……すみません!
前回書いた通り、本当は湊君視点の話を書いていたのですが、今回は間に合わなかったので、その前の風莉さんとの話までの投稿になってしまいました(泣)
そのため、湊君視点は次回になってしまいましたが……ぜひ読んでいただければと思います!
茜色に染まった空を見上げながら、自販機で買ってきたペットボトルに口をつける。
「ふぅ……」
外の空気を吸いに出た俺は、今日一日のことを思い出していた。
今日は湊さんと2人で出かける予定だったのが……なぜか女子寮に連れてかれることになり、個性豊かなお嬢様たちと出会うこととなった。
「(まあ、色々あったけど……今日は楽しかったなぁ)」
最初は、慣れない場所であるため、緊張しまくって大変だった。
けれど、次第にお嬢様たちにも慣れ、様々な話をしていくうちに打ち解けることができたように思える。
ぶっちゃけ行先も決まってなかったし、ある意味、今回は2人で出かけられなくて良かったのかもな。
そんな、湊さんに知られちゃいけないようなことを考えながら、手に持った緑茶を一口飲む。
「――ちょっと、いいかしら?」
突然、後ろの方から声が聞こえてくる。
少しドキリとしながらおそるおそる振り返ると、そこにあったのは以外にも西園寺さんの姿であった。
「どうかしましたか?」
「あの、さっきの話なのだけれど……」
「…………?」
さっきの話……あ。
「……あっ!?すみません、あれは違うんですっ!」
「そのことじゃないわ」
「……え?違うの……?」
「それよりもう少し前の話」
「もう少し前……?」
「その時にも言ったのだけれど、湊は可愛いと言われるのが嫌で、誰に言われても複雑そうな顔をするの」
「あ、ああ、その話か……って、そういえばそういうこと言ってましたね」
「そうよ。だから……あなたにもその反応をしていたの」
そう話しながら、西園寺さんは俺の隣に腰掛ける。
湊さんの第一印象について話した時、湊さんは少し複雑そうな顔をしていた。
正直あの時は、想いを語り過ぎたせいで気持ち悪がられていたのかと思ったけど。
あの後の西園寺さんの説明がなかったら、完全に凹んでたなぁ……。
「――けれど……珍しいの」
「珍しい……?」
「湊が、その事に対して感謝するのは」
「そう……なの!?」
「それこそ、湊がそのことで“嬉しい”と感謝を述べたのは……私の見た限りだと、あなたが初めてよ」
「……えっ!?」
驚きのあまり、西園寺さんを二度見する。
「(俺、が……?)」
予想外の情報に、頭が回らなくなってくる。
湊さんが……俺に、だけ……?
「それにあなたは、私に湊への想いを教えてくれた。その言葉から、湊のことを大切に思う気持ちは十分に伝わったわ」
「そんな、俺は……」
「私は……あなたなら、湊を支えられると思っているから」
「…………」
先程とは一転して真剣な面持ちになり、改まった声で西園寺さんはそう告げる。
「湊は、あなたと出会って変わったわ。あなたが湊を助けてくれた日以来、湊はあなたと会った日には、いつもその話をしてくれるの」
「え……」
「その話をする時の湊は、いつも嬉しそうにしているわ。あなたに出会う前よりも、今の湊は活き活きとしてる」
「そう……だったのか」
「だからね、八坂さん」
西園寺さんは改まって、こちらに体を向ける。
「好きな相手と"偽の恋人"という関係を維持するのは辛いことだと思うわ。けれど、それでも……湊のために、湊の友達でいてくれないかしら……?」
そう言って、彼女はゆっくりと頭を下げた。
……普通、友達のためにここまでできる人なんてそうそういないだろう。
けれど……それをこの人は平気でやっている。
「(西園寺さんには、敵わないなぁ……)」
西園寺さんの持つ人徳に素直に感心しながら、彼女の方に向き直る。
そして、西園寺さんの思いに応えるためにも、俺は今抱いている自分の本心を打ち明けた。
