FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」 作:タイキック新
発表前日
「うんめぇ~!ミラ!今日のかき氷はまた格別だな!」
「フフッありがと、おかわりが欲しければ言ってね」
エドラスから帰ってきてから数日が経過した今日この日、リートは騒がしいギルド内でいつも通りミラの作ったかき氷を頬張っていた。
「よく飽きませんわね、毎日かき氷なんて」
「好きなものはいつ食っても旨いんだよ。それがミラの作ったやつなら尚更な」
「ハイハイ、甘ったるい事この上ないですわね」
「かき氷がか?」
「あなた方がですわよ」
「いいじゃねぇか、あー」
ムギュッ
「ぶっ!」
「ミラさーん!!訊いてくださいよ~!!」
リートがかき氷を頬張ろうとした瞬間、ルーシィがリートを身体で押し潰してミラに話しかける。
「あっ…」
「大丈夫?リート」
「あっ…ごめんリート」
「お前…オレに何か恨みでもあんの?」
「それで?どうしたの?ルーシィ」
「オレが潰されてるのはもうスルーなの!?」
それからルーシィは、前日にあった出来事を話す。
珍しくカナが、ルーシィの家に上がり込みギルドを辞めようと思うと話したこと、その理由を話そうとしなかったことを。
「…という訳なのよミラさん!!!カナってば理由も言わないし!!!もうどーなってるんだか!!」
「あー、それか」
「あれですわね」
「え!?リートとラリカは知ってるの!?」
「えぇ」
「あぁ、アレだな」
「でた!!アレ!アレって何なのよ」
困惑するルーシィを、ミラが落ち着かせる。
「大丈夫よ。この時期になるとカナはいつもそうやって言い出すの」
「えぇ!!?ってかこの時期って!?」
「仕事仕事ォ~!!!」
「あいさー!!」
ナツとハッピーは、張り切って仕事に行こうとしルーシィの後ろを通りすぎていった。
「ちょっと!!仕事ならアタシも…」
「悪ぃ!!この時期は一人で行くんだ!!」
「戻ってきたら遊んであげるね!!」
「おっとそうだ…リート!」
ナツは振り返り、リートを指差す。
「ん?」
「今年こそはお前に並んでやるぞ!!覚悟しとけよ!!」
リートはかき氷のスプーンを口に咥えながら、手をヒラヒラと振る。
「分かってる。一緒にイグニールのおじさんとフランドーラを探す範囲広げねぇといけねぇんだからな。頑張ってこい」
「おう!」
「ナツ~早く行こうよー!」
「おっといけねぇ!!」
ナツが踵を返すと、目の前からグレイが走ってきていた。
「「どわぁぁ!!」」
「前見て走れよこのド桜ツンツン頭!!!」
「テメェこそ邪魔なんだよムッツリパンツ!!!」
「二人とも喧嘩してる時間あるの?」
「「ハッ!そういえば!!」」
ナツとグレイは喧嘩を止めて、次の仕事へと動き出す。
「ただいま!」
「お帰りグレイ、服は?」
「それどころじゃねぇ!!次の仕事コレな!!」
「ハイ、行ってらっしゃい」
「え!?もう次の」
「姉ちゃん!!オレはこの仕事行ってくる!!」
「ひゃあ!!?」
グレイの次はエルフマンが、仕事の依頼書を持ってきた。
「張り切ってんなぁ」
「そりゃあ、アレがありますもの、当然ですわよ」
仕事仕事~!!
