッピー、さすがにそんなベタな事…ふぃねぇよ(しねぇよ)

 

とナツは、明らかな毒キノコっぽいキノコを食べながら話す。

 

その頃リート達は、村の様子を調べ続けていた。

 

「大丈夫か?ラリカ」

 

「さすがにお腹が空きすぎて、動けませんわ…リートちょっと頭に乗せてくださいまし」

 

「ん」

 

ラリカを抱えたリートは、そのまま自分の頭の上に優しくのせる。

 

ガチャ

 

そして、リートが先程とは違う家の扉を開くと、やはり食事をしようとしていたのか、食べ物が置かれた机のみが視界に入った。

 

(ここも同じか…)

 

ジュルリ

 

「ん?」

 

リートの頭の上から、ラリカがヨダレを垂らしており、リートの頭にかかっていた。

 

「うぉぉぉい!!?ヨダレ!!頭!!!」

 

「ハッ!…し…失礼いたしましたわ」

 

「…ったく…ん?」

 

よく見ると、部屋の奥に木箱が置かれており、その中から魔道具がいくつか見えていた。

 

「魔道具?」

 

ジュルリ

 

「だからヨダレ!!!」

 

場所は戻ってナツ達キノコ採集チームは、なんだかんだと文句をいいながらも、かなりの量のキノコを集めて食べていた。

 

「たかがキノコでも、こんだけ食えば腹が膨れそうだな」

 

「これは、フリなんだ」

 

ムシャムシャ

 

「いいから早く採れ」

 

「ア…アハハハ…」

 

「ん!?んぐぐぐぐ!!」

 

「ナツ!?大丈夫?!!」

 

キノコを食べていたナツが突然苦しみだし、ルーシィが心配する。

 

「ホラ、キター!!」

 

その様子を、ハッピーはワクワクしながら見ていた。

 

ポン!

 

「ビックリしたぁ!」

 

「こっちもビックリー!!」

 

ナツが苦しまなくなったかと思うと、突然ナツの頭からキノコが生えてきた。

 

「笑い茸じゃないのか…はぁ~」

 

笑い茸と思っていたハッピーは、異常な程がっかりする。

 

「落ち込むとこなの?」

 

「なーに騒いでんだよ?」

 

ルーシィ達の騒ぎを気にしてきたグレイだが、グレイもナツと同じく頭からキノコが生えていた。

 

「二人とも…頭、頭」

 

「ん?」

 

ナツとグレイが顔を見合わせると、お互いの頭にキノコが生えていることに気がつく。

 

「「ぶぅあっはっはっはっ!!」」

 

「なんだテメーそのキノコ!!」

 

「テメーこそ!!ふざけたキノコ乗っけやがって」

 

二人はお互いに、頭を生えたキノコを指差しバカにする。

 

「なんで自分の心配はしなーい?」

 

「おい、タレ目、今笑いやがったな?」

 

「テメーもアホ面でニヤついたろーがよぉ」

 

お互いにバカにしあってた二人が、いつものごとく喧嘩し始めた。

 

「んだとコラァ!!」

 

「やんのか!!あぁ!!?」

 

「頭にキノコ付けて喧嘩しなーい!!」

 

 

そして、あらかた村を調べ尽くしたリート達は一度村の中心で合流する。

 

「どうでした?」

 

「やはり誰もおらん」

 

「こっちもだ、どこもかしこも、突然人が消えたように…誰もいなくなってる」

 

「そうか…それはそうと、なぜお前の顔はそんなに濡れている?」

 

エルザは、リートの顔を見て不思議そうに問う。

 

「ラリカのヨダレでベタベタになったから顔を洗ってた…」

 

「そ…そうか…ん?」

 

エルザは、リートの足下にある村の地面にできた一本の線が気になった。

 

「この線は…なんだ?」

 

その線は、地面の石の隙間を真っ直ぐに続いて伸びていた。

 

「単なる石の隙間じゃありませんね」

 

「あぁ、どー見ても明らかに意図的に掘られてんな」

 

 

 

「はぁ、はぁ」

 

「はぁ…ふぅ…」

 

ナツとグレイは、あの後も、ずっと喧嘩を続けていた。

 

「ちょっとーバカっぽすぎるよぉ」

 

