FAIRY TAIL もう一人の滅竜魔導士「氷竜」 作:タイキック新
「あ…あれ?体が…」
ズルッ
ビックスローとの戦いの後、ルーシィは壁に体を預けると座り込んでしまった。
「王道12門を二体も使ったからね」
「それ以外にも、あの野郎と戦ってボロボロなんだ、今立ててるのが不思議だぞ?」
ハッピーとバンクが、ルーシィの元へとやって来た。
「にしても、あれ…どうするよ?」
「あれ?」
バンクが指を指した方には術式が表れており、【この中で一番強い者だけが出る事ができる】と表示されていた。
「いつの間に…」
「どーする?オレとオマエで戦うか?」
「いやよ!!さっきのは仕方なかったとしても、仲間同士で争うなんて絶対にしない!!!」
その言葉を聞いたバンクは、壁にもたれ掛かり座り込む。
「だったら、リート辺りが術式を使ってる奴をぶっ倒すのを待つしかねぇな…術式が消えるまで、オレは寝かせてもらうぜ。オマエも休める内にしっかり休んでおけよ、どーせ今戦いに参加しても足手まといにしかならねぇからよ」
ルーシィは、少しだけ寂しそうな顔をするが、バンクの言うとおりにする。
「うん…悔しいけど、魔力の残っていない今のアタシじゃ皆の力になれない…せめてこの術式が消えるまでは休ませてもらうわ」
「そう言う事なら、僕も星霊界に帰らせてもらうね。ルーシィ、僕はいつでも助けに来るから」
ロキは、ルーシィが奪われた鍵を拾いソレを渡した。
「うん、ありがと」
ロキはにこりと笑って、星霊界へと帰って行った。
「そーいえば…ねぇバンク、アンタさっきリートの事を名前で呼んでなかった?いつもは氷竜って…」
「ガァーーーッグゥーーー……グルルル…」
ルーシィがバンクを見ると、バンクは既に眠ってしまっていた。
「ってホントに寝てるし!!しかも早!!」
「犬みたいなイビキだね…」
……
リートは魔水晶を何とかしようと、街を走り回り何かないかと辺りを見回していた。
「くそっ…やっぱラクサスを倒すべきか…いやこの場合だとフリードの方が先か?…」
すると曲がり角から誰かが現れ、リートが即座に止まろうとする。
ゴス!!
「ぶっ!!?」
リートが止まろうとしたとたん、ぶつかりそうになった誰かに、顔面を殴り飛ばされた。
「っつーーー」
「あ?なんだ、リートかい」
「ブッ!!!ア…アクナさん!!?」
リートが顔を抑えていた手を退けると、目の前にアクナが立っていた。
「なんでここに?」
「それはこっちの台詞だ。テメェこんなとこでなにボケッとしてやがんだ」
「いや、俺はあの魔水晶を何とかしようと思って…」
「ほぉ、で?何か策はあるのかい?」
「いえ、今のところは」
「っち、使えねぇ」
「ひっでぇ言われよう…」
そして、リートとアクナの周りで術式が展開される。
「「は?」」
それは、妖精の尻尾のメンバーを強制的に戦わせようとしてフリードが張った術式だった。
「これって…まさか…」
「あん?どー見ても術式だな」
「最悪だ!!!」
リートが、この世の終わりのような顔をする。
「つーか何でアクナさんと戦う事になるんだよ!!!この人妖精の尻尾のメンバーじゃねぇじゃん!!!」
ゴン!!
