勘違いは止まらない!   作:ふに・ふらふら

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田沼翼は告白したい(表)

 

 

────放課後────

 

 共同戦線改め、所場を攻略し隊(藤原書記命名)。

 

白銀御行。

四宮かぐや。

藤原千花。

 

 略称)攻略隊メンバーの彼ら3人は、学校の一室を貸し切って作戦会議を行っていた。

 

「一先ず、食事を共にするという第一段階を終えた」

 

 机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってくる白銀。

 終始謎の威圧を発しながらもその行為の全ては今浮かべているにやつき面を隠すために行われていた。

 

「ところで、確認しておきたいのだが……二人は所場の連絡先を所持しているか?」

 

 それというのも、少し前に白銀は遂に所場と連絡先を交換することに成功!

 二人に対し一歩先を行った白銀の内に溢れるのは優越感のみ!!

 

 一年生時に、さながら彼女から貢がれる彼氏のごとく所場から誕生日プレゼントとしてスマホをもらっておきながらおよそ数ヶ月!連絡先を聞こうと口を開いては言葉にできず震える日々。

 そんな思春期女子ムーブをかましてきた白銀もついに勇気を振り絞って連絡先の交換を申し入れ。

 

(ここまで、長かった……!)

 

 達成感に打ち震えていた。

 

「まあ、持っていないだろうが。

実は先日──

「ええ、持っていますよ。中等部の頃ですが()()()()()()

 

「(はぁあ!?)はぁあ!?」

 

「あ。私も持ってますよー。かぐやさんが交換している時にその場にいたので流れで」

 

 

 

(え、は?え?恥ずかしッ!!

 もしまだ二人が交換していないのなら仲介してやろう的な!俺だけが両方の友達ポジション的な!そんな事考えてた俺なんなの!?)

 

 自慢げに携帯を取り出す二人だが、しかし内心は冷や汗が止まらずにいた。

 この二人。連絡先を交換して二年以上経つ現在、一度も所場とメールのやり取りをしたことがなかった。

 

 メールを消しては打ち、消しては打ちを繰り返した二人は無論白銀よりも乙女していた。

 

「……そうか。では次の作戦なのだが───────」

 

 

 三者ともに己の心の内がバレていないか戦々恐々としながら話を進めた結果、議論はスムーズに煮詰まり次の作戦が決定した。

 

 

 

 

 

 

 

同刻・生徒会室。

 

 

side主人公

 

 

 今日はまだ白銀達は来ていないのか。珍しい。

だが、仕事が捗るのでまあ良し。

 

ゴトッ。

 

っと、ポケットからスマホが落ちてしまった。

 

「………………」

 

 ……少し前、業務連絡用にと白銀から連絡先交換の申し入れがあり一応生徒会メンバーのは全部入手、か。メールのやり取りなんて石上君としかしてないけれどもね。

 四宮も話すだけでポイントがもらえる内に交換したはいいけど、結局その後すぐに嫌われてあまり話さなくなったし。

 

 何だっけ。“貴方のそういうところ、本当に嫌いです”だったかな。

 いや、そういうところってどういう所よ。

思わず口にしてしまった感のある四宮の表情がまさしく心からの言葉だという事を痛感させて泣きたくなった。

 まあ笑って済ませましたけどね(震える余裕)。

 

 話すだけでポイント獲得ならメールでも同じだろって浮かれてたらこのざまですよ。

 

 

ガチャ

 

 おっと、白銀か───────。

 

へ?

 

「失礼します。実は相談に乗っていただきたいことがありましてってて!!所場様ァア!!!?!?」

 

 いや、落ち着け。

 

 

──────────────

 

 

 

 

「どうぞ、紅茶です」

 

「あ、あああありがとうございます!!」

 

 おい、何故震える。別に毒は入ってないぞ少年。というかさっきの所場サマって何?

