【艦これ】心を埋めるもの   作:さめやん

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【艦これ】心を埋めるものPart13 「夕立の特訓」

「姉さん!!」

 

時雨の声が空を切る。喜びと驚きが混じった声は前に飛び、すれ違った女性を振り向かせた。

 

「……!」

 

振り返った女性はしばらく時雨を見つめ、足から顔までゆっくりと眺めた後に硬直する。

 

「僕だよ……!姉さん……」

 

時雨の声の後、女性が少し前に足を出す。

 

街灯が女性の顔を照らし、全体像が暗闇から現れた。

 

5年前より少し髪が伸びており、カチューシャの色が少し変わっているが、時雨は姉だとすぐに分かった。

 

顔を見た途端に期待が確信に変わった時雨は、目尻に涙を溜めながら姉を見つめる。

 

そんな時雨の姿を見て、目の前の茶髪の女性が口を開く。

 

「し、しぐ……れ……?」

 

目の前の女性が時雨の名前を呼ぶ、名前を呼ばれた時雨はそのまま抱きついた。

 

懐かしい感覚、包み込んでくれるような優しい感覚が時雨の涙を頬まで流した。

 

「会いたかった……会いたかったよ、白露姉さん」

 

時雨は泣きながら無我夢中で姉に抱きつく。

 

白露は最初は戸惑った顔をしていたが、すぐに時雨を抱き締め返し、時雨と額を合わせた後に微笑んだ。

 

「時雨……大きく、なったね……」

 

暗い夜の下、時雨が泣く声が街灯の下で響いていた。

 

 

 

しばらく経った後、時雨と白露は鎮守府近くのベンチに座っていた。

 

秋風が2人の髪を揺らし、街灯の明かりがスポットライトのように2人だけを照らしている。

 

夜は更け、時計の針は十の文字を指していた。

 

あかりの外には暗闇が広がり、2人の息遣い以外には何も聞こえないくらいに静かだった。

 

そんな空間の中、時雨は久々に会った姉の顔を見つめながら足を揺らしている。

 

しばらくした後、白露が静寂を断ち切るように口を開いた。

 

「なんで時雨がここに?」

 

「僕は、姉さんに会うためにここに来たんだ」

 

「そっか」

 

時雨の言葉を聞いた後、白露は少し複雑そうな顔をする。

 

「時雨、ここがどんな所だか分かってるよね」

 

白露はさっきとは打って変わって真剣な表情で時雨を見つめる。

 

そんな白露の顔を見た時雨は、1回下を向いた後に白露の顔を見つめ直す。

 

「分かってるよ、分かってるからここに来たんだ」

 

時雨の返事を聞いた白露は少し驚いた顔をする。

 

「姉さんがあの出来事が原因でここに来たのも分かってる 」

 

「あの出来事」と口にした瞬間に、過去の記憶が時雨の脳裏を埋め尽くす。

 

しばらく俯いたあと、気づけば時雨の拳には力が入っていた。

 

 

 

「でも、僕も守られるだけじゃ嫌なんだ!姉さんに守られる存在じゃ嫌なんだ……!」

 

 

 

時雨は力いっぱい叫ぶ、そんな時雨を見た白露は時雨を抱きしめ、耳元にそっと囁く。

 

「そっか……時雨の気持ち、伝わったよ」

 

そう言った後に、白露は時雨の目を見て優しく微笑む。

 

「じゃあ時雨、私と一つ約束して」

 

白露は時雨の前に右手の小指を差し出す。

 

時雨はそれを見て最初は戸惑ったが、すぐに左手の小指を白露の指に絡めた。

 

「絶対に、無茶はしないこと。姉より先に妹が死んだら、私は絶対に許さないからね!」

 

「うん、分かった」

 

時雨と白露は暫く見つめあったあと、笑いながら指を外す。

 

「じゃあ私はやることがあるから、行くね」

 

「うん、また後で」

 

「またね!」

 

白露は元気よく走り出す、時雨は走っていく姉の後ろ姿を最後まで見つめた後、鎮守府への道のりを歩き始める。

 

時雨の右手の小指には、白露の指の感覚が少し残っていた。

 

 

 

数日後、夕立の耳に朗報が入る。

 

第八艦隊が深海棲艦の群れを単独で退けたという知らせだった。

 

少し前までは駆逐艦に手こずるような艦隊だった第八艦隊だったが、夕立が知らない間にどんどん強くなっているようだった。

 

(もしかして夕立、いらない子っぽい!?)

