FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」   作:タイキック新

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評価0つけられたけど…結構辛いなぁ…どうやって評価上げればいいかわからなくなってきた…


光を信じる者の奇跡

「私は、新生評議院のラハールと申します」

 

ナツ達の前に現れた評議員、それにはナツ達もただ戸惑うことしかできなかった。

 

「おいら達、何も悪いことはしてないよ!!!」

 

「お…おう」

 

「そこはハッキリ言えよ…」

 

評議院の目的は、ナツ達を捕らえるため…という訳ではなかった。

 

「存じております。我々の目的は六魔将軍の捕縛、そこにいるコードネーム、ホットアイをこちらに渡してください」

 

「!!」

 

リチャードをとらえに来た評議員に、ジュラは激しく抗議しようとする。

 

「ま…待ってくれ!!」

 

しかし、リチャードはジュラの抗議を止めた。

 

「いいのデスネ ジュラ」

 

「リチャード殿…」

 

「善意に目覚めても過去の悪行は消えませんデス。私は一からやり直したい」

 

「…」

 

ジュラが考えた結果、リチャードを評議院に引き渡すことを決めた。

 

「ならばワシが代わりに弟を探そう」

 

「本当デスカ!!?」

 

「弟の名を教えてくれ」

 

「名はウォーリー…ウォーリー・ブキャナン」

 

その名前に、エルザが異様に反応した。

 

「ウォーリー!!?」

 

「どっかで聞いたようなぁ~」

 

「アタシも」

 

「オレもだ」

 

「カクカク…」

 

リートが一言呟くと、妖精の尻尾のメンバー全員がウォーリーの顔を思い出した。

 

「「「「「あいつか!!!」」」」」

 

 

「その男なら知っている」

 

エルザがそう言うと、ジュラとリチャードが表情を変えてエルザを見やる。

 

「何と!!?」

 

「!!!」

 

「私の友だ。今は元気に大陸中を旅している」

 

それを聞いて嬉しかったのであろうリチャードは、涙をながしはじめる。

 

グズッグスッ

 

「これが…光を信じる者だけに与えられた奇跡というものデスカ…ありがとう……ありがとう!!」

 

そして、リチャードは大人しく評議院に連行されていった。

 

「なんか、かわいそうだね」

 

「あい」

 

「しかたねぇさ」

 

「あぁ、アイツが言っていた通り過去の悪行は消すことが出来ない、けど、やり直すチャンスはいくらでもあるさ」

 

 

「もうよいだろ!!術式を解いてくれ!!漏らすぞ!!!」

 

一夜は、そろそろ限界らしい。

 

「やーめーてー!!!」

 

「一夜さん…ここで漏らしたらいろんな尊厳失くしそうだな…」

 

「手遅れだと思いますわ」

 

「尊厳どうこうの前に、普通に女の子の前で漏らさないでほしいんですけど!!?」

 

ルーシィとマーラは漏らされるのを全力で嫌がり、リートとラリカは哀れみの目で一夜を見ていた。

 

「いえ、私たちの本当の目的は六魔将軍ごときではありません」

 

「え?」

 

評議院の本当の目的が六魔将軍を捕らえることだとばかり思っていたリート達は、ラハールの意外な言葉に驚愕する。

 

「評議院への潜入、破壊、エーテリオンの投下…もっととんでもない大悪党がそこにいるでしょう」

 

ラハールは、ゆっくりと指先をジェラールに向ける。

 

「貴様だジェラール!!!来い!!!!抵抗する場合は抹殺の許可もおりている!!!!」

 

「なっ!!?」

 

「ちょっと待てよ!!!」

 

「そんな…!!!」

 

「その男は危険だ。二度とこの世界に放ってはいけない…絶対にだ!!!」

 

ラハールの意志は強く、ジェラールを捕縛するつもりだ。

 

ラハールの部下がジェラールに手錠を嵌め、連行しようとする。

 

