拉致られてしまった悠。彼はオトメの園()で一体どうなってしまうのか!?
ぜひ読んでみてください!
毎回、こんな拙い文章ですが、見てくださって本当にありがとうございます!
UAとか感想はめちゃくちゃ励みになってます!感謝の気持ちでいっぱいです~笑
「――もうっ、どうして逃げようとしたんですか?」
頬を膨らませた黒髪巨乳美少女に、ジリジリと詰め寄られる。
「いや、それは俺が聞きたいんだけど……」
あの後、女子たちに拉致された俺は、湊さんと共に玄関まで連れ戻された。
連れてかれている途中、女性特有の膨らみが身体に触れて色々と危なかったが、湊さんの存在があったおかげでどうにか助かった。
流石に、名目上彼女持ちの男が、彼女の目の前で他の女の子を見て鼻の下を伸ばす訳にはいかないしな。
まあ、そんな大変なことがあって、結果的に今に至るのだが――。
「ぼ、ボクのせいです……悠さんごめんなさい」
「……湊さん、一体何があったの?」
「それは……
…………」
「あ〜……湊さんなりの事情があったんでしょ?その顔見ればわかるよ」
「悠さん……」
「別に怒ったりとかしてる訳じゃないからね。どっちかっていうと、突然過ぎて驚いただけだし」
「悠さん……!」
「――おー、こいつが飛鳥の恋人ってやつか」
突然声が聞こえたと同時に、奥の部屋から少し大人びた女性が出てくる。
「あなたは……?」
「あー自己紹介しないとだよな……めんどくさ」
気怠そうにしながらそう話す、先生と思しき女性。
いや、なんでこの人自己紹介も面倒くさがってるの……?
「那波七海」
「え?」
「苗字が那波で名前が七海。あ、ツッコミ禁止な」
「あ……はい」
「ここの教師で、この寮の管理人だ。以上」
「あ……よ、よろしくお願いします」
どうやら、面倒くさがりというよりも、自己紹介があまり好きではないだけのようだ。
でもまあ、こんな気怠そうにしてても湊さんたちが驚かないということは、普段からこんな感じなのだろう。
「あっ、俺も自己紹介してませんでしたね。八坂悠です、よろしくお願いします」
「ん、よろしく」
「――あ、私たちも自己紹介を忘れてましたね〜」
「ほんとだわ、大事なお客様なのに、ごめんなさい」
「あ、いや、そんなかしこまらなくても……」
そう言いながら、黒髪の女の子と撫子色の髪をした女の子が頭を下げてくる。
流石はお嬢様学校の生徒とあって、かなり礼儀正しい。
湊さんもそうだったが、やはり所作の一つ一つが丁寧であり、育ちの良さのようなものが伝わってきた。
「私は西園寺風莉。この学園の理事長を務めているわ」
「あなたが理事長の……」
この人が、前に湊さんの言っていた理事長さんのようだ。
なんというか……俺が思ってたよりもずっと、しっかりしてそうな人だった。
「(確かに、この人なら学生でも理事長を務められそうだな)」
立ち振る舞いから言葉遣いまですべて完璧であり、まるで雲の上の存在がいるようにすら感じられる。
これは何が何でも、無礼のないようにしないと……!
「あなたのことは湊から聞いているわ。湊のこと、助けてくれてありがとう」
「いやいや、そんなお礼を言われるようなことじゃないよ」
「理事長として、感謝するわ」
「そう……かな?まあ、俺みたいなのがお役に立てて良かったよ」
「謙遜なさらなくてもいいんですよ。あなたの活躍は彼女さんから聞いてますからね〜」
「ちょっ、柚子さん!?」
「あなたは……?」
「貴船柚子です。湊さんとは同じクラスで、寮も同じのお友達なんです」
凛とした雰囲気を醸し出しながら、どこか親しみやすさを感じさせる。
そんな、大和撫子を彷彿とさせるその姿は、湊さんに負けず劣らずといったほどであった。
「(なんか、家事とか得意そうだなぁ)」
彼女の持つ家庭的な雰囲気から、エプロンして料理する姿が容易に想像できる。
きっと、この人の料理はかなり美味しいんだろうなぁ。
「西園寺さん、貴船さん。よろしくお願いします」
「よろしくお願いするわ」
「よろしくお願いします〜」
自己紹介してくれた2人に対して、軽く挨拶をする。
「(えーと、湊さんや美結さんは知ってるから、あともう1人は……)」
「ククク……」
突然、ゲームのラスボスがしそうな笑い声が聞こえてくる。
なんだろう……すごく嫌な予感がする。
「――我が名は東方将軍ツァラトゥストラ。魔王軍四天王が一人にして神を殺す者なり」
…………ん?