 

夕立は頭を抱えてその場のベンチに座り込む、そこは、昨日時雨と白露が出会った所だった。

 

(もっと、夕立も強くならなきゃ……置いていかれちゃう!)

 

夕立は特訓をしようと、訓練場まで走って向かおうとする。

 

 

 

 

「おい、そこのお前」

 

 

 

後ろから誰かに呼ばれる。

 

ビクッと身体を震わせながら、夕立はゆっくりと後ろを向く。

 

そこには茶髪のショートヘアの女性が立っていた。

 

「えっと……誰っぽい?」

 

「あたしは高雄型重巡洋艦三番艦の摩耶様だ、お前が駆逐艦夕立だな?」

 

「そ、そうっぽい」

 

夕立が後退りをしながら答える。

 

「お、合ってたっぽいな!ちょっもお前に興味があってな、今どこ行こうとしてたんだ?」

 

「く……訓練場っぽい」

 

「訓練場?訓練でもするのか?」

 

摩耶が夕立に問い詰めると、夕立は事情を話し始める。

 

「夕立は第八艦隊に所属してるっぽい……でも、最近は全く夕立だけ出撃できなくて、第八艦隊のみんなにどんどん置いていかれてる感じがするっぽい……」

 

夕立は話した後に少し悲しそうな顔をした。

 

 

(……そっか、こいつの中にある力のせいで、こいつ自身が満足に出撃できてないのか)

 

 

(それで、こいつは今1人でその差を埋めようとしてたってことだな)

 

摩耶はじっと夕立の方を見ながら考え事をする。

 

見つめられた夕立はどうすればいいのか困惑し始める。

 

そんな夕立を見て、摩耶が口を開いた。

 

「お前、1人でその差を埋められると思ってんのか?」

 

「それは……」

 

摩耶が少し強めに夕立に言う、夕立はその言葉を聞いて俯いた。

 

「でも、それ以外に夕立に方法がないっぽい……!せめてみんなに迷惑をかけない程度に強くなりたいっぽい!」

 

下を向いたまま夕立は摩耶に言い返した。

 

拳には力が籠っている。他人の摩耶から見ても、ある程度覚悟があるということが読み取れる程だった。

 

「って言ってもなぁ、1人だと絶対に無理だろうし……かと言って川内の奴に任せんのもなぁ……」

 

夕立の言葉を聞いた摩耶は、頭を掻きながら考え事をする。

 

しばらく悩みに悩んだ後、摩耶は「よし!」と声を出し、夕立の頭の上に手を乗せた。

 

「よし、わかった!お前!あたしの弟子になれ!」

 

「えっ?」

 

夕立は摩耶の顔を2度見した。突然の展開に少し頭がフリーズする。

 

しばらく経ったあと、夕立の頭は段々と状況を理解し始めた。

 

「えええええええええええ!!!!!????」

 

夕立の声が昼過ぎの空に響き渡った。

 

 

 

 

 

一人でやるよりも摩耶に手伝ってもらった方が良いと判断した夕立は、摩耶の提案を承諾した。

 

摩耶が半ば強引に夕立の手を引きながら、訓練場に入っていく。

 

「摩耶さんはどれくらい強いっぽい?」

 

「ん?あぁ、あたしは川内の同期だからな、そこそこ強い部類じゃないか?」

 

「そうなんだぁ……」

 

そんな会話をしながら、二人は艤装を展開して水の上に立つ。

 

「もうちょい後ろに下がれるか?」

 

摩耶が夕立の真正面に歩いてくると、夕立にもう少し後ろに下がるように指示をした。

 

その指示を聞いて夕立はゆっくりと後ろに下がる。

 

「よし、そこだ」

 

「何をするっぽい?」

 

「とりあえずはあたしと実戦演習をするぞ!そこでお前の欠点を見つけていく感じだ」

 

実戦演習、その単語を聞くと川内との演習を思い出す。

 

今でも思い出すと足が震え出す。

 

圧倒的な差、何も出来ずにねじ伏せられた自分の姿が頭の中に甦ってきた。

 

しかし、あの時一緒に遊ばれていた仲間は今、深海棲艦の群れを自分抜きで追い返せるレベルまで成長している。

 

『怯えた刃は鈍となる』

 

あの時の演習で川内に言われた言葉を思い出す。

 

 

 

(強くなりたい)

 

 

 

そう強く願った夕立は不意に摩耶の方を向く、摩耶は隙だらけの体制で夕立の準備を待っていた。

 

艤装も展開せずに、ただただ夕立の方を見つめる。

 

それを見た夕立はすぐに艤装を展開し、摩耶の方をじっと見つめた。

 

(相手は川内さんの同期、自分よりも強いことは明確……よくよく考えたらそんな人に弟子にしてもらえるなんて、これ以上ないチャンスっぽい!)