「いてぇ!!!」
アクナは、騒ぐリートを拳骨で大人しくさせる。
「ギャーギャーわめくんじゃねぇ、アタシはこのバトルの間だけ参加することになったんだよ。その間はアタシも妖精の尻尾の魔導士の一人って訳だ」
「なんでそんなことに…」
「あのラクサスってのが気に入らなかったから」
「意外とアバウトな理由ですね!!!」
「とにかく、アタシもさっさとここを出ねぇといけねぇ、この術式をぶち壊せるか試させてもらうよ」
「ぶち壊すって…」
アクナは術式の前に立つと、全力で術式を殴る。
「ふん!!」
ドゴォォン!!!シュウウウゥ
「っち」
アクナのパンチでも、術式が壊れることはなかった。
「いや…普通、物理的に壊そうとします?戦闘をさせる為に張ってる術式がちょっとやそっとで壊れる訳がないじゃないですか」
「やってみねぇとわかんねぇだろ」
「相変わらずこの人無茶苦茶…」
「つー事は、後はアンタをぶっ潰すしかねぇ訳だが、どうするんだい?」
アクナはリートの方を振り返り、戦闘の体制に入る。
「こんなとこでまでアナタと戦うのは嫌ですよ…こーなったら、誰かにフリードを倒してもらうしかないですね」
「仕方ねぇ、今はそれしかねぇか」
アクナは、近くの壁にもたれ掛かった。
「ホント…なんでこんなことに」
………
『妖精の尻尾ギルド』
出入り口の術式に途中報告が表示された。
【バトル・オブ・フェアリーテイル途中結果
ビックスローVSルーシィVSバンク
ビックスロー敗退、ルーシィVSバンク両者行動停止中】
【リートVSゲスト両者行動停止中】
「おっ、バンクの野郎、一人倒したのか、ギヒッやるじゃねぇか」
「ルーシィも強ぇぞきっと、リートもあのばっちゃんと一緒にいるみてぇだな」
「強ぇって、ウソだろ?だってバニーだぞ?」
「さすがルーちゃん!!私も負けてられない!!!」
レビィは、術式の解読に専念する。
「あとは、ここさえ解ければ…」
「バニーは強えんだよ!」
「そんな話聞いたことねぇヨ」
「術式を書き換えて…」
「おまえ、ウサギと亀の競争の話知らねーのか?」
「ウサギ負けてんだろそれっ!!」
「だけどここが最難関………」
「最初の一回はな、この後何百回競争してもウサギの連勝だ」
「な…なるほど教訓を活かして……」
「それだっ!!!」
「「!!!」」
レビィは、ナツとガジルを指差す。
「そうだよ!!2つの文法を違う速度で解読していくんだ!!一周して同期した文字の整数をギール文法に変換してさらにローグ言語化」
レビィは、次々と文字を本に書いてゆく。
「解けたっ!!!」
「「おおっ」」
「待ってて術式を書き換えてくる」
「準備はいい?バトル・オブ・フェアリーテイル参戦だよ」
ナツもガジルも、既に準備は万全だった。
「おう!!!」
「ひと暴れしてやんよ」
………
「!エルフマン!」
石化から解放され街へと出ていたミラは、エバーグリーンに負けて倒れているエルフマンを見つけた。
「ね…ねぇちゃん…」
ミラは、エルフマンの元へ駆け寄った。
「ひどいケガ…」
「よ…よかった……元に…戻れ…たん……だ…」
「ごめんねエルフマン、ごめんね」
「何で…姉ちゃんが謝る…の?」
「私…ファントムの時も…今回も……何もできなくて…それで……」
「何も…しなくていいんだよ……姉ちゃんは……」
「このくだらねぇケンカが終わったら、笑顔で皆を迎えてくれればいい」
「うっ…うえ…ひっ」
ミラの目からは、涙が流れていた。
「頼むよ姉ちゃん…泣かないで、そんな顔をしたら、オレも…リートも悲しむから」
…………
「ジュビア…神鳴殿発動まであとどれくらい?」
「30分くらいだと思います」
「もぉっ!!!何がバトル・オブ・フェアリーテイルよ!!!自分は隠れて何もしてないじゃないのラクサス!!!」
