そして必ず、かの邪智暴虐な神をぶっ飛ばすと決意したのだ────。
とりあえずソードマスターヤマトは知っていないと多分意味不な作品です。
山田太郎は激怒した。
必ず、かの邪智暴虐な神をぶっ飛ばすと決意した。
山田太郎は大学に受からぬ。学歴掲示板を閲覧して得た知識だけで学歴を語る謎プレイをかまし、イキり散らしていた。されど悪意に対してだけは、人一倍敏感だった。
「俺が三浪しても第一志望の大学に受からないのは神が悪い。俺がこんな大学にいるはずがない。おのれ神め! 邪智暴虐を働く悪神め! 絶対にぶっ飛ばす!!!!」
彼の決意は固かった。
彼はネットを漁り、web小説なるものを発見し、読み耽った。四浪が確定したが、そんなことはどうでも良かった。それ以上に大事なことを、彼はweb小説から学んだのだ。
「なるほど、神とはトラックに轢かれたら出会えるのか。しかも、たくさんの人間が神様転生とやらをしている。転生者全員で袋叩きにすれば、多分神を倒せるな」
世の中を変える天才というものは、誰もが考えるより先に行動をしていた。余人に「頭おかしい」と言われようとも、「漫画の見すぎ」と引きとめられても、自らの意思で行動することができる。
ゆえに、思い立ったが吉日と行動が出来る彼は間違いなく、天才だった。
「母さん。ちょっとトラックに轢かれて神様ぶっ飛ばしてくるよ」
「頭おかしい」
「父さん。俺思い出したんだ。前世で生き別れの妹がいたこと。今世でも一緒になるはずだったことを。だから、神様転生して今度こそ妹と出会うよ」
「漫画の見すぎ」
かくして、場面は山田太郎がトラックに轢かれる場面に移り変わる。
そこにはなんのドラマもなかった。轢かれそうな誰かを助けようとしただとか。運転手が飲酒運転をしていただとか。謎の組織の陰謀だとか。そういうのは特になかった。
だが、ひとつだけ。ひとつだけ不思議なことがあった。トラックに轢かれる瞬間、確かに山田太郎は声を聞いたのだ。
「さあ行け山田太郎おお! お前は実は一回トラックに轢かれただけで神様転生できるぞおおおおおお!!!」
◆◆◆
「山田太郎がトラックに轢かれて転生したようだな……」
異世界にてサイコパスを発揮するオリ主くん相手に虐めでメンタルに負荷を掛け、自殺に追い込む実力者。いじめっ子!!
「ククク……トラックによる神様転生は我ら転生原因の中でも最弱の死因」
長々と講釈を垂れて無駄に尺を使う割に転生後には一切触れられない。オリ主の死因となる事件を起こす存在。テロリスト!!
「トラックに轢かれた如きで転生するとは、神様転生の面汚しよ……」
普通に死んだ。寿命!!
彼等こそ数多の神様転生の原因の中でも、最強と謳われる三大死因である。ちなみに何故彼等が最強なのかは分かっていないし、そもそも彼等は別に最強でもなんでも無いというのが最近の学会で明らかにさ───
「「「ぐああああああ!!!!!!」」」
───そんな風に調子に乗っていた彼等に向かって、トラックに轢かれて吹っ飛んだ山田太郎が直撃!
トラックに轢かれて神様転生をするという事は即ち、トラックに轢かれると次元を超越して神様転生の間に跳躍するレベルの速度に至るという事だ。そんな速度で突っ込まれて、彼等が無事でいられるわけがなかった。
◆◆◆
「やった! ついにトラックに轢かれて消えていた意識が戻ったぞ! つまりここが、転生の間!」
「よく来たな山田太郎」
「その力……! お前が神か……!」
ついに、山田太郎は神と対面した。
「山田太郎よ。一つ言っておく。お前は私を倒すのに他の転生者の力が必要だと考えているようだが、別にそんなものは必要ない」
「なんだって!?」
「そして今後異世界へ転生させる転生者の為の転生特典は、神様転生とかいうシステムがめんどくさくなってきたので全てお前に渡しておいた。あとは私を倒すだけだなクックック……」
そう言って不敵に笑む神に向かって、山田太郎は言い放つ。
「フ……上等だ。俺も一つ言っておくことがある。この俺に生き別れた妹がいた気がしたが別にそんなことなかったぜ」
「そうか……」
もはや言葉は不要、とばかりに両者は向き合った。
神の背後に無数の
山田太郎の背後に『王の財宝』が展開され、固有結界によって黄金劇場やら無限の剣やら無数の英雄が立ち並び。SSSランク魔導師をも超える魔力量が爆発し。リンカーコアと魔術回路とソウルジェムがなんか変な化学反応を起こし。瞳は輪廻眼やら千里眼やら直死の魔眼やらなんか色々一瞬ごとに変化し。赤龍帝の籠手含む全ての
「うおお!! いくぞおおお!!」
「さあこい山田太郎!!」
山田太郎の勇気が世界を救うと信じて……!
ご愛読ありがとうございました!
元ネタがギャグマンガ日和だから原作ギャグマンガ日和にしてるけどこれは原作ギャグマンガ日和で良いだろうか……。
トラックに轢かれて死んで異世界転生してるからテンプレですね(適当)
謎の空間だって異世界(迫真)