「(今、なんて言った……?)」
なんというか、お嬢様学校からは考えられないような言葉が聞こえてきた気がしたんだが……。
「(俺の聞き間違いじゃなければ、今ツァラトゥストラとか四天王って言ってたような……?)」
「お姉さまを返せ!円卓の騎士よ」
「ちょっ、"ひなた"さん!」
「え、円卓……?」
「ほら、悠さん困ってるじゃないですか!」ひなた「いでよ!魔弾ブリューナク!これでお前を始末するのだ!」
「そんな物騒な言葉使わないでくださいよ!」
「…………」
……なんとなく、理解した。
「(あー、中二病だわこれ)」
――中二病。
おおよそ全ての男が経験する一過性の病気であり、大体の人にとっては思い出したくもない黒歴史である。
俺自身、あの時は死ぬほど痛い言動や行動を取っていたから、その辛さは痛いほど分かるのだが……。
しかし、なぜこの子が……?
「(もしかして……男が来るからってことで、あえてやってみた……とか?)」
もちろん、可能性はゼロではない。
しかし、あの言動の慣れ方と服装からすると、その線は薄いだろう。
となると、まさか本当に……?
「(この歳の女の子が、中二病……だと……?)」
予想外の事態に、驚きを隠せなくなる。
世の中って広いんだなぁ……。
……って、なんて返せばいいんだこれ!?
返答に困り、即座に考えを巡らせる。
「(流石に、普通に返すのは可哀想だよなぁ……)」
確かに、もし自分だったら、これを流されたらなかなか辛いものがある。
…………。
「(正直、割とガチでキツいけど……
もういっそのこと、やってみるか)」
決意を固め、ゆっくりと深呼吸をする。
……この子のために、少しは頑張らないとな。
そうして俺は、かつて自分の中に封印したパンドラの箱を開けるのだった。
「どうしたのだ?降参するのか?」
「……ふっ、そうか。ならばこちらも……やるしかあるまいな」
「……なっ!?」
「え……?」
「ふぅ……ここはキャメロットではないが……まあ、いいだろう――我が剣は、焔を裂き鋼を断ち、有象無象を斬り伏せる」
「…………!」
「――されど、その力は血肉が飛び交う争いの為に非ず――ひとえに、我が祖国の民草を守り抜く為のものなり」
「はわわっ!」
「――しかして、これは我が城、我が国に安寧をもたらす象徴の劔――風を薙ぎ、大地を震わせ、日輪・月輪の相反する力を我に授けよ……今この時だけは、この力――我が“最愛の者”のために捧げよう」
羞恥心で死にたくなる気持ちを必死に殺し、最後の言葉を述べる。
こうなったら、やけくそじゃぁぁぁぁぁ!!!
「閃光と共に消え失せろッ!エクスッ……カリバァァァァァ!!!」
詠唱を唱え終わると同時に、思い切り不可視の剣を振りかざす。
「()」
己の恥を捨て去り、全力でやりきった。
だから……だから、後悔なんてないんだ!
……たぶん、きっと。
「……こんな感じでやってみたけど……大丈夫だったかな?」
「…………」
「ちょっと、雑にやり過ぎちゃった……よね?エクスカリバーとか、流石に有名どころ過ぎるし……」
「…………」
「……ごめんね?」
「……す……」
「……す?」
「す、すごいのだっ!」
「――――」
…………え?
予想外の言葉に、思考が止まってしまった。
「(すご、い……?)」
まさか、中二系詠唱を褒められるとは思っておらず、二の句が継げなくなる。
え……まじで?
「ぜひとも我が魔王軍に……いや、我が好敵手として認めようなのだ!」
「あ……え?」
そう言うと、"ひなた"と呼ばれる女の子は俺の手を握ってくる。
……どうやら俺は、"ツァラトゥストラちゃん"に気に入られてしまったようだ。
「(なんだろう……この感じ)」
女の子から手を握られるのなんて嬉しいはずなのに、何故か素直に喜べない。
そんな、嬉しいような辛いようなよく分からない複雑な感情が、俺の中に渦巻いていた。
「――悠、さん……」
突然聞こえた湊さんの声に、ふと我に返る。
あ……ここ玄関だった!?
