勘違いは止まらない!   作:ふに・ふらふら

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所場十八は隙あらば語りたい(表)

 

 

 ゴミをポイ捨てする。

→ポイントが減る

わかる。

 ゴミを拾う。

→ポイントが増える。

わかる。

 落ちているゴミを素通りする。

→ポイントが減る

まあわかる。

 ポイ捨てしている人に注意をしない。

→ポイントが減る。

……あはは。

 

 一般道徳に反する行いをするのみならず知らぬ存ぜぬを通すだけでポイントが減る事が最初の数年で判明した。

 

 条件厳しッ。

 

 

 


 

 

side主人公

 

 ここ最近を振り返って思う。

 

 もしかして私は生徒会メンバーにそこまで嫌われていないのではないか……と。

 

 そもそも私が彼らに嫌われていると思った根拠は、私の何かしらの言動に対してポイントの減りが見られたから。

 ポイントが減るということは相手にとってなんらかの不快感があったということ。

 自分に不快な思いをさせる相手を嫌うのは自然な事ではあるので納得できる。だからこそ彼らの私への態度はどこか余所余所しかったのだろうし。

 

 しかし、最近はむしろ積極的だ。私は生徒会メンバーの好感度が知りたい。

 ただし四宮は除く。

 

 彼女には面と向かって嫌いだと言われている。むしろ同じ生徒会に所属していながら時々しかポイントが減らないのは、既に彼女が私を社会的に抹殺する謀略を立てたからなのではと戦々恐々としている。もしくは私を揶揄って遊んでいるのか……。

 

 外面的なヘマはしていない……と思う。

 生徒会メンバーはともかく一般生徒や教師陣からは頼りやすい、押し付けやすい生徒と見られている。

 教師からの雑用だって自ら名乗り出ているのだからその認識に間違いはないはずだ。

 

 そこで生徒会。

 正直、白銀と藤原に嫌われる行動をしたかどうか私には心当たりがない。けれどたまにポイントが減るのも事実。

 

 だからこそ彼ら3人だけの生徒会室はどのような会話がなされるのか盗み聞く事にした。

 基本的に放課後は3日に一度しか顔を出さない私(ポイントが減らないギリギリのライン)。今日は来ないと思って彼らの口も軽くなるだろう。

 

 私についての話題が日常会話程度であれば一応生徒会に所属しているよねくらいの好感度にランクアップ。嫌いよりかは少しマシな立ち位置。

 私の話題が微塵も出なければ、嫌いから無関心にランクアップ。ポイントへの危険度は下がる。

 

 覚悟を決め、私は扉の隙間から生徒会室に耳を傾ける。

 

 

《─────今日は所場が来ない日だったな。ならば都合がいいか》

 

《ええ》

 

《次は4人でゲームしたいです〜》

 

 あはは死んだ(好感度)。

 

 ……私は静かにその場を後にした。

 まさか、二人も四宮の謀略に加担していたなんて。

 どうりで最近の3人は仲良さげだったわけだよ。私を揶揄って楽しんでいたということか。ポイントの対価がこれ。クッゥゥ。甘んじて受けよう。

 こちらもこちらの都合を押し付けている身。偉そうな事は言えない。

 四宮。やはり恐ろしい娘だ。

 

 揶揄われている内はまだいい。

 本格的に潰しにかかってくる可能性がある以上、その前にポイントを貯めきらないと。

 なるべく四宮の言う事は聞くようにしよう。あ、これまでと大して変わんねーや。あはは笑えない。

 

 

 

 

 高等部に上がってすぐの事。

 中等部生徒会雑用枠だった私は当時の高等部会長や校長の許可の下、再びその役職に就くことが叶った。

 

 文字通り雑用。

 生徒会の面々や教師から仕事を押し付けられる日々にウハウハだった私。

さらにポイントの獲得機会を増やそうと外部生に目をつけた。

 

 過ごしてきた環境の違いからくる空気感はお互いの差別意識を助長し、中等部上がりの純院生と外部から来た混院生との間に見えない壁を生んでいた。

 

