【艦これ】心を埋めるもの   作:さめやん

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心を埋めるもの Part18 「謎の少女」

心を埋めるもの Part18

 

 

 

「マダ、オワリジャネェヨ」

 

 

 

少女はニヤリと笑った後、青く鋭い双眼で川内を睨む。

 

(喋った……!?こいつは一体!?)

 

川内は直ぐに相手から距離をとり、相手の体を観察する。

 

艤装は展開しておらず、あまりにも隙だらけな姿、攻撃しようと思えばどこからでも攻撃出来る状態だ。

 

「な……何よあいつ?」

 

「あたしも知らないぞ!?」

 

夕立達と比べて戦闘経験が長い長波と陽炎だったが、見たことのない敵を目の前にして混乱していた。

 

対する深海棲艦の少女は、変わらず余裕の表情をしている。

 

「勉強したことも見たこともないっぽい」

 

「深海棲艦……なんですかね?」

 

春雨はそう言いながら、ポーチから取り出したメモから必死に相手の姿と似た姿をした深海棲艦を探したが、どれだけ探しても載っていなかった。

 

「みんな、油断しないで」

 

川内が駆逐艦たちに注意喚起をする。

 

駆逐艦たちが困惑している中、川内は敵の一挙手一投足も見逃さないように警戒していた。

 

(艤装も展開してないし、姿を見るに良くても重巡級レベル……仕掛けるなら今か……!?)

 

敵艦をしっかり観察した川内は、後ろにいる駆逐艦達に「こっちに来い」とハンドサインを出す。

 

川内のハンドサインを見た駆逐艦達は、川内に近づいて主砲を構えた。

 

「みんな私の合図に合わせて砲撃してね、先手をかけるよ」

 

川内の言葉に全員が頷き、照準を少女の方へ向ける。

 

 

 

「総員、主砲用意……撃てっ!」

 

 

 

川内の命令で全員が主砲を放ち、少女が佇んでいた所から黒煙が上がった。

 

辺りは一瞬で静まり返り、波の音だけが聞こえてくる。

 

「やったの……?」

 

静寂の中、叢雲が黒煙を見つめながらポツリと呟いた。

 

徐々に黒煙が晴れていき、中の様子が見えるようになっていく。

 

(普通の深海棲艦ならこれで木っ端微塵になってるはず……どうだっ……!?)

 

川内が黒煙の中を見つめていると、中に黒い影が見えた。

 

その影は先程少女が立っていた場所と全く同じところに立っている。

 

やがて黒煙が晴れ、海の上には━━━━━━

 

 

 

 

先程の少女が無傷で佇んでいた。

 

 

 

「なっ……!?」

 

川内は驚きのあまり少し後ずさりしたが、直ぐに体制を整えて敵の方に突っ込んでいく。

 

相手の懐に急接近した川内は、至近距離で主砲を相手の顔に砲撃したが、それを目の前の少女は意図も容易く回避する。

 

川内はすかさず体術での戦闘に切り替えたが、川内の攻撃は全て流されてしまった。

 

「ハァ……」

 

川内の攻撃を全て避けきった後、相手の少女は小さくため息を吐く。

 

瞬間、少女の背後から黒く巨大な生物が川内の体に突進してきた。

 

「ぐあぁぁっ!?」

 

吹き飛ばされた川内は、ギリギリ空中で体制を建て直して着水した。

 

「川内さんがあんなに簡単に……!?」

 

驚く夕立達の視界の先で、少女はご満悦な表情で川内の方を見つめている。

 

その後ろでは、砲塔が着いた1つの生物となっている尻尾がうねうねと蠢いていた。

 

ポタポタと落ちる水滴を見るに、ずっと水中に潜んでいたのだろう。

 

尻尾を出した少女の圧倒的な圧に気圧されそうになりながらも、川内は少女の方に突撃しいく。

 

「何やってるの!早く援護して!」

 

川内が敵の方に突っ込みながら、駆逐艦達に向かって叫んだ。

 

「行くよ!長波!」

 

「お、おう!」

 

その声を聞いて真っ先に動いたのは長波と陽炎だった。

 

川内が接近して戦い、敵が隙を見せた瞬間に陽炎たちが支援砲撃を行う。

 

「周りに敵の援軍が来てる!私たちが川内さんをカバーするから、あんた達は周りの敵をお願い!」

 