「ルーシィ!!特大の見っけたよ!!」

 

「ホント!?でもそれ何か怪しくない?」

 

「どれどれぇ?おぉ~デケェ」

 

「これ一個で2日はもちそうだな」

 

ハッピーの持っているキノコに、ナツとグレイは大喜びだった。

 

「あんた達は頭のキノコどうにかしたら?」

 

パクっ

 

ハッピーは、なんの躊躇いもなくキノコにかぶりついた。

 

「ちょっとハッピー!!ダメじゃない!!毒かもしれないのよ!!ぺっしなさいぺっ」

 

「でも美味しいよ?」

 

「!?んぐぅぅぅ!!」

 

キノコを食べたハッピーは、苦しみだした。

 

「「「!?」」」

 

ポン!

 

「きゃああああぁ!!!」

 

ついに、ハッピーの頭からもキノコが生えてしまった。

 

「結局…どれ食ってもこーなんじゃねぇか?」

 

「村の連中、どーやって食ってたんだ?」

 

「そりゃあ、みんなこーだろうよ!」

 

「村の名前はきっと、キノコ村だな!!」

 

「「アッハッハッハ!」」

 

「……」

 

ハッピーは、自分の頭に生えたキノコをジッと見る。

 

「2度目は寒いよぉ!!」

 

「そー言うもんだいじゃないでしょ!!?」

 

「ちょっと待って!」

 

ルーシィはナツの頭を見て、驚く。

 

「あんたのキノコ、成長してない!?」

 

「!?」

 

「ずるいよぉナツばっかり美味しいとこ~!!」

 

 

 

そして、村の地面に変な線を見つけたエルザ達は、色々と線をたどって調べていた。

 

「ここには別の線が…」

 

「う~む」

 

「明らかに意図的なのは間違いねぇな」

 

「早く調べて何か食べ物を探しましょうですわ…」

 

「腹減ってんのはわかるけど、そればっかだな…」

 

ぐぎゃあぁぁぁ…

 

村のどこかから、不気味な鳴き声が聞こえてきた。

 

「なんだ」

 

村のどこかから聞こえる鳴き声は、ナツ達の耳にも届いていた。

 

「なんだ?」

 

スポン

 

鳴き声が聞こえると同時に、ナツ達の頭についたキノコもきれいにとれた。

 

「あー!キノコ消えたぁ!」

 

「ハッピー…あんただけ付いてるわよ」

 

「うえーーー!?」

 

「リート!エルザ!じっちゃん!!」

 

ナツ達は、急いで村へと戻っていった。

 

 

そして、村の中で線を調べていたリート達の足下が光だす。

 

「ん?」

 

 

「リート!!」

 

ナツ達もリート達と合流し、地面が光っている事に気付く。

 

そして、地面が光った後、周りの建物も光り、さらには歪んで見えるようになってきた。

 

「なんだこりゃ」

 

「どど…どーゆーこと!?」

 

「オイラ、家が動くのなんて初めて見たよ」

 

「リート…これ、何かマズくありませんこと?」

 

「あぁ…お前ら、気をつけろよ!!」

 

「これは…」

 

「やるぜ、じぃさん」

 

グレイは、魔力を込め始める。

 

「待てぇい!」

 

「な…なんでだよ!?」

 

「高いところへ上るんじゃ、確かめたいことがある」

 

マカロフは高いところへと走り出す。

 

「みんな来い、離れるなよ!」

 

それに続いて、全員がマカロフを追いかけていった。

 

そして、崖の上に登ったマカロフ達が見たのは、村が蛇のような巨大なモンスターへと変わっていく光景だった。

 

ぐぎゃああぁ!

 

がぁぁぁ!

