FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」 作:タイキック新
「ごめんなさい……僕にも…わかりません」
「「「「「!?」」」」」
乗り物から降りたエドラスのナツの態度が豹変し、アースランドのもの達は困惑していた。
「はい?」
「お前…本当にさっきのオレ?」
エドナツは、怯えながら返答した。
「はいぃ!よく言われます!!車に乗ると性格変わるって!!」
「こっちが本当のエドナツだぁぁ!!」
「ひいぃぃ、大きな声出さないで…怖いよぅ…」
「うーわっ…めっちゃ臆病だなこっちのナツは…」
エドナツは、すっかり怯えきってしまっていた。
「ああぁぁぁ…ぁ…ぁ…」
「鏡の物真似芸でもする?」
ニヤニヤと笑いながら、ルーシィはアースナツに話した。
「ごめんなさい!ごめんなさい!でも、僕には無理ですぅぅ」
「はぁ?」
「ルーシィさんの頼みだから、ここまで来ただけなんですぅぅ」
「別に謝らんでも…」
「いえいえ、無理しなくていいですよ」
ウェンディがエドナツをなだめると、エドナツの表情が少しだけ明るくなった。
「こんなの居ても、役に立ちそうもないしね」
「本当ですわ」
「シャルル!!」
「ラリカまで」
「もしかして、ウェンディさんですか?」
「は…はい」
「うわーっ、ちっちゃくて可愛い」
エドナツが、ウェンディに笑いかけていると、周りを見て話し出した。
「そっちがアースランドの僕さん?」
「どこにさん付けしてんだよ」
そして、ハッピーが自分達をエドナツに紹介し始めた。
「オイラはハッピー、こっちがシャルルで、その奥にいるのがラリカだよ」
「フン!」
「まぁ、よろしくですわ」
「アタシは、もう知ってると思うけど…」
ルーシィが笑いながらエドナツに挨拶しようとすると、エドナツは車の陰に隠れてしまった。
「ひぃぃぃ!!ごめんなさい!なんでもしますぅ!!」
「あぁ…」
「因みにオレは…」
「ひぃぃぃ!!ごめんなさい!ごめんなさい!お願いだから殺さないでぇぇ!!」
「ルーシィより怯えられてんの妙に傷つくんだけど!!?」
「どーゆー意味よ!!」
エドナツは、ルーシィとリートに対しては完全に警戒してしまっていた。
「お前らさぁ、もっとオレに優しくしてやれよ」
「オレ何にもしてねぇんだけど!!」
「こっちのルーシィさんは…皆さんをここに運ぶだけでいいって…だから僕…」
リートが今いる場所から少し遠くの景色を見ると、いつの間にか王都が見えてる場所までやって来ていた。
「あれは…まさか!!」
「これって」
「もしかして、王都!!?」
「大きいぃ」
「なんだよぉ!着いてんならそー言えよぉ♪」
アースナツがエドナツの肩を組むと、エドナツはまた怯え出した。
「うわぁぁ!!ごめんなさい!」
「ああぁ…」
「締まらねぇなオイ…」
アースナツは、エドナツから王都へと視線を変える。
「いいぞ!こんなに速く着くとは思わなかった」
「あのどこかに、魔水晶に変えられた皆が…」
「けど、ここからは今まで異常に兵士の数が増えるハズだ。より警戒して行かねぇとな」
「さっさと行くわよ」
「あ、ちょっとシャルル」
シャルルを筆頭に、エドナツ以外の全員が王都へと向けて歩き出した。
「じゃ!ありがとなぁ」
「アタシによろしく!」
「ここまで連れてきてくれてサンキューな!」
「あ…あの…」
「「ん?」」
エドナツの声に、ナツとリートの足が止まる。
