あーん(絶望)。
side白銀御行
「会長、今日は手作り弁当ですか?」
「ああ。田舎の爺様が野菜を大量に送ってきてくれてな。これでも料理には自信があるんだぞ?」
藤原書記を新たに共同戦線メンバーに加えた数日前。
あの日、俺たちの覚悟は決まった。俺の最終目標はお前と笑い合いながらハグをする事だ、
熱い抱擁を待っているがいい!!
「お昼、おっひるー♪わあ!今日はお弁当ですかー!美味しそう!」
「そうだろう?全部俺の手作りだ」
「いいなー。一口分けて下さいよ」
「ん?別に構わんぞ」
「ほんとですか!」
「ではこのハンバーグをやろう!」
「やったー!」
ここまではあくまで場を温めるやり取り。ここからが勝負だ。
「どうだろうか。四宮と所場も食べてみるか?」
「ええ、是非」
四宮が乗るのは予定通り。十八は……。
「……いえ。見たところあまり量もありませんし私は大丈夫です」
ふっ。その答えは予測パターンのうちの一つだ!さあ、仕掛けるんだ四宮!
「でしたら私のお弁当はいかがですか?料理人の興が乗ってしまい、いつもより量が多めですので問題ありませんよ?」
「いえ、でも悪いですし」
「大丈夫です」
「いえ」
「むしろ食べきれるか不安なので、手助けしていただければこちらとしても助かるのですが……。どうでしょう?」
頼まれてしまえばなかなか断れないのが十八だ。多少強引でも頷くしかあるまい。
「では、ありがたく頂きます……」
「はい、どうぞ」
一流のシェフが作ったであろうその料理が四宮の手によって十八の口へ運ばれていく。本来行儀の悪いはずのその行為が二人の所作の一つ一つによってまるで絵画のごとく完成された一つの美のようだ。
……。
俺は一体何を言っている。
というか……なんて幸せそうに食べるんだ十八。何故だか空気がポワポワしているぞ。
破壊力たけえなおい!普段あまり表情が変わらないからこそのこのギャップ!!
え、何この胸の高鳴り。
これが───恋?って違うわ。
十八にバレないよう声を抑えて話しかけてくる四宮と藤原書記。
「どうした?」
「会長。……何でしょうかあの所場さんは。何故だかこう、すごく胸にくるものがあるのですが」
それな。
「会長、かぐやさん!なんだか十八さんがすごく可愛いです!例えるならぬいぐるみみたいな可愛さです!あれはずるい!!」
それな。
「……美味しいです。こんなにも美味しいものは久し振りに食べました」
「ん?そういえば所場。自分の昼食はどうした?」
思い返せば十八が昼食を食べているところを見たことがない……?
「昼はいつも食べていませんよ?まあ、ダイエットのようなものです」
「ダイエットをする程太っているようには見えないのだが、そこまで気にすることなのか?過度な食事制限は身体に毒だぞ」
「大丈夫です。栄養バランスは考えていますから」
確かに見たところ健康状態が悪いようには見えない。だが、特別そういった方面に造詣が深いわけではない俺の視診などあまり意味はないだろうし。
「高校生はまだ育ち盛りですよ?昼を抜けば学園生活にも支障をきたす可能性もありますし、やはりしっかりと食べた方がよろしいかと。
ほら、今回は私が食べきれない分を紙皿に分けましたので召し上がって下さい」
「……お気遣い感謝します」
「いえいえ、いいのです。なんでしたら明日からは所場さんの分の昼食も料理人に作らせます」
「いえそれは流石に
「いいですね、かぐやさん!昼食も、みんなでワイワイしながら食べましょう!きっと楽しいです!」
ナイスアシスト、藤原書記!
「いいですね、所場さん?」
「……はい」
そうして昼食時は生徒会室にて“4人”で食べるのが決まり事となった。
そこに石上会計が追加されるのはそれから暫く後のことだった。
まじごめん。
「会長。この作戦の前に十八さんの事、所場じゃなくて十八と呼ぶって息巻いてたじゃないですか」
「うぐっ」
藤原書記の口撃が白銀を襲う。
「会長の事です。内心では十八と呼んでいるのではありませんか?
ふふふ、お可愛いこと」
図星。四宮の口撃が白銀の急所にあたる。
「「チキン」」
「ぐはっ」
白銀撃沈。