レヴィ・ア・タンという男   作:後生さん

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いや俺のせいじゃないからぁ!!?

 

 

──結果を言うと、晴の守護者戦は勝った。

 

原作無視?知らん。ルッスーリアに言ってくれ。

流石にボコ殴りはしてなかったとだけ伝えておく。

 

…まぁそれでも流石に主人公側で、笹川了平は負ける間際に極限太陽(マキシマムキャノン)をルッスーリアにぶつけてたな。体力を消耗してくれていたおかげで大したダメージにならなかったのが幸いだ。

 

 

「んふふ〜!勝ったわよぉ〜んっ!!」

 

 

ウキウキと踊りながら晴のボンゴレリングをボスに献上しに行く様子に、些か苦笑する。すると同じ様に呆れていたマーモンが肩を竦めた。

 

 

「当然の勝利だ、と言いたいけど、レヴィの忠告が無かったら危ないモノになってたよ。あの成長速度は尋常じゃない。もしかして知ってたのかい?」

 

「…プロでも慢心すれば結果は歪む。それだけだ」

 

「ふーん。ま、流石としか言えないね」

 

 

不自然じゃ無い、筈だ。

まぁ隠すつもりはないけど、教える意味もないからな。誤魔化すに限る。

 

 

「明日はレヴィの、雷の守護者戦だね」

 

「ああ。相手は子牛みたいだな」

 

「レヴィなら瞬殺だろ?ボスも来る筈だよ」

 

「ああ……」

 

 

生返事を返すものの、俺は微妙な顔だった。

 

お前さぁ……さり気なくプレッシャー掛けるの止めてくんないかなぁ?確かに瞬殺出来るよ?出来るけどもさ……俺のこの葛藤知らないだろっ!!?

子供をいたぶる趣味なんかないの!!ただの泣き虫で今は力なんかこれっぽっちもない子牛なんて相手にしたくないんだよ!!でもバズーカ使われたらいたぶられるのはコッチだからやるけどもさ!!?

 

 

「ボスもレヴィには期待してるんじゃないかな」

 

「………ぁあ…」

 

 

──一番の苦悩の種がボス(ソレ)なんだけどな!!

死んだ目で窓を見遣ると、空が曇天に覆われていた。そういえば原作では雨が降っていたなと思い出し、ご都合って天気にも作用すんのかなと考える。

 

 

「…明日は雨が降るな……」

 

 

マーモンの自信満気な顔に更に複雑になりながらも、俺は明日の晩が無くなれば良いのにと本気で思った。というか何らかのアクシデントが、例えば隕石が頭上に降ってくるとかに掛けた。割と本気で。

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

うん、まぁ有る訳ないわな。

ご都合主義は俺には無いのかッ!?

 

 

「雷の指輪、レヴィ・ア・タンVSランボ勝負開始」

 

「……フン」

 

 

くっそ、ボスの視線が刺さるぅ…!!

 

上手く策を練らんとなと思考する俺の眼前の遥か下に、小さな子牛が一匹。

呑気な顔して早速エレットゥリコ・サーキットに設置されている避雷針をつついている事に俺は頬を引き攣らせて、素早く木の棒(ゴム製)を投げつけた。

 

………いつも通り早起きしたらバズーカの事思い出したからさ、早急に頼んでおいたんだ。なんで木の棒かというと、まぁ……子供心みたいな?子犬って木の棒振り投げたら追い掛けてくだろ?相手は子牛だけどな。

略してなんちゃって取ってこい!作戦だ。

 

 

「ぐびゃっ!?」

 

「ランボ!!って、木の棒!?なんで──」

 

 

その瞬間、ビカビカァッ!!と鳴った雷が避雷針目掛けて落雷し、リング上に閃光が迸る。

 

 

「っぅ?、!!おおぉ〜!!ピカピカァって光ったもんね〜!!ランボさんのおかげだぞぉ〜!」

 

「び、ビックリしたぁ…!」

 

「…」

 

 

これで泣いてバズーカは無いだろうが、念の為。どうせご都合主義はきっと終わらないだろうし、木の棒(ゴム製)をそっと握り締めた。

 

 

「おい子牛」

 

「ん?なんだお前っ、ランボさんに用か?」

 

「雷が好きか」

 

「勿論だぞ!ランボさんは雷なんかへっちゃらだもんねぇ〜!今のだってランボさんがしたんだぞ!」

 

 

……ザ・子供って感じだ。嫌いではないが、やっぱり些かこの場にはそぐわない能天気さだと感じる。

 

──さっさと退場させるか。

 

 

「なら見るがいい。本物の(いかづち)を」

 

「ホンモノ〜??」

 

「な、何をするつもりなんだ……!?!」

 

 

技はそのまんまだけども、原作よりも抜群に威力は高いぜ!!轟け雷鳴!!!墜ちろ雷撃!!!