「ほ…本当に…王国と…戦うの?」
「どーかな?オレたちは仲間を救えればそれでいいんだけど」
「あぁ、けどタダで帰してくれねぇようなら…」
「「もう、やるしかねぇだろ?」」
「お…王国軍になんて…勝てるわけないよ…」
エドナツはそう言うが、リート達の目は諦めていなかった。
「へへっ」
「大丈夫だよ」
そして二人は、王都に走っていった。
そして、王都…
王都は、今まで見てきた街と比べ明らかに賑わっており、祭りでもやっているのかと思うほど住民達の笑顔に溢れていた。
「なにこれ」
「意外ですね。独裁国家の統治下っていうから」
「てっきりもっとくたびれた街をイメージしてたんだけどな」
「街の中にもアッサリ入れたしなぁ」
「ルーエンやシッカと全然違う、遊園地みたい」
「魔力を奪ってこの王都に集中させている。国民の人気を得るためにこんな娯楽都市にしたんだわ」
「他の街から見たら、確かに独裁国家とも言えるかも知れませんわね」
「呆れた王様ね」
そして、街を歩いていると一際目立つ人混みがウェンディの目に飛び込んだ。
「?なんか向こうの方が騒がしいですね」
「パレードとかやってんのかしら?」
「こんな真っ昼間からか?」
「ちょっと見に行ってくるかぁ!」
「あいさー!」
ナツとハッピーが、楽しそうに人混みに向かって走っていった。
「あんた達!遊びに来たんじゃないのよー!!」
それでもナツ達の足は止まらず、ナツは人混みを掻き分けていく。
「何だ何だ?」
「待ってよナツ」
「すげぇ人混みだな、ウェンディ、オレの手しっかり握ってろよ?」
「は…はい!」
「も~…!」
ナツがあるものを見つけて、足を止めると後ろにいたルーシィがぶつかった。
「ちょっとぉ、急に立ち止まらないでよぉ」
「リートさん?どーしたんですか?」
同じくリートも立ち止まって、前方を見上げていた。
そして、ルーシィ達も前を見ると、そこには巨大な魔水晶が飾られている。
「!」
そして、それを囲うように王国軍の兵士が警備していた。
「ラ…魔水晶?」
「まさか…これが…」
「マグノリアの皆…」
「しかも一部分よ…切り取られた跡があるわ」
「え?コレで全部じゃないの?」
「オイ…ちょっと待てよ…切り取った?魔水晶を?」
リートの声のトーンが下がっており、殺気だった声にウェンディが気がついた。
「リートさん?」
「ってことは…オレたちの仲間を傷つけたっていうのか?…平気であいつらの命を奪おうとしたってのか?」
リートが一歩前に踏み出そうとするのを、ウェンディが必死に手を握って止めた。
「落ち着いてくださいリートさん!まだそうと決まったわけじゃありません!」
そして、魔水晶の近くにこの国の王が現れ、演説をしだした。
「エドラスの子らよ…わが神聖なるエドラス国は、アニマにより10年分の魔力を生み出した」
「生み出しただ?あ?奪ったの間違いじゃねぇのかふざけやがって、誰の家族に手ぇ出したのか思い知らせてやる」
リートは、足にさらに力を入れる。
「リートさん!」
「共に歌い、共に笑い、この喜びを分かち合おう」
ワアァァァァァ!!!
「エドラスの民にはこの魔力を共有する権利があり、また…エドラスの民のみが未来へと続く神聖なる民族!!我が国からは決して魔力を奪えない!!!そして、我は更なる魔力を手に入れると約束しよう!!!」
国王は持っていた杖の先端を、魔水晶に突き刺した。
「これしきの魔力がゴミに思える程のなァ!!!!」
ブチィ!!
