気づいたら竜種に転生していた件   作:シュトレンベルク

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大変お待たせ致しましたm(__)m

パソコンが壊れて点かなくなってしまったり、転勤で引っ越し準備があったりなんやかんやあって気づいたら3ヶ月も経ってました。大変申し訳ない…。

これからも頑張っていこうと思っていますので、応援よろしくお願いします/)`;ω;´)


六星竜王と勇者の修業

 膨大な力の奔流。それが大地竜ヴェルディアスを称するに相応しい言葉だと、アリーシャは思っている。この世界に五体しか存在しない竜種の一体であり、本人曰く『循環』を象徴するその竜は竜種の中でも最も膨大な量のエネルギーを有する弟を相手に、一切の相性差なく凌駕する。

 それは偏に当の本人が有する防御力が由縁であるのだと語る。『循環』即ち竜種の有する他の種族とは画一したエネルギーを常時肌に纏わせる形で循環させる事で、まるで氾濫した川の如く全ての物を削り取る圧倒的と称するべき防御力を生み出している。

 

 その防御力たるや、たとえ現存する魔王の中でも最強であろうギィ・クリムゾンや人間の中でも最強格のルドラ・ウル・ナスカであろうとも突破できない。ましてや、同じ竜種たるヴェルザードやヴェルグリンドであろうとも。かの玉座におわす王者を引きずり落とすことは叶わない。

 

 だからこそ、分からないのだ。それほどまでに圧倒的な実力を誇る王者が、何故そこまで必死になって周りにいる者たちを強くしようとするのかが。当の本人が内に秘め続けてきた力――――大いなる星の力を明かしてまで、何をそこまで急いているのかとそう思わずにはいられないのだ。

 

「そうだ。お前の力はまだそんな物じゃない。もっと、もっと力を引き出せ」

 

「くっ!おおぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 肌にチリチリとくる熱気。六星竜王が一柱、『炎星(フレイム・エレメンタル)竜王(ドラゴン・ロード)』ホムラ・ローグの放つ炎はまさしく竜王(ドラゴン・ロード)と呼ぶにふさわしい代物だった。本来のスペックであるその炎に加えて、星光の力を加算している。それは名だたる魔王にも劣らない一撃だった。

 しかし、その一撃を受けても尚平然としているその有り様はまさしく、竜種の頂点と呼ぶにふさわしい代物だった。あまねく攻撃を防ぎ、正面から正々堂々と弾き飛ばす。総ての攻撃をそれがどうしたと言わんばかりに弾き飛ばしていく姿こそ――――星々の輝きを束ねる王者の輝きだ。

 

「駆動せよ――――『星神之王(ゼウス)』」

 

 その手に握られた刃が金色の輝きを宿す。遥か高き遠い空たる星の内海すら焼き尽くす天頂神の雷火が収束され、遍く災禍を焼き払う一閃へと成り代わる。地上に生きる誰も生き残ることを許さない爆炎の災禍を問答無用、何も口に出すことを許さぬままに切り裂く。

 切り裂いた先にいる青年はその結果に何も怯えることはなく、その事実を当たり前の物として受け入れた上で次の手を打つ。それは天頂神も理解したうえで、青年の動きを待つ。己に立ち向かう挑戦者(チャレンジャー)の行く手を妨害しようとするほど、天頂者(チャンピオン)の力量は安くない。

 

「燃え滾れ、我が炎」

 

 世界を燃やし尽くす終焉の炎。神話に語られる世界を滅ぼすためだけに存在する、終着の怪物。その炎が通り過ぎた後には何も残らない。ただ破滅を撒き散らすだけの災禍の焔、その残滓を纏いながらホムラは拳を握りこむ。

 その熱量たるや、ヴェルグリンドの持つ熱にも劣らないだろう。六星竜王の最下位(・・・・・・・・)であるホムラですらこれだけの力を持っている。大いなる星の輝きを受けた結果であるとはいえ、それでもこれだけの力を誇る。その事実が背中を寒くさせる。

 