「ジェラール・フェルナンデス…連邦反逆罪で貴様を逮捕する!!!!」

 

「待ってください!!!」

 

ウェンディが、ラハールに必死に説得を行う。

 

「ジェラールは記憶を失っているんです!!!何も覚えてないんですよ!!!」

 

しかし、ラハールにそんな説得は通用しない。

 

「刑法第13条により、それは認められません」

 

ジェラールが自分の手の届く場所まで来た事を確認したラハールは、部下に向かって指示を出す。

 

「もう、術式を解いていいぞ」

 

「で…でも」

 

「いいんだ、抵抗する気はない」

 

必死に止めようとするウェンディを、ジェラールは抑止した。

 

「君の事は最後まで思い出せなかった…本当にすまない、ウェンディ」

 

「ウェンディは、あなたに助けられたことがあるらしいの」

 

マーラがそう説明すると、ジェラールは一瞬驚いた顔をし、すぐにもとの表情に戻る。

 

「そうか、オレは君たちにどれだけの迷惑をかけたか知らないが、誰かを助けたことがあったのは嬉しい事だ」

 

ジェラールは、ウェンディからエルザに視点を変える。

 

「エルザ」

 

「……」

 

「色々とありがとう」

 

エルザは、心の中で葛藤していた。

 

(止めなければ…私が止めなければ…ジェラールが行ってしまう…せっかく悪い夢から目覚めたジェラールを……もう一度暗闇の中へなど行かせるものか!!!!)

 

ラハールとジェラールは、すれ違い様に言葉をかわす。

 

「他に言うことはないか?」

 

「あぁ」

 

「死刑か無期懲役はほぼ確定だ。二度と誰かと会うことはできんぞ」

 

ジェラールは、そのまま連行用の魔導四輪に向かって歩いて行く。

 

(行かせるものか!!!)

 

エルザが、ジェラールを引き留めようと覚悟を決めたその時

 

「行かせるかぁ!!!!」

 

ナツが、評議員を相手に暴れだした。

 

「ナツ!!!」

 

「相手は評議員よ!!!」

 

「そんな事したら貴方まで捕まりますわよ!!」

 

ラハールの部下達が、一斉にナツを押さえようとする。

 

「そいつは仲間だ!!!!連れて帰るんだぁ!!!!」

 

「ナツさん…」

 

「よ…よせ」

 

 

「と…取り押さえなさい!!!!」

 

ラハールの指示で、残りの部下もナツに襲いかかる。

 

ドン!

 

「ぐほっ」

 

しかし、そこをグレイとリートが評議員をぶっ飛ばして止める。

 

「行け!!ナツ!!」

 

「ナツ!!!テメェが決めた事だ!!しっかりとテメェでケジメつけろよ!!!」

 

「グレイ!!リート!!」

 

「こーなったらナツは止まんねぇからな!!」

 

「あぁ、それにオレは他にも納得できねぇ事がある!!」

 

「オレもだ!!」

 

リートは襲いかかってくる評議員を、投げ飛ばしながら睨み付ける。

 

「自分たちは今さら来てニルヴァーナ阻止に我関せずだったくせに、オレたちと一緒にニルヴァーナを止めたジェラールに対して扱いが気に入らねぇんだよ!!」

 

「そうだ!!労いの言葉1つもかけてやらねぇのか!!!」

 

リートとグレイの言葉により、ジュラや一夜、マーラ達も立ち上がる。

 

「リート殿達の言葉には一理ある。その者を逮捕するのは不当だ!!!」

 

「くやしいけど、その人がいなくなるとエルザさんが悲しむ!!」

 

「アタシも、ジェラールって人が居なくなってウェンディが悲しむ姿は見たくない!!」

 

「もう!どーなっても知らないわよ!!」

 

「あい!」

 

「こーなったらヤケですわ!!」

 

「お願い!!!ジェラールを連れていかないで!!!」

 

 