 

夕立は戦闘態勢のまま摩耶を見つめ、開始の合図を待つ。

 

 

「おっ!やっとやる気になったか!」

 

摩耶は拳を合わせ、口角を上げる。

 

「よーし、いつでも来い!手加減はしてやるよ!」

 

摩耶は艤装も展開せずに、真っ直ぐに夕立を見つめながらそう言う。

 

夕立はそれを開始の合図と判断し、海面を右足で踏みしめて全速力で摩耶に急接近した。

 

至近距離で主砲を摩耶の頭に構え、砲撃する。

 

それを摩耶は紙一重で避け、夕立を見てニヤリと笑った。

 

初撃を避けられた夕立は、すぐさま右足を蹴り上げる。

 

摩耶はそれも軽々と避け、蹴り上げられた右足はむなしく空を切った。

 

その勢いのまま夕立は摩耶にアッパーを食らわせようとするが、当たる寸前で摩耶に片手で受け止められてしまった。

 

摩耶はそのまま夕立の手を固く握りしめる。

 

「おらよっ!」

 

「がっ!?」

 

夕立は軽々と投げ飛ばされてしまい、水面に体を強く打ちつける。

 

痛みに耐えながらすぐに立ち上がった夕立の腰に、摩耶の回し蹴りが直撃した。

 

「ごほっ……!ごほっ……!」

 

夕立は吐きそうになりながらも何とか体勢を立て直して、摩耶に主砲を構えた。

 

しっかり狙いを定めて、摩耶の頭の中心を狙って砲撃をする。

 

それを摩耶は軽々しく避け、夕立の方を見て歯を見せて笑った。

 

「お前、結構根性あるじゃねぇか!」

 

摩耶はそう言った後に自分の艤装を展開し、夕立に主砲を構えて砲撃をする。

 

「わあっ!」

 

夕立はすぐに回避行動をとり、直撃は避けることが出来たが、海に弾が着弾した時にできた衝撃波で吹き飛ばされる。

 

空中で体制を立て直し、足が海面に着水した瞬間に主砲を摩耶の方に向けたが、摩耶は既に夕立に急接近してきていた。

 

「おらよっ!」

 

摩耶は夕立に正拳突きを食らわせる。

 

「うぐぅっ!!」

 

夕立はそれを右手で受け止めたが、普段の力に艤装の力が加わった摩耶の一撃を止められるわけがなく、右手から全身に激痛が走った。

 

夕立は激痛に耐えながらもなんとか防御を続けるが、摩耶はそんな夕立に構いもせず、次々に夕立を攻撃していく。

 

激痛に耐えられなくなった夕立は、摩耶の足元に主砲を放ち、水しぶきに隠れながら距離を取った。

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

(川内さんとは少し違う……スピードは川内さんより遅いけど、パワーが桁違いに強いっぽい……)

 

夕立は川内との違いを明確に理解しながら、摩耶の次の行動を見逃さないように摩耶を見つめる。

 

摩耶は少し笑みを浮かべた後、夕立に向かって主砲を構えた。

 

「おらおら!避けてみろ!」

 

重巡級の砲撃が次々と夕立の体に降り注ぐ。

 

一つ一つが着弾した時の衝撃波と同時に、降ってくる弾が夕立を襲った。

 

(負け......ないっぽい!)