 確かに、ホムラには才能がある。いや、ホムラに限った話ではなく六星竜王と呼ばれる者たちはそれぞれ強大な才覚と、その才覚を埋めうる器を持っている。だからこそ、ドラゴンたちの頂点たる竜王(ドラゴン・ロード)に至っても成長の兆しを持っている。

 これは最早、異常といっても相違ない。人間にとって最大の脅威が何であるか?と問われれば、多くの者がこう答えるだろう――――多くの魔物を従える八星魔王(オクタグラム)だと。されど、潜在的な脅威という意味であれば、アリーシャはこう答えるだろう――――六星竜王こそ、いかなる災厄をも上回る最大の脅威だと。

 

「轟き叫べ、我が雷」

 

 それをも凌駕しうる頂点の雷。文字通りの天災。世界を滅ぼす炎もなんのその。そんな物、マッチの炎と何も変わらぬと言わんばかりに雷轟を響かせる。その力強さたるや、物理世界を越えて精神世界諸共星の大海すらも焼き尽くす。それが天頂神の神雷の持つ力なのだから。

 その雷の力強さたるや、先ほどまでは恐怖そのものでしかなかった破滅の炎が今ではとてもか細く感じる程で。その差はまさしく彼我の力量さを表しているかのようで。その絶望的なまでの力量さを目の当たりにして、ホムラは――――笑みを浮かべていた。

 

 力量差がありすぎる?そんな事、とうの昔に知っている。自分と主の立っている場所の違いなど、態々語るまでもないことだ。自分が主よりも圧倒的に劣っていて、届くとは到底思えないほどの差があることなんて初めてその御姿を見た時から分かっている。

 だから、頭を垂れて仕えると決めたのだ。この方の立つ地平を目指して飛翔することを。たとえ、その地平に届くことがなかったとしても、少しでもその場所へ近づきたいと。そのために名を賜り、力をつけてきたのだから。

 

 いつの日か、力を試してみたいと思っていた。もっと、もっともっと力をつけて挑む日を待っていた。そのためならば、ミズリの下で奔走する日々も悪くなかった。相性もあるが、ミズリは自分よりも圧倒的に上の実力者だ。それは毛嫌いしているミツビやクロムだって分かっている。だからこそ、彼らはミズリを排除しようとはしない――――できないのだから。

 六星竜王は頂点にラーマを置き、次点でフウガ同率でミズリ、それに続く形でクロムとミツビ、最下位にホムラを置いている。すでに世界を滅ぼしかねないほどの力を持っているホムラを最下位に、それ以上の力を持つ怪物たちがひしめいている。恐ろしい集団であると言わざるを得ない。

 

「いいな、ホムラ。よく力を引き出せている――――しかし、まだだ。お前の限界点はそこではないだろう。俺の前で出し渋ってどうする」

 

「しかし、主様……俺はこれ以上の規模となると制御ができません」

 

「それがどうした。制御などと細かいことは考えるな。総てを出し切れ。そうでなくては、修行の意味がないからな」

 

「……では、胸を借りさせていただきます」

 

「応とも。来るがいい」

 

 既にこの世界にいる上位の存在すらも焼いてしまいそうなほどの業火を前にして、尚足らぬとそう告げる師の姿に恐怖すら感じる。あの炎は文字通り世界を焼き尽くす、火神の齎す焔の様な力だ。神話の中でもトップの化け物が用いるような力強さを持っている。

 

「それでこそだ、ホムラ。お前もまた俺が選んだかけがえのない光だ。それは他の者たちとも遜色のないものだ。卑下する必要はない。お前はただ単純に、今この瞬間劣っているだけに過ぎない。いずれお前は他の者たちと同じ領域へたどり着くのだから」

 

「……燃えろ。燃えろ、我が星よ。大いなる母より授かりし輝きよ、汝が光輝を持って世界を覆え!」

 

 世界の総てを覆いつくさんと炎が駆け巡る。最早、結界(・・)の外から見ているこちらには一面が赤で埋め尽くされている。しかし、次の瞬間まるで闇を切り裂く太陽の様な光が漏れ、次第に赤を金色が塗り潰した。