「来い!!!!ジェラール!!!!お前はエルザから離れちゃいけねぇ!!!ずっと側にいるんだ!!!!エルザの為に!!!!だから来い!!!!オレたちがついてる!!!仲間だろ!!!!」

 

ラハールも癇癪を起こし、部下に新しい指示をだす。

 

「全員捕らえろぉぉぉぉ!!!!公務執行妨害及び、逃亡幇助だぁぁ!!!!」

 

「ジェラールーーー!!!!」

 

 

 

「もういい!!!!そこまでだ!!!!」

 

エルザの一喝で、その場の全員が固まった。

 

「騒がしてすまない…責任は全て私がとる…」

 

「ジェラールを……連れて…いけ……」

 

 

「エルザ!!!」

 

「座っていろ!!!」

 

「あい!」

 

評議員がジェラールの連行を再開すると、ジェラールが一度だけ立ち止まりエルザに振り返る。

 

「そうだ…おまえの髪の色だった」

 

「!」

 

「さよなら…エルザ」

 

その後評議員にジェラールを引き渡した後、全員は黙って座り込んでしまっていた。

 

「エルザ…どこ行ったんだろ…」

 

「そっとしといてあげなさいな、ハッピー」

 

「うん…しばらく一人にしてあげよ」

 

「…あい」

 

とある岩場にて、エルザは過去の事を思い出していた。

 

『ジェラール・フェルナンデス』

 

『うわー、覚えづれぇ』

 

『そーいうお前も、ウォーリー・ブキャナンって、忘れそうだよ』

 

『エルザ、おまえは?』

 

幼い頃のジェラールとウォーリーは、エルザにフルネームを聞いていた。

 

『私はエルザ…ただのエルザだよ』

 

『それはさみしいなぁ』

 

ジェラールは、ふと、エルザの髪をさわる。

 

『ちょ…何よぉ』

 

『綺麗な緋色…そうだ!スカーレットにしよう!』

 

『しようって、オマエそんなの勝手に』

 

『エルザ…スカーレット…』

 

勝手に名字を決められたエルザだが、その顔は満更でもなさそうだった。

 

『おまえの髪の色だ。これなら絶対に忘れない』

 

 

「……ジェラール…」

 

 

「うぅっ…うわぁぁ…ああああぁ」

 

ああーーーーぁ!!!

 

この日…エルザは泣いた。今まで溜め込んだ全てを吐き出すように…思いっきり泣いていた。

 

 

そして次の日、リート達連合軍は、化猫の宿に招待されボロボロになった服を着替えていた。

 

「わぁ!!かわいい!!」

 

「よく似合ってますわよ、ルーシィ」

 

「ありがと、アンタもね。ラリカ」

 

「私の方がかわいいですわ」

 

民族衣装に着替えたルーシィとラリカはお互いに服を誉め合い、シェリーが対抗心を燃やす。

 

「ここは集落全部がギルドになってるんだよ!」

 

「織物の生産も盛んなんですよ」

 

マーラとウェンディが、ルーシィ達にそう説明する。

 

「ニルビット族に伝わる織り方なの?」

 

「さぁ?どーなんだろ」

 

「今思えば…そういう事……なのかな?」

 

「あなた達、ギルド全体がニルビット族の末裔って知らなかったんですわね」

 

「アハハー、アタシはウェンディに誘われてこのギルドに入ったから、順番でいうと一番後輩に当たるからねぇ」

 

「私も、皆より後から入ったので」

 

 

ルーシィは、黙って壁にもたれ掛かっているエルザを心配して、元気になってもらおうと声をかける。

 

「エルザも着てみない?かわいいよ」

 

「ああ…そうだな」

 

 

「ところでお二人共、化猫の宿はいつからギルド連盟に加入してましたの?」

 

ウェンディとマーラに、シェリーがギルドについて訪ねる。

 

「私…失礼ながらこの作戦が始まるまでギルドの名を聞いたことがありませんでしたわ」

 