崩れる魔水晶の破片を見て、ナツとリートの二人がキレた。
「フーッ!!フーッ!!」
「ぐっ…くっ…」
ナツも歩みだし始めたのを見て、ルーシィはあわててナツを抱き締めて引き止めた。
そして、ウェンディも必死にリートの手を組んで止める。
「我慢して…リートも!」
「できねぇ」
「無理だ」
「お願いします、リートさんもナツさんも、今は堪えてください」
「お前らはアレが何か分かってんだろ」
「あれは、あの魔水晶は!」
「お願い!…みんな…同じ気持ちだから…ね?二人とも」
ルーシィの説得に、無理やり心を落ち着かせる二人。その間も、国王の高笑いは王都中に轟いていた。
そして、国王の演説が終わったその日の夕暮れ時、リート達はホテルの一室を借りて部屋に集まっていた。
「……」
みんな黙ってはいるが、心の中では不安、悲しみ、怒りに満ち溢れていた。
「やっぱり我慢できねぇ、オレは城に乗り込むぞ!!」
ナツがホテルから出ようとするのを、シャルルが引きとめる。
「もう少し待ってちょうだい」
「なんでだよ!!」
「ちゃんと作戦を立てなきゃ、皆は元に戻せないわよ」
「知ったことか」
「!」
リートも、すでに怒りを押さえ込めきれなくなってきていた。
「あんなのを見せられて、いつまで黙ってろっていうんだ…とっくに我慢の限界はきてる」
「今出ていっても魔法も使えないあんた達じゃあ王国軍の兵士に捕まるのがオチよ、少しは冷静になりなさい」
二人はシャルルの正論に黙り混むしかなかった。
「みんな…あんな水晶にされちゃって…どうやって元に戻せばいいんだろ」
「王に直接聞くしかないわね」
「教えてくれるわけないよ!!」
「拷問で答えてくれるなら私がやりますわよ?」
「よし、それでいこう」
「できるわけないじゃないですか!!」
「そうか!」
ルーシィが何かを閃いた。
「王様は、みんなを元に戻す方法を知ってるの?」
「おそらく」
「イケるかもしれない、もしも王様に近づく事ができたら」
「本当か!!?」
「どういうことですか?」
「ジェミニよ!ジェミニは、触れた人に変身できるんだけどその間、その人の考えてる事までわかるの」
「つまり王様に変身できれば、みんなを戻す方法がわかるかも!!」
「「おぉー」」
しかし、問題はここからだった。
「ただし、変身できるのは5分間だけ、それと変身できるストックは二人までで、その後新しい人に変身しちゃうと、古い方から消えていっちゃうんだけど…問題は、どーやって王様に近づくか…だね」
「さすがに、護衛が多過ぎて簡単には…」
「王に近づく方法はあるわ」
シャルルは、一枚の手書きの地図を見せながらそう言った。
「「「「「「!?」」」」」」
「元々は城から外へと脱出用の通路だったんだけど…街外れの坑道から城の地下へと繋がってるはず」
「すごい!なんで知ってるの?」
「情報よ、断片的に浮かんでくるの。エドラスに来てから少しずつ地理の情報が追加されるようになったわ」
シャルルの活躍ぶりを見ていたハッピーとラリカは、肩を落とす。
「オイラは全然だよ」
「私もですわ…」
「とにかく、そこから城に潜入できれば何とかなるかも」
「おーしっ!!!みんなを元に戻すぞ!!!」
「はい!」
「あいさー!」
「待って」
気合いを入れ直したナツ達を、またもシャルルが止めた。
「今度はなんだよぉ!!!!」
「出発は夜よ。今は少しでも休みましょ」
「…体力の温存もかねてるってことか」
そして夜、王都の民が寝静まった頃、リート達が動き出した。
「公道の入り口は、この先もうすぐよ」
街の少し離れた場所までやって来たリート達、そこは今は使われていない坑道の入り口だった。
「ここ?」
「えぇ、間違いない」
「よぉーし」
ナツが坑道に足を踏み入れようとするが、それをまたシャルルが止めた。
「待って」
「またかよ!!」
「はやる気持ちはわかるけど、落ち着いて。明かりがなければ進めないわ」