 やたら顔が広かった私がその取持ちを果たそうとして、

 

 

 

────普通に失敗した。

 

 我ながら余計な事をしたと思っている。誰かから頼られるのではなく自分で動く事の危険性をその時に改めて理解した。何故だか幸いな事にポイントは減らなかったけれど。

 

 結局私が掻き乱したその空気を変えてくれたのは外部生でありながら定期考査一位を勝ち取った白銀。

 

 私が力になれた事といえば外部生の学力を少しばかりあげること。

 それも今では全員が私よりテストの順位が上。勉強に関して私が頼られたのは最初の2ヶ月だけだった。

 

 ただただ周囲にとって都合がいいように振舞って相手が望む言葉をかけて、その場凌ぎの善良で許されるならどれだけ楽か。

 以前はそれで万事上手くいっていた。

 

 善良性に伴う責任の重さを今生になって理解した。

 全容は掴めないものの、ポイントの基準は相当に面倒なものなのだろう。

 

 私を嫌う人。揶揄う人。視界にも映らない人。

 

 周囲のすべての人間が私をただ利用するだけの存在ならいいのに。

 

 アフターケアには細心の注意を払った。私が及ぼした影響がどこまで広がるのか、どんな結果を生むのか。言葉を発する際は頭で何度も反芻して、どう行動すれば私の影響が少なくて済むか考え抜いた。

 

 善行をする際はしっかりと保険もかけていた。相手には正直に私の為だと話していたし、自主的に動く時はなるべく物事を解決してから当事者に報告していた。

 

 それでも、四宮の不興を買ってしまった。

 

 やはりこのままでは駄目だ。

 四宮に謝ってポイント獲得に専念できるようにしよう。

 

 そうしないと私の胃がもたない。ストレスの重みで胃が溶けている錯覚を起こす。この時期に入院しようものなら100万ポイント達成は不可能。

 

 四宮への謝罪時に多少ポイントが減ろうとも今後四宮関連でポイント減少への心配がなくなれば御の字。

 土下座から靴舐めまでが許容範囲だけど、それで許してくれるかな。

 

 あとは謝るタイミング……。

 なるべく四宮の機嫌がいい日に呼び出そう。怖いし。

 

 


 

 

 

 

 この人はこういう人間だ、と一人一人の人間性を仮定し情報としてまとめる。

 その人と接する際にそれらを利用し、最善手を取る。

 それが私が培ったコミュニケーション能力。誰もがやっている、当たり前のこと。

 

 藤原千花は普通に優しい女の子だ。誰かに優しくしようなんて考えは微塵もなく、彼女らしさの中に優しさが漂うような女の子。

 空気を読むことをしないのは誰もに等しく接するから。

 そんな彼女は誰かの幸せを自分の幸せとして分かち合う事ができる。

 こころ善き人。

 

 

 四宮かぐやは、脆い女の子だ。

 誰かと接するのが怖くて、傷つけるのも傷つくのも恐れている臆病な女の子。

 周囲に強く当たるのは自分を守る為。それが彼女が子供の頃から培った処世術だったのだろう。

 だからこそ、彼女が積み重ねたのは成長ではなくただの適応と言える。

 

 彼女らには彼女らなりの積み重ねた過去があり経験があり、見てきた景色がある。

 それら全てが彼女達の今を作り上げていると考えれば、多少の特異性も良き個性だと思えた。

 

 だからこそ私から見た彼女達は、年端もいかない普通の女の子だった。

 

 それが中等部時代に仮定した彼女達の人となり………………だったんだけどなぁぁぁぁ。

 付け入る隙が大きいからこそ私は彼女達に近づいた。が、結果待っていたのは大魔王と邪神みたいな女の子だった。

 

 四宮かぐやは私の事が嫌いだと言う。

 藤原千花は私と目を合わそうとしない。

 

 

 外面を取り繕うのが得意だったはずなんだけど、どこでぼろが出たのか。

 

 とにかく。

 彼女達は見抜いたのだ。私の人となりを。

 

 

 

 

 

 変態のむっつりである事を。

 

 ちくしょうめ。

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