風紀委員長の弟にご用心   作:後生さん

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沢田綱吉視点

綱吉 side

 

 

 雲雀さんに教えられて、急いでお兄さんの容態を確かめに並盛病院に向かえば、意外にもお兄さんは元気そうで安心した。あの時京子ちゃんも来ていたからどう思うかヒヤヒヤしたんだけど、何だか勘違いしていたみたいで、だけど少しホッとしたっけ。

 

 並盛生襲撃事件。

 リボーンがこれは俺を狙って起きた騒動だと言うから、雲雀さんが怒っていた様子を思い出してかなり青ざめた。

 すると、実は病院に来る前に襲われていた獄寺君の詳しい話によれば、実行犯は“六道骸”の命令によって動いてたらしく、襲われていた被害者も俺を見つける為、フゥ太の並盛の喧嘩ランキングを素に襲撃されていたらしい。

 …そういえばフゥ太、俺の家で別れてから姿を見てないけど、今はどうしてるんだろう。大丈夫かな?

 

 その後六道骸の居場所を、何となくだけど黒曜ランドだって思い付いてから行く事を決断しようと皆に話してた時、何処かに行った筈の雲雀さんが現れた。

 思わず情けない声を上げてしまったけど、実は雲雀さんの弟で、まさかの俺達の同級生だった。

 

 

(パッと見、本当に雲雀さんにそっくりだから、間違えちゃったんだよね…)

 

 

 確かによく見れば学ランはきちんと着こなしてるし、顔も雲雀さんより幼い感じだし…けど、やっぱり性格とか口調は雲雀さんみたいで、同い歳とは思えないくらい達観?大人っぽい?から、ついつい恐縮しちゃってあたふたしたら、無表情なのにキツい喝で急かされて、もう泣きそうだった。

 

 そんな時、やっぱり獄寺君がキレちゃって、よりにもよって挑発する様な言葉を言っちゃって…──次の瞬間、俺は息が出来なくなった様な感覚を覚えて、ただただ固まることしか出来なかった。

 

 

「きゃんきゃん吠える事しか能がない忠犬は黙ってくれる?僕に、その安いプライドで勝てるとでも思ってるの?兄さんにさえ軽く沈んだガラクタ風情が僕に何か言う権限はないよ。僕は言った、何してるのかを。ガラクタはただ素直に僕の言葉に返事すればいいの。それとも、まだ僕に何か言えるほど、ガラクタは意志を保っているわけ?」

 

 

 その台詞に。俺が言われた訳じゃないのに、俺は本当にちっぽけな、孤立した“ガラクタ”の様な存在だと突きつけられた感じがして、酷く寂しくなった。

 これは恐れじゃない。怯えでもない。

 

 …寂しいんだ。何でそう思ったのかは分からない。

 けど、直感的に、そんな想いを抱いた。

 

 

(それ程に“ガラクタ”という単語が、何処か気になってしょうがない)

 

 

 深く考える前にその殺気は消えて、雲雀君は疲れた雰囲気でもう一度問い掛けてきてくれた。

 ハッとなって、今度こそは要点だけを伝えると、一瞬驚いてすぐにイラッとした雰囲気を醸し出した。

 

 

(一見、雲雀君って無表情だけど、その雰囲気は凄く表情豊かなんだって事に、その時気付いたんだ)

 

 

 まさか雲雀君も黒曜ランドに赴く用事があったなんて。

 しかもそれが、俺達と同じで六道骸を確かめる為だって言われたから、元凶である俺はドキリとしてしまった。

 確かに風紀委員として…いや、雲雀君達にとっては当然な事なんだろうけど、だけど幾ら何でも危険すぎる!ていうか雲雀さんはとっくに行ってるとか行動力ヤバすぎるだろ!

 行こうとする雲雀君を、俺は結構普通めに引き留めたんだけど、やっぱりというか見事に跳ね返されてしまった。

 

 

(一匹狼っていうより、雲雀君はただ、雲雀さんに合わせているだけなのかなって、少し思ったんだよね)

 

 

 獄寺君が未だに黙って…静かにしてくれていたお蔭でこれ以上の怒りを雲雀君から買う事はなくて安心した。

 あの時の怒り様はかなり怖かったから慌てて否定したけど、結果として雲雀君を引き留める事は出来なかった。

 俺って本当、情けないよなぁ…。

 

 雲雀君との干渉に暫く思考を浸らせてたら、お尻に大きな衝撃がぶつかって、俺は地面と衝突した。

 

 

「おいダメツナ、何ボケーっとしてやがる」

 

「ってぇッ!?おいリボーン!一々暴力に訴えるなよ!!ちょっと考え事してたの!!」

 

「それは雲雀裕弥の事か」

 

「!まっ、また勝手に人の心読んだな!?」

 

「ちげぇ。バカツナの顔に書いてあんだ」

 

 

 お尻を摩ってリボーンに詰め寄る俺に、リボーンは更に頭にチョップを加えてきて、俺は悶絶した。

 

 

「〜〜ッくぅ…!っおい、まさか雲雀君を変な事に巻き込むとか言わないだろうな!?」

 

 

ハッとなって噛みつけば、リボーンは思い出した様に、二ィ、と不敵に笑った。

 

