FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」 作:タイキック新
「ま…まさか、こいつがアースランドの…」
「これが…エドラスの…あたし…?」
エドルーシィとアースルーシィの二人は、驚いた顔で見合わせていた。
「居たぞ!あそこだ」
そこへ、王国軍の兵士達がルーシィ達を捕まえようとやって来た。
「話しは後回しにしましょ!!」
「このままじゃ捕まっちゃうよ!!」
「急いで逃げますわよ!!」
「あんた達がいるなら逃げる必要ないじゃない」
アースルーシィが自信満々の表情で、兵士達の方を向いた。
「ナツ!リート!早くやっつけて!!」
「どーやって?」
「あんた達の魔法で、決まってんでしょ?」
「あのな、ルーシィ…オレたち今魔法が使えねぇんだよ」
「…は!?」
「つーか!お前はなんで使えるんだ!?」
ナツが当然の疑問を、ルーシィに問いかける。
「知らないわよ!!」
「ルーシィ、お願い!!」
「あいつらをやっつけて!!」
「ルーシィさんしか魔法つかえないんです!!」
「今一番頼れるのはあなたですのよ!!」
ハッピー達に頼られたルーシィが、少しだけ調子にノリ始めた。
「…もしかして、今のアタシって最強?」
「「いいから早くやれ!!」」
ルーシィは鍵を取り出して魔法を使い、王国兵に立ち向かう。
「開け!!白羊宮の扉!!アリエス!!」
鍵から羊を連想させる格好をした。女性の星霊が現れた。
「あ…あの…がんばります。すみません」
「何で謝ったの?」
「気の弱そうな星霊ですこと」
そして、ルーシィの魔法を見たエドラスの者達は驚いていた。
「な…何だこれは!!」
「人が現れた!!」
「魔法か!!?」
「こんな魔法見たことないぞ!!」
「アリエス、あいつら倒せる?」
「は…はい、やってみます!!」
アリエスは、掌からピンク色の雲を作り、敵に向けて投げた。
「ウールボム!!」
「うわぁぁぁ」
「優しぃ」
「癒されるぅ」
雲に当たった兵士達は、とろけた顔をしていた。
「あ…あれ?効いてるんでしょうか…?すみませぇん」
「効いてる!効いてる!続けて攻撃よ!!」
アースルーシィの指示で、アリエスは攻撃を続けた。
「ウールショット!!」
今度は、先程より小さめの雲を連発して兵士達にぶつけた。
「やられとるのにぃ」
「気持ちいい~」
「みんな!!今の内よ!!」
「こんな感じでよかったんでしょうか?すみませぇん」
ナツ達は、兵士が来た方角と逆方向に逃げていく。
「モコモコサイコー!!」
「ナーイス、ルーシィ!!」
「攻撃っぽくはなかったけど、助かったぜ」
「あー、アタシも気持ちいいかもぉ」
「…これが、アースランドの魔法…」
リート達は、無事に兵士達から逃げ切り、現在は森の中で今後の作戦を考えていた。
「ここまで逃げてくれば大丈夫よね?」
「しっかしお前、どーやってエドラスに来たんだ?」
「てっきりお前も魔水晶になってると思ってたんだけどなぁ」
「心配してたんですよ」
「ホロロギウムとミストガンが助けてくれたのよ」
アースルーシィは、ここに来た経緯をリート達に話した。
アニマに吸い込まれそうになったところを、ホロロギウムに助けられ、その後ミストガンと顔を合わせ変な薬を飲まされ、そのままエドラスに直接飛ばされた、と言うことらしい。
「…で、誰か知り合いがいないかって、ずっと探してたのよ」
「ミストガンさん、どうしてエドラスの事を知ってたんでしょう」
「アイツはオレがギルドに入った頃からよくわかんねぇ奴だったからなぁ、同じS級になれば何か話してくれるかもって思ってたけど、それもダメだったし」
「アイツは何者なんだ…」
「何にも言ってなかったわね」
「ルーシィ」
「?」
ラリカは、先程ナツがしていた質問をもう一度アースルーシィに問いてみた。
「どーしてルーシィはこちらで魔法が使えますの?私達は魔法が使えないせいで、ものすごく苦労してましたのよ」
「うーん…」
アースルーシィは、少し考えると、目を輝かせ始めた。
「もしかしてアタシ!!伝説の勇者的な!!?」
「「ないな」」
「…ぐすっ…いじけるわよ」
「正直、わかんないわよ…ナツとリートの二人が魔法を使えないんじゃ、不利な戦いになるわね」
