鬼滅の刃に聖杯戦争要素を入れてみたお話   作:天城黒猫

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 いいタイトルが思い浮かばなかったんや……勘弁してけれ……

 当小説の目的は二つ。

 【鬼滅の刃世界で聖杯戦争をやる】【無残様をハッ倒す】

 それではよろしくお願いします。




聖杯起動/英霊召喚

 

 

 

 ――――鬼。

 

 それは、この日の元において古来より語り継がれる怪物である。

 頭には角を持ち、その腕力は人間のそれを大きく超え、岩をも容易く砕き、都を荒らしては、財宝を奪い、人を喰らう恐るべき怪物。

 それこそが鬼であり、古来より長らく人々に恐れを与え続けた存在である。

 中には、鬼など伝説の存在でしかなく、実在などしない、と一笑の元に付す人間もいるが――生憎ながら、この日の元に鬼という怪物は実在する。

そして、彼らは長らく人々を襲い、喰らい続けてきた。もしも、鬼に出会い、そして彼らに狙われたのならば、その人間は不幸という他無いだろう。

 なぜならば、非力な人間では鬼の身体能力の前にはただただ蹂躙されるのみだからだ。そして――ここにも、一人不幸な少女がいた。

 

「嫌っ……!」

 

「ニゲルナ! ニゲルナァァァァア!」

 

 月が浮かぶ夜中、彼女は街中を疾走し、己を喰らおうとする鬼から逃げ続けていた。夜中に出歩くことは非常に危険なことであるし、彼女自身もまたそれは理解していた。しかし、この日ばかりはどうしようもない事情により、鬼に狙われ、こうして文字通り命がけの鬼ごっこを開始することとなったのだ。

 着物が崩れるのも構わず、彼女は手を振り回し、足を前へと進ませ続けた。文字通り必死ではあったが、現実は非常である。鬼はあっという間に彼女へと追いつき、その刃物が如き乱杭歯をむき出しにし、肉食獣のそれよりも鋭い爪を持つ手で、彼女の着物を掴んだ。

 

「ツカマエタァァア!」

 

「ヒィッ! 嫌ぁ――ッ!」

  

 ああ、実に残念ながら、彼女の命を懸けた逃走はあっという間に終了し、鬼に捕まった彼女がこれから先、どのような末路を迎えるかは読者諸君もお分かりのことであろう。

 鬼は人食いの怪物である。故に、彼女はこれよりこの鬼にその肉体を喰らわれるのだ。

 

 ――こうして、鬼は古来より人々を襲い、喰らい続けてきた。

 故に、この国では人々は古来より鬼に怯え、恐怖し続けてきた。抵抗しようにも、鬼の剛力に勝つこと能わず。逃げようにも、鬼の疾走から逃れること能わず。仮に万が一、鬼に傷を与えたり、腕や首を切り落としたりしても、鬼は死ぬことはなく再生する不死身の怪物なのだ。

 一度出会い、獲物と認められてしまえば、喰われるしかない。鬼と人とは、捕食者と被食者でしかないのだ。

 

「た、助けて――!」

 

「ムダムダ! タスケナンテコネェヨォォォォ! ビャガッ――」

 

 ――――だが、例外が存在する。

 

 鬼と人との捕食関係を覆すものが居る。彼らは、特殊な呼吸を身につけ、鬼と戦うことができる身体能力を得て、日輪刀と呼ばれる太陽の力を持つ特殊な刀で、鬼の首を切り落とし、殺すものがいる。

 

「――……無事か」

 

 その者、『滅』の一文字を背に背負い、鬼を殺す者なり。

 彼らのことを、鬼殺隊といった――――

 

 

 

 

 

 時代は大正。場所は冬木は円蔵山――

 

 その土地では、古来よりアインツベルンは冬の聖女、ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン。そしてロシアの魔術師間桐臓硯(マキリ・ゾォルケン)。最後にこの冬木土着の魔術師である遠坂永人の3人が築き上げた第3魔法、ヘブンズフィールを降臨させるために、3家が中心となって60年の周期で執り行われる儀式があった。

 英霊と呼ばれる過去現在未来の死した英雄を呼び出し、使役して戦い、敗北した英霊を魔力へと変換し、願いを叶える儀式――聖杯戦争。

 

