勘違いは止まらない!   作:ふに・ふらふら

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汝、善行を捧げよ。


スタート

 神は言った。

死後の誉が欲しければ、善行を積めと。

正しき者には報いがあるのだと。

 

 死ぬ寸前に見ていた大人のビデオの証拠隠滅は、善行およそ100万ポイントで叶う。

 

 むっつりスケベで表向き誠実な私はその甘言に頷くしかなかった。

 

 

 ───────────────

 

 

 新たな人生も早16年と少し。

 

 異世界でも何でもなく同じ日本に生まれ、両親はいないものの祖父母のお陰で特に不自由のない生活が送れている。

 毎月の生活費をあの手この手で増やして寄付してはポイント獲得の日々。

 身近でできる善行はなんでもやった。

 

 そうして貯めたポイントは現在810000。809000と811000の間の数。偶数であり、自然数。特に深い意味はない。

 

 右腕に刻印されたその数字。

 ちょっと中二病ぽくって包帯で怪我した風にしたらもっと中二病ぽくなったそれ。

 

 人生のほとんどをポイントに捧げてやっとここまできた。

 

 私には時間がない。

 

 神曰く、タイムリミットは17歳の誕生日。今年の9月1日。後数ヶ月しかない。

 それまでに100万ポイント貯めないとジ・エンド。

 ギリギリいけるかどうかの微妙な所。気を休める暇なんてない。

 

 朝の身支度の為、鏡と向かい合う。

 

 以前と容姿が似ているのは神の思惑か。成長するにつれ、その顔は慣れ親しんだものへと近づいている。

 

 以前の私はむっつりスケベで誰にでも優しくしていたからなのか知らないが、よくホモと間違えられた。

 なんなら男の部下に告白された事もある。

 

 だが!そんな事はもうどうでもいい。

 ホモだと思われようとも、今の私は全てを優しさに捧げる。

 

 全てはポイントのために……!

 

 葬式で笑われたくない。慕われていた部下、頼りにしてくれていた上司、そして何より親族が心の中で吹き出している葬式は嫌だっ!泣く!

 

 “あの部署の人、イキ氏にしたって……w”

 “昇天するのに人妻ものは笑える”

 “息子が息子握ったままいきよった”

 なんて言われたくない……!

 

 違うんだよ、その日はたまたま隣室の人妻とエレベーターで談笑して。ちょっと興奮しちゃっただけで、決して最期のイク瞬間にそれを選んだわけじゃなくて。

 

 

 ピピッ

 

 腕時計のタイマーが午前4時を知らせてくれる。

 

「今日も一日がんばるぞい!」

 

 町内の清掃から始まり、掲示板に張り出されていた迷い子の子猫の捜索。etc,etc……。その後は学校の清掃と生徒会の仕事を片付けなければいけない。

 

 いつも通りの日常。されどやる事は山積みだ。

 

 我らが秀知院学園高等部生徒会の一員として身嗜みにも気をつけれなければいけない。

 

「では、行ってきます」

 

 誰もいない部屋に頭を下げて、私は家を出た。

 

 

 

 

 生徒会学校長特別推薦枠・役職名・雑用。

 所場 十八(ところば とうよう)

 

 

 

 

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