ギルドのカウンターに次から次へと仕事の依頼書をもってメンバー達が押し寄せてくる。
「な…何事なの」
「…さてと、オレもそろそろ行くか」
「そうですわね」
「え!?リートも仕事に行くの!?」
リートとラリカが立ち上がるのを、ルーシィは驚いた顔で見る。
「おう、つっても余り物の仕事だけどな」
「余り物?」
「ミラ、今残ってるので古くて日帰りでできそうなの、まとめて持ってきてくれ、今日中に全部済ませてくる」
「全部!?」
「はーい、あまり人気のない仕事だけど、よろしくね」
「滅多なこと言うもんじゃねぇよ…どんな小さい仕事でも仕事は仕事だろ」
「フフッそうね、それじゃあラリカ、手伝って」
「了解ですわ」
そう言ってミラは、依頼書を取りに行った。
「はい!アタシもついて行きたい!!」
リートが依頼書を待っていると、ルーシィが積極的に手を上げる。
「ん?別にいいけど、大した仕事じゃねぇぞ多分」
「いいの!それよりもまだ聞きたいことあるし、リートとラリカは何か知ってそうだし」
「ふーん、まぁいいぜ、ルーシィは入って半年ぐらいだから今年は選ばれねぇだろうしな」
「選ばれる?」
「お待たせ、はいコレが余ってる分の仕事ね。じゃあ今年もよろしくね」
ミラは、三枚の依頼書をリートに手渡した。
「りょーかい行くぞ、ラリカ、ルーシィ」
「あら?ルーシィも行きますの?」
「うん、ダメ?」
「そんなことありませんわよ。リート、エスコートしてさし上げなさいな」
「いつものメンバーとそんなに変わらねぇのにか?」
「レディにはエスコートするものですわよ」
「ヘイヘイ」
リートは、荷物を持って立ち上がった。
「変なことしないでよ?」
ルーシィはニヤニヤとしながらリートをからかう。
「しねぇよ!?」
「リート、ルーシィに手を出したら…言わなくても分かるわよね?」
「…あい」
ミラの脅しに萎縮したリートは、そのまま二人と共に仕事に出掛けた。
それから、三人は依頼者のいる街へと向かっていた。
「生きた心地がしなかった…」
「アハハ…ごめんごめん」
「ったく…えーっとラリカ、今回の仕事は何がある?」
「ちょっとお待ちくださいまし、今読み上げますわ」
ラリカは依頼書に目を通して内容を読み上げる。
「薬草探しに、魔牛の討伐…あら?盗まれた盗品を取り返すなんてのもありますわね」
「そんなにたくさん一度にできるの?」
「普段はやらねぇんだけどな、オレがやってもあまり意味ないし、残った依頼は誰でも出来るか、依頼のランクが低いかでどうしても余り物が出てくるんだよ。
そーゆーのをオレはまとめて片付けてるってわけだ。
やってもアピールにはあまりならねぇからな」
「アピールって…誰に?」
「マスター…あ、ほらっ、ついたぞ」
リート達の目の前に街が広がっていた。今回の依頼の三枚は、全てこの街からの依頼だったのだ。
「え!?気になるところで話しそらさないでよ」
「仕事中に教えてやるよ」
リート達は街に入ってからリート、ラリカ、ルーシィへと一枚ずつ依頼書を分けて持つ。
「んじゃ各自で依頼内容を聞いたらここに再度集合ってことで、集まったらまとめて仕事を片付けるぞ」
「わかりましたわ」
「うー、話しが気になって集中できない~!」
そこから、三人はそれぞれ依頼の内容を聞いて再度集まると、仕事に取りかかる。
「さてと、まずは薬草探しからやるか…こういうときは手分けしてやった方が効率的なんだけど…」
ジトー
ルーシィの何かを言いたげな視線が、リートに突き刺さる。
「はぁ…わぁーった。薬草探しながら説明してやるよ」
「流されてますわねぇ~」
「ラリカが説明してくれてもいいのよ?」
「パスですわ」
「即答かい!!!」
リート達は山の中に入り、薬草を探しながら話の続きをし始めた。
「えーっと、どこまで話したっけ」
「リートがまとめて仕事を片付けてる理由と、マスターにアピールがどうのって話しから」
「あー、つまりだな。簡潔に言ってしまうと、明日マスターが決めたメンバーで試験があるんだよ」
「試験?」
「そう、その試験は年に一度しかなくてな、みんなはそれに選ばれるために必死こいて仕事をこなしてるって訳だ。まぁ必要ないやつもいるけど」
「でも、あたしは選ばれないだろうって言ってたけど、どーして分かるの?」
「選抜メンバーは一年間の成績を見て選ばれますのよ。だから、入って半年のルーシィだと比較的可能性は低いって訳ですわ。もちろん選ばれる可能性もゼロではないですけど、こなした仕事量や、その実力をいかに見せつけれていたかを見られるわけですから、ほとんどナツ達と一緒にいたルーシィならナツ達の方が撰ばれる可能性が高いと思ったんですのよリートは」
「んま、そーゆーことだ」
「へぇー、それとカナの事と何の関係があるの?」
「さぁ?カナの事はよく知らねぇけど、アイツ毎年試験が近くなるとギルドを辞めるって言い出すからなぁ」
「何かしらはあるんだと思いますわ」
リートもラリカも首をかしげる
「…因みに~その試験って何の試験なの?」
「ん?S級昇格試験」
「へぇー…S級……はぁ!!?S級昇格!?」
「その発表が明日な」
「じゃあ!!それに合格したらS級になれるってこと!!?」
「そうだよ、お!薬草見っけ。これで全部だな。んじゃ次行くぞ~」
「あっ!ちょっと待ってよー!」
そして、その日ルーシィはなぜかソワソワしながらリート達とギルドに戻るのだった。
なんとなくオリジナルにしてみたかった…ただそれだけです