 ……とはいえども、聖杯戦争は過去に二度行われたのみであり、そのどちらも聖杯の降臨はおろか、願望の成就にすら至っていなかった。

 故に、遠坂、間桐、アインツベルンの御三家は聖杯を降臨すべく、次回の聖杯戦争へと向けて力を蓄えていた。

 

 ……先ほども言ったが、聖杯戦争は60年の周期で行われる。その理由の一つとして、英霊を召喚するだけの魔力を龍脈から集め、貯蔵する必要があるからだ。前回の聖杯戦争から、60年の時は経っておらず、聖杯が起動することはまずない。

 

 ――だが、聖杯は既に起動し、聖杯戦争を開始すべくその機能を稼働させている。

 

 しかし、大聖杯が隠されていたこの洞窟に、大聖杯は存在していなかった。

 

「愚か。愚かな無能め」

 

 間桐臓硯は怒りを隠せず、床に倒れている己が子孫――下の名前を語る必要性も、価値もないため、この場では間桐何某とする――を見下した。令呪が宿った右腕を召喚した英霊にっよって、引き千切られたのだろう、右腕は喪失していた。

 そして、彼の遺体の傍らには無数の紙が散乱していた。間桐臓硯はそれらを拾い上げ、書かれている内容を吟味した。

 それらの紙には、この間桐何某の研究成果とでもいうのだろうか。聖杯を強制的に起動し、行使する術が書かれていた。

 

 ――この間桐臓硯の子孫である間桐何某には、魔術の才能が無かった。それだけならば、まだ良い。だが、間桐何某はプライドが非常に高く、魔術の才能が無く、その上、聖杯戦争に参加する世代ではなかったことに、憤慨した。

 己の祖父である間桐臓硯からは、子を産み、間桐を存続させるための道具としか見られておらず、魔術師としては使えない落ちこぼれとして煙たがられていた。

 彼の高いプライドは、その現状を許しはしなかった。

 

 故に、間桐何某は聖杯を起動し、聖杯による第三魔法(ヘブンズフィール)を行使することによって、その現状を否定しようとした。

 間桐臓硯の目を盗み、聖杯の研究を重ね――ついに聖杯を起動させたのだ。

 

 当初の目論見通り、聖杯を起動させ、聖杯戦争を開始すべき英霊を召喚した間桐何某は、歓喜の絶頂にあった。しかし、その絶頂はすぐさま己の死という結果で終焉を迎えることとなった。

 召喚した英霊は、間桐何某といくつかの会話を終えるなり、突然彼の腕を引きちぎることによって令呪を奪い、その場から立ち去ったのだ。

 そして、その場に残された間桐何某は腕を引きちぎられたことによる痛みと、多量の出血によってすぐさま死亡した。

 

 ――そして、間桐臓硯がこの状況を発見するに至る。

 間桐臓硯はその聖杯を起動させるための方法が書かれた紙を見ると、ただでさえ収まりきらない苛立ちが、更に大きく燃え上がった。

 というのも、その聖杯を起動させるための方法というのが、酷く乱雑なものであり、聖杯の機能が一部歪んでしまっているのだ。

 

「反英雄の召喚に、この国の土地に関わる英霊しか召喚できなくなっているとは――その上、魔力が集まりきらないうちに聖杯を起動したが故に、召喚可能なサーヴァントの数は5騎のみといったところか……つくづく余計なことをしてくれたものだ。この様子では、召喚されるサーヴァントのクラスが重複することもありうる」

 

 間桐臓硯は舌打ちをした。この状況は、彼にとって喜ばしくはないと言えよう。

 今は、次回の聖杯戦争へと向けて、御三家同士で細やかな取り決めをしている最中であり、そんな中で間桐が独断でに聖杯を起動させたならば、それは遠坂とアインツベルンとの両家を裏切ったと囚われかねない行為である。

 そのうえ、召喚できるサーヴァントが5騎のみでは、間桐臓硯が望む願いを成就させることは不可能なのだ。

 

「この愚か者が。貴様程度のような未熟者は、大人しくしていればよいものを」

 

 間桐臓硯は間桐何某を見やり、証拠隠滅のついでに、腹いせと言わんばかりに彼の死体を己の使い魔である蟲達に喰らわせた。

 今、彼の脳内では、この状況でどう行動すべきか思考していた。しかし、その思考は強制的に中断されることとなった。 

 

