生きてます。
これが欲しかったんでしょ?ッアダダダそれ目ん玉!!
え、えー……そんな感じで私もレヴィも元気です。(?)
楽しみに待ってくださっていた皆様、どうぞお納めくださいまし。
ヴァリアーの雷の守護者、レヴィ・ア・タン。
屋上から飛び降りたにも関わらず、軽い着地音で済ましてみせる所業には流石にオレも感心してしまった。
圧倒的な速さでデスヒーターを解毒してみせた、ヴァリアーの中でも特に要警戒するべき男。
ザンザスは一体何処でこんな逸材を見つけて来たのか……気になる所だが、それよりもこの現状が良くねぇな。
「レヴィ!」
「はっ」
「他のカス共を始末しろ。なに、時間は掛かるくらいが丁度いい。お前の力をジワジワと見せつけてやれ」
「──御意」
片膝をつき、ザンザスに忠誠を誓う奴の様子は、ツナにとっても真っ先に阻止しなくてはいけないものだった。
「…不味いな。9代目でさえも奴を抑える事は出来なかった。今のツナじゃ勝ち目はねェぞ」
「ヴァリアーきっての最強戦力、レヴィ・ア・タン…!!高難度の任務を完全遂行する実力に、部隊を統率する指揮能力…そのスペックの高さには他の組織も喉から手が出る程の人材だ。流石に本気になられると話になんねぇぞ!」
「っそんな!一体どうすれば…!?」
「……(にしてはどうも釈然としねぇがな…)」
生唾を飲み込む面子を横目にオレは奴の今までの行動を振り返り、そのどれもに不可解さを感じる事を再確認する。
雷の守護者戦では、雷をも巻き込んだ恐るべき威力の技でランボを場外から吹き飛ばし、圧倒的勝利を収めた。
だが態々吹き飛ばすくらいなら、直撃でもさせて再起不能にすればオレ達に大打撃を与える事が出来たはずだ。新しい守護者を探すのも時間が掛かり一苦労するし、何よりランボ以上の雷の守護者の適任者を、オレは知らない。
雲の守護者戦では、ザンザスの命令に従って雲雀を相手取ったが、攻撃らしい事は一つも無く軽く躱すばかり。舐めていたのか相手にもならなかったのか……恐らく両方だろうが、ヴァリアー幹部としてあまりにも手緩い。
そして大空戦。自身を解毒直後、態々リングを嵌めてまでランボを解毒してやった。戦力外だと言っていたが、まさかランボのバズーカーを知らない筈がねェ。
「ッッ行かせるか!!」
「…大人しくしていればいいものを」
「ハッ!」
レヴィを止めようと死ぬ気の炎で立ち向かうツナだが、阻む様にその間を憤怒の炎で邪魔されその機会は奪われる。
「何処を見てる?オレを止めるんじゃねェのか!?」
「ッ…ザンザスッッ!!」
「さっさと行けレヴィ。邪魔だ」
「仰せのままに」
ツナに目をやることも無く、ザンザスの一言でその場から姿を消したレヴィは、いつの間にかグラウンドを歩いていた。その先は雲雀の居る方向で、雲雀は──……!
ふ、彼奴もやる気充分みてぇだな。
「!雲雀殿!!」
「いつの間にか立ってやがる……どうなってやがんだ?」
「どうやら自分でポールを破壊したみてぇだぞ。レヴィ・ア・タンに扇動されたんだろ。猛毒如きに束縛された事も合わさって、奴のプライドが黙っちゃいなかったんだ」
「野生のゾウを動けなくさせる程の猛毒だというのに、こんなにも呆気なく……」
「いやどう見ても奴等は特殊だろうが、コラ」
その通り、他の奴らがまだ毒で苦しんでいるのに対してこの差だ。雲雀は挑発されたお陰だとして、やはり問題なのがレヴィ・ア・タン……もしアイツがボンゴレに忠誠を誓っていたのなら、これほどまでに頼れる戦力はないと言うのに。しかしザンザスに心から従っているのが事実だ。
(だからこそ、奴が本気を出していないのが気になる)
ザンザスの命令に忠実に従い、その脅威を知らしめた。
だが奴の実力はあんなものじゃない。もっと心から敗北を認めさせ、奴に恐れを抱いてしまう、そんな
「雲雀、お前に掛かってるぞ」
奴を止めなければ、勝利は手に入らない。
オレは帽子の鍔を上げ、モニターを鋭く身捉えた。
──────
なーにが「邪魔だキリッ☆」だよ。
命令聞いたのにそんなあしらうことないじゃん!まぁ沢田君から守ってくれたのには感謝してやってもいいけど!!
