お嬢様たちが何か良からぬことを企んでいましたが……
果たして、湊くんと悠の初デートはどうなってしまうのか……?
今回も読んでいただけると幸いです笑
……というか、いつもより投稿時間が遅くなっちゃってすみません!
真上に上った太陽に照らされながら、通い慣れてない道を一人歩く。
今日は週末。すなわち湊さんと会う日であり、俺は一人集合場所の鈴女の校門へと向かっていた。
「(結局、何も決めてないんだよなぁ……)」
女子と出かけるなんて滅多にないことなので、数日前からこの日を楽しみにしていたのだが……。
こういう時、どういうところに行けばいいのか分からず、昨日どころか今日の朝まで何しようか色々考えていたのだが……結局何も浮かばなくて、正直焦っている。
デートじゃないっていうのは分かってるけど、傍から見ればデートのようなものだし、流石にエスコートくらいはしないと……と思っていたのだが、いかんせんそういった知識がないため、その結果がこの有様である。
「(情けねえなぁ、俺)」
自分の不甲斐なさにがっかりしながらも、先へと進む。
ここら辺はお屋敷や洋館が立ち並んでおり、まさしく高級住宅街と言った感じだ。
そのため、庶民の俺には程遠い別世界に来たように感じるのだが……、と。
そうこうしているうちに、校門が見えてきた。
よく見ると校門には、鈴女の学生と思われる女の子が1人立っていた。
私服姿であるため判別しにくいが、きっとここの生徒なのだろう。
「(不審に思われるだろうけど……まあ、湊さんが来るまでの辛抱だ)」
そう考えながら、女の子から少し距離を置いた場所で立ち止まる――と。
「――もしかして、飛鳥さんの彼氏さん?」
突然、目の前にいた女の子に話しかけられた。
「あ、ああ。そうだけど……?」
「良かったぁ。人違いだったらどうしようかと思ったよ」
「君は一体……?」
「飛鳥さんの友達の皆見美結です!よろしくね!」
「よろ……しく?」
あまりに突然の事で、全くと言っていいほど理解が追いつかない。
意味が分からず呆然としていると、女の子は少し申し訳なさそうにしながら話を続けた。
「まあ、そういう反応になるよね〜話すと少し長くなるけど、説明聞いてくれるかな?」
「ああ……そうしてもらえると助かる」
正直にそう答えると、美結さんは何があったのかを話し始めた。
…………。
………。
……。
「……というわけで、八坂さんを連れてくることになったのでした〜!」
「…………」
「そして道案内役として……私、皆見美結が迎えに来たのでした〜!……って、あれ?反応薄くない???」
「あっ、ごめん。ちょっと頭パンクしてた」
「ちょっとちょっとー!」
頬を膨らませながら、皆見さんが抗議してくる。
しかしそう言われても、理解が全然追いつかないわけで……。
「……ってか、そういう所って普通男が行っちゃ行けないのでは!?」
「そこは、先生から許可貰えたから大丈夫!」
「えぇ……?」
「(それ、教師としてどうなんだ……?)」
ツッコみたくなる気持ちを必死に抑える。
こんなこと、皆見さんに言っても仕方ないだろう。
…………。
……あれ?待てよ。
美結さんと共に寮に向かうってことは……。
「もしかして、湊さんは……」
「寮で待っててもらってまーす!」
「そうだったのか……」
案の定、湊さんはここには来ないらしい。
まあ、俺としてはどこに行くかも何も決めてなかったし、正直助かったけど……。
「(湊さんと2人じゃないのか……)」
内心どこかほっとしながら、別のどこかで落胆している……なんとも複雑な気分だ。
「――というわけで、飛鳥さんの待つ場所へ、しゅっぱーつ!」
「え?ちょっ」
「ほらほら、行くよ〜!」
「ちょっ、待てってば!」
美結さんに腕を引っ張られながら、一歩ずつ歩き出す。
そうして俺たちは、湊さんたちの住む寮へと向かうのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
美結さんと2人、湊さんたちが住む寮までの道を歩く。
一歩一歩進むに連れて、景色がどんどん見た事もないようなものへと変わっていく。
それは、先程見た屋敷や洋館よりもさらにしっかりとした御屋敷や洋館が立ち並ぶ高級住宅街であった。
しかし、街路樹が並び、道の端に小川が流れるこの静かな街並みは、俺としては嫌いではなく、むしろ心地良かった。
「ここら辺のお屋敷とかってすごいでしょ?」
「確かになぁ……凄すぎて、もはや何も言えねぇや」
「でしょでしょ〜?」
「というかさ、皆見さんも鈴女なんだよね?」
「そうだよー」
「じゃあ、皆見さんの家もさ。やっぱり、こういう……豪邸?なの?」
「いやいやいや、全然違うよ!私の家、普通の庶民の家だからさ」
「え……?」
予想外の答えに、またもや驚いてしまった。
鈴女の学生なのに……庶民?
「(いや、もしかしてお嬢様にとっての"庶民"ってことなんじゃないか?)」
そうすると、豪邸とまではいかないでも、普通に良い家なんじゃ……?