「俺は……湊さんといると、楽しいんです。世界が、色づいて見えるんです」
「…………」
「俺も、湊さんと出会ってから毎日が変わりました。まあ正直、辛いって思う時もありますけどね……」
「……っ……」
「でも俺は、一緒にいられるだけで嬉しいって。ずっと一緒にいたいって、そう思ってますから。だから……心配しないでください」
「……そう。よかった……ありがとう」
自分の気持ちを正直に伝えると、西園寺さんは"ありがとう"と俺に感謝を示した。
自分の事じゃないのに、こうも喜ぶとは……。
学生でありながら、一学園の理事長を務める者としての風格を、一瞬で理解させられた。
「あの、八坂さん」
「はい?」
「無理に敬語なんて使わなくていいのだけれど……?」
「あー……一応理事長さんだから、使わないとなって思ってたんですけど……」
「私は理事長を務めているけど、同い年であることに変わりはないわ。だから、楽な話し方にしてくれると嬉しいわ」
「……わかった。お言葉に甘えてそうさせてもらうよ」
バレてたのかと思いながら、敬語からタメ口に切り替える。
同い年の人に敬語使うことに少し違和感を感じていたから、正直ありがたい。
「西園寺さんって、やっぱすげぇな……」
「どういうこと?」
「湊さんのこと、ここまで親身になって心配してんだもん。並の人間じゃ出来ないよ」
「そう……かしら?」
「ああ!……って、まあ理事長だから、生徒のことを心配するなんて当たり前なのかもしれないけどさ。それでも、それは普通じゃできないって」
「…………」
「それもこれも全部、西園寺さんの優しさがあってこそなんだよ。あー……そう考えると、俺なんかまだまだだなぁ……」
「そ、そんなことないわ。あなただって、湊を助けてくれたのだし」
「俺は、西園寺さんほどじゃないよ。相手のことを思い遣って、相手の幸せを考えて動いてる……そんなことができるのは、真に心の優しい人だけだと思うんだ」
「……っ……」
「だから、西園寺さんのこと、素直に尊敬できるよ……って、なんか上から目線っぽいな!?」
素直に思ったことを告げると、西園寺さんは黙り込んでしまった。
……ちょっと言い方間違えちゃったかな?
「八坂さんも、優しすぎると思うわ」
「え……?俺?いやいや、そんなことないって」
「あなたも十分優しいわ。今日のあなたを見ていたらわかるもの。だから……その優しさを、湊に向けてあげて」
西園寺さんにそう言われ、少しむず痒いような感覚を覚える。
その言葉から、湊さんのことを本当に大事に思っているのが、はっきりと伝わってきた。
「ありがとう。西園寺さん
「そちらこそ、ね。いつでも……先生が許可してくれれば、来ていいのよ?」
「いやっ、流石にそんな……ってか、女子寮はまずいでしょ!?」
「それでも、また来た時は歓迎するわ」
そう言って、西園寺さんはにこやかに微笑んだ。
今回も含めて、女子寮は色々まずい気がするけど……。
まあでも……お嬢様たちと話すの、楽しかったからな。
「じゃあ、もしもまた大丈夫だったら……その時は、西園寺さんたちの話を聞かせてほしいな」
俺の返事を聞くと、西園寺さんは"いいわ"と言って、今日1番の笑みを浮かべた。
…………。
………。
……。
その後も少し話をしてから、俺たちは皆の元へ戻った。
水平線に沈む夕日の明かりが、なぜだか今日は温かく感じられた。
というわけで、湊が知らないところでの2人での会話でしたね~
風莉さんからの信頼を無事にゲットした悠君ですが、湊くんとの関係に進展はあるのか!?
次こそは湊視点ですので、お楽しみに~!
ではでは、次回も読んでいただけたら幸いです。
追記
毎回UAが増えるのが嬉しくて、ニヤニヤしながら描いてますw
本当に毎回みんなさん読んでいただいてありがとうございます!
めちゃくちゃ嬉しいです(語彙力)
……サブタイトルの流れ作っちゃったせいで、毎回ネタ切れとの戦い