陽炎が第八艦隊の駆逐艦に向けてそう言うと、夕立達は頷いて周りの敵の掃討に向かった。

 

叢雲が辺りを見渡すと、敵の援軍がすぐ近くまで接近してきていた。

 

謎の少女が現れてから劇的に不利になっていく戦場を見て、叢雲は舌打ちをする。

 

「榛名さん達はまだ合流できそうにないの!?」

 

「先程最上さんの艦載機から連絡がありました、榛名さん達は別の敵の援軍と今戦っているらしいです」

 

叢雲の質問に、不知火が淡々と答える。

 

「じゃあ目の前の奴らは全部私たちでやらないとってことね……!」

 

叢雲は少し渋い顔をした後、後ろを向いた。

 

「夕立と春雨は右の2匹をお願い!私たちは左の3匹を仕留めるわよ!」

 

叢雲の指示を聞いた4人はそれぞれ別の敵の方へ向かっていく。

 

春雨と夕立の目の前では、リ級とホ級が夕立達の方に向かって突撃してきていた。

 

「春雨!ホ級の方を倒して欲しいっぽい!」

 

「分かりました!」

 

春雨はそう言ってホ級の方に主砲を放ち始める。

 

それを横目で見ていた夕立はホ級を春雨に完全に任せ、リ級の方へ全速力で突っ込んだ。

 

「食らうっぽい!」

 

夕立が放った一撃がリ級の頭部に当たる。

 

リ級は一瞬仰け反ったが、すぐに体制を立て直して夕立に主砲を放った。

 

「……っ!」

 

夕立はそれを間一髪で避け、リ級の腹部にハイキックを食らわせる。

 

内臓まで響くほどの渾身の一撃を食らったリ級は、その場に崩れ落ちて青い血を吐いた。

 

「これでトドメっぽい!」

 

敵が隙を見せた瞬間、夕立は膝をついているリ級に主砲を放つ。

 

夕立の一撃はリ級の後頭部に見事に的中し、リ級の体は大きな爆発と共に海に沈んでいった。

 

「ふぅー……」

 

(ビックリするくらい体が軽いっぽい……今なら時雨とも互角に戦えそうなくらいっぽい!)

 

夕立は自分の体に起きた変化に驚きつつも、希望に満ちた表情で拳を握る。

 

 

 

 

(でも何で急に強くなったっぽい……?)

 

 

 

一瞬、夕立の頭の中に1つの疑問が浮かんだが、「日々の努力のおかげだ」と無理やり納得して、夕立は春雨の援護に向かった。

 

 

 

 

一方、謎の少女と対面していた川内は何とか攻撃を続けていたが、決めの一手が出せずにいた。

 

だんだん息が上がってきている川内とは裏腹に、敵は余裕の表情を見せている。

 

「はぁ……はぁ……とんでもない強さだね」

 

「3人がかりでこんなに手こずるなんて……!」

 

陽炎はそう言うとぎっと歯を食いしばる。

 

少女はそんな3人の様子を見ると、ニヤリと笑って腰を低くした。

 

「……っ!来る!」

 

川内が2人に警告した瞬間、少女の尻尾から大量の魚雷が飛び出してきた。

 

「おいおいおいおい!?あんな量どうやって避けんだよ!?」

 

「とにかく離れて避けるしかないでしょ!?」

 

長波と陽炎が必死に少女から離れる中、川内は逆に相手の方に突っ込んでいく。

 

「川内さん!?」

 

陽炎が後ろを振り返って川内の名を呼んだ瞬間、川内は自分の目の前に爆雷を投げ、川内の前に大きな水柱が立った。

 

川内は水しぶきを利用して一気に敵の懐まで飛び込んで主砲を放つ。

 

当たった様に思われたが、既のところで尻尾にガードされ、かすり傷程度しか付けられなかった。

 

川内はくるりと体を回して頭部に回し蹴りを喰らわせようとするが、突如空から銃撃が飛んでくる。

 

「……っ!艦載機!?」

 

川内は回し蹴りをすぐさま中断し、銃撃を避けることに徹した。

 

(こいつ……艦載機まで……!)

