風紀委員長の弟にご用心   作:後生さん

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分身するパイナップル

 

 

 

 赤ん坊の台詞に僅かに眉を寄せると、ついに()が動き出そうとした。僕を外しての全員を眺めると、獄寺隼人がずいっと前に出て意気込む。

 

 

「10代目!此処は俺に」

 

「だけど相手は!」

 

 

 沢田綱吉にかまけず、獄寺隼人は動く。

 

 

「りん!ぴょう!とう!しゃ!」

 

「(魔除け!?どこでそんな知識を!)」

 

「──獄寺隼人、ふざけてるの?」

 

「(ヒィィイ!?雲雀君が怒った!!)」

 

 

 まさかと思って見守ろうとしてた僕が今回ばかりは悪かった。普通しないでしょ、こんな場面で。

 僕の絶対零度な視線に獄寺隼人は怯むが、呻く声に僕もハッとして()を凝視した。

 

 

「う、うぅっ」

 

「!っかい!じん!れつ!」

 

「き、きいてる!?」

 

(乗るのかよ)

 

 

 呻きながら倒れた()を、沢田綱吉は心配そうにしている。 ──けれど僕は逃さなかった。呻きながらも骸が一瞬密かに笑みを浮かべた事に。

 もしかしなくともあんた、この状況を楽しんでるよね?

 

 姉の様子を見に行こうと迷う沢田綱吉に、獄寺隼人は清々しい笑顔で名乗り出た。

 

 

「俺やりましょうか?」

 

「獄寺君、!──骸!!」

 

 

 キン!っと振り翳された剣に沢田綱吉はギリギリ躱し倒れ込む。僕はその切り返しに目を丸くさせて、暫く獄寺隼人()を眺めてしまった。

 

 

「り、リボーン!獄寺君が!」

 

「ほぅまぐれでは無いのですね。初めてですよ僕の憑依を一目で見抜いた者は。つくづく君は面白い」

 

「そんな!?どうなってんの!?」

 

 

 君の方こそどうなってんの?

 沢田綱吉が骸に気付くまで、僕は全くと言っていい程骸の気配に気付かなかった。

 獄寺隼人が清々しい笑顔を浮かべた時も、骸を倒せて調子に乗ってるんだとばかり思ってたのに。

 

 

(…これかな。兄さんが感じてるところ)

 

 

 物言わない兄さんを横目で見ていると、赤ん坊が今度こそわかり易く顔を顰めた。

 

 

「間違いねぇな、自殺と見せ掛けて撃ったのはあの弾だな。…憑依弾は禁止されてる筈だぞ。どこで手に入れやがった?」

 

 

 憑依弾…?

 裏社会になんて関わりのない、ましてや興味のない僕は当然理解のない話だった。

 

 

「気付きましたか、これが特殊弾による憑依だと」

 

「ええ!?特殊弾って死ぬ気弾とかの!?」

 

「そうだ、憑依弾はその名の通り相手の肉体に取り憑いて自由自在に操る弾だぞ」

 

「なんだって!?それじゃあ、そのせいでビアンキと獄寺君が…」

 

 

 ふぅん、なるほど。そもそもどうやってそういった弾を作る事になったのか知りたい所だけど。

 

 

「エストラーネロファミリーの開発したと言われる特殊弾でな。こいつを使いこなすには強い精神力だけでなく弾との相性の良さが必要とされているんだ」

 

「僕との相性は抜群ですよ」

 

「憑依弾はあまりにも使用法が酷かったために、とっくの昔に禁止され弾もその製造方法も闇に葬られたはずだったんだがな」

 

「これはマインドコントロールの比じゃありませんよ、操作するのでは無く乗っ取るのです。──つまりこの体は僕のものだ」

 

 

 獄寺隼人の身体に、自らの爪で傷をつける獄寺隼人()に沢田綱吉は悲痛そうに声を荒らげた。

 

 

「やめろ!」

 

 