 

「うっひゃぁぁ!訳わかんねぇぞこれぇ」

 

 

「なんとなく予想はしてたが…やっぱりあの線は、魔法陣」

 

「「「え!?」」」

 

リートは、先程の線を魔法陣と見破っていた。

 

「あぁ…お前が見つけたあのいくつもの線は、魔法陣の一部じゃ。そしてこの魔法陣は、かつて禁止された封印魔法アライブを発動させる為のものじゃ」

 

「アライブ?」

 

「あれを見ぃ」

 

マカロフは、モンスターを指差して説明する。

 

「一目瞭然、本来生命のない物を生物化して動かす魔法じゃ。村の連中は、その禁断の魔法を発動させ、逆に化け物達の餌食になった」

 

「でも、どーしてそんな危ないことを…」

 

「多分だけどよ、ここは…」

 

「闇ギルドの村だ」

 

リートが言い出すよりも早く、エルザが闇ギルドの村と言い出した。

 

「何!?」

 

「この村の中で魔道具をいくつも見つけた。当然、表の世界では禁止されてるような魔道具ばっかりな…」

 

「私もだ、いずれも、まともな魔法の物ではなかった」

 

「闇ギルドの事じゃ、どーせよからぬ企みでもして、そのせいで自滅したんじゃろう」

 

「じゃが!!これぞ不幸中の幸い」

 

マカロフの言葉がよくわかっていないリートは、首を傾げる。

 

「不幸中の…幸い?」

 

「やつらは生き物じゃと言うたハズじゃ…大抵の生き物は…」

 

「…まさか?……(嫌な予感)」

 

リートはマカロフの言いたいことを察して、顔色を悪くする。

 

「食える!!」

 

「やっぱりかぁ!!!」

 

ぐぅ~!!

 

リートとルーシィ以外は、完全にやる気だった。

 

「っしゃ~!!食うかぁ!!」

 

「わーい!!ご飯の時間だぁ!!」

 

「この際、味がどーのなんて言ってられねぇな!!」

 

「マジで!?やるの!?本気か!?」

 

 

「ふっ!」

 

真っ先に飛び出したのは、まさかのエルザだった。

 

「アイツが1番やる気かよ!!?」

 

「エルザそんなに腹空きーー!!?」

 

それに続いて、ナツ、グレイ、ハッピーも後に続いて崖から降りていった。

 

「ほら、リート!!あなたもやるんですわよ!!」

 

「いや、マジで!?あれ食うの!?」

 

「もう我慢の限界ですわ!!」

 

「お前、羽魚食ったじゃん!!」

 

「足りるわけありませんわ!!!」

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

リートもラリカに連れて行かれて、崖から降りていった。

 

「ちょっ…ちょっとぉ!!」

 

「ワシの分も頼んだぞぉ!!」

 

ナツ、リート、グレイ、エルザはそれぞれモンスターの前に降り立つ。

 

「おい、テメェら、オレを誰だか知ってるか?妖精の尻尾1の炎の料理人だぁ!!!」

 

ナツは、拳に炎を纏ってモンスターの首を殴り付ける。

 

「火竜の鉄拳!!」

 

ドゴォ!!

 

ぐぎゃああぁ!!

 

「まずは、よーく火を通してぇ」

 

「そしてぇ」

 

ナツはこれでもかとモンスターを殴り付けた後、崖を崩してモンスターを下敷きにする。

 

「蓋をして蒸す、しばし待つ」

 

 

そして、リートもラリカに半強制で戦わさせられていた。

 

「ほらリート、やっておしまいなさいな!やらないと後で拷問器具の実験台にいたしますわよ!!」

 

「わかった!わかったよ!やりゃいいんだろ!!やりゃあ」

 

ぐぅ~

 

「ブフッ、やっぱりあなたもお腹すいてるじゃありませんの」

 

「うっせぇ…」

 

リートはモンスターの前に立つと、手を手刀の形に変えて氷を纏う。

 

「このまま凍らせたら、さすがにオレは食えねぇからな…やりたくねぇが刺身でいくか」

 

スパパパパパ!

 

 

「氷竜の陣円!!」

 

リートはモンスターをスライスして地面に氷を張り皿を模し、一枚ずつ空中から落としていく。

 

「よっと、こんなもんかな」

 

「さすがですわ!」

 

 

そして、グレイも、モンスター調理にとりかかる。

 

「いきなりデザートってのもなんだが、まぁしょーがねぇ」

 

モンスターは、グレイの姿を見つけて襲いかかろうとする。

 

「アイス・メイク…魚網(フィッシュネット)!!」

 

モンスターの攻撃がグレイに届く前に、グレイの攻撃でモンスターが氷付けにされた。

 

「シャーベット完成!頂きます」

 

 

ハッピーは、椅子の形をしたモンスターと格闘していた。

 

「あい!あい!羽魚と椅子と、どっちがマズいか微妙だけど!」

 

 

でぇりゃあ!

