こんな一般プレイヤーもいたんだと思います。

このSSは硬梨菜氏が小説家になろうにおいて連載している、「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」の二次創作であり、作者がtwitterで零した、石油王×アリノイユ(サンラクを掲示板で晒してしまったプレイヤー 本編26話参照 および感想返し[2019年 08月 20日 18時 20分],[2017年 07月 14日 10時 00分],[2017年 06月 12日 11時 14分],[2017年 06月 12日 20時 53分]を参照してください)をベースにした妄想二次創作の導入部分のみです。

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そんな一般プレイヤーもいたのでしょう。

最近面白いことないなー。

と、東京の街を歩いていた。

 

面白いと聞いて始めたシャングリラ・フロンティアも、いまいち馴染めずに触れなくなってしばらく経つ。

それに限らず、携帯端末にはちょっとだけやりかけてそのまま放置したパズルゲームが山のように積み重なって、そろそろ削除した方がスッキリするかなーとか考えている。

 

ファッション誌を見て、いいなと思った服を買えるかな。とやってきたのに、生憎自分のサイズは在庫切れになっていて、今日の遠征は空振りだ。友人なんかは、モデルの新しいコーデを見る度に、「これは戦争なんだよ」って言いながら限定ブランドの衣類を、限定生産で早い者勝ちなんだと言いながら通販カートに突っ込んでいるけど、私はそこまでのめり込んでいない。

ちょっと街をプラプラと歩いてウィンドウショッピングしながら、気に入ったものを買い漁るぐらいで。

とはいえ、いつの間にか、ちょっと怪しい程度だった空模様は、少し前からぐずついて雨を降らしている。

 

そういう、いまいち間が悪いな。っていうイベントが、どうにも自分の人生には多いらしい。

ちょっと前に触ったゲーム、と言うかシャンフロもそうだった。

友達にゲームをやっている娘はいなくて、掲示板というところで聞けばいいという前提知識だけはあって、なんの気なしに聞いてみたそれは、ローカルルールではマナーがなっていない行為だったらしい。

 

あれだけの数の人に詰られることは初めてだけど、入った部活だったり、バイト先だったりでも、何度かあった。明文化されていないルールをあとから教えられて、どう聞けば良かったのかという後悔がずっとリフレインするから、結局その場その共同体に居付けなくてフェードアウトする。

世渡りが上手い友達は、そういったものを嗅覚よく嗅ぎつけて、本当に上手いことやっている。

けど、私はそうじゃない。

地雷を嗅ぎ取って、踏まずにいられないタイプだよね。と付き合いの長い親友なんかはいうけれど、私に言わせれば、その地雷も踏みたくて踏んでるわけじゃない。

ただ、たまたま私の足元によくやってくるだけで。

 

ピコン。と雨音に紛れて携帯端末が通知を告げる。

『結衣、カラオケ行かない?』

また、間が悪い。

『ごめん今東京』

『おk〜 また今度』

 

はぁ。

と、いう小さなため息。少し雨をかわそうと借りた軒先。

何か新しいゲームを開拓しようかな、とやってきたゲームショップは、なんの因果か臨時休業日で、そこでこぼしたため息が、どうしてか隣の人と被っていた。

 

あれっと隣に目を向ければ、同じくため息が被ったからかこちらに向かった顔と視線が合う。

 

いや、え?

突然視界に飛び込んできた中東風の長身男性は随分とスッキリとした顔立ちで、まるで映画の中から出てきたような人で。

そんな困惑を受けて、私は「こ...コンニチハ」という声を出すことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

「いやー、助かったヨ。来たはいいけどテンションあがっちゃってネ」

 

ジーパンに白シャツ。

シンプルにまとめているけれど、素材がいいからかそれもいい感じに絵になっている。

「えっと、はい...」

 

なんの因果か、近場のゲームショップを案内して欲しいと頼まれた私は、とりあえず知っているところでいいかと聞けばそこでいいというので、歩いて10分ぐらいの場所へ先導している。

 

タクシーを使えばいいのに。とか、別に通販でいいじゃないということをそれとなく聞いてみたけれど、どうにもこの人は、今回は自分の足でということに拘っているらしい。

「しかしシャングリラ・フロンティアはスゴいネ」

苦笑い。

「いや、しかし先日の配信は凄かったネ。あのサンラクというプレイヤーは」

むせた。

 

「ン?キミもシャングリラ・フロンティアをプレイしているのかい?」

「えと...一応は...ちょっとやったことある...だけです」

 

「イイネイイネ!ニホンジン本当に羨ましいヨ」

 