「確かにな、何か灯りになるものを探さねぇと」
「そんなもん!オレに任せろ!!」
ナツがいつものように拳に炎を纏おうとするが、当然炎は出なかった。
「あっ…」
「ほら忘れてる。今の私たち魔法が使えないのよ」
「…くそっ!」
「魔法を使えるのがルーシィだけじゃ、やっぱりちょっと頼りないね」
「悪かったわね頼りなくて」
「あ、ごめん聞こえちゃった?」
ルーシィはあるものを持っていた。
「ルーシィさん、それは?」
「んふっふっふっふっふっ、松明よ!!あそこから持ってきちゃった」
ルーシィは、近くの建物から火のついていない松明を持ってきていた。
「布を巻いて、油を染み込ませてきたから後は火をつければ大丈夫」
「さすがルーシィですわね、で?肝心の火はどこにありますの?」
「…それは……」
「…ないのね」
そして、結局火をつけるためにナツ達は木の板と枝を持ってきて火おこしで着火させる事となった。
「なんでオレがこんなことしなきゃなんねぇんだよ」
「ほんとだよ。まったく…」
「仕方ないでしょ、無くなってわかる魔法のありがたみってとこよねぇ」
ナツ、リートの二人は、火おこしを必死にやっている。
「こんなやり方で火を着けてたんだから、昔の人は偉かったんだね」
「みんな苦労してましたのねぇ」
パキッ
「あっ…んはーっ!全然ダメだぁ」
チリチリチリチリ
「…あっ!着いた!」
ナツは失敗していたが、地道にやっていたリートの火おこしが何とか成功した。
「やったー!」
「すごいですリートさん!」
「ナイスリート!」
「やるな、リート!!」
「っていうか、何であんたは出来てないの?」
「いいだろぉ、こっち出たんだからぁ」
リートの着けた火で、見事松明に灯りを灯すことができた。
「やりましたぁ!」
「あー疲れたぁ」
灯りの着いた松明を受け取ったナツは、ジッと松明の火を見つめていた。
「どーしたの?」
「あむっ」
「!?」
いきなりナツが、松明の炎を食べたのだ。
「あ、そうか火を食べたらひょっとして」
「そんな簡単にいくか?」
「魔法、いけそう?」
ルーシィの問いに、ナツは曖昧に答える。
「ここんとこが熱くなってきた」
ナツは、自分の腹を指差して答える。
「それ魔法の感じ!?」
「感じ…かもしれねぇーぞ!!」
「そんな簡単なもんなの?」
「いいかもいいかも!いってみよー!!復活の狼煙!!火竜の鉄拳!!」
「おう!イッケーーー!!!」
しかし、ナツの拳から炎が出ることはない。
「…はぁ、ダメかぁ」
「そーゆーの悪あがきっていうのよ」
「こっちの火食ったら魔法が使えると思ったんだよ!!」
ガサッ
「?」
リートは、近くの林から音が聞こえて気になった。
「?リートどこにいくんですの?」
「んー?ちょっとトイレだ。先に行っててくれ、後で追い付く」
「わかった。絶対に追い付いてきてね!!」
「おー」
リートは一人、林の中に入って行き、ナツ達は坑道の中へと入っていった。
「……さてと、出てこいよ。誰か知らねぇけどオレたちの事を見てるんだろ?」
リートが声をかけると、木の影から一人の人物が現れる。
「!お前は…」
「よう、アースランドのオレ…」
「すげぇな、ホントにオレと同じ顔だ…」
現れたのはエドラスのリートだった。
「何でテメェがこんなとこに居やがる」
「あ?オレがどこに居ようがテメェには関係ねーだろ」
エドリートは異常な程の殺気を、アースリートにぶつけた。
「ぐっ…」(スゲー殺気だ…)
「さて、隊長の命令だ。大人しくオレについてきな…アースランドのオレ…下手な気は起こさねぇ方がいいぞ、例え別世界の自分でも、オレは容赦しねぇからな」
エドリートは背中に携えた槍を抜き、構えをとった。
「嫌だと言ったら?」
「今ここで半殺しにしてでも引きずって行ってやるよ」
「へっ、やってみろ」
アースリート対エドリート、現状エドリートの方が圧倒的に強いです。まぁ魔法使えないアースリート相手じゃ当然ですわな