FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」   作:タイキック新

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思ったよりかかった…


英雄

「もうよせナツ、私は英雄には馴れないし、お前も倒れたふりなど、この群集には通じんぞ」

 

「ニヒッ…勝負だ!!」

 

ミストガンの忠告を訊く気がないナツは、そのままミストガンに殴りかかる。

 

 

「ぐおっ!」

 

「王子!」

「なんて狂暴な奴なんだ」

 

 

 

「ぐっ…茶番だ!こんな事で民を一つになど…できるものか!!」

 

ミストガンは立ち上がり、ナツに殴りかかるが、ナツはその拳をアッサリと受け止めた。

 

「本気で来いよ」

 

「ぬおおっ!!」

 

ドガァ

 

ミストガンはナツに受け止められた拳の軌道を変えて、その勢いでナツの顔に回し蹴りを入れる。

 

「おぉー!」

「いいぞ王子ー!」

「やっつけてー!」

 

「ぐっぐっぐっ…はぁ!ギャラリーもノッて来たぞ!!」

 

「バカ者!ヤラセなんだから、今ので倒れておけ!」

 

「嫌なこった!!!」

 

ナツの右ストレートがミストガンの腹にクリーンヒットし、ミストガンはダメージを受ける。

 

「くうぅ…」

 

ミストガンもナツと接近していたことを利用し、そのままナツの顔を殴る。

 

「ぐわっ!」

 

「ふん!」

 

ナツのアッパーを、ミストガンは腕を掴んで受け止める。

 

ワー!ワー!

 

「これはオレ流の、妖精の尻尾式壮行会だ」

 

「!」

 

ナツは、ミストガンにのみ聞こえるように小さな声で話す。

 

「妖精の尻尾を抜ける者には、3つの掟を伝えなきゃならねぇ」

 

ナツとミストガンは、拳をぶつけ合いながら話を続ける。

 

「1つ!妖精の尻尾に不利益になる情報は、生涯他言してはならない!」

 

「ふたーつ!」

 

ドゴン!

 

喋りながら殴っていたナツだったが、ミストガンの拳をまともに受けてしまった。

 

「なんだっけ?」

 

掟を忘れたナツに、ミストガンが二つ目を告げる。

 

「過去の依頼者にみだりに接触し、個人的な利益を生んではならない」

 

「そうそう」

 

「3つ!例え道は違えど、強く力の限り生きなければならない。決して自らの命を小さなものとして見てはならない…愛した友の事を」

 

「生涯忘れてはならない」

 

ドン!!

 

掟を言い終えた二人の拳が、同時に顔にぶつかる。

 

「届いたか?」

 

「ギルドの精神があれば、できねぇことなんかねぇ」

 

踏ん張りを利かせ何とか立つミストガンと、倒れるナツ、これにより勝負の決着は完全についた。

 

「また会えるといいな!ミストガン」

 

そういうナツの顔は、満面の笑みだった。

 

ウオォォォ!!!

 

「ナツ…」

 

「王子が勝ったぞぉ!!」

「やったー!」

「王子ー!」

「ステキー!」

 

 

勝ったミストガンは、民から絶賛の歓声を受ける。

 

「終わったな…」

 

すると、ナツやリート…アースランドから来た者達の体が光だした。

 

「!お前…体が」

 

 

「始まった」

 

「さーて、派手に苦しんでやるか」

 

「まぁ、ほどほどにな」

 

 

リート達は、光に包まれながらゆっくりと空に浮かび上がる。

 

「お!ルーシィ、ハッピー」

 

「おーラリカ、無事だったか」

 

「「ナツ!リート!」」

 

「何か私の扱い雑じゃありませんこと?」

 

「無事だったか!お前ら」

 

「!」

 

リートが遠くを見ると、そこにはジフレクトが黙ってこちらを見ていた。

 

「…」

 

「…達者でやれよ」

 

「お前もな」

 

