FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」 作:タイキック新
S級試験リート編
リサーナが帰って来て、ミラやエルフマンと感動の再会を果たし、ギルドでは夜遅くまで全員がリサーナの帰りを祝って騒いでいた。
「みんな変わったねー、ギルドそのものも変わっててビックリしたけど、一番驚いたのは、リートとミラ姉がアタシがいない間に付き合ったことだなぁ、よかったね!ミラ姉、昔からリートに気があるんじゃないかって思ってたんだぁアタシは」
「フフフ、どうだったかしらね」
「おい、その話しそろそろ止めとかねぇと、エルフマンの精神がどんどんと削られていってるぞ?」
リート達が目を向けた方には、エルフマンが肩を落として分かりやすく落ち込んでいた。
「あらあら」
「あはは、そうだね、そろそろこの話しは止めておこっか」
「そー言えば、今年のS級試験はもうやったの?」
リサーナの疑問に、リートは答える。
「いや、まだ選抜すら発表されてないよ」
「そっかー、私がエドラスに行ったのってミラ姉がS級になってすぐだったっけ…あれ?そういえばリートがS級になったのっていつだっけ?」
「オレは4~5年くらい前だったかな?その時はまだエルザもS級じゃなかったしな」
「そうだった。アタシはナツとリートは一緒にS級になるものだと思ってたよ」
「オレも初めはそのつもりだったけど、こいつにそれはダメだって言われちまってな、まぁ、そんな感じでなったS級だけど、今は後悔してねぇし、よかったかなって思ってる」
「へぇー」
リートは、自分の膝の上で眠っているラリカを優しく撫でる。
「ふみゅぅ」
「ふふ、ラリカったら気持ち良さそうに寝ちゃって、一体どんな夢を見てるのかしら」
「さぁな」
「コホン……妖精の尻尾古くからのしきたりにより、これより……S級魔導士昇格試験出場者を発表する」
ウオオオオオッ!!!!
ラリカは、夢でリートがS級になった時の夢を見ていた。
「ついに来たか!」
「今年はオレがS級になるんだ!」
「いいえ、S級になるのは私よ」
「今年もこの日が来たな、ナツ」
リートは気分を高ぶらせながら、ナツに話しかける。
「おう!今年こそS級になるんだ!一緒にS級になろうぜ、リート!!」
「お前らには悪ぃが、今年はオレがS級になるぜ」
「グレイ!」
リートとナツの所に、パンツ一枚になったグレイが歩み寄ってくる。
「血気盛んなのはいいけど、お前はまず服を着ろ」
「うお!?いつの間に!?」
「フッ、お前たち、私を忘れていないか?私もこの日の為に数々の試練をこなしてきたんだ、選ばれる為にな」
「エルザ!」
「おう、エルザもやる気だな」
「オレとしては、エルザはほぼ間違いなく選ばれると思うが…」
「あなた方、まだ発表されてませんのに、もう自分が選ばれた気分でいらっしゃるんですわね」
リートの頭の上で、ラリカが辺りを見渡しながら話す。
「まぁ、それだけ自分に自信があるってことだよ」
「それでは発表する!!今回S級試験を受けるものは3名!!」
「3人か…思ったより少ねぇな」
「まずは一人!エルザ・スカーレット!!」
「当然だな」
「やっぱりエルザか」
「まだだ!!まだあと二人枠がある!」
「諦めろ、あとはオレと他の誰かだ、少なくともお前はねぇよ」
「何だとこのカチコチ変態男」
「やんのか熱血戦闘バカ」
「そしてもう一人!リート・イクシーズ!!」
「お、オレか、いやぁよかったよかった」
リートはホッと胸を撫で下ろす
「やはり、お前が選ばれたか、リート」
「よかったですわね。リート」
「「あと一人!!!」」
「そして、最後の一人は、カナ・アルベローナ!!!」
「……」
「カナか、これは面白い試験になりそうだ」
チーン
ナツとグレイの二人は、自分が選ばれなかったことにショックを受けて倒れてしまう。
「お二人とも~、汚れますわよ~」
「そっとしておいてやれ」
「以上が今回S級試験を受けるメンバーである!今回も毎年同様ペアを組んで試験に挑むことを許可する!そして、これも毎年同様に現S級魔導士に試験を妨害をしに出てもらうので心してかかれ!3日以内にペアを組んで準備しておけぇい!!」
そう言ってマカロフは壇上を降りて、その場から離れていった。
「なんでだ…オレはこの日の為に、大量の依頼をこなしてアピールしてきたってのに」
「オレだって…グレイ以上に仕事をこなしてきたハズなのに…」
グレイとナツは、あまりのショックに立ち上がれなくなっていた。
「しょーがねーだろ?最終的に決めるのはマスターなんだ、決まったモノは変えられねぇよ」
「リートの言うとおりだ、おまえ達は鍛練が足らなかった。ただそれだけだと言うことだ」
「「うっ…」」
「今回は諦めた方がいいですわよお二人とも」
「「ちくしょーーー!!!」」
「……」
ナツとグレイを見るリートの表情は、少しだけ暗く見えた。
その後、ギルドから自分の家に帰る途中のリートとラリカは歩きながら話しをしていた。
「……なぁ、ラリカ」
「ダメですわよ」
「!」
「今回のS級試験を辞退したいって言うつもりなのでしょう?」
「っ…なんで」
「わかりますわよ、それなりにアナタとは一緒にいるのですもの。でも、だからこそダメと言っておきますわ」
「…理由を聞いてもいいか?」
「今回選ばれたのは間違いなくリートの実力で勝ち取ったモノですわ。けど、選ばれたアナタが辞退なんてしてごらんなさい、選ばれなかった人たちの気持ちはどうなりますの?」
「……」
「グレイや、エルフマン、選ばれたエルザも必死に今年こそはって努力してましたのよ。そして、もちろんナツも…アナタがナツと一緒にS級になろうと約束してるのはギルドの方達から聞いてますわ。けど、それは二人で選ばれたらの話しですわ。でも今年はリートだけが選ばれた」
「…」
「一緒になろうとしているのは熱い友情のようで私は嫌いではありませんわ。けど、私欲で辞退を選べばそれこそ選ばれなかった方たちに失礼だと思いませんの?
なにも、S級試験は今年で終わりってわけじゃありませんわ、来年、再来年とナツがS級になるのをアナタがS級という壁になっていくらでも待ってあげればいいですわ」
「…そうだな、オレが間違ってた」
リートは表情を明るくし、前を向く。
「分かればいいんですのよ」
「あぁ、すまなかったな変なこと言おうとして」
「気にしてませんわ」
そして、リートが次に考えるのはペアとなる相手だった。
「となると、後はオレのペアを決めねぇとな…」
「私が一緒にいきますわ」
ラリカの発言に、リートは目を丸くする。
「へっ?」
「なんですの?文句でもありまして?」
「いや、文句はねぇよ…けど、いいのか?オレなんかとペアになって」
「いいですわよ別に、私がそうしたいと思ったから言っただけですわ」
「それと」
ラリカはリートから飛び降りて地面に仁王立ちになり、ビシッという効果音でも付きそうな勢いで、リートに指を指した。
「オレなんか、などというのはお止めなさい。私の友人に、自分なんか、などと言える程度の方は一人もいませんのよ」
そう言われて、リートは笑みをこぼす。
「ふっ…そっか、じゃあよろしく頼むぜ」
「えぇ、アナタを絶対にS級魔導士にしてあげますわ」
二人は固く握手をすると、その後家に帰っていった。
次は試験当日からです。あと、昼にもう一話出しておきます