 その金色の輝きが晴れた時、そこには気絶して倒れ伏すホムラとその近くで傷を治しているヴェルディアスの姿があった。その光景を見ていたのはアリーシャだけではなく、ほかの六星竜王たちの姿もあった。

 

「……ホムラも強くなっているようだな。昔見た時よりも格段に魔素の制御能力が向上している」

 

「確かに。私も油断していられませんね。いずれ抜かされてしまうかも」

 

「まっ、当然よね。仕事の片手間とはいえ、このあたしが見てあげてるんだから」

 

「そりゃ世も末だな。お前みたいな傍若無人女に鍛え上げられてるなんてな。ラーマはどう思うよ?」

 

「ミズリは言動こそ真っ当ではありませんが、その実力は素直に評価してしかるべきものではないですか?まぁ、その言動でマイナス評価を受けているんですが」

 

「別にいいじゃない。あたしはあたしらしく生きているだけよ。ヴェルディアス様のお言葉通りにね。それにきちんと仕事はこなしているのだから、とやかく言われたくはないわ。サボリ魔のフウガには特にね」

 

「サボってねぇよ。俺だって割り振られてた仕事はこなしてたっつうの」

 

「あのチビ妖精の警護という名のお守り兼遊び相手でしょ?そんなのサボっていたのと大差ないわよ。あたしたちみたいに仕事をこなしてからそういうことは言ってちょうだい」

 

「けっ、仕事に貴賤はねぇだろ。割り振られた仕事はきちんとやってた。それだけの話だろうがよ。ただ、それが俺向きかそうでなかったかの話だっただけでな」

 

 仲睦まじく話しているが、その内側にある魔素を見ればわかる。各々が既に既存の竜王(ドラゴン・ロード)を凌駕していたが、今では最早八星魔王の大半でも相手になるか怪しい力量を身に着けている。更にはヴェルディアスから賜った星の加護の習熟も終わりつつあった。

 特にラーマは他の竜王よりも規格外に強力な力を与えられながらも、その制御を一番最初に完成させた。時に他の六星竜王の相手を務めるほどに、その力を使いこなしている。いくら他の六星竜王よりも早くその力を授かったとはいえ、恐るべき習熟速度だ。その成長速度は同じ魔物たちの中でも一際飛びぬけている。

 

 だからこそ、恐ろしい。この恐るべき魔物たちが人間に牙をむけば、おそらく誰も抗うことはできないだろう。ルドラの配下たちでもどれだけ抗いきれるか、分かったものではない。もしかすれば、全員で挑めばあのヴェルグリンドにも勝るかもしれない。そう思わせるほどの力なのだ、彼らの持つ力は。

 むろん、彼らはそんな事はしないだろう。いや、正確に言えばしないのではなくするほどの価値を相手に見出さない。大抵の存在は彼らが一発殴る程度でも死ぬような相手だ。帝国の近衛騎士団やギィのように究極能力(アルティメットスキル)に目覚めているものなら話は別だろうが、そんな相手は希少だ。

 

「立てるか?ホムラ」

 

「……はい。治療、ありがたく存じます。主様」

 

「いい。それより、大分能力を制御できるようになってきたな。お前も伸びしろがまだまだ残っている。ここで満足することのないようにな」

 

「はっ、必ずや主様にご納得いただけるよう努力を重ねていく次第であります」

 

「ああ、期待している。お前たちは来る闘争の主力となりうる存在だからな。お前たちならできると信じているよ」

 

「はい!精進いたします!」

 

「うむ、頑張ってくれ。さて、じゃあ次はアリーシャ。久しぶりにお前の戦いを見てやろう」

 

 唐突の指名に眉を顰めながらもホムラと交代する形で結界の中に入っていく。アリーシャが手元に愛用の剣を召喚すると、ヴェルディアスは自分の魔力によって創りあげられた刀を握る。そうして向かい合う二人の総身に魔力が満ちていく。