 

夕立は回避行動をしながら後ろを振り返り、摩耶に向かって主砲を放った。

 

その弾は摩耶の目の前に着弾し、水しぶきをあげる。

 

「どこ狙ってんだ?しっかり狙いを定め━━━━」

 

摩耶が夕立に苦言を呈した瞬間、水しぶきから夕立が飛び出してくる。

 

その主砲はしっかりと摩耶を捉えており、一撃を摩耶の胸に目掛けて放った。

 

「何っ!?」

 

夕立の思い切った突撃に驚いた摩耶は、判断が遅れて被弾してしまった。

 

夕立は着水した瞬間にすぐに摩耶の方を向き、戦闘体勢をとる。

 

しかし、突然目の前の視界がぼやけ、膝から崩れ落ちてしまった。

 

夕立の中で何かの糸がプツリと切れ、何も考えられなくなる。

 

「いってて......あんにゃろぉ!......って、ん?」

 

摩耶は倒れ込んだ夕立を覗き込み、意識の確認をする。

 

夕立は意識を失っており、艤装も完全に消えて、戦闘不能の状態になっていた。

 

「んだよ、これからだってのに」

 

摩耶は1人でブツブツと文句を言いながら、夕立を背負って陸へと運び始めた。

 

 

 

 

「......ぽい!」

 

夕立が目を開けると、訓練場から少し離れた浜辺にある、コンクリートの足場の上に寝かされていた。

 

体中が気だるく、起き上がろうとしても力が入らずに倒れ込んでしまう。

 

「おっ、やっと目ぇ覚ましたか」

 

夕立の横には、摩耶が座っていた。

 

夕立が目を覚ましたのを確認した後、摩耶はタオルを夕立に投げつける。

 

顔に被さったタオルはひんやりと冷たく、戦闘で火照った体を冷やすにはちょうど良い冷たさだった。

 

「あそこで1発入れてくるとはな、おめぇも結構やるじゃねぇか!」

 

そう言って摩耶は笑顔で夕立の頭を撫でる。

 

「あ、ありがとうっぽい」

 

「でも、まだまだ深海棲艦と1人で戦うには実力が足りねーかもな」

 

夕立は摩耶の言葉を聞き、落ち込んだ顔をする。

 

そんな夕立を見た摩耶は、夕立を自分の上に座らせ、両腕で包み込むようにして座った。

 

「そんな顔すんなって、アタシが弟子にしてやるって言ったろ?」

 

摩耶はそう言って夕立の手を握った。

 

ほんのり暖かい人肌を感じながら、夕立は摩耶に背中を預ける。

 

摩耶とはさっき会ったばかりのはずだが、その仕草や表情を見て、夕立は自然と摩耶に心を許してしまっていた。

 

 

 

「なんで摩耶さんは初対面の夕立にここまで優しくしてくれるっぽい?」

 

「ん?あぁ......お前のことは前から知ってたからよ、ちょっと興味があってな」

 

「それで伸び悩んでるようだったから、あたしが強くしてやるかって思っただけだよ」

 

「なにそれ......ちょっと変わってるっぽい」

 

摩耶の言葉を聞いて、夕立は眉をひそめながら言う。

 

摩耶は夕立のその言葉を聞いて、少し嬉しそうな表情になった。

 

「そうかもな、周りからもよく言われるしな!」

 

摩耶はそう言うと、立ち上がって伸びをした。

 

夕立もそれに釣られて立ち上がり、同じように伸びをする。

 

「で?お前はどうすんだよ」

 

「ぽい?」

 

摩耶から急に質問をされて、夕立はキョトンとした表情をする。

 

摩耶はそんな夕立の顔を見て、頭を掻きながら夕立のタオルを夕立の頭に乗せて力強く撫でる。

 

「あたしの弟子になるかどうかだよ!ならねーってんなら別にそれはそれでいいけどよ、1人で強くなれる確証はねぇんだろ?」

 

「......。」

 

摩耶の言葉を聞いて、夕立は少し下を向いて考える。

 

(確かに1人で強くなれる確証はないっぽい......)

 

(しかも、摩耶さんは川内さんの同期だから、学べる事も多いはず......弟子になるのも悪くない......っぽい?)

 

夕立はさっきの戦闘での摩耶を思い出す。

 

摩耶の同期である川内とはまるで違う戦い方、川内と演習している時には体験できない、深海棲艦と戦っているような力任せな戦い。

 

これと戦うことができるようになれば、自分は他のメンバーと同じくらい強くなることが出来るかもしれない。

 

声に出そうと何度も喉まで言葉を運び、引っ込めるを繰り返し、夕立は大きく深呼吸をする。

 

そして、決意に溢れた表情で口を開いた。

 

 

 

 

「夕立は、摩耶さんの弟子になるっぽい!」

 

 

夕立の言葉を聞いた摩耶は、心底嬉しそうな表情をし、夕立の手を掴んだ。

 

「おしっ!決まりだな!これからあたしが任務の時以外は付きっきりで見てやるから、覚悟しろよ?」

 