「あ、そういえばアタシも」

 

 

「そうなんですか?」

 

「うわぁ~、やっぱりウチのギルドって本当に無名なんだねぇ」

 

 

話し込んでいる女性群達を、シャルルが迎えに来た。

 

「どーでもいいけど、みんな待ってるわよ」

 

 

女性群が外に出ると、化猫の宿のメンバー全員と連合軍の男達が着替えてまっていた。

 

そして、全員が集まったことを確認した化猫の宿のマスター、ローバウルが代表して話し始める。

 

「妖精の尻尾 青い天馬 蛇姫の鱗、そしてウェンディ、シャルル、マーラ…よくぞ六魔将軍を倒しニルヴァーナを止めてくれた。地方ギルド連盟を代表して、このローバウルが礼をいう」

 

「ありがとう、なぶらありがとう」

 

ローバウルの礼を聞き、一夜が真っ先に反応する。

 

「どういたしまして!!!!マスターローバウル!!!六魔将軍との激闘に次ぐ激闘!!!!楽な戦いではありませんでしたがっ!!!!仲間との絆が我々を勝利に導いたのです!!!!」

 

「「「さすが先生!!」」」

 

「ちゃっかり美味しいとこ持っていきやがって…」

 

「ってか、アイツ誰かと戦ってたっけ?」

 

やけにテンションの高い一夜に、グレイとルーシィが文句を呟く。

 

そして、蛇姫の鱗のメンバーもようやくホッと一息つくことができた。

 

「終わりましたのね」

 

「おまえ達もよく頑張ったな」

 

「ジュラさん」

 

妖精の尻尾も

 

「お疲れ様でしたわ、リート」

 

「オメェもな」

 

「この流れは宴だろぉ!!!」

 

「あいさー!!!」

 

「宴かぁ」

 

「脱がないの!!!」

 

いつの間にか服を脱ぐグレイにツッコむルーシィ、しかも今回はそのとなりにいるリオンも服を脱いでいた。

 

「フフッ」

 

「あんたも!!」

 

 

「あっ、それ!一夜が♪」

 

「「「一夜が♪」」」

 

「活躍♪」

 

「「「活躍♪」」」

 

「それ、ワッショイ!」

 

「「「ワッショイ!」」」

 

「ワッショイ!ワッショイ!」

 

「「「ワッショイ!ワッショイ!」」」

 

青い天馬が躍りだし、ナツ達もノリにノって踊り出す。

 

「「「「ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!」」」」

 

「リートも踊らねぇか?」

 

「楽しいよぉ?」

 

「おう、その躍りがダサくなくなったら踊ってもいいぞ」

 

「品がありませんわ」

 

「さぁ!化猫の宿の皆さんもご一緒にぃ!?」

 

「「「ワッショイ!ワッショイ!」」」

 

「ワ…」

 

一夜が化猫の宿のメンバーを躍りに誘うが、誰一人としてノッてこなかった。

 

 

そして、先程まで黙っていたローバウルが、再び話し始める。

 

「皆さん…ニルビット族の事を隠していて本当に申し訳ない」

 

ローバウルが深く頭をさげるが、それを気にしている者は誰もいなかった。

 

「そんな事で空気こわすのー?」

 

「全然気にしてねーのにな」

 

 

「マスター、私も気にしてませんよ」

 

「そうだよおじいちゃん!みんな気にも止めていないよ?」

 

 

「皆さん、ワシがこれからする話をよく聞いてくだされ…まず始めに、ワシらはニルビット族の末裔などではない」

 

「ニルビット族そのもの…400年前、ニルヴァーナを創ったのは…このワシじゃ」




へこたれてる場合じゃねぇ!評価0つけられたなら次は評価10つけてもらえるように、更に努力だ!

オリジナル読みたいのに投票オナシャス!

  • リートS級魔導士になった日
  • リートの単独での依頼
  • アクナの過去
  • リートに弟子入り志願する少年

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