いかに日本が恵まれているかということを、シャンフロがプレイできるその一点に集約して演説し出したその人を余所に、聞き覚えのある名前が耳に飛び込んでくる。

具体的に言えば、私のやらかした原因。

逃げるようにあの世界から離れて、少し経ってその名前を調べてみたら、ちょっと詳しければ誰でも知ってるくらいの有名人(人?)になっていたサンラクというプレイヤー。

有名人、プロ選手と過去に同級生だった人が、自分は昔から知っているんだと誇らしく思うようなそれと近いのか、それとも全国大会選手に一回戦でデッドボールを当ててしまったような気恥ずかしさか、何なのか。うまく言えないけれど、自分の間の悪さが生んだ結果が、時間を超えてまた襲ってきて、なんとも言えない羞恥心にかられて顔が熱くなる。

 

シャンフロそのものは、またやってみようかな。という気分になったからちょっと前にまたプレイした。

初心者でも参加できるレイドボスが出現したと聞いて、挑んでみたけれど、状態異常のデバフがもう絶対に無理で、頑張って2回挑んでみたけど、早々に諦めてまた投げ出した。

体育の授業で全力疾走した時の方がまだマシだ。

気だるくて息苦しくて、きっと、人工呼吸器をつけてないと生きてられない状況っていうのはこういうことなのかな。って思わせるような、疲労感と倦怠感。

VRギアには体調不良を検知してアラートを出す機能があるって聞いたことがあるけど、それが嘘なんじゃないかって思うぐらいには、今にも自分が死んじゃうんじゃないか。って感じてしまうような息苦しさだった。

 

 

「yeah、ホントに助かったヨ。取り寄せたら早いのはもちろんなんだけどサ。私は本当に気に入ったものは自分の足で買いに行くことを信条にしていてネ」

 

そんな私をよそに、海外からの渡航者は話を続ける。

曰く、本国から日本にやってきて荷物を宿に放り込んですぐに、クレジットカード一つだけを持って、ゲームソフトを買いに飛び出してきたという。

 

ひょっとして、随分と裕福な人?という疑問は浮かぶけど、特段それは話題にするものでもない。

 

友人はしばらく前から日本のゲームにハマっていてね、ミナココロ大戦記というシリーズらしいのだが。

と、ゲームを共にする友人は自国にいるみたいで、その人づてにゲームをプレイするようになったらしい。

日本のゲームをプレイするために言語から学習する、って相当な熱量がないとできないような気がするんだけど…

そこまでの熱量を向けて好きになれるものがあるのは、素直にすごいな。って思う。

生憎、その桃源郷?ゲームスっていう会社は知らないけど。

 

「インターネット回線はネ、先に契約してしまったんだけど、肝心のゲームはやっぱりネ、こういうところで買いたかったんだヨ」

 

とりあえずの社交辞令程度には世間話に花を咲かせて、ゲームショップまでを案内する。

無事、シャンフロのシステムキューブを買うところまで付き合ってしまえば、そこでこの奇妙な関係も終わりだ。

 

 

「さて、ありがとう。それよりもゲームがしたいというのが本音だが、お礼にディナーでもいかがかな?」

 

ゲームがしたい。その言葉に虚を突かれて、でも、それは、ゲームをプレイするために海を越えてくるぐらいの人らしくて、思わず笑みがこぼれる。

いい人、なんだとは思う。これまでの短い間に交わした言葉から、人柄は善良なんだとわかる。それぐらいは私にもわかるけど、けど、それは自分には過分だ。

 

「それよりも、ゲームが待ってるんですし、そっちを優先したらどうですか?」

 

カラカラと、心のそこからの微笑みとともにそう返す。

楽しみに来たのだ、その邪魔をしちゃいけない。

 

「hm…..」

 

こう、大人の人が、少年のようなときめきを隠そうともしない姿に、少しばかりときめいたのは内緒だ。

「そう言えば、シャンフロのゲームの中でも、食事はできるみたいですよ」

味の再現はイマイチ薄い程度で、でも腹を膨らませることなく、美味しいものを思うがままに食べることができるというのはそれはそれでたまらない。

ゲーム内通貨を稼がないといけないというのはあるけれど。

 

「そうだ、私のメッセージコードだ。1人ぐらい現地の友人がいてもいい。

この後すぐにプレイするから、よければフレンドになってくれたまえ。

お礼はそこで」

 

バチコーンと漫画みたいなウィンクをして去っていく。

キラッという擬音が聞こえてきそうなくらいにはキマッていた。

 

そうして、彼とは別れた。

 

 

自宅に着いたら、ため息と苦笑い越しにシャンフロを起動する。

前のアカウントは残したまま、けど、もうそっちにアクセスしようという気は削げていた。

 

だから、新しくアカウントを作って、ログイン。

チュートリアルは見たからスキップ。

 

聞いていたフレンドコードを打ち込んで、合流して。

 

もう一度、私は理想郷の開拓を始めて見ようと思った。

 

 

その日、運命に出会ったのはどちらだったのか。

 

 

To be continued (不続


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