 

何とか大きな損害は避けられたが、数発体にくらってしまい、川内はその場に膝をつく。

 

 

 

━━━瞬間、川内の背後に少女が現れた。

 

 

「まずっ……!」

 

川内は何とか防御の姿勢をとったが、少女の尻尾の体当たりが直撃し、川内の体は後方に吹き飛んだ。

 

受け身をとることもできず、川内の体は海面に叩きつけられる。

 

「うっ……ぐっ……!」

 

よろよろと立ち上がった川内だったが、少女から更に追撃の蹴りを食らい、血を吐いてその場に倒れた。

 

少女は川内に更に追撃をするために主砲を構えるが、長波が主砲を放った為、攻撃を阻止された。

 

「川内さん!」

 

倒れている川内の元に陽炎と長波が駆けつけ、倒れている川内を持ち上げる。

 

川内はぐったりしており、意識を失いかけているようだった。

 

2人が川内を運んで逃げようとすると、少女は2人を目掛けて砲撃を開始する。

 

何とか紙一重で攻撃を回避した2人だったが、少女は容赦なく砲撃を続ける。

 

 

 

「なんだよコイツ……無茶苦茶すぎるだろ!」

 

「明らかに今まで戦ってきた奴らとは違う!もしかしたらこいつが深海棲艦の不穏な動きの元凶なのかな!?」

 

「わかんねぇけど、可能性はあるな!」

 

「ってかどれだけ攻撃してくるのよ!?次から次へと……うわぁぁぁぁぁ!!??」

 

騒ぎながら攻撃を避け続ける2人に、少女は容赦なく砲撃を続ける。

 

「ハッハッハッハッ!!」

 

何とか攻撃を避けきった2人を見て、少女は楽しそうに笑っていた。

 

「あんにゃろ〜……随分と楽しそうだなっ!」

 

長波が怒りを言葉に込めながら少女の笑い声が聞こえた方に主砲を放つ。

 

しかし、既にそこに少女はおらず、もう既に長波のすぐ横まで急接近していた。

 

「……!やばっ!」

 

長波の眼前に少女の尻尾が映る。

 

尻尾の化け物が大きく口を開け、長波を捕食しようとすると━━━━━━━━

 

 

 

「ゴブゥアッ!?」

 

 

 

 

少女は何者かに蹴り飛ばされ、後ろに吹き飛ばされた。

 

 

「大丈夫だったかい?」

 

長波の目の前に時雨が現れる。

 

「あいつ、今の蹴りを食らってもピンピンしてるっぽい!?」

 

その少し後ろには夕立が立っており、少女の方を見ながら驚いていた。

 

「お、お前ら!援軍の掃討はどうしたんだよ!?」

 

「ある程度制圧もできてきたからこっちの手助けに回ってきたんだよ、ここは僕たちが引き受けるから2人は川内さんを安全な所へ」

 

「お前らだけで勝てる相手じゃない!いくら何だって無茶すぎるだろ!?」

 

長波は時雨の指示に従わず、反抗を続ける。

 

「でも誰かが足止めをしないと逃げられないだろう?仮に君たちが逃げなくったって、僕らも川内さんを庇いながら戦うことは出来ないよ」

 

時雨が真剣な目付きで長波を見つめる。

 

「んぅー……わかったよ、その代わり絶対に死ぬなよ!?榛名さん達をすぐに呼んでくるからな!」

 

長波は少し唸った後、時雨たちに任せて一旦去ることを選択した。

 

「うん、ありがとう……任せたよ」

 

長波と陽炎が川内を抱えて去ろうとした瞬間、少女は一気に夕立達の方へ飛び込んでくる。

 

そして、長波たちに尻尾の主砲を構えて狙いを定めたが、夕立が懐まで飛び込んで殴り飛ばし、それを阻止した。

 

飛んで行った少女に狙いを定め、時雨は2発砲撃を放つ。

 

時雨が放った2発はレ級の頭のすぐ横を抜けていき、空を抜けていった。

 

「くっ……!」

 

時雨はすぐさま少女の方に突っ込んで行き、近距離で主砲をまた2発砲撃した。

 

それを少女は尻尾でガードし、尻尾の装甲にかすり傷を付ける程度で終わってしまった。

 

「コンナモンカ?」

 

時雨の攻撃を全て避けきった少女は、余裕の表情で時雨の方を見る。

 

時雨はギリっと歯を食いしばり、全力の正拳突きを喰らわせようとしたが、片手で簡単にガードされてしまった。

 

