勘違いは止まらない!   作:ふに・ふらふら

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四宮と白銀は誘いたい(裏)

 

 

 友達。

勤務、学校あるいは志などを共にしていて、同等の相手として交わっている人。友人。

 

 その言葉に従うならば、秀知院学園高等部生徒会メンバーは全員が友達と言うべき間柄といえよう。

 

 生徒会という組織に所属し、同じ志の元に勤め、役職はあれど立場は対等である彼ら。

 

 だがそれは、あくまで言葉の上でのこと。

 

 今期生徒会として過ごして早半年。

白銀達が未だ仲を深められぬ存在がただ一人存在した。

 

 彼の名は所場十八(ところばとうよう)

 

生徒会特別枠の雑用である。

 

 曰く。感情の起伏が少ないながらもその行動は善意に溢れ、この学園の誰もが彼に助けられた経験を持つという。

 曰く。その中性的な容姿から男女共に人気ながらも、その純白さは性欲モンスターに劣情すら抱かせず身を引かせるほどであると。

 曰く。激務である生徒会に助力したいという想いから、校長に直談判し自ら生徒会雑用枠に収まったという。

 曰く、曰く、曰く。

 

 彼の話、噂話も含めれば数え切れないほどにこの学園では溢れている。

 

 だが、そんな彼の素性を知る者はほとんどいない。

日本有数の富豪の子息であるという噂も一時期出回ったが、所場(ところば)という該当する氏がないためあやふやなままその噂も立ち消えた。

 

 その超然とした振る舞いから周囲が一歩退いているため彼の真実を追求する者も少ない。

 だが、生徒会メンバーが彼と仲を深められないのは別の要因も存在した。

 

 それは、彼自身の周囲と一線を引いた人付き合い。

 

 生徒会で半年過ごして、未だ呼び方が白銀さんである生徒会のトップ。

 

 白銀御行は思った。

 

 “マジで仲を深められる気がしない!!?”

 

 それは副会長である四宮かぐやも同じ想いであった。

 

 “中等部の頃より距離感が遠くなってるじゃない!!?なんで?!”

 

 思いがけないところで通じ合った二人は共同戦線を張り、所場十八(ところばとうよう)と仲を深めるべく様々な策を弄する。

 

 生徒会は友情を深めたい!

 

 

 

 ─────────────

 

 

side白銀御行

 

 四宮と共同戦線を張ってこれまでいくつか策を講じてはいるが、いまいち結果に繋がらない今日この頃。

今日も今日とて十八(とうよう)を映画に誘うべく四宮と共に戦いに臨む。

 

「なんだか、また噂されているみたいですね。私達が交際してるとか」

 

 四宮の裏工作により藤原書記が現在所有する三枚の恋愛映画チケット。

その遠回しの話し出しとしては上々だ、四宮。

 

「そういう年頃なのだろう。

聞き流せばいい」

 

 話に乗ってくるか、藤原書記?

 

「ふふ。そういうものですか」

 

「はは、そういうものだ」

 

 乗ってこないのかッ!!

 

「そういえば今日、庭の噴水にある甘いリンゴとさくらんぼのレリーフの奥深くにカタツムリが─────」

 

 時間稼ぎに四宮が雑談を挟んできたが……。

 

 チラッ

 

 

 大福に夢中か、藤原!!

四宮がしちゃいけない目でお前を見てるぞ!気付けッ!!

 

「俺の妹が昔、暑いからと言って噴水に入って風邪を引いてな。ほんと、感情で動くとろくなことに───────」

 

「ああ、そういえばー。聞いてください。なんか、映画のチケットが当たったんですけど家の方針でこういうものを見るのは禁止されてましてー。

 お二人はご興味おありですか?」

 

 やっとか!

 

「ほう、そういえば週末は珍しくオフだったな。だったら四宮、俺たち─

「なんでも、この映画を男女で見に行くと結ばれるジンクスがあるとか!」

 

「「っ!?」」

 

 なん、だとっ……。

 

「ステキ!!」

 

 “なんだそのジンクス!?計画にはなかっただろ!四宮お前ッ!?(アイコンタクトである)”

 

 “し、知らないわ!!私は早坂にオススメの映画を頼んだだけで、内容なんて知らないもの!(テレパシーではない)”

 

 あのまま行けば自然な形で十八(とうよう)を誘えたのに。ここで無理に誘ってしまえば、俺がどうしても十八と行きたいみたいになる。いや事実そうなのだがそれが十八にバレるのは、なんか、こう……恥ずかしい。

 ここは誘導して四宮から十八を誘う形にすれば……。

 

「…ん。あら、会長。今私の事を誘いましたか?

 男女で見に行くと結ばれる映画に、私と会長の男女で行きたいと。

 あらあら、まあまあ。それはまるで……」

 

 まるで告白のようではないかッ!!

四宮、お前!!

俺に誘わせるつもりだなッ!

 ここで十八を誘えば俺が四宮にそういった感情がないことは証明できる。

だが、それでは元の木阿弥。

 

 ならば……!

 

「ああ、四宮を誘った。俺はそう言った噂など気にせんが、お前はそうではないみたいだな。

 お前は俺とこの映画を観に行きたいのか?」

 

 さあ、これでお前も俺と同じ土俵だ!!誘うも地獄誘わぬも地獄。

 

「そうですね。やはりどうしてもこう言ったお話は信じてしまうもので。ですから、私達──

「もう!お二人とも何を言ってるんですか。チケットは三枚あるんですからもう一人お誘いすればいいじゃないですかー!」

 

 

「「…………」」

 

 お前がジンクス云々言ったんだろうがッ!!!

だが、これでまた十八を誘いやすい流れができた。

 

「そうですね。せっかくチケットが三枚あるのですから、三人で行くのがいいでしょう。思い当たる方はいらっしゃいませんか、会長?」

 

 この期に及んでまだ俺に誘わせようとするか、四宮。

だが、藤原がアシストしたこの流れならより自然に、みんなで話し合った結果それがいいよねー的な、そうなるのが自然だよねー的な感じで言える!

 仕方ない。今回は俺が譲歩してやる。次回はお前が誘え。

 

「……そ、うだな。俺と四宮にもう一人加わるのならば、共通の知人が─

「あ!圭ちゃんがいるじゃないですかー!かぐやさんも会長の妹さんに会ったことありませんし、いい機会なのでは?」

 

 また、お前か藤原ッ!!!!

 

 ガタッ

 

 部屋の隅でパソコンをいじっていた十八が立ち上がった。

 まさか……。

 

「それではお三方。

 私は先に教室に戻ります。また放課後に」

 

「「(終わっ……た)」」

 

「え、ええ。そうですか。ではまた放課後に」

 

 四宮が引き攣った笑顔を浮かべる寸前、藤原をすごい目で見ていた事に俺は気づいていた。

……一応後でフォローしておこう。

 

「ああ、また放課後にな、放課後に」

 

 放課後に会った時に話す話題も考えておかなければ。

 

「あ、居たんですね。十八さん」

 

 それにしても結局今回も上手くいかなかったか。

はぁ……。

 

 

『本日の勝敗、白銀と四宮の負け。』

 

 

 

「藤原さん、少し宜しいでしょうか?」

 

「ん?何です、かぐやさん?」

 

 さて、どうやって四宮を止めよう。

 

 

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