……む。もしかして罰ゲームか何か?だからこんなに震えて?あはは、青春ダネェ。

 むっつりは心優しき紳士だよ。付き合ってあげよう。

つまりあれだろう?その生徒会室の扉の向こうではお仲間が君を監視していると。

 罰ゲームに生徒会を選ぶとはなかなかに度胸がある。

四宮が居たらやばかったぞ。

 

「ところで田沼さん、相談とはどういった内容で?私でお力添えできることがあればよろしいのですが」

 

 ほれほれ、具体的にどんな罰ゲームなんだい?話してみんさい。

 

「え、なんで僕の名前」

 

 ここ秀知院学園は富豪名家の子息令嬢が多く在籍している。ちょっとした不興でも大幅なポイント減に繋がる可能性がある以上、情報は何よりも重要視するもの。

 ポイント獲得としてハイリターンではあるけれどハイリスクでもあるのがこの学園。最大限気を使うのは当たり前。

 家柄調べるついでにスリーサイズも調べた私は己が正しき道にいると信じている。無論、男子も例外ではない。

 男女平等はむっつり以前に紳士の鉄則。私は決して変態紳士ではないが。

 

「幼等部から大学までの生徒は一通り把握しております。秀知院に属している以上、貴方方生徒は私が最大限敬意を払うべき方々ですから。それに、生徒会の一員としては当然です」

 

 私の気持ち悪さ(認めはしない)を一応生徒会に擦りつけておく。

 天才秀才の生徒会の事。どうせ白銀達も覚えているさ。むしろ覚えていなかったら四宮に抹殺されるのもありうる。

 あれ?なんか今寒気がした。というかポイントがほんの少しだけ減った。

四宮達が私の陰口でもしているのだろうか。

……あの三人で陰口を言い合ってるのを想像すると少し微笑ましく思う私はやはり心優しき天使。

 

「さ、流石です!!」

 

 うむ、流石生徒会だよね。

 

「ありがとうございます。

それで、お話とは?」

 

「えーっと、実は……その」

 

 顔真っ赤にしてまるで告白のようではないか、あはは。

 

「僕……好きな人ができまして。

 その方はみんなに尊敬されていて、僕とは別世界に住んでいるような方なんです。けど、気持ちは抑えられなくて」

 

 ふむふむ、罰ゲームの設定的には四宮かな?

 

「その男性はとても魅力に溢れていて!決して男が好きなわけではないんです!!その方という存在そのものが好きなんです!」

 

 ふむふむ、白銀かな?

 

「険しい道のりなのは重々承知しています!お付き合いするにはどうしたら良いのでしょうか?」

 

 罰ゲームでホモ宣言、と言いたいところだが……。

彼の表情はマジモンのマジ。

 これはもしかして、罰ゲームに乗じて本気の相談をしてきている?やはり世間一般的に言えばホモは相談しづらい事。ずっと誰にも言えず苦しんでいたのかもしれない。

 

ホモ。

 

 それは、子孫繁栄を目指す種の観点からすれば一種の過ち。けれどそこに愛があるのならきっと人として間違ってはいないのだ。

 私の周りにもそういった人は結構いた。

 

 私が貴方の唯一の理解者だ。

 

だから、ポイン(略

 

「貴方の覚悟、しかと伝わりました。貴方の言うとおり、それは峻険な道。生半なものでは辿り着けぬものなのでしょう。

 ですからまずは出来ることから始めてみてはどうですか?」

 

「出来ること、ですか……?」

 

「漢を磨くのです。貴方が好いているお相手が男性である以上、その方の恋愛対象である女性と同じ土俵で勝負しても難しい。

 なればこそ、男性としての魅力を高めなさい。それはきっと貴方の人としての魅力につながる。

 その魅力は男女問わず伝わるものです。

 たとえ結果が振るわなかったとしても、貴方が築き上げたものは貴方の良き人生に貢献してくれます」

 

(女神……だったのか(真剣))

 

 あ、ポイントが入った。

これは新たなカモが手に入ったかもしれない。

 これから定期的に相談に乗ればポイントガッポガッポ。

 

 でも、白銀は純然たるストレートだし……。ま、結果がダメでも流石に私のせいにはしないよね、君。

 

「今後の相談の為にも連絡先を交換しておきましょう。チャットツールは使っておりませんのでメールになりますが、よろしいですか?」

 

「は、はい!!宜しくお願いします!」

 

 

 純朴な少年、田沼くんはその日からハードな筋トレを始めたそうだ。

違う、そうじゃない。

 

 

 

 


 

メール

 

From:田沼翼

To:所場十八

──────────────

 

こんばんは。

 

今日は小胸筋を中心に鍛えました。

小胸筋は烏口突起という肩甲骨の前側の突起部分から肋骨についている筋肉です。

簡単に言えば大胸筋の内側下の筋肉になります。

 

どうやらデスクワーク等で小胸筋は硬くなりやすいそうです。

生徒会はデスクワークも多いと聞きます。

今度是非ご一緒に小胸筋を鍛えましょう!

──────────────

 

「…………うん。……いや……うん。

マジごめん、田沼くん」

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