お嬢様たちからの質問攻めにどうにかボロを出さないように耐える悠君。
果たして、無事残りの質問に耐えられるのか!?
今回もぜひ読んでいただければ幸いです~!
追記
前回の投稿直後に、UAが一気に300くらいになっててめちゃくちゃ驚きました!
そして、先週のUAは初の500を到達していて嬉しすぎて泣きそうです!
こんな拙い話をこんなに読んでくれたのか……って思うと、なんかもう語彙力失いそうなくらい嬉しいです!!!
話を書く上でめっっっちゃくちゃ励みになるので、本当にありがたいです!
「じゃあ、次の――」
「次の質問で」
「あ!司会の役取られたー!?」
そんこんなで、美結さんと共に軽い茶番を繰り広げる。
どうやら、質問されるうちにお嬢様たちにも慣れてきたようだ。
まあ、一応ここは女子寮だから、厳密には慣れちゃいけないんだけどさ。
「次はあたし……か。あたしはパスでいいや」
「いいんですか?」
「まあ、めんどくせぇし、教師が生徒に聞くのもなんか変だからな」
「なるほど……確かに」
めんどくさそうにため息をつきながら、七海先生はそう告げる。
めんどくさがりはどうかと思うけど、今回ばかりは助かった……。
「そうなると、次は……飛鳥さん!」
「えぇっ!?ボク……ですか?」
「あっ、取り返された!」
「ふっ!まだまだ甘いわー!」
「くっ……!」
「2人とも、そこまでにしておいて」
「「はーい」」
西園寺さんに怒られ、皆見さんと共に反省する。
今一瞬、湊さんの方から視線を感じたような気がしたけど……。
多分きっと、気の所為なのだろう。
「それにしても、彼女さんの立場からの質問ですかぁ……一体、どんな質問なんでしょうか?」
「お姉様の質問、楽しみなのだ」
そう言いながら、お嬢様たちは期待の目で湊さんの方を見る。
まあ、かく言う俺も、どんな質問をされるのか気になってるんだけどさ。
「あ、あの……」
「あ、ああ」
「しゅ、趣味は……何ですか?」
「「「えっ!?」」」
「趣味、か……」
「いやいや、ちょっとちょっとちょっと!?なんでサラッと流してるの!?」
「お前ら、お見合いか何かよ!?」
「…………?」
「その質問……恋人がする質問じゃないですよね?」
「あ……確かに……」
「今気づいたのだ!?」
正直、貴船さんに言われるまで気づかなかった。
そっか……湊さんと恋人(偽)になってからだいぶ経つもんな。
それほどまで湊さんと一緒にいるのに趣味も知らないってのは、確かに変だよな。
…………。
それにしても、趣味……か。
「うーん……ゲームとか音楽聴くのも好きなんだけど……強いて言えば、料理とか家事全般、かな?」
「「「えっ!?」」」
趣味を言った瞬間、お嬢様たちが一斉に声を上げた。
え……俺、なんか悪いこと言っちゃったのか……!?
「うわっ、お前もか!理解出来ねぇ〜」
「流石に酷くないですか!?……って、お前"も"?」
「お姉様と一緒なのだ!」
「(お姉様……?)」
大垣さんの言葉を頭の中で反芻する。
"お姉様"ってことは、まさか……。
「まさか……湊さんも?」
「ふっふーん!飛鳥さんは凄く料理が上手なんだよ〜」
「いつも私たちの食事を作ってくれるんです」
「それに、掃除から洗濯までなんでもやってくれるからな」
まるで自分の事のように、誇らしげに話す女性陣。
その様子から、湊さんがどれほど周りに好かれているのか容易に想像がついた。
「(俺、湊さんと同じ趣味だったのか……!)」
予想外の事実に、嬉しさが込み上げてくる。
今まで、この趣味が同じ人なんて見たことが無かったため、かつてないほどに喜んでいるのが自分でも分かった。
「あの……!料理とかが趣味って……本当、ですか?」
「そうだよ!湊さんも同じ……ってことでいいんだよね?」
「…………!はいっ!ボクも料理とか大好きなんですよ!」
「良かったわね、湊」
「あぁ……!同じ趣味の人、いてくれたぁ……!」
そう言いながら、満足そうに顔をほころばせる湊さん。
それはまるで子供のような――曇りのない無邪気な笑顔だった。
「湊さんは、料理とかどこで知ったの?」
「僕の場合は、祖母が昔メイドをしていたので、その祖母に仕込まれたんです。そしたら、だんだん楽しくなってきちゃって。それで今は、この寮の家事をやってるんです!」