 

二人のリートが拳を突き出す。

 

「「リート…」」

 

「あっ、忘れてた」

 

そして、何かを思い出したリート達は喉や頭に両手を当てて悶える。

 

「「「「ぐわあぁぁぁ!!」」」」

 

ナツ、リート、ガジル、ウェンディの四人は苦しむ演技をする。

 

「何やってますの?」

 

「苦しそうなフリ」

 

「フリ!?」

 

「そーそー、大魔王が苦しんでんのに、オレだけシラフって訳にはいかねぇからな、ぐわあぁぁぁ!!」

 

「端から見るとシュールですわね」

 

「「「「ほっとけ!」」」」

 

 

「ま…まさか、人間までも空に流されていくとは、想定外だ」

 

「おぉー!魔王が空に流されていく!」

「王子が私たちを救ってくれたのね!」

 

空に流されていくナツたちを見て、国民達は大喜びしていた。

 

アースランドとエドラスの者同士、それぞれ別れの挨拶を済ませていく。

 

「バイバイ!エドルーシィ!もう1つの妖精の尻尾!」

 

「おぉい!頑張れよオレ!じゃなくてお前!」

 

「みんなー!またね!」

 

「何言ってるのよ。もう会えないのよ。二度と」

 

「!うわぁぁ!バイバーイ!」

 

「だらしないわね、泣くんじゃないわよ…グスッ」

 

「…皆様、本当にありがとうございましたわ」

 

そして、リート達はアースランドへと帰る。

 

(さようならリリー…ナツ、リート、ガジル、ウェンディ…そして我が家族、妖精の尻尾)

 

 

ザァァァァ

 

そして、アースランドではどしゃ降りの雨が降っており、リート達は、空から落ちて戻ってきた。

 

「ヌオォォォ!?」

「わぁぁぁ!!」

 

ドサドサドサドサ

 

 

「ッハハ!帰ってきたぞぉ!」

 

ゴーンゴーン

 

「うはっ!元通りだ!」

 

「どーやらホントに帰ってこられたみてぇだな」

 

「マグノリアの街も」

 

「やったー!」

 

「待て、まだ喜ぶのは早い…人々の安全を確認してから…」

 

「大丈夫だよー!」

 

「!」

 

エルザ達の他から聞こえる声、空ん見上げると、そこにはエグゼクティブ達が翼を生やして飛んでいた。

 

「一足先にアースランドに付いたからね。色々飛び回ってきたんだ!ギルドも街の人もみんな無事だったよ!」

 

「みんな魔水晶にされたことすら知らないみたい」

 

「アースランドってスッゲェな!魔力に満ちてる!」

 

 

「どーなってますの?」

 

「何で…何でエクシード達がアースランドに!?」

 

その後、シャルルはエクシード達を下ろさせアースランドに住まわせる事を否定する。

 

「冗談じゃないわよ!コイツらは危険、エドラスに返すべきよ!」

 

「まぁまぁ」

 

「エクスタリアもなくなっちゃったんだよ。許してあげようよ」

 

そこを、ハッピーとウェンディが何とかフォローを入れる。

 

「いやよ」

 

「強情ですわねぇ」

 

「って言われてもなぁ…アニマはもうねぇし、実質返すのは無理じゃねぇか?」

 

 

「石を投げたのは謝るよ」

「ごめんなさい」

「でもオレたち帰る場所がないんだ」

「これから改心するよ」

「もう許して」

 

エクシード達も許して貰おうと必死に謝る。

 

「そんなことはどーでもいいの!あんた達は私に、滅竜魔導士を抹殺する使命を与えてアースランドに送りこんだ!」

 

「そーさ!女王はオイラ達の卵を奪った!忘れたとは言わせねぇ、カァーー!」

 

「あなた」

 

「落ち着きましょうよラッキーさん」

 

「あなた、ここ面白いわ、もっと観に行きましょ」

 