「ぽぉいっ!」

 

夕立が少女の背後から主砲を放ち、敵が気を取られているうちに、時雨は掴まれている手を振りほどいて距離をとる。

 

夕立はそのまま続けざまにハイキックを少女の顔面に放ち、それに合わせて時雨も少女の腹部に主砲を構えた。

 

しかし、夕立の攻撃は素手で弾かれ、時雨の攻撃は尻尾の攻撃により妨害されてしまった。

 

時雨は何とか尻尾の攻撃を避け、すぐに少女の方を見て戦闘態勢に戻る。

 

目線の先では夕立が少女と対面し、体術で戦っていたが全て流されてしまっていた。

 

体術で負け、吹っ飛ばされてきた夕立が時雨の横に着水する。

 

「あいつ滅茶苦茶強いっぽい!」

 

「前に戦った戦艦ル級と同等……いや、それ以上の圧力を感じるね」

 

時雨がそう言いながら少女の方を見ると、少女は何やらポカンとした表情でその場に立ち尽くしていた。

 

少女は何か考え事をした後夕立の方を指さし、残念そうな表情をする。

 

 

 

 

「オマエ、ナンカヨワイ、ナンカチガウ」

 

 

 

 

「「……?」」

 

急に不可解なことを言いだした少女を前に、時雨と夕立は困惑していた。

 

(よく分からないけど、今がチャンス!)

 

この状況を好機と考えた時雨は主砲を数発放った後、一気に少女の方に近づく。

 

それを見た夕立が時雨に合わせるように距離を詰めるが、少女の尻尾に2人とも弾かれ、吹き飛ばされてしまった。

 

そして、少女は倒れている時雨を尻尾で締め付けると、夕立の前に立つ。

 

「時雨を離すっぽい!」

 

夕立はすぐに体勢を立て直し少女の顔に主砲を構えたが、膝蹴りで主砲を蹴り飛ばされ、夕立の砲撃は真上に飛んでいってしまった。

 

続けて少女は夕立の顔目掛けてハイキックを放ち、夕立の体は海面に叩きつけられる。

 

「がっ……ぐっ……」

 

鼻から血を流しながら、ふらふらと立ち上がろうとする夕立の目の前に少女が立ち、時雨を夕立に見せつけるように前に出す。

 

「オマエ、タシカオコルトコワカッタ」

 

少女はそう言うと、時雨の顎に主砲を構える。

 

 

 

 

「コイツコロス、ダカラオコレ」

 

 

 

少女のその言葉を聞いて、朦朧としていた夕立の意識が覚醒し、目を見開いて立ち上がった。

 

「させないっぽい……!」

 

夕立は目の前にある少女の尻尾を力いっぱい握りしめる。

 

そして、少女と尻尾の連結部分に主砲を構えて放ったが、ギリギリのところでかわされ、少女に腹を蹴られて吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

時雨に巻きついている尻尾が、どんどん巻き付く力を強くしていく。

 

「がっ……!あっ……!」

 

時雨の苦しそうな声が辺りに響き、夕立の鼓膜を叩いた。

 

目の前で徐々に締め付けられて時雨を見て、夕立は自分の意識が脳の端から欠けていくのを実感する。

 

「やめ……て……」

 

夕立が必死に少女に懇願するも、少女は容赦なく絞める力を強くしていく。

 

 

 

瞬間、夕立の頭の中で何かの線が切れた音がした。

 

 

心臓の鼓動がどんどん早くなっていき、夕立の赤い目が赤黒い血のような色に染まっていく。

 

 

強烈な頭痛が夕立を襲い、体の主導権が自分の心の中にある別の何かにじわじわと奪われていく。

 

 

そして、今まで抑えられていた力が放出するような感覚の後、夕立の意識は完全に途絶えた。

 

 

 

 

「ヴゥァア゙ァァァァァァァァアッ!!!!!」

 

 

 

穏やかな西海域の海上に夕立の咆哮が響く。

 

 

 

夕立の姿は前に暴走した時とは異なり、艤装を残した状態で、髪の毛が局所的に獣の耳のように逆だっているだけだった。

 

だが、目からは完全に生気が消えており、体の周りには半透明の赤黒いオーラを纏っている。

 

「キタカ……!」

 

様子が変わった夕立を見た少女は時雨を解放し、ニヤリと笑った。

 