「テメェら、本気で王国とやりあうつもりなのか?」
エドルーシィがそう訪ねると、ナツ達が答えた。
「当然!」
「仲間の為だからね」
「大人しく仲間を返してくれるってんならなにもしねぇけど、抵抗するってんならこっちも容赦はしねぇつもりだよ」
「本当にコレ、あたし?」
「魔法も使えねぇのに、王国と…」
「ちょっと!あたしは使えるっての!!!」
アースルーシィは、どや顔で立ち上がった。
「ここは、現!妖精の尻尾最強のあたしに任せなさい!!燃えてきたわよぉ!!」
ナツ達は、少しばかりの不安を残してアースルーシィに頼ることにした。
「情けねぇが」
「頼るしかないわね」
「あい」
「こんな情けねぇ状況、アクナさんにはぜってぇ見せられねぇな…」
「下手すれば殺されますものねぇ」
「頑張れ!ルーシィさん!!」
エドルーシィは、その様子をただ黙って見ていた。
(不思議なやつらだ…こいつらならもしかして、本当に世界を変えちまいそうな…そんな気がするなんて)
その後、ナツ達は森を抜け、とあるホテルの一部屋を借りていた。
「ホテルの人から地図借りてきたぞ」
リートが机に地図を広げた。
「アースランドの地形とあまり変わらないね」
「エドラスの妖精の尻尾はここ、ルーシィと出会ったのがルーエンの街、そしてここが私たちのいるシッカの街、私たちが目指している王都はここ」
シャルルが一つ一つ、地図を指差して説明していく。
「まだまだ遠いなぁ」
「今のペースで行くと、あと5日くらいかかるんじゃねぇか?」
「しかも、王国軍に見つからないように気を付けなければいけないですし、到着までどれくらいかかるか」
「全て見積もっても、最短で一週間はかかると思った方がいいですわね」
「おい!見ろよ!!」
「「「「「「?」」」」」」
風呂場から、エドルーシィがバスタオル一枚でナツ達の所にやって来た。
「アイツとアタシら体まで全く同じだよ」
「きゃーー!!そんな格好で出ていくなーー!!」
「エドルーシィさん!!ナツさんとリートさんがいるんですよ!!?」
「別にアタシは構わないんだけどね」
「構うわ!!!」
アースルーシィとは違い、エドルーシィはバスタオル姿でも堂々としていた。
「恥じらいはないの?お前」
「レディ何ですから慎みを持つべきですわよ」
「あーあー、わかったわかった」
「賑やかだねダブルーシィ」
「それ、上手いこと言ってるつもりなの?」
ナツは、二人のルーシィをじっと見ていた。
「んー」
「なんだぁナツ、見たいのかぁ?」
「やめてぇ!!」
「ぷっ…」
ルーシィ二人がやり取りをしていると、ナツがいきなり吹き出した。
「?何がおかしいんだよナツ」
「そうか!アタシよりエドルーシィの方がスタイルがいいとか、そーいうボケかましたいのね!!」
「自分同士で、一緒に風呂入るなよ」
「「…言われてみれば」」
ウェンディも、エドルーシィとアースルーシィの二人を見比べていた。
「ホントに見分けがつかないほど瓜二つですね」
「まさか、ケツの形まで一緒とはなぁ」
エドルーシィは、自分の尻を触りながらそういった。
「やめてよぉ!!」
「双子以上だな」
「まぁ、同一人物ですし当然と言えば当然ですわね」
「おっ!鏡の物真似芸できるじゃねーか!!」
「「やらんわ!!」」
「ハハ…息もピッタリ」
「悲しいわね」
「っていうかジェミニが出てきたみたい」
ハッピーが、ジェミニという星霊を頭に浮かべた。
「ほぉー、確かに」
「そういや、そーだな」
「ジェミニ?」
エドルーシィは、ジェミニが何かをわかっていなかった。
「アタシが契約している星霊よ!他の人そっくりに変身できるの」
ルーシィは、ジェミニの鍵を取り出して呼び出した。
「開け!双子宮の扉!!ジェミニ!!」
すると、ジェミニはルーシィの姿で鍵から現れた。
「ジャーン!!ジェミニ登場!!」
「おおっ」
「ダブルーシィじゃなくて、トリプルーシィね」
リートが、現れたジェミニに声をかけた。
「よう、六魔以来だなジェミニ」
「あっ、リート!その節はごめんね」
「気にするな、あの時は敵同士だったんだ。仕方ねぇさ」
リートとジェミニのやり取りを見たエドルーシィが、アースルーシィに問いかける。
「何かあったのか?」