 

「うわぁ!」

 

椅子の攻撃をかわしたハッピーは、椅子の上に乗ってしまい、降りることができなくなってしまった。

 

そして、エルザもモンスターと戦おうとしていた。

 

「エルザ!」

 

ルーシィはエルザの下にやってくると、少し心配そうにエルザに声をかける。

 

「下がっていろ、調理の時間だ」

 

「ちょ…調理って」

 

「換装!!」

 

エルザは鎧から、エプロン姿へと換装し、両手に巨大な出刃包丁、その周りにも巨大な包丁など調理器具を浮かべて構えていた。

 

そして、一瞬でモンスターと細切れにして、一口サイズまで切り裂いた。

 

「げっ!?」

 

「一本の長さは約5cm、幅は4㎜各に刻むのがコツだ」

 

「そんなこだわりまで!?っていうかエルザ…その格好…」

 

崖の上では、マカロフが腹を空かせて待っていた。

 

「腹が減ったのぉまだかのぉ?」

 

 

 

そして、それぞれ調理が終わり、モンスターの味見をし始める。

 

ナツも

 

「いっただきまーす!」

 

リートとラリカも

 

「リート、お先に食べていいですわよ?」

 

「あからさまな毒味役宣言!!?」

 

「分かったよ…」

 

ムシャッ

 

リートはスライスされたモノを食べると、動かなくなり黙ってしまった。

 

「リート?」

 

「……」

 

「もう!いったいどうしたって言うんですの?」

 

ラリカもスライスされたモノを取り自分で直接食べてみた。

 

エルザとルーシィも

 

「ルーシィ、先に食べてみろ」

 

「嫌です!!!」

 

「仕方ないな」

 

エルザは細切れになったモンスターの一部を取り、ルーシィに手渡す。

 

「それ違うでしょ!なんで先にアタシに食べさせようとする!!?」

 

「では…」

 

エルザは、モンスターの一部を黙って食べた。

 

カリっ

 

「ど…どんな味?」

 

ルーシィが興味を示して訪ねるとエルザは黙ってもう一本取り、ルーシィに渡す。

 

「うえっ…じゃ…じゃあ……」

 

ルーシィはエルザから渡されたモノを受けとると、恐る恐る食べてみる。

 

 

グレイも

 

「さてと、食ってみるかな」

 

グレイは凍らせたらモノを取って、食べてみた

 

 

 

 

 

 

「「「「マズゥゥゥゥ!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

「ん?」

 

ナツ達は、マカロフの下に急いで戻った。

 

「なんだあれ!!じっちゃんあんなの食えねぇぞ!!」

 

「不味いにも程があるぞ!!」

 

「だから食ったこともないやつを食うのは嫌だったんだよ!!!」

 

「あんな物!食べ物とは認めませんわ!!!」

 

「あぁ、食べられたモノじゃないな」

 

「アタシに食べさせてから言わないで下さい!!!」

 

 

 

「うわぁーーー!!」

 

ズテェン!

 

「?」

 

ハッピーは、椅子と共に岩にぶつかり、ようやく止まることが出来た。

 

「あうぅ…」

 

「何してますの?ハッピー」

 

そして、ハッピーの頭についてたキノコもきれいに取れた。

 

「あ!」

 

「おまえ、キノコ取れたぞぉ!」

 

「そんな事より、どーして誰も止めてくれなかったんだよ!!ヒドイよナツ!!どーしてぇ!!?」

 

「はぁ?」

 

「遊んでたんじゃねぇのか?」

 

「つーかなんで椅子と遊んでたんだ?」

 

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

 

 

「しかし、まいったな、こう不味くてはいくら空腹でも」

 

「元々化け物食おうってんだからなぁ」

 

「普通食おうとはしねぇわな」

 

「んあーくそぉ、食えねぇって分かったら本気で腹減ってきたぁ」

 

(最悪だ…友情も仲間もへったくれも無いもんだよ)

 

ハッピーがショックを受けていると、また後ろから先程の化け物が現れる。

 

「うわぁー!!」

 

「危ない!!」

 

ナツは、ハッピーを守ろうとモンスターに殴りかかる。

 

「ナツぅ!!」

 