 

「こうしてお前の修業を見るのも大分久しぶりだな。俺は気ままに歩き回っていたし、お前は後進の教育で忙しかったものな。どうだ?腕は落ちていないか?」

 

「それは師匠ご自身の目で見られるがよろしいかと。……ただ言えることがあるとするならば」

 

「うん?」

 

「そうやって手を抜かれるようであれば、私は容赦なく斬り捨てるということです」

 

「……ふふっ。俺が真打を抜かぬ事がそんなに不満か。確かに、魔力で創りあげられた神話級(ゴッズ)は誰かの手によって造られた神話級(ゴッズ)に頑強性などは劣る。しかし、こと魔力の伝導率に関しては魔力で創られた物のほうが勝る」

 

 その要因は魔力で編まれた武具は、その者の魔力そのものであるが故に造られた物より適合しているからだ。無論、使いこめばその魔力伝導率の優劣も一般的に見れば、大した差ではなくなる。ヴェルディアスの有する本人曰く真打であれば、その点も完全に凌駕している。しかし、それを抜けない理由があるのだが、それを語るわけにはいかなかった。

 

「……まぁ、加減をするのは構いません。師匠のご都合でしょうから。ただ――――後で言い訳しないでくださいね」

 

「くはっ。言い訳か。面白いな――――是非ともさせてみせてくれ」

 

 

<――――天輝せよ、我が守護星。この身、彼方の光といざ混じらん

 

「最初から全力か。良いぞ、お前の星を存分に輝かせるがいい」

 

<――――汝、永劫の時の中で己が存在を刻むがいい

 

 そう告げた瞬間、アリシアの眼光に海の如き青色が宿る。それと共に膨大な魔力が空間を支配する。その中でもヴェルディアスは動けたが、何もせずに見守ることにした。されど、その影響力は結界を越えて見ていただけの六星竜王にすら及んだ。

 

『時刻領域、展開』

 

 さらに間髪おかず、ヴェルディアスから賜り自分の手で研鑽したことで昇りつめた能力を開放する。アリーシャはこの力だけで最強の呼び声高い存在となったのだ。完全なる時間の支配者にして、遍く存在を凌駕する最強の人間種。それこそが、アリーシャ・フォルティス……『時刻の勇者』なのだから。

 

「容赦ないな。だが、まぁ……そうこなくてはな」

 

 ヴェルディアスの眼光に金色の輝きが宿る。それと共に、アリーシャの展開した領域に真正面から喰らいつく。単騎で世界にすら影響を及ぼす特異点がヴェルディアスであるが故に、その事実に驚きはしない。驚いたのはその上昇幅だった。

 

「以前よりも、増している……それも規格外に」

 

 どれだけ強くなるつもりなのだろうか?いや、本人曰く『戻りつつあるだけ』という話だが、これで完全に戻ったわけではないなら、昔はどれだけの力があったというのだろうか?更に言えば、これで勝てないかもしれないとかどんな敵を想像しているのだ。

 

「どうした?俺に言い訳をさせてみるのだろう?これでは到底、そんな事をさせることもできんなぁ?」

 

「調子に……乗りすぎです!」

 

 アリーシャの眼光に宿る輝きがより強くなる。『時刻と時間を司る時の王者』という称号はこの程度で捨てられるほど、甘くもなければ優しくもない。まだほんの僅かな時間しか経っていないが、アリーシャとヴェルディアスの間では何千何万という攻防が繰り広げられていた。

 時間を支配するアリーシャは世界の時間と己の時間を同時に操れる。世界の時間を停止させながら、己の時間を加速させるなんて行動も容易い。ネックとなる寿命などの問題は神人である以上は問題にもならないのだ。しかし、それを力業で対抗しているのがヴェルディアスだった。

 

 世界の停止は時間子への干渉権限でクリアし、アリーシャ当人の時間加速に関してはヴェルディアス自身の各器官を『星神之王(ゼウス)』の雷で強化する。恐るべきはその倍率をその場その場で変えていることだ。