 

「アイツ、俺の読心術が使えなかったな」

 

「!本当!?雲雀君ってやっぱり凄いっだぁッ!」

 

「何喜んでんだアホツナ」

 

 

 またもや理不尽な暴力に涙目になる。

 俺はタンコブが出来てないか確認しながら、何も言わなくなったリボーンに首を傾げる。

 

 

「どうしたんだよリボーン?」

 

「…アイツはファミリーには入れねぇ」

 

「?アイツって…雲雀君の事?」

 

「ああ」

 

 珍しい…。

 会う人物には揃ってファミリーに入れって言う癖に。

 でも、そういえば雲雀君と話してる時、一回も割り込んでこなかったな。それを思うと……そうだ、雲雀君もリボーンに全く反応してなかった。それも可笑しいよね、だってこんなにヘンテコな赤ん坊が普通に俺達と居たんだから。

 

 

「あてっ!」

 

「誰がヘンテコだトゲツナ」

 

「と、トゲって…というか今度は心読んだろ!?」

 

「オレの第六感が働いた」

 

「嘘つけっ!!」

 

 

 変な躱し方すんなよとツッコミながら、俺はリボーンに、何故雲雀君は入れないのかを尋ねる。

 

 

「別に入れろとは全くもって思わないけど、なんで雲雀君は入れないんだよ?」

 

「雲雀恭弥が居るからな」

 

 

 ちょっと何言ってるか分からない。

 

 

「……なんで雲雀さんは入ってる事になってんだよ!!なんでそれで雲雀君は入れないんだよ!?」

 

 

 俺の疑問に、リボーンは淡々と答えた。

 

 

「──雲雀恭弥の方が強い。守護者としても、アイツは完璧な雲だ。他者を寄せ付けず、立場を関係なく行動する事が出来る。…対して雲雀裕弥は、弱くはないが雲雀恭弥には劣る。そして、守護者としてアイツは雲には届かない。他者を寄せ付けないわけじゃなく、ただ寄せ付けたい相手が居ないだけだ。アイツの行動基準は第一に雲雀恭弥を重んじるところがある。お前がボスである為には、雲雀裕弥を引き受ける訳にはいかねぇんだ。雲雀恭弥であれば強者を条件に命令を下す事は可能だ。だが雲雀裕弥にはそういったモノが何であるか以上、命令する事も出来ない。アイツは完全に、己の存在を理解してる。よってファミリーには入れねぇ。

ただ一つ懸念点があるとしたなら、雲雀裕弥を他のファミリーに取られる事だ。アイツは非常に厄介な相手に成り得る」

 

 

 長々とした説明に、俺は何となく納得した上で、ざっと呟いてみる。

 

 

「えーと…つまり、雲雀君は、リボーンにとって得体の知れない相手だから入れられない、と」

 

「誰が怖がってるだダメツナ!」

 

「ぐへぇッ!?い、言ってないよそんなこと!!」

 

 

 なにその解釈の仕方!?

 腹のダメージを摩って中和させつつ、取り敢えず雲雀君を巻き込まなくて良かった〜と安心した。

 するとさっきまで家で準備をしていた山本達が、首を傾げながら戻ってきていた。

 

 

「10代目!只今戻りました!」

 

「ツナ!さっきから何してんだ?」

 

「山本、獄寺君!いや、いつもの事だから気にしないで…、その、準備は出来たの?」

 

「ん、おう!一応な」

 

 

 山本の背には細長い鞄があり、何かと疑問に思うが、山本の早く行こうぜ!の言葉に頷いた。

 

 

「獄寺君もいい?」

 

「はい!…でも、その…」

 

 

 何やら言い淀む獄寺君は、しきりに隣を気にしていて、見れば隣にゴーグルを掛けた女性が…って、

 

 

「ビ、ビアンキ!?なんで、ていうか、え!?」

 

「──居ちゃいけないの?」

 

「滅相も御座いません!!」

 

 

 ボイズンクッキングを交渉に持ち出すのは狡いと思う…。

 獄寺君が申し訳なさそうに謝ってくるのを苦笑で流すと、リボーンが何でもなく告げる。

 

 

「ビアンキは立派な戦力だゾ」

 

「ってお前が呼んだのか!!」

 

「──何か問題でもあるの?」

 

「いやホント来てくれて助かります!!」

 

「本当スイマセン10代目ッ!!」

 

 

 いや、もう…仕方ないよ。

 遠目で乾いた笑いを響かせた後、一旦息を吐く。

 そして、改めて気合いを入れ直した。

 

 

「よし!行こう!黒曜ランドへ!!」

 

 

 ──きっとあの二人なら大丈夫だ。

 

 先に行ってしまった雲雀君や雲雀さんの無事を祈りつつ、俺は漸く道を進みだした。

 

 

 

 




いや綱吉、黒曜ランドの直感ほわほわしすぎ。
代わりに主人公への直感働きすぎ。
いやぁ、ご都合展開って凄いですよねえ。

オリ主の「ガラクタ」への想いとは? 
そんなものキャラ紹介じゃないと明らかになりません。

感想・評価・ツッコミあると私、飛びます。
ではでは!
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