「へぇ〜、好きだからやってる感じかぁ」
「悠さんは、どうやって?」
「俺は……昔から人に頼まれることが多くてさ。色々な事を手伝ってきたら、いつの間にかできるようになってたんだよね」
「そうだったんですか?」
「ああ。それで、みんなの手伝いをしていくうちに、それ自体が楽しくなってきちゃって。そのまま趣味になった、ってわけ」
「そんなことがあったんですね」
うんうんと頷きながら、俺の話を聞いてくれる湊さん。
表情をコロコロと変えながらも、俺の言葉に相槌を打つその様子は、湊さんの聞き上手なところを十二分に表していた。
「湊と似ているけれど、少し違うわね」
「確かにそうですね〜」
「好きになったから手伝いをする飛鳥さんと。手伝いをするうちに好きになった彼氏くん……か。なんか、そんな感じで料理対決出来そうじゃない?」
「確かに、めんどいけど少し見てみたい気もするな」
「いやいや!そんな、俺なんか料理の腕なんてまだまだですよ」
「そういう人ほど、実は達人……とかあるのだ!」
「能ある鷹は爪を隠す、と言うものね」
「そんなことないですって!」
「ボクも、人と比べられるほど上手くないから、心配です……」
「飛鳥さんが料理上手いのは私たちは知ってるから、謙遜しなくていいって!」
「け、謙遜なんてしてないですよぉ!」
そう言いながら、少し遠慮気味に湊さんはこちらに目を向けてくる。
「(湊さん、絶対料理上手いんだろうなぁ……)」
1度でいいから、湊さんの手料理食べてみたい。
湊さんと目を合わせながら、そんなことを考えている、と――。
「――じゃあ、私も参加していいですか?」
「「「…………」」」
――賑やかだった場の空気が、しんと静まり返る。
「(あ、あれ?みんなどうしたんだ……?)」
あまりに突然の事で、全くと言っていいほど状況が飲み込めない。
今、貴船さんが話し始めた途端、一斉に黙り込んだような気がしたんだけど……?
「私が料理の話をすると、皆さんいつもこうなんです〜!」
「え……どゆこと?」
「(料理の話をすると、いつも……?)」
なぜかわからないが、嫌な予感がする。
これって、もしかしなくても……まさか……?
「円卓の騎士よ、気をつけるのだ……」
「あいつの料理は常軌を逸してる……」
「あー……やっぱりそういう感じかぁ……」
皆の沈黙の意味を、図らずも察してしまった。
「(こんな美少女が、メシマズ……だと……?)」
にわかには信じがたいが、皆の顔を見るからに、それが純然たる事実だということは明らかだった。
人は見た目によらないとはよく言うが、どうやら本当のことらしい。
「もうっ!みなさん酷いです」
「ゆ、柚子さんは、その……特殊ですから」
「うっぷ……」
「風莉さん!?」
「思い出したら……少し辛くなってきたわ」
「あ、あはは……」
どう反応すればいいか分からず、苦笑いを浮かべる。
思い出すだけで戻しそうになるってことは、相当のものなのだろう。
なんというか、お嬢様学校の闇(?)を見てしまったような気がした。
「き、気を取り直して次の質問!」
「……じ、じゃあ、次は私ね」
「だ、大丈夫?」
「……大丈夫よ、心配しないで」
少しよろめきながらも、そう話す西園寺さん。
どう見ても大丈夫そうには見えないのだが……まあ、本人が言うなら大丈夫なのだろう。
「質問なのだけれど、八坂さんは……」
じっと、次の言葉を待つ。
西園寺さんは俺たちの関係を知ってるから、流石に変な質問はしてこないだろう。
「……湊のこと、どのくらい好きなのかしら?」
「――――」
「これはあたしも気になるー!」
「我も気になるのだ!」
西園寺さんの質問に、一瞬自分の耳を疑う。
「(西園寺さんって、俺と湊さんの関係知ってるんだよね!?)」
正直、西園寺さんが何を考えてるのか、全くと言っていいほど分からない。
一体、どうしてこんな質問を……?
助けを求めて、湊さんの方に視線を向ける。
「…………!?」
まあ、予想通り……湊さんも突然の事だったようであたふたしていた。
この様子からすると、湊さんもこの質問がくることは知らなかったのだろう。
そうなると本当に……どうして西園寺さんは……?