「あっ……ご、ごめんなさいみなさん!見苦しい姿を見せてしまって……」
慌てながら皆の方を向き、深々と頭を下げる。
「(や、やっちまったぁ……)」
自分の置かれた状況を思い出し、後悔の念に駆られるが……流石にもう遅いだろう。
湊さんたち、きっとドン引きしてるんだろうなぁ……。
「すごかったです〜!ひなたさんがもう1人いるみたいでした!」
「……え?」
「大垣さんについて行ける人、初めて見たわ」
「お前もそういう感じなのか?」
「ち、違うんですっ!昔の自分もこんな感じだったなって思って……ちょっと思い出しながらやっただけなんです!」
先生の言葉を必死に訂正する。
「(こ、このままじゃやばいって……)」
ここでどうにかしないと、間違いなくそういう人間だと認識される。
ツァラトゥストラちゃんみたいな女子がやるならまだしも、この歳の男で中二病は流石にまずいだろう。
「でも、かなり慣れた感じだったよね?」
「中学生の頃を思い出しながらやったんだって!すごーーーーーく恥ずかしかったけど!」
少し早口になりながら、美結さんの言葉を必死に訂正する。
流石に、久しぶりにやったんだから、慣れてるわけないだろう。
…………。
ない……よね?
「……え、円卓の騎士よっ!」
不意に名前を呼ばれ、後ろを振り返る。
「あ、あの……も、もっとやりたい……のだ!」
「あ、いや……」
「だめ……かな?」
「うっ……!」
そう言いながら、上目遣いで頼み込んでくるひなたちゃん。
「(そ、その顔はダメだって……!)」
胸に込み上げてくる気持ちを、どうにか必死に抑える。
曲がりなりにも、俺は湊さんと付き合ってることになってるんだ。
ここでデレてることがバレたら、理事長さんに何されるか分からないし、浮気なんて言われたらひとたまりもないだろう。
「…………」
ふと……真横から、視線を感じる。
気になって振り向くと、湊さんがこちらをじっと見ていた。
「(怒ってる……?)」
いやいや、流石にあの優しい湊さんに限ってそんなはずはないだろう。
「(それこそ、嫉妬くらいだし……って、湊さんがそんなことするはずないよな)」
いくらなんでも妄想しすぎだろ!と自分にツッコミを入れる。
やっぱ俺……湊さんのこと、諦めきれてないのかな。
そう思いながらも、なぜか分からないが、胃が少しキリキリしていた。
「〜〜っ!もう……!ひなたさんっ、悠さん困ってますから」
「お、お姉様……?」
「ちゃんと自己紹介してくださいっ!」
「わ、わかったのだ!」
湊さんに言われ、"ひなた"ちゃんはこちらへと向き直る。
「……お、大垣ひなた……です。1年生……です。あの、良かったら……また、遊んで欲しい……のだ」
期待と羨望に満ちた表情から一転して、不安げな顔でそう尋ねてくる"大垣さん"。
正直、今も恥ずかしいけど……これは降参だな。
「ああ、全然いいよ。また次会った時にでもやろうか」
「いいのだ!?」
「ああ、次までにもうちょっと色々思い出してくるよ」
「やったのだ〜!ありがとうなのだ、円卓の騎士!」
そう言って、嬉しそうに跳ね回る大垣さん。
こんなに喜んでくれるなら、中二病も案外悪くないのかも……?
「やっぱり本当は満更でもなかったり?」
「いやいや、恥ずかしいからね!?」
危ねぇ……流されかけるところだった。
「…………」
「ふ〜ん。なんだ飛鳥、嫉妬してんのか?」
「ふぇっ!?い、いや……そんなことは……!」
「嫉妬してる湊さん……可愛いですっ」
「飛鳥さんの嫉妬……これはいい記事になりそう」
「ち、違いますっ!べ、別にそういう訳じゃ……って、記事にしないでくださいっ!」
「湊可愛いわ」
「風莉さんまで……!も、もうっ!悠さん、これは違くてですね……って、悠さん……?」
「あ、いや、ちょっと待って!今絶対見られちゃいけない顔してるから!」
「え……?」
「待って、お願い1回待って!マジで!」
「そ、それは……どういうことなんですかぁー!?」
湊さんにツッコまれながら、必死に顔を隠す。
たぶん俺、今相当気持ち悪い顔してると思う。
それも、見なくてもわかるレベルで。
「(湊さん可愛すぎかよぉ……)」
そうして、この後もお嬢様たちの湊さんイジりは続くのだった。
その最中も、とにかくニヤケ顔を隠すのに必死だったのは言うまでもないだろう。
ひなたの中二病に、まさかの悠が中二病で対抗するというとんでもシーンでしたが、いかがだったでしょうか?
個人的に悠の詠唱は割と雑にやってしまったかなと少し後悔していますが……まあ、元中二病という設定だし大丈夫かな?笑
というか湊くん可愛い(脳死)
ということで、次も第二寮での話です!
一体どんな話になるのか、楽しみにしていてください!
追記
ストック全切れしました。やばい……。
もしいつものペースで出せなかったらごめんなさい!
できる限り頑張ります!