「君はべつの意味で落ち着きなさい」

 

「あ!おじさん!」

 

「エウスのおじさま!アマネのおばさまも!」

 

 

「まだ、キチンと説明してませんでしたな。これは6年前の話しになります」

 

「女王シャゴットには未来を見る力があるのはもうお話ししましたね?ある日、彼女は地に堕ちるエクスタリアを見たらしいのです。今思えば、エドラスの魔力枯渇による自然落下だったのじゃが…。

当時、我々はそれを人間の仕業だと思っていた」

 

 

「そして、その危機に巻き込むまいと、子供達を逃がしたのです」

 

「逃がすだと!?」

 

「私たちもそんな話しは初めて聞きましたよ」

 

エウスとラッキーは驚きを隠せずにいた。

 

「いかにも、その計画はエクスタリアの民にも内密に行われました」

 

「そして、女王は嘘の…表向きのふでを出した」

 

「女王に嘘を言わせるのは心苦しかった…しかしやむを得なかったのですエクスタリアが地に落ちるなど」

 

「もちろん滅竜魔導士に恨みがあった訳ではありません」

 

「んなこたぁ分かるよ。何をするにしても理由は必要だしな」

 

「人間のアニマを借り、私たちの作戦は成功しました。しかし…1つだけ計算外の事が起きたのです」

 

「それはシャルル…あなたの力、あなたには私と同じような『予言』の力があったのです」

 

「え?」

 

「しかしそれは無意識に発動してるようであなたの記憶を混乱させたのです。避難させたエクシードの内、あなただけが、おそらくエドラスの断片的な未来を予言してしまった。そして、それを使命だと勘違いしてしまったのです」

 

「そんな…」

 

「じゃあオイラは…」

 

「元々そんな使命はなかったのですよ」

 

「不運に不運が重なった結果…というわけでしたのね」

 

そして、ナディ達も全て打ち明けた。

 

「ぼきゅたちは君が自分の力を知らないのをいいことに、さもぼきゅたちが操ってるように言ってみたんだ…ごめんね」

 

「全て女王様の威厳を演出する為の猿芝居…本当に申し訳ない」

 

「たくさんの不運と民や人間に対する私の虚勢があなたを苦しめてしまった。いいえ…6年前卵を取り上げた全ての家族を不幸にしてしまったのです。だから私はあなたに剣を渡したのです。悪いのはエクシード全てじゃない、私一人です」

 

「うおぉぉ!メェーン!!!」

 

「うおっ!?ビックリした」

 

「それは違いますよ女王様!」

 

寂しげな顔で謝るシャゴットに、エクシードの皆は励ますようにシャゴットの罪を否定する。

 

「女王様の行動は、全部私達を思っての事」

 

「オレたちだって、自分達の力を過信し過ぎてた訳だしな」

 

「せっかくアースランドに来たんだからさ皆で6年前に避難させた子供達を探そうよ!」

 

「僕たちの新しい目標ができたぞ!」

 

「今度は人間と仲良くしよう!!」

 

「新しい始まりなんだー!」

 

 

「ははっ、前向きな奴らだな」

 

「いいことじゃねぇか」

 

ナツとリートは、エクシード達の行動を笑って見ていた。

 

「新しい始まり、素晴らしい言葉ではないか」

 

 

「いいわ。認めてあげる」

 

「シャルル…」

 

「でも、何で私にアンタと同じ力があるわけ?」

 

シャルルの疑問を、シャゴット達は言葉を濁しながらごまかした。

 

「ごほっごほっ」

 

「ど…どうしてかしらね」

 

「いい天気じゃ」

 

「何か怪しいわね」

 

 

「おじさま」

 

「?どうしましたか?ラリカさん」

 

「あの二人って何か似てますわよね」

 

「おっと、気が合いますね。私も同じことを思ってましたよ」

 

「あら、浮気現場なの!?これは修羅場ってやつね、エウス、私を選ばないと捥ぐわよ」

 