 …僕としては、獄寺隼人がどうなろうが知ったこっちゃ無いからどうでもいいんだけど、そろそろ僕には理解の薄い裏社会の話を持ち出してくるのはやめて欲しい。興味ない話は飽きてくるんだよね。

 マフィア関連なら余所でやって欲しい…無理か。

 

 

「ランチアほどの男を前後不覚に陥し入れたのはその弾だな。だが、なんでお前が持ってんだ!」

 

「僕のものだから…とだけ言っておきましょう。さぁ君に憑依する番ですよボンゴレ10代目」

 

「な!?俺に!?」

 

「やはり、お前の目的は…」

 

「目的でなく手段ですよ。若きマフィアのボスを手中に収めてから、僕の復讐は始まる」

 

「な!?何言ってんの!?そ、そんな!俺なんかに憑依したって、ダメダメで良い事無いって!」

 

 

 うん、ここら辺はもう骸自身から聞いた。

 要するに、骸は死んだ訳じゃなく特殊な弾による効果で殆ど仮死状態であると。

 左耳から右耳に聞き流していると、赤ん坊が沢田綱吉に警告を発する。

 

 

「奴の剣に気をつけろ!」

 

「え?」

 

「あの剣で傷つけられると憑依を許すことになる」

 

「よくご存知で」

 

「──その通りです」

 

「ビアンキ!」

 

 

 獄寺隼人()が剣を後方に投げつけそのまま倒れ込むと、剣を受け取り立ち上がった()が声を上げる…って、気持ち悪い。何これ気持ち悪いんだけど。実質骸が二人居るってことでしょ?何それもぎ取りたい。ていうか一々倒れて移り変わる必要あるの?僕の視線を受けると、何となく骸が落ち込んだ気がしたのは幻覚だろうか。

 

 

(ん、あれ、こっち来た)

 

 

 何故か()がこっちに来たので、取り敢えず何をしでかされるのか溜まったもんじゃない故に拳を構えると、やはり落ち込んでる気がした。

 

 

「…もっとも僕はこの行為を契約すると言ってますがね。──裕弥、少し彼を借りますよ」

 

「…ぁあ」

 

「ま、まさか…!雲雀さんの中にまで!?」

 

 

 小声で言われ、そのままサッと振り翳された剣を自然に避けて兄さんから遠ざかると、()は兄さんの頬に剣で切れ込みを入れると倒れた。そして、寝ていた筈の兄さんが立ち上がり、そのまま駆けて行くと思い切り沢田綱吉を殴った。けれどすぐに苦しげに顔を歪めると力尽きた様に倒れ伏す。

 

 

「おや?この体は使い物になりませんね、これで戦っていたとは恐ろしい男だ雲雀恭弥」

 

「雲雀さん!…骸の気配が消えた」

 

 

 まぁ、骸は察していた上で兄さんに乗っ取ったんだろうね。態々僕に言う必要ないし。

 赤ん坊は再び沢田綱吉に警戒を促すが、どちらか一方ではない二人同時の憑依に目を見張った。

 

 

「そ、そんな!獄寺君?え!?ビアンキにも!?二人同時!?」

 

「ちげえぞ。奴らもだ」

 

「んな!?骸が四人!」

 

 

 あれは…、と僕は目を瞬かせた。

 いつの間にやら骸の部下であるガラクタ二人が戻ってきていた。散々な目に合わせて動けない身体であった筈なのに、よくここまで来たものだよね。

 

 

「同時に四人に憑依するなんて、聞いたことねえ」

 

「それだけでは…ありませんよ!」

 

「ダイナマイト!」

 

「憑依した奴の技まで使えんのか」

 

 

 

 





さぁどうしようか!考えてないぞこの先!
アニメ見ないと…まぁ皆さん待ってくれてると信じて。 

中途半端でサーセンっ。いやどれもそうか…。
感想・評価で急かされたら……いや急かさないでください、後生ですから…!!気長にお待ちを!ではでは!


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