「どこにいるんでしょうね」
「ラクサスは魔力を溜めている。本気でマスターと戦うつもりなんだ。その為に力を今溜めている」
「フリード!!!」
カナとジュビアの目の前に、フリードが現れた。
「この人が術式の…!!?」
『おまえはカナとファントムの二人をやれ殺してもいい』
フリードの頭の中で、ラクサスに言われた台詞が流れる。
すっ
フリードは、カナ達に背中を向け、離れていく。
「あ」
「逃げるつもり!?」
カナ達は、フリードを追いかける。
「待ちなさい!!!」
ピタッ
「!!」
フリードが立ち止まると、カナ達の足下が光りだす。
「術式!!?」
術式は、カナとジュビアを囲み展開された。
「しまった!!!」
「罠!!?」
【ルール
どちらかが戦闘不能になるまでこの術式から出る事を禁ずる】
術式は、他のメンバーがかかったものと同じく、強制的に争わせるために書かれたルールと同じ事が書かれていた。
「どちらかが、戦闘不能?」
「勝った方と相手してやる。さぁ始めろ」
「卑怯よフリード!!!!一対一がいいならこんな事しなくても私が相手になるよ!!!!ここから出しなさい!!!!」
「こうやって仲間同士争う事に…」
「それとも何かしら?二人同時に戦うのが怖い訳!?女二人にビビッちゃって情けないわねフリードォォ!!!」
フリードは、カナの挑発に淡々と答えた。
「オレ自身の殺生人数を極力減らしたいだけなんだがな」
「なんだと てめぇっ!!!」
「こうなった以上、仕方ないですね」
ジュビアは、自分の体を水に変える。
「ジュビア…アンタ…」
「フリードさん、本当にどちらかが倒れれば潔く戦ってくれますか?」
「オレはルールを絶対に破らない」
フリードの一言で、ジュビアは覚悟を決めた。
「よかった」
「本気なのジュビア!!こんな所でやりあっても奴の思うツボ…」
ザッ
ジュビアが水になり、カナの方向へ突進する。
「ちょっ」
ザァァァ
「!!!」
しかし、ジュビアはカナと戦うわけでなく、カナを通り越し、壁を伝って上昇していく。
「え?」
「どんなに高く上昇しようが術式からは出られんよ」
フリードの言葉を無視し、ジュビアは更に高く上って行く。
「誰かを傷つけるくらいなら、仲間を傷つけるくらいなら」
ジュビアが目指すその先には、神鳴殿の為の魔水晶がある。
「魔水晶に向かっ…まさか!!?」
「やめなさい!!!それに攻撃しちゃダメ!!!」
「ジュビアは道でいい!!!!」
そう言うとジュビアは、魔水晶を一つ破壊してしまった。
「ジュビア…」
バチバチバチバチ!!!
「うあああっ!!!!」
神鳴殿で瀕死になったジュビアが、地面に落下する。
「アンタ!!!」
カナは、慌ててジュビアへと駆け寄る。
それと同時に、術式も解除された。
「こ…これで……術式は…と…解けました」
「なに考えてんのアンタ!!!」
「ジュビアは早…く……認めてほしい…」
「妖精の尻尾の仲間だ…って みんなが大好き……」
ジュビアの目から涙が流れる。
「とっくに仲間よ!!!!認めるも何もとっくに仲間なの!!!!アンタは立派な妖精の尻尾の魔導士なのよ!!!!」
「嬉し…」
ガクッ
ジュビアの意識がなくなり、カナが泣き叫ぶ。
「ジュビアーーー!!!!」
(なんだコイツは…自分が生き残ることより……仲間を生かす道を……)
「フリィィドォォォ!!!!!」
とりあえず、ナツ達が解放されると同時にリート達が術式に捕まりました。
バンクの場合、小動物が同じ小動物のいる小屋に入れられたような感覚なのでしょうが、
リートの場合、小動物が猛獣のいる小屋に入れられたような感覚なのでしょうね。
リート…ラクサスと戦う前に死ぬんじゃね?