「「どこを(ですの)!?」」

 

「とりあえず、無事に終わってよかったな!」

 

「はい!」

 

嬉しそうにするナツとナディだが、なぜかナツはナディのように片腕を上下に振り回していた。

 

「うつってんぞ…」

 

 

「私たちはとりあえず、この近くに住もうと思います」

 

「いつでも会えますね」

 

「何嬉しそうにしてるのよ」

 

「そう…いつでも会えるわ。シャルル」

 

シャゴットはシャルルをぎゅっと抱きしめた。

 

「ちょっ…」(温かい…)

 

 

「いつでも遊びに来てくださいね。ラリカさん」

 

「えぇ、お二人のそばにいるとリートと居るときのように居心地がよくて安心いたしますの。また、遊びに行かせていただきますわ」

 

「「!」」

 

「勿論よ!いつでも来て!すぐに来て!毎日来て!」

 

ぎゅーーー

 

アマネはラリカを全力で抱きしめた。

 

「ま…毎日はちょっと…」

 

「ハハハッ、ほら困っているから離れてあげなさい」

 

「あん!もう少しだけぇ~」

 

そして、エクシード達は自分のすめる場所を探しに空に飛んでいった。

 

「みなさん!本当にありがとう」

 

「また会いましょう!」

 

「元気でねー!」

 

「おーう!またなー」

 

「とりあえずバイバーイ!」

 

そして、エクシードを見送った後、ナツ達は今後について話し合う。

 

「オレたちもギルドに戻ろうぜ」

シュッシュッ

 

「みんなにどうやって報告しよう」

シュッシュッ

 

「いや、みんな気づいてねぇんだろ?今回の件」

シュッシュッ

 

「しかし、ミストガンの事は黙っておけんぞ」

シュッシュッ

 

「お前ら…話が入ってこねぇからその腕止めてくんね?」

 

気がつけば、リートとガジル以外の全員がナディのように腕を振っていた。

 

「ちょ…ちょっと待て」

 

「どうしたガジル…お前もマネしてぇのか?」

 

「楽しいですよ」

 

「それに価値があるならな!!!」

 

「…ないない」

 

「リリーはどこだ!?パンサーリリーの姿がどこにもねぇ!!!」

 

ガジルは辺りを見渡すが、それらしき影はどこにもない。

 

「リリー?」

 

「あのゴッツイエクシードのことよ」

 

「オレならここにいる」

 

リリーの声が聞こえ、全員がそちらに注目する。

 

そこにいたのは、エドラスの時とはかなりサイズの違うリリーの姿があった。

 

「ちっさ!!!」

 

「ずいぶんかわいくなったね」

 

「どうやら、アースランドとオレの体格は合わなかったらしい」

 

「そーゆーものですの?」

 

「アンタ、体なんともないの?」

 

「今のところはな」

 

「オレは、王子が世話になったギルドに入りてぇ、約束通り入れてくれるんだろうな?ガジル」

 

「ふーん…ギヒィッ!勿論だぜ!相棒~!!!」

 

ガジルは、泣きながらリリーの事を抱き締めた。

 

「うわっ!泣いた」

 

「よっぽど嬉しいんだな…」

 

「で…それとはべつに怪しいやつを捕まえてな」

 

リリーはそう言って手に持っていたロープを引っ張る。

 

「おぉ!早速手柄か!さすがオレの猫!」

 

「来い」

 

リリーは強めにロープを引くと、一人の人物が現れた。

 

「ちょっ…私、別に…怪しくなんか…」

 

バシャッ

 

「キャッ!私も妖精の尻尾の一員なんだけど」

 

そこにいたのは、エドラスで再開したリサーナだった。




本来だったらここでエドラス編を終わりにしたいんですけど…リサーナをギルドに連れてってパーティーさせるまでオリジナルが始められない悲しき現実…
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