 アリーシャが自身の速度を加速させるのと同時に、ヴェルディアス自身の時間にも干渉することで停滞を押し付けている。その時間加速と時間停滞の応酬に対応しながら、アリーシャが対応できる限界ギリギリを攻め続けているのだ。

 

 凌駕することは簡単だ。何故なら、ヴェルディアスはこの世界において最強の竜種。今でこそ、『星神之王(ゼウス)』しか使用していないが、自身の能力である『循環』の能力を使えばより上の出力を叩き出すことができる。意味がないので、そんなことはしないが。

 それはどうしようもない種族差であり、アリーシャ本人はどうしようもない領域の話だ。あくまでも、この修業はアリーシャのための物で、ヴェルディアスの蹂躙劇を行うための物ではない。本分を違えてはならない。

 

 それにアリーシャの行動がまったくの無駄かといえば、そんな事はない。ヴェルディアスは自分の創った得物が、もう数合も打ち合えば砕け散ると悟っていた。やはり、同じ神話級とはいえ、自分の信頼する者の手によって造られた業物に自分が短時間で創った急造品が勝るはずがないのだ。

 だからこそ、ヴェルディアスは打ち合うのをやめて回避に専念する。その代わり、刀に膨大な量の魔力を籠める。数合は持つ耐久力を一合で壊す代わりに、破壊力を上げさせる。その思惑にアリーシャは気づき、させじとばかりに速度を上げてきた。

 

 アリーシャも分かっているのだ。一撃の破壊力はヴェルディアスに圧倒的に分があることを。ヴェルディアスの最大の一撃をもってすれば、世界を絶ち切れる。物理・精神問わず遍く存在ごと世界を破断して滅ぼすことができるのだ。だからこそ、破壊力勝負に持っていかれればアリーシャに勝ち目はない。

 しかし、こと戦闘に関してはヴェルディアスに一日の長がある。その剣戟を見切りつつ、エネルギーを収束させていく。その破壊力の前にはアリーシャが普段から張っている防御結界など紙切れ以下の耐久性しか有していないだろう。

 

 そして、ヴェルディアスが刀を振ろうとした瞬間――――刀身が砕け散った。器であった刀身が砕け散ったことで、その内部に収束されていたエネルギーが爆発した。外から見ていた六星竜王は金色の光にしか見えなかったソレは結界内部を吞みつくし、六星竜王が結集して張った結界を砕いた。

 煙が消えた先には、息も絶え絶えという風体ではあるが大きな傷は見受けられないアリーシャと爆炎の所為か黒ずんでいるが無傷のヴェルディアスがいた。いや、さすがに爆発の中心でもあった右手は焼け爛れていたが、凄まじい速度で回復が行われていた。完全に治ってからアリーシャの方を見た。

 

「驚いたぞ、アリーシャ。まさか斬撃を過去から送ってくるとは思わなかった。その対応は予想外だったぞ、流石にな」

 

「……………師匠に剣戟が届かないのは分かりきっていましたから。なら、師匠の斬撃が完全に発揮される前に、武器を壊して相打ちに等しい形に持っていくしかない。ただの衝撃や爆炎なら対処できますから」

 

「ははぁ、お前全部の余波を斬り掃ったのか。よもやよもやだな。剣士としても戦士としても大分成長できているみたいじゃないか。星の制御はまだまだのようだがな」

 

「これだけやっても、師匠にとってはまだまだですか」

 

「当然だろう。お前も素質を持っているのに、まだ俺と同じ頂に立てていない。だから、同化止まりなんだよ。お前もラーマも俺の軛を越えていってもらいたいんだがな」

 

「ご冗談を。師匠の域に達するにはまだ足りません」

 

「……まぁ、お前もラーマもまだ突き抜けていないからな。だが、お前たちならばその壁を越えられると信じているよ」

 

 そう告げると、ヴェルディアスは見る影もないほどに壊れた鍛錬場を修復させていく。アリーシャとラーマの自身を尊重しすぎる姿勢にため息をつきながら。

 

 

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