あーあ、どうせなら面倒くさそうな雲雀さんにして時間掛けようと思ったけどなんであんな殺気飛ばしてきてんの???俺何か恨み買った?善良な人間なのに…………ごめん撤回するわ。悪名高い暗殺者集団の幹部だった。
「(幹部やーめーたーいーーーー)」
「あんたから噛み殺されに来るなんて手間が省けたよ」
「(何言ってんのこの子?)冗談は止せ」
「……この間の続きだ。今度こそ噛み殺す」
何 故 ?
あれだよね、君ってそういうすぐに人にキレる癖やめた方がいいよ。スクアーロみたいになっちゃうよ。アイツ今でさえストレートロング略してストロングSだけど、絶対もうちょっと歳経ったら禿げてくから。間違いないよ。希望も込めて、アイツはハゲになる。なればいいんだ!!
「フッ」
「何笑ってるの」
やべ、つい笑ってしまった。
早くチャンバラしないとボスにカッ消される。
「来るなら来い。相手してやろう」
「──」
無言で挑んでくる雲雀を軽く捌きながら、あぁ、いつもの任務より数十倍も楽だなぁ…なんてニヤニヤ笑う。
こっそり日本に移住しようかな?ボスはどうせまた氷漬けになるし、いつまでもヴァリアーに居たいわけじゃないし。あーでも、色々と企てた挙句に負けた俺達を易易と野放しにするわけないか。俺巻き込まれただけなんです。
傘でトンファーを弾き、再び距離が離れたところで、雲雀が俺を睨みながら口を開いた。
「不快だ。いつまで遊ぶつもり?」
雲雀の怒気を滲ませた殺気に、俺は頭上を見上げた。
空には沢田綱吉とボスの激しい戦闘が繰り広げられており、ぶつかる系統の違う炎は閃光となって輝く。
人と戦うのは嫌いだ。そんな任務はもっと嫌いだ。
ボスの命令なんてクソ喰らえ。
……けど、ボスに勝てる見込みが無い以上従うしかないし、理不尽にも耐えなければならない。
そんな日常が続いて、俺はいつしか本気になる事を辞めた。この力が誰かを護れる力だったら……なんて考えるだけならいくらでも出来る。実際ヴァリアーの評価は守れているし。そんな俺が力を使う時は、人を殺す時だけ。
そんな力、本気になった所で虚しくなるだけだろう。
「──ボスが全てを終わらすまでだ」
ザンザスが全てを認めるまで。
ボスの命令にぶっちゃけ完全に従った事なんて任務の時ぐらいなんだけど、あの人意外と気付かないもんだよな。
「?…僕はこのリング戦がどうなろうが興味はないけど。そんな事ならさっさと本気で来なよ」
「は、せいぜい本気を出させてみせろ」
もう少し此処で時間稼いで、適当に疲れさせてから他に行くっていう俺の完璧な計画は崩れさせん!
そう思ってると、雲雀はトンファーを降ろした。構えなくなった事に目を瞬かせる俺に、雲雀は肩を竦める。
「やめた」
「そうか」
…………え?なんて???
ふいっと背を向けて歩き出す雲雀に、俺はあたふたしてしまう。いやだって突然すぎて。
待ってなんで?俺と遊ぼうよ!!じゃなきゃ他の子達に大人気ないことしなくちゃいけなくなるじゃん!!
雲雀さんは良いって?だってこの子ボス寄りじゃん?!
俺を無視してスタスタ歩く雲雀。何処に向かってるのかなんて、上で激しい閃光が繰り広げられてるのを知ってれば単純明快。ヤベェボスの邪魔させたらカッ消される!!!
「(どうしよ流石になんかしてないと不審がられる、でも運良けりゃ上がもう終わるかもしれない。いやいや此処は引き留めなきゃ変か?)
──逃げるとは意外だったな」
ピクリ、と止まった雲雀。内心やっちまったな☆と引き攣りながら、そのまま様子を見守る。
雲雀は顔だけ振り向いて、無感情に告げた。
「その眼気に入らない」
「……」
そう言ってまた前を向いて歩いていく雲雀に、俺は暫くの間、ただ突っ立っている事しか出来なかった。
いやだって、眼が気に入らないとか真正面から言われたの初めてだし?そりゃ顔面偏差値狂ってるイケメンに言われたら、そりゃあね…………。
「(……え?シンプルに心に刺さりますけど…???)」
下手したらガラスのハートが粉々になってたよ俺。
…え?うん、寸前。
良かった、自分がブスだって知ってて。
………べっ、別に悲しくなんかないから…!!!!!
レヴィの取扱にはくれぐれもご注意下さい。
顔に合わず繊細なんです。うちの子は。
アッ、元からか…。
え?シリアルよりコーンフレーク派な私には興味無いって?まぁまぁ。……まぁまぁまぁまぁ。
皆様お久しぶりですね。
冒頭にするはずのものを此処に持ってくるセンスを褒めてください。
ムササビのようにいきなり飛んで現れますので、シャッターチャンスはくれぐれもお見逃しなきよう。
それではまた気紛れに……ではでは!