「ぽいっ!!」

 

夕立はそれに元気な返事で返し、摩耶の手のひらをがっしりと掴み、摩耶を見つめる。

 

秋の日差しが互いの顔を照らし、繋いだ手に力が籠っていく。

 

海風漂うコンクリートの上で、今、新しい絆が芽生えようとしていた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「......って、あの時のお前はかっこよかったのにな」

 

師弟関係になってから約1週間、夕立は海面の上でボロボロになって倒れていた。

 

川内との艦隊全体の練習と、摩耶との個人練習の2つを同時にこなしていた夕立は、部屋に帰ってはすぐ寝て、朝に起きてはまた練習に出かけるという生活を送っていた。

 

疲労と怪我で摩耶の攻撃を避けきれなかった夕立は、顔面と足に大量のアザを作り、激痛で立つこともできない状態だった。

 

「も、もう......無理っぽい......」

 

「あーもー......ったくしょうがねぇな、とりあえず怪我治すために入渠するぞ」

 

夕立は摩耶に手を貸してもらいながら立ち上がるが、激痛ですぐに倒れてしまう。

 

摩耶はそんな夕立を見て頭を掻きながら、おんぶをして夕立を入居ドッグへ連れて行った。

 

 

 

「お前は戦闘中に考え事をしすぎだ、夕立」

 

摩耶は入渠ドッグで体を洗いながら、風呂に浸かって微動だにしない夕立に向かって話しかける。

 

「考え事っぽい?」

 

「あぁ、お前は毎回深く考え事しながら戦ってんだろ?」

 

確かに夕立は摩耶の行動をよく観察し、どう動けば攻撃が入るのかを考えながら戦っていた。

 

「確かに......」

 

「それじゃダメなんだよ、自分の考えより相手が早く動くから、捉えきれずに食らっちまう」

 

摩耶はそう言いながら夕立の隣の風呂に体を入れ、肩まで浸かる。

 

「じゃあ、どうすればいいっぽい?」

 

夕立は首だけを横にして、摩耶の方を向きながら質問をする。

 

「深く考えねーで行動するんだよ、脳で考える前にすぐにそれを体に出せるようにするってこった」

 

「......ぽい?」

 

夕立は摩耶の言葉を理解できず、困惑の表情をする。

 

摩耶は夕立のそんな顔を見て、少し眉をひそめた。

 

「だから、深く考える前に体を動かせってんだ、お前が深く考えて立ち止まってるほんの少しの時間でアタシとか川内は何発も攻撃を入れられる」

 

そこまで聞いて、夕立はようやく摩耶の言葉の意味を理解した。

 

「そんなこと......できるの?」

 

「できるから言ってんだ、例えば身近な例で言うと......お前の同期の時雨ってやつだな、あいつは今あたしが言ったことが出来てるから強ぇんだよ」

 

時雨、という名前を聞いた夕立は、初めて時雨と戦闘した時のことを思い出す。

 

何も出来ずに敗北し、必ず超えると誓った存在だ。

 

(時雨も......それができるっぽい......)

 

自分が時雨を超えるためには、まず自分も時雨と同じことができるようにならないといけないだろう。

 

「じゃあ明日からは、その練習をするっぽい?」

 

「まぁそうだな、それを磨くためにはとにかく激しい戦いに慣れないといけない」

 

そこまで聞いて、夕立の背筋に冷たい感覚が走る。

 

(これは、嫌な予感がするっぽい)

 

夕立が恐る恐る摩耶の方を見つめると、摩耶は満面の笑みで夕立を見つめていた。

 

 

 

「明日から練習濃くなるからな」

 

「ぽいいいいぃぃぃぃぃ......」

 

 

 

夕立は摩耶の言葉を聞いて、風呂に沈んでいった。




お待たせしました、Part13です

どうしても摩耶さんを活躍させたくて、師匠というポジションで登場させることになりました。

みなさんは耳かき、してますか?

耳の中にある垢って、実はバイ菌とかの侵入を防げるらしいんです。

私は耳かき大好きなので、常に耳の垢は取っているのですが、それってバイ菌たちにとって私の耳の中って天国になっているってことになるんですよね。

私は耳かきが好きだから耳かきをしたい、バイ菌たちはそれのお陰で天国に住むことが出来る。

これってある意味win-winの関係になってますよね。

楽園Project、開始







※絶対に真似してはいけません
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