「――間桐臓硯、大聖杯を貰おう」

 

 突如その場に現れたその男は、どことなく異様な雰囲気を漂わせていた。肌は病人のように青白く、口からは鋭い牙を覗かせ、西洋風の服に身を包んだ男は、間桐臓硯を鋭い目で睨みつけていた。

 

「否じゃ、断る。……サーヴァントが破壊した結界を通り抜けたか」

 

 間桐臓硯もまた、鋭い目でその男を睨み付け、敵意を隠そうともせずに答えた。彼にとってこの男は意図せぬ来訪者であり、敵対すべき存在である。

 その男は、苛立ちを隠せずに言葉を続けた。

 

「それがどうした? 二度は言わん。聖杯を寄越せ、この私に差し出せ!」

 

「断る――貴様も懲りぬ奴よ。鬼舞辻無惨。過去二度に渡り、聖杯戦争に乱入しようとしては、この儂に痛い目に合わされていたのを忘れたか?」

 

 鬼舞辻無惨と呼ばれたその男は、過去の屈辱を思い出し、忌々し気に顔を歪めながら叫んだ。

 

「黙れ! 貴様はただ、私に聖杯を寄越せばよいのだ! 鬼となれば、老いることもなく、強靭な肉体を得ることもできる。不死身となるのだ。過去に鬼となることを条件に、聖杯を私に寄越すことを持ち掛けたが、貴様は首を横に振り続けた。ならば――もう死ね。私に従わないのならば、死ね。()()()()()

 

「ふん、貴様の言う()()は不死身ですらない。鬼種ですらなく、かといって死徒ですらなく、人間でもない。何にもならぬ半端物のそれよ。貴様が聖杯戦争に関わる資格は無い。かといって、開催するたびに何度も乱入しようとするのも、目障りよなぁ。――三度目は無いぞ。()()

 

 一人は間桐臓硯――魔術によって延命を重ね、己の願いを叶えるためだけに、500年という永き時を生きる怪物。

 一人は鬼舞辻無惨――不死身の肉体と強靭な力を持ち、平安の世から現在まで、少なくとも1000年以上存在し続ける、鬼の産み手であり、鬼の王である怪物。

 

 二つの永き時を生きる怪物たちは、お互いの存在を抹消すべく、交戦を開始した――――

 

 

 

 

 遊郭――そこは、遊女たちが男を誘い、共に甘美なる一時を過ごすための町であった。しかし、現在この街では、体をまぐわう男女も、手遊びを楽しむような者達も、存在せず、あるものは恐怖に包まれ、あるものは訳も分からず黒子のような姿形をした者達の誘導によって、その場から退避したり、またある者は、不幸にも()()との戦いで巻き添えになり、命を落とした。

 

「チィッ――!」

 

 音柱、宇随天元は舌打ちをしながら妓夫太郎の振るう武器を回避した。

 ――鬼舞辻無惨が生み出した鬼の中でも、強き者のみがその称号を得ることができる一二鬼月が上弦の陸。それが遊郭の中に潜んでいるという情報を入手した、宇随天元は、竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助の三人を率いて、遊郭へと潜入し、上弦の陸を見事発見し、こうして交戦するまでに至った。

 だが、その戦況は芳しくなかった。鬼殺隊の中でも強き九人のみが名乗ることを許される、柱である宇随天元とはいえども、上弦の陸は手強い敵であった。というよりは、これは当然の結果といえるであろう。上弦の陸は、これまでに何名かの柱を殺しているのだから、宇随天元が追い詰められるのは、何らおかしくないことであった。

 

 そして、宇随天元と共に行動する竈門炭治郎、嘴平伊之助、我妻善逸の三人もまた、同じく上弦の陸である堕姫と交戦し、非常に手こずっていた。

 

 ――クソ、クソ、どうすりゃあいい! どうすれば奴に勝てる? 譜面を作れ。譜面を完成させろ! このままじゃあ、派手に不味いぞ!