 

海面を蹴る音がした瞬間、夕立は目で追いつけないほどのスピードで少女に近づく。

 

あまりのスピードにガードが遅れ、夕立の一撃が少女の脇腹に直撃する。

 

鈍い音と共に少女は吹き飛び、海に血を吐いた。

 

それに追い打ちをかけるように、夕立は少女の顔に蹴りを入れたが、その瞬間少女が自らの艤装を展開し、既のところで防がれる。

 

「イイナ、ヤッパリオマエツヨイ」

 

少女はニヤリと笑った後、自らの周りに展開した主砲を夕立に向けて放つ。

 

尻尾の主砲と艦載機の機銃もそれに合わせて放っていたため、恐ろしい量の弾幕が夕立を襲った。

 

夕立は何とか数発避けきったが、艦載機からの攻撃を避けきれず、大きな黒煙が夕立の周りに立つ。

 

「……♪」

 

黒煙を見ていた少女は、夕立を仕留めきったと完全に油断していた。

 

しかし、黒煙の中から夕立が超スピードで飛び出してくる。

 

「……ッ!?」

 

少女は急に飛び出してきた夕立に動揺しつつも、主砲を数発夕立に放った。

 

夕立はそれを紙一重で回避し、少女の腹に手をめり込ませる。

 

「ヴガァァッ!!!」

 

少女の悲痛な声が響くが、夕立は更に奥へと手を入れていく。

 

そして、そのままめり込ませた手を捻って少女の腹を抉りとった。

 

腹を抉りとられた少女は夕立から距離を取り、腹部を手で抑えながら夕立の方へ魚雷を放つ。

 

目の前から迫ってくる無数の魚雷を前に、夕立は回避行動をとろうとするが、その瞬間━━━━━━━

 

 

 

 

 

強烈な頭痛が夕立を襲った。

 

 

 

「ヴァァァァぁぁぁぁ!!!!??」

 

 

夕立は叫びながら頭を抑えてその場に倒れ、魚雷を回避することが出来ずに直撃してしまった。

 

大きな水柱が立ったのを確認した少女は、念には念をと言わんばかりに主砲で水柱の中を撃ちまくる。

 

少女が最後の1発を放った瞬間、大きな大爆発が起こり、夕立が立っていた場所から黒煙が上がる。

 

黒煙の中、少女が夕立の近くに歩いていくと、血だらけの夕立がその場に倒れていた。

 

体の至る所から血を出しており、姿ももう元に戻ってしまっていたが、何とか意識は保っているようだった。

 

少女は暫く夕立を見つめたあと、大きくため息を吐く。

 

 

 

そして、夕立の首を掴んで持ち上げた後、もう片方の手で手刀を作り、心臓の部分に狙いを定める。

 

「コレデオワリダ」

 

少女が夕立の心臓目掛けて手刀を突き刺そうとした瞬間━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

少女の手が何者かに掴まれる。

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━ッ!?」

 

 

 

 

掴まれた右腕はピクリとも動かず、掴まれた部分から侵食されるように力が抜けていく。

 

 

 

少女は何とか掴まれた手を振り払い、夕立をその場に落として黒煙から離れて威嚇する。

 

ちゃぷちゃぷと水の上を歩く音が聞こえ、少女は方向に向けて主砲を構えた。

 

 

 

「いやーお邪魔しちゃったね」

 

 

 

 

黒煙の中から女性の声が聞こえる。

 

戦場とは思えないほど落ち着いた声、その声は榛名の艦隊のものでも、川内の艦隊のものでもなかった。

 

黒煙が徐々に晴れていき、夕立と比べると一回り大きい影が映し出される。

 

その影は倒れている夕立を持ち上げ、両手で抱き抱えた。

 

 

 

「ごめんね、夕立ちゃん」

 

 

申し訳なさそうな声が聞こえた瞬間、完全に黒煙が晴れ、夕立が倒れていた場所には━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

須藤礼花が立っていた。




お待たせしました、Part18です。

Part18、いかがだったでしょうか

まさかまるまる1話戦闘になるとは思ってませんでした。

ただ、ここの戦闘の描写だけはそれほど大事にしたかったので、何卒ご了承ください。

もうこの小説も書き始めて1年が経ちました。

これからも私、さめやんをどうぞよろしくお願い致します。


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