「西園寺、さん……?」
「あなたの本心を教えて欲しいの……おねがい」
先程までとは違う真剣な声色で、彼女は俺にそう言った。
その両目には、明確な意思が宿っていた。
…………。
きっと、西園寺さんは、俺が湊さんのことをどれほど大切に思っているのか聞きたいのだろう。
たとえ、本当の恋人じゃないとしても……俺が湊さんにとっての"偽の恋人"として任せられる人物なのか、その目で確かめたいと考えているんだ。
「(覚悟を決めろ、俺)」
恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。
西園寺さんは、湊さんのことを思って俺にこの質問をしているんだ。
臆することなんてない。気持ちを伝えればいいんだ。
たとえ偽りの恋人であったとしても、湊さんとずっと一緒にいたい。
――そんな気持ちを。
周りに引かれてもいい。湊さんに引かれてもいい。
それでも……その想いを、この人に伝えるんだ。
そう決心し、俺は――
「俺は、湊さんのことを……」
「…………」
「愛しています」
ありのままの想いを、歯に衣着せず真っ直ぐにぶつけた。
「…………!」
「そう……ならいいわ」
俺の言葉を聞くと、西園寺さんは驚く湊さんを横目に、こちらへと近づいてくる。
そして――
「湊のこと、よろしくお願いするわ」
そう言って、俺に手を差し伸べながら、満足そうな笑みを浮かべるのだった。
「ごちそうさまでした〜!」
「湊さんも八坂さんも顔を赤くしちゃって、可愛いです!」
「ほんとだ!真っ赤なのだ!」
「これは、キスする流れなのでは?」
「「そんなことないですから!」」
一段落つくと、案の定女性陣が食いついてきた。
流石に、この場でキスとか公開処刑だろ!
「(……って、そもそもキスしちゃダメじゃん!?)」
何を考えてるんだ、と自分にツッコミを入れる。
元々俺は、湊さんに1度振られてるんだ。
仮初の恋人になったとはいえ、湊さんに断られたというその事実は変わらない。
それなのに、キスするなんて……そんなこと出来るはずがない!
「まあ、確かに……そういうのって、2人だけの時にするものですよね」
「「……」」
「あれ?反応が……」
「お前ら、キスしたことないのか?」
「あ、あるわけないじゃないですか!」
「恋人同士なのにか?」
「……っ!」
その事を出されると、さすがに反論できなくなる。
あれ……これ、ピンチじゃね!?
「じゃあ、“デートした時”は何もしないってこと?」
「で、デート……」
「……あれ?彼氏くんもこの反応ってことは……」
「もしかして、湊さんたちって本当に……」
「で、デート……したこと、ないです」
「……ふぇ?」
「まだ、1回もない……です」
やむを得ず、湊さんと共に現状を告げる。
もういっその事、"本当の恋人じゃないから無理なんだ"と説明したくなるが……もちろん、そんなこと言えるはずもない。
「ほ、ほんとにしたことないのか?」
「そう……ですね」
「へぇ〜湊さんの言ってたこと、本当だったんだぁ……ちょっと驚いちゃったなぁ」
「うぅ……」
「あれ?少し思ったんですけど……まさか、今日が初デートの予定だった……とか?」
「そうなのだ!?」
「それなら流石に、申し訳ないわね……」
そう言って、申し訳なさそうに下を向く西園寺さん。
あれ?待って……なんか、変な方向に進んでないかこれ?
「あ、いや……今日は一緒に出かけるってだけでしたし、別にデートって訳では……」
「…………」
「なくなかったですっ!めちゃくちゃデートするつもりでした!」
流石に……今回は分かった。
今の湊さんの視線……多分、デートじゃないと怪しまれるってことなのだろう。
今回の俺、結構冴えてるんじゃないか……。
「それは……申し訳ないことをしたわ」
「……あっ」
……前言撤回。
詰んだわ……これ。
「ち、違うんです!別にそういう訳では無いんです!」
「申し訳ありません……」
「貴船さんまで!?」
次第に、みんなの視線がこちらに集まる。
その表情には、どこか後ろめたさのようなものが見え隠れしており……。
「なんというか……すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
あまりの罪悪感に耐えきれず、
俺はただ、謝ることしかできなかった。
窓の外に見えた空は、哀愁を感じさせるような黄昏色に染まっていた。
というわけで、主人公への質問でしたけど……風莉様やっぱ良い人ですね~!
個人的に、悠と美結がふざけて風莉様に怒られてるとこがめちゃくちゃ好きなのですが、やはり風莉様は良き……!
次は、視点を湊さんに戻して話を進めていく予定です~
また次もぜひぜひ読んでいただけたらなと思います!
前書きにも書きましたが、本当にありがとうございます!!!
次も同じペースで投稿できるように頑張ります!