 

「その程度かァ? そら――死ね!」

 

「ガッ……!」

 

 宇随天元は、妓夫太郎の攻撃によってその体を吹き飛ばされ、家の屋根を砕きながら、家の中へと叩き落された。

 

「爆発か!?」「クソ、あの家の奴らは無事か?」「問題ねえ、アソコは昔獅子郷さんが住んでいたが、今は空き家だ!」「それよりも逃げろ!」

 

 遊郭の人々は、彼らの戦闘によって発生する余波や、轟音に怯えながらも、隠の誘導によって避難をしていた。

 

 さて、宇随天元の様子を見てみるとしよう。

 先ほどの攻撃によって家の屋根を突き抜け、床に叩きつけられ、その衝撃で床が砕け、その家の地下室へと落下した宇随天元は、この家に地下室があるという事実に戸惑うものの、己の体の調子を確かめた。骨の何本かが砕けてはいたが、呼吸さえしていれば戦う分には問題はなかった。故に、妓夫太郎の追撃に備えるべく素早く立ち上がり、上を見上げた。

 しかし――ここで、思わぬ現象が発生することとなった。宇随天元のすぐ前にある床に彫られていた陣が光り輝き始めたのだ。

 それを見るなり、宇随天元はすぐさまその魔法陣から離れ、警戒を巌にした。

 

 ――何だ? 急に床が光った! あの模様は何だ? それに、右手に痛みと……これは痣か? 血鬼術による攻撃、奴等の血鬼術とはまた別のものか? 新手か……? どんな攻撃だ?

 

  彼には計り知らぬことではあるが、それはかつてこの家で生活していた、獅子郷という魔術師が悪魔を召喚する際に使用した魔法陣であった。

 そして、現在その魔法陣を使って悪魔を呼ぶことは不可能だし、まともに機能することはまずない。

 しかし、起動した聖杯によって、マスターの素質を持つ宇随天元の元へ、英霊を召喚すべくその魔法陣は起動した。詠唱は無く、魔法陣は不完全なものであった。しかし、それでも聖杯と抑止との後押しにより、その英霊は宇随天元をマスターとし、現世へとその身を再臨させることとなった。 

 宇随天元の右腕に令呪が刻まれ、魔法陣の上に立つその男は、膝を付き、頭を垂れながら口を開いた。

 

「サーヴァント、アサシン。ここに現界いたしました。あなたがマスターでよろしいか」

 

「アァ? 何だ、テメェは!」

 

 宇随天元は、突如目の前に現れた男を訝し気な目で睨み付け、その存在感に少しばかり圧倒されながらも、その身なりを観察した。

 赤い髪に、細長い目をした男性であり、見た限り鬼ではない。彼が鬼ではない、ということに、宇随天元は眉を顰めた。突如なにも無い所から現れるような、得体のしれない現象は、魔術を知らない宇随天元にとっては血鬼術以外にあり得ないものであった。

 故に、彼は相手が鬼ではなくとも、警戒を解くことは無かった。もし、彼が攻撃なり、怪しい動きを見せたのならば、すぐさま反撃や拘束を行う腹つもりであった。

 その男には、人間のようで、人間とはどこか違うような印象を覚えた。存在感、あるいは格の違いとでも言うべきか。そういった迫力があった。

 それに、彼にとって注目すると同時に、見過ごせない要素がその男にはあった。 

 

「――テメェ、忍びか。どこの里のモンだ?」

 

 その男は、見るからに忍びだと理解できた。それは、同じく忍びである宇随天元だからこそ分かったことだ。

 忍びの風習を嫌い、抜け忍となった彼は、他の忍びのことを快く思っていない。故に、宇随天元は警戒を巌にしながらも、その男が忍びであるという事実に眉をひそめたのだ。

そうした宇随天元の感情を知ってか知らずか、その男はニコリと笑みを浮かべ、宇随天元の問いかけに答えた。

 

 「はい。我が真名は風魔小太郎。第五代目風魔が棟梁です。身なりこそ……その、個性的ではありますが、あなたも同じく忍びのようで」

 

 

 





【作者コソコソ話】

 この時代の間桐臓硯って、原作と比べるとまだ若いから魂が腐っていない可能性あるのかな……と思ったんですが、面倒くさいので原作と同じ感じのキャラクターで行きます。つまり腐敗してます。

 獅子郷一族さんは悪魔と契約して、強力な力を手に入れたので、より良い龍脈がある土地へと移動しました。魔法陣が未だに残っていたのは、起動することが無いように後処理されていたからです。ですが、聖杯の後押しによって不完全な魔法陣でも英霊が召喚されました。これは獅子郷一族さんも流石に想定外。
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