思い付いたから作ってみました。
よろしけば読んでください。
『いってきます。』
『いってらっしゃい、父ちゃん。』
『たいたい。』
『いってらっしゃい、貴方。』
いつもの日常。
みさえ、しんのすけ、ひまわりの挨拶を受け俺は家を後にする。
今日も家族の為に頑張ることを決意し、仕事に向かった。
『いってきます。…みさえ。』
いつもの日常。
誰もいない、家に挨拶をした俺は家を後にする。
食べていくために頑張ることを決意し、仕事に向かった。
双葉商事に着いた俺は、思考を仕事モードに切り替える。
今の俺は係長の野原ひろしだ。
役職をもった社員として、下の社員を引っ張っていかなければならない。
給料はみさえから安いと言われるが、それでも家族を養うには十分な金額だ。
家族を守るため今日も頑張らなくてはな。
双葉工場に着いた俺は、思考を仕事モードに切り替える。
今の俺は工員の野原ひろしだ。
工場に勤める工員として、社会の歯車にならなければならない。
給料は安い。みさえが給与明細を見たらなんというのだろうか?
それでも食べて行くために今日も頑張らなくてはな。
仕事が終わり今日もクタクタだった。電車に乗り、最寄り駅に向かう。
毎日のことだが、いまだに満員電車は慣れない。
そうしてるうちに最寄り駅に降りた俺は、家へと歩を進める。
夜闇に包まれた道を歩く距離は、朝よりも遠く感じて、正直とても辛い。
疲れた体に鞭を打ちながら、ようやく着いた我が家の扉をあける。
『ただいま。』
『おかえりなさい、貴方。』
『おかえり、父ちゃん。』
『たーい。』
この瞬間はいつも心地よく感じる。
家族に迎えられた俺は、家へと入っていった。
仕事が終わり今日もクタクタだった。電車に乗り、最寄り駅に向かう。
人の少ない時間に乗り、座席に座るのはもう慣れたものである。
夕日を受けた道を歩く距離は、最初は辛く感じたものだが、今は何も感じない。
いつものように帰り、我が家の扉をあける。
『ただいま。』
この瞬間はいつも虚しさを覚える。
誰もいない家にただいまを言った俺は、家へと入っていった。
しんのすけとひまわりを風呂に入れるのは俺の役目だった。
いくら子供と言えど3人も入れば狭く感じるものだが苦痛に思ったことはない。
むしろ、毎日の楽しみになっており、一人で入るよりも心が癒されるのだ。
風呂に入ったあとは、みさえの作った料理を家族で食べる。
とても暖かく感じて、ついついビールがすすんでしまう。
ああ、幸せだなぁ…
湯を貯めたあと、俺は風呂に入った。
一人が足を伸ばせるくらいの大きさなのに何故か広く感じて…
久々に浴槽に浸かったのだが、面倒だっただけだった。
いつも通り、シャワーにするべきだった。
風呂を出た俺は、コンビニ弁当をチンして食べる。
温めたはずの弁当は冷たく感じて、せっかく買ったビールも手が伸びなかった。
嗚呼、虚しいな。
食事が終わり少し経った後、俺はみさえに悩みを打ち明けることに決めた。
言ったところでどうにかなるものではないのだが、溜め込んでいても苦しくなるのだ。
『みさえ、話があるんだ。』
俺はみさえに声を掛けた。
食事が終わり少し経った後、俺はみさえに最近の出来事を打ち明けることに決めた。
言ったところでどうにかなるものではないのだが、どうしても伝えたかったのだ。
『みさえ、話があるんだ。』
俺はみさえの遺影に声を掛けた。
『最近、同じ夢を見るんだ。とても悲しい夢だった。夢の中の俺は、双葉工場で工員として働いていて、みさえは赤ちゃんができてまもなく交通事故で亡くなってて、俺はアパートに住んでいて、一人生きていくのがとても辛くて、地獄のような日々だったよ。』
みさえは黙って俺の話を聞いてくれた。
話終わり少し経った後、みさえは口を開いた。
『貴方。貴方には私がいる。しんのすけがいる。ひまわりがいる。貴方は一人なんかじゃない。』
みさえの言葉に俺は不覚にも泣きそうになってしまった。
『ああ、そうだよな。ごめん、心配を掛けた。』
俺には、俺を支えてくれる妻がいる。
子供がいる。
俺には幸せな家庭があるのだから。
『最近、同じ夢を見るんだ。とても嬉しい夢だった。夢の中の俺は、昔働いていた双葉商事に係長として働いていて、みさえのほかに息子のしんのすけと娘のひまわりがいて、俺は、みさえと話していたマイホームに、俺とみさえとしんのすけとひまわりと4人で住んでいて、家族と生きる時間はとても幸せで、毎日が輝いて見えたよ。』
みさえは何も答えてはくれない。
何故ならこの世にはもういないのだから。
話終えた俺は泣き崩れ、しばらくそのままだった。
就寝の時間になった。
俺は今日も同じ夢を見るのだろう。
夢の中の俺の人生は、とても辛くて苦しいものだけど、現実の俺には家族がいる。
一家の大黒柱だ。
いつまでも夢に怯えるわけにはいかない。
夢は、夢でしかないのだから。
就寝の時間になった。
俺は今日も同じ夢を見るのだろう。
夢の中の俺の人生は、とても幸せで明るい未来が待っているけど、現実の俺にはなにもない…
いつまでも、夢の中で生きていたい。
こんな現実なんて嫌だ!
なぁ…神様…頼むよ…!
夢の中の俺が現実で…俺の存在は、野原ひろしの見た夢であってくれ…!!
これで今回の話は終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。