「つい最近に、色々とね」
「ふーん」
「スゲー!!コレだけで宴会芸のクイズに使えるぞ!!」
「それ、面白いんですの?」
「クイズ!本物は誰だ!!」
「…やんのね……」
ハッピーがいきなり司会を始め、トリプルーシィは水着姿になっていた。
「アタシがルーシィよ!!」
「アタシがルーシィよ!」
「アタシがルーシィよ~!!!」
「さぁ!本物は誰でしょうか!!」
「「「これは芸じゃなぁい!!!」」」
「息ピッタリじゃねぇか…」
「悲しいわね、っていうか早く服着たら?」
「!?忘れてたぁ!!!」
そして、着替えたルーシィ二人を見てナツが呟く。
「二人に戻ったけど、やっぱ見分けつけにくいなぁ」
「せめて、なにか違いがあると助かるんだけどなぁ」
「リートの第一印象を答えさせればいいですわ」
「?なんで?」
ラリカの発言に、リート達が首をかしげた。
「エドラスのルーシィなら、リートの第一印象は怖いや恐ろしいという発想になると思いますの」
「仮にそれをやったとして、やる度に、オレの心は抉られていきそうなんだけど…」
「体にダメージがなければ大丈夫ですわよ」
「ひでぇ!!!」
「でもよぉ、いちいち聞かねぇといけねぇのってなんかめんどくさくねぇか?」
「それに、リートさんがかわいそうですよ…」
ラリカの提案に、ナツとウェンディは、否定的だった。
「ちっ…心を抉られるリートの顔を見て楽しみたかったですのに」
「お前絶対それが目的だったろ!!!」
「他に何かねぇのか?」
「確か、髪型をいじってくれる星霊もいるんだよな?」
エドルーシィが、アースルーシィに訪ねると、アースルーシィが鍵を取り出した。
「うん!カニ座の星霊、頼んでみようか?」
アースルーシィはキャンサーを呼び出した。
「お久しぶりです!エビ」
「カニ座の星霊なのに、エビぃ?」
「やっぱりそこにツッコムかぁ、さすがアタシ」
キャンサーは、エドルーシィの髪をカットし、短髪に整えた。
「こんな感じでいかがでしょうか?エビ」
「うん、コレでややこしいのは解決だな」
「でも、よかったんですの?」
ラリカは、若干不安そうな顔でエドルーシィに尋ねた。
「?何が?」
「髪の毛をそんなに短くしてしまったことに対してですわよ」
「アースランドでは、髪の毛を大切にする習慣でもあるのか?」
「習慣というより、レディは大体自分の髪を大切にしますわよ」
「レディねぇ、こんな世界じゃ、男だ女だって考えるのもバカらしくなってくるよ…生きるのに必死だからな」
エドルーシィのくらい顔を、リート達は黙って見ていた。
「でも、こっちのギルドの皆は楽しそうだったよ」
「そりゃそうさ、無理にでも笑ってねぇと、心なんて簡単に折れちまう、それにこんな世界でも、アタシ達を必要としてくれる人がいる。だから例え闇に落ちようと、アタシ達はギルドであり続けるんだ」
エドルーシィの決意を聞いたナツとリートの二人は、笑っていた。
「けど、それだけじゃダメなんだよな」
「え?」
「いや、なんでもねぇよ」
翌朝、ホテルでアースルーシィが大声で騒いでいた。
「信じらんなーい!!!なによコレぇ!!!」
「ふぁ~っ、何だよ朝から」
「朝っぱらからテンション高ぇなぁ」
「騒がしいですわよルーシィ」
「どーしたの?」
「エドラスのアタシが逃げちゃったのよ!!!」
「?逃げた?」
エドラスの置き手紙を、アースルーシィがウェンディに渡して代わりに読ませた。
「王都には3日歩けばつく、アタシはギルドに戻るよ。じゃあね、幸運を」
「手伝ってくれるんじゃなかったの!!?んもー!!どういう神経してんのかしら!!」
「オメーと一緒だろ…」
「うるさい!!」
ルーシィがイラついているのを、ウェンディがなだめる。
「仕方ないですよ。初めから戦うつもりはないって言ってましたし」
「だなぁ」
「まぁ、ここまで手伝ってくれただけでもありがたいと思うべきなんじゃねぇか?」
「アタシは許せない!!同じアタシとして、許せないの!!!」
「うーん、お前が怒ってるポイントがいまいちよくわからん」
「なんでよ!!!」
「まぁ、いいじゃねぇか」
「よくない!!!ムキーーー!!!」
何気にリートの心を抉ろうとするラリカ、その内ホントに心を抉る行為を実行しそう…