「あ、今お嬢様基準の"庶民"なのでは?とか考えたでしょ?」
「えっ、そ、そんなこと……」
「ふっふっふ〜この美結ちゃんにはお見通しなんだな〜!」
なん……だと……。
予想外の図星で、言葉に詰まる。
まさか、見抜かれてたなんて……!
「(でも、なんでだろう……)」
皆見さんと話していると、湊さんのような"お嬢様"って感じの人と話すより、うちの学校の女子と話すのに近い感じがする。
……けれど、何かが違う。
皆見さんは、相手のことをよく見ている……というか、周りに気を配ってるという感じがする。
これもきっと、彼女が持つ育ちの良さ……思いやりや優しさゆえのものなのだろう。
「はぁ〜……参ったよ。皆見さんには敵わないな」
「ふふ〜ん!でしょでしょ?」
「皆見さんって、優しいんだね」
「えっ、……え!?」
「俺が緊張しないように話しかけてくれてるんだろ?ただでさえ女子寮に行くっていうのに、その上知らない人と一緒に向かうからって」
「え、あっ、その……」
「心配してくれてるんだよね?」
「うっ……」
「気配りというか、気遣いが出来てて、凄いなぁって思うよ」
「……うぅ……」
「そういう人、素直に尊敬出来るよ」
「……っ!」
「だから、ありがとう。皆見さん」
「…………」
「あれ?皆見さん?」
「……そ、そんなことよりっ!うちの学園の紹介動画見て欲しいなぁ〜なんて」
「紹介動画?」
なんか話をそらされた気もするが……まぁ、あまり触れないでおこう。
「鈴女のいい所を紹介する動画で、ホームページに上げられてるんだけどさ〜そこの4回目の動画で、飛鳥さんの体操服姿見れるよ!」
「なん……だと……っ!?」
「あと、5回目で飛鳥さんが噛んで"にゃっ"って言ってるとこあるからさ。ぜひ見てほしいんだよ〜!そしてどうか、再生回数を……!」
湊さんの体操服……湊さんが噛んでるとこ……。
「(やべぇ……めっちゃ見たい)」
今すぐにでも見たいという欲望が、胸の内から込み上げてくる。
と、とりあえず今月の通信量を確認しよう。
……あ、いけるわ。
「おし、今見るわ」
「えっ!?」
「これか……」
「今見るの!?それは恥ずかしいというか……その……」
「あ、美結さん出てきた」
「って、もう見ちゃってるし!あはは……うん。それ、私がリポーターやってるんだよね」
「え?凄いじゃん!」
「そ、そんな褒めることでも……それに私、一応新聞部だし」
「新聞部なの!?だからこんなに動画の進行とかが上手いのか……」
「そ、そうかな?そう言ってくれると嬉しいけど」
「やっぱり皆見さんって凄いね。こんな堂々と紹介するなんて、俺には真似出来ないよ」
「……ぅ……」
「それに、皆見さん喋るの上手いし、その上かなり可愛いからさ。この動画、絶対人気出るよ!」
「か、かわっ……!?そ、そんな……お世辞はいいって!」
「…………?お世辞じゃないよ?割とガチで言ってるんだけど……?」
「あぅ……」
「あっ、ごめん……俺なんかに言われても、嫌だったよね?」
「えっと……あはは……全然嫌じゃないし、私としてはむしろ……嬉しいんだけどさ。その……そういうことは、飛鳥さん以外の女の子には、あんまりしない方がいいと思うんだよね」
「そういうこと……って?」
「自覚なし……か。飛鳥さんも大変だなぁ……」
「ちょっ、えっ?どういうこと!?」
「そんなことより、そろそろ見えてきたよー」
皆見さんの視線の先へと目を向ける。
すると、視界の先に洋館らしきものが見えてきた。
たぶんきっと、あれが湊さんたちの住む女子寮なのだろう。
「いや、話逸らさないでって!」
「じゃあ、ちょっと入口まで走ろっか!」
「え!?別にいいけど……
って、完全に逸らされた!?」
「……ちょっとドキッとさせられた仕返しなんだから」
「え?今なんて言ったの?」
「な、なんでもないよっ!ほら、飛鳥さんが待ってるから急ぐよ〜!」
皆見さんに連れられて、寮までの道を走り出す。
俺の手を引きながら走る皆見さんの顔は、どこか赤らんでいるように見えたが……たぶんきっと、気の所為なのだろう。
こうして俺は、禁断の乙女の園へと足を踏み入れることになるのだった。
ということで、悠君がまさかのフラグ立てちゃいましたね……
鈍感で難聴とかエロゲ主人公かよ……!とか思いますが、どうか勘弁してやってください笑
……美結ちゃん可愛いのに、何でルート無いの……?
次は湊くん視点の話です!
那波先生の元へ向かった後、何があったのか?
どうして美結が悠を案内しに来たのか?
次回も読んでいただけると嬉しいです!
追記
感想を書いてくれた方がいたんですけど、嬉しすぎてガチで悶絶してました笑
感想とかめちゃくちゃ嬉しいので、ぜひ気軽に書いていただけたら……笑