気が付けば、先程のモンスターが復活し、リート達を囲んでいた。

 

「不味いやつらめぇ」

 

「腹の立つ」

 

「食えもしねぇし、ウザってぇし…」

 

「まとめてぶっ飛ばしてやる!!火竜の翼激!!!」

 

ナツが攻撃を始めると、それに続いて、リート、グレイ、エルザもモンスターを攻撃していく。

 

「氷竜の硬拳!!!」

 

「アイスウォール!!!」

 

「はぁぁぁ!!!」

 

「アタシも!!」

 

ルーシィは、鍵から星霊を呼び出した。

 

「開け!金牛宮の扉!!タウロス!!!」

 

「MOOOO!!!」

 

「相変わらずナイスバディですなぁ」

 

「あーい、あとよろしく」

 

そしてナツ達は、モンスターを攻撃して、バラバラにしていくのだが、

 

「きりがねぇぜ」

 

モンスターは何度倒しても復活してきた。

 

すると、今度は地響きが起こった。

 

「こ…今度は何?」

 

すると、モンスターのいる地面がまた光だし、魔法陣が発動した。

 

「魔法陣!?」

 

「なんだこれ!!?」

 

「嫌な予感その2!!」

 

「もう、いい加減にしてほしいですわぁ!!!」

 

「うわぁー綺麗!」

 

ハッピーだけ、何故か喜んでいた。

 

「そーじゃないでしょ!!あんたのツボってさっきからどーなってんのよぉ!!」

 

「これは…」

 

魔法陣が発動すると、モンスターが、地面に呑み込まれていく。

 

「!?逃げろ!!」

 

エルザの掛け声も全員が反応する頃には、モンスターと一緒に地面に呑み込まれ始めた後だった。

 

「「「「「うわぁぁぁぁ!!」」」」」

 

 

 

 

その後、リート達はまたマグノリアへと歩いて帰っていた。

 

「あぁー腹減ったー…まじで」

 

「オイラもう歩けないよぉ」

 

「だから、自慢げに羽を使うな羽を」

 

「…何かワケわかんない」

 

「とにかく早く帰りたいですわ…」

 

 

 

先頭で歩く五人の後ろで、マカロフとリートとエルザが話しをしていた。

 

「マスター」

 

「あーん?」

 

「先程の説明では納得がいきません」

 

「オレもだ、できればちゃんとした説明が欲しいんだけどマスター」

 

「?」

 

実は、ナツ達が地面に呑まれた後、魔法陣は自然消滅し、ナツや、それに村に住んでいたと思われる闇ギルドの連中も外に放り出されていたのだ。

 

「お前ら、何やってたんだよ?」

 

闇ギルドの一人が説明を始める。

 

「魔法陣を作ったが、化け物が現れて…みんな…奴等にテイクオーバーされちまって」

 

「では、お前達は…あの化け物の中に?」

 

「ゲェ…アタシちょっと食べちゃったぁ…」

 

「よそ者のあんた達が入って、魔法陣が刺激されて動いたんだ」

 

 

「もう、あの魔法陣が動くことはない!!」

 

マカロフが全てを見透かしたように、そう言うと全員が驚いた表情をする。

 

「なんでだよじっちゃん」

 

「細かい事はどーでもよろしい!とにかく、テイクオーバーが解けただけでも、ありがたいと思うことじゃ、これに懲り二度と妙な真似をせんと誓うなら、評議会への報告は無しにしてやる。どーじゃ?!!」

 

闇ギルドの一人が代表で返事をする。

 

「あんなおっかねぇ目に合うのはもうごめんだ!!すみません」

 

「二度としません」

 

「んにっ!」

 

そして、時は戻り、エルザとリートがマカロフに続けて話す。

 

「化け物がやられ、魔法陣のスイッチが入り、全てを消去しようとした」

 

「でも、マスターは…あの一瞬で化け物達を消し闇ギルドのテイクオーバーを解いて、魔法陣そのものを消滅させた…違うか?マスター」

 

「はっての~?はぁ、それにしても…」

 

「「「「腹減ったーーー!!!!」」」」




こっちでも投稿してたら意味ないのではと思ったそこのあなた!

大丈夫、ちゃんと意味あり気でやってるので問題ないのです。

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