 

 

「──来雷神(ヴィエニ・サンダー)

 

 

レヴィの武器である八本の電気傘(パラボラ)の内の七本が上空で展開され、蓄電された電撃がランボと俺の間目掛けて発射される。バリバリィッ!!と辺り一面を白けさせる程の眩い電撃は、轟音と共に鳴り響く天空の雷鳴をも招き、エレットゥリコ・サーキットに強い衝撃を落とした。

 

 

「ッぷぎゃー!!!?!」

 

「まっ、眩し…ッッ!!!」

 

「な、なんつー迫力だ…ッ!!雷で威力を増してやがる!!!!」

 

「シシッ。やっぱスッゲェ!」

 

「……まるで雷神の一撃そのものだよ…また見られるとは思わなかったな」

 

「クッハハハ!!」

 

 

二分もの間発光を続けた雷撃は、次第に収まっていくも地面を痺れさせビリビリと電気を放出させている。

ボスが愉しそうに嗤う声を聴きながら、俺は軽く息を吐き出した。

 

 

(こっ…………こっえぇええええええ!!!!!!)

 

 

ほ、ホントに雷落ちちゃったよ!!!なんで!?!!っあああそうか!!ここよく雷落ちるフィールドだったもんね!!!馬鹿怖ぇわッッ!!!!

 

昔にも一度だけ、ヴァリアー入団の力試しみたいなやつで同じ事が起きたことがある。その時は相手(モブA)さんに当たっちゃって、一瞬で真っ黒くろすけになっちゃって……その後の生死は確認出来てないけど、どうなったんだろ?

 

ランボにビビり過ぎてつい使っちゃったけど……?

──あれ?ランボは??

 

 

「ら、ランボはっ!?!」

 

「アイツなら雷撃の威力で吹っ飛ばされて場外に落ちたぞ」

 

「うっそぉ!?!!」

 

 

うっそぉお!?!!

 

 

「!?っんの馬鹿牛!!!俺確認してきます!!」

 

「ぶっ無事なのー?!!?此処屋上なんだぞ!!!?!」

 

 

発見情報によると、校庭の木の枝に吊られて目を回していたらしい。ぶ、無事で良かった……けど。

 

 

「ランボ様場外失格により、レヴィ・ア・タン様の勝利になります」

 

 

まさかの場外失格オチに俺は愕然。そりゃね?確かに早々とケリつけようとは思ってたけどさぁ…。

 

 

「レヴィ落ち込むなよ。雑魚にゃレヴィの相手は務まるハズもねーし」

 

 

いや落ち込んでねえし。

 

 

「物足りないならスクアーロにでも相手して貰うといいよ」

 

 

いや結構です。

 

 

「あ゛ぁ?……まぁい゛ぃけどよぉ゛お…」

 

 

いや結構です!!

 

 

「──レヴィ」

 

 

ビクリ。ボスの一声に視線を向けた。

 

 

「はっ」

 

「悪くねぇ結果だ。リングを渡せ」

 

「勿体なきお言葉。……勝利をボスに」

 

 

チェルベッロから受け取り組み合わせた雷のボンゴレリングを、ボスに献上する。

更にボスの笑みが深くなった所で、俺は思った。

 

このまま行くとヴァリアーが勝ちそうだけど、一体どうなるんだろうか…………と、考えたところで気が遠くなったので、一旦忘れることにした。ほら、言うじゃん?

 

終わりよければ全てよし!!!!ってね!!!

…………現実逃避だよ馬鹿野郎っっ!!

 

 

 

 

 




レヴィのことは嫌いになっても、原作のことは嫌いにならないで下さい!え?当たり前だろうって?そりゃそうか。

いやあ、アニメ見返したらちゃんと段階あってビビりましたよ。仕方ないので落としてやりました。色んな意味で。
ちなみに木の棒(ゴム製)は用途を守ってゴミ捨て場に捨てました。

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感想・評価嬉しいです。もっとくれたら頑張る……気がします!ではでは!


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