今回は予定通り湊くん視点の話になっております。……前回はすみませんでした(;A;)
毎度毎度拙い文章ですが、ぜひぜひ読んでいただけると嬉しいです!
追記
毎週感想や評価ありがとうございます!書く上で励みになっています笑
街を包む朱色の空が、次第に夕闇に溶けていく。
あれから時間はあっという間に過ぎていき、気がつけば、時計の針は7時を回っていた。
悠さんを学園まで送るために、通学路を悠さんと2人で歩く。
街路樹の間から、春の心地良い風が吹いていた。
「ごめんな、送ってもらっちゃって……」
「いえいえ!僕がやりたくてやってることですから」
少し申し訳なさそうに、悠さんが謝ってくる。
あの後、帰り道がわからないだろうと風莉さんたちに言われて、悠さんを学園まで送っていくことになった。
流石に申し訳ないと悠さんは最後まで拒んでいたけど……僕自身、今日はあまり悠さんと話せなかったからということで、無理言って送らせてもらうことにしたのだ。
「それにしても……お嬢様たちって、俺が思ってたイメージと全然違ったわ」
「なんか、すみません!?」
「あっ、いや!そうじゃなくてさ。もっとこう……冷たい感じのイメージだったんだよ、お嬢様学校の人って。まあ、湊さんは違うんだけどさ」
「そう……なんですか?」
「ああ。だから良い意味で驚いちゃったよ」
「それは良かったぁ〜」
お嬢様たちに対して良い印象を持ってくれたようで、少しほっとした。
まあ、お嬢様たちの変なところは見られてないし……流石に、ね。
そんなことを考えながら、通い慣れた道を悠さんと2人並んで歩く。
気になったことがあったんだけど……今なら聞いていい、かな?
「あの〜……悠さん」
「ん?」
「質問のとき、ボクの第一印象みたいなの言ってくれましたけど、あれって……」
「あっ、あの時は、つい……本音が出ちゃって……」
「本音……ですか?」
「ああ……」
「そう……ですか」
悠さんの様子からすると、どうやら本当にお世辞とかではなく、嘘偽りのない本心だったようだ。
「("超どストライク"……か)」
悠さんの言葉を、頭の中で反芻する。
本当なら同性にこんなこと言われても嬉しくないのに……何故か、悪い気はしなかった。
「あ、あと、ずっと気になってたんですけど……ボクと最初にあった時は、下の名前で呼ぼうってなったのに、風莉さんたちにはなんで言わなかったんですか?」
話のついでに、今日一日ずっと抱いていた疑問を口にする。
僕が初めて会った時は、呼びにくいから下の名前で……ってなったけど、今日は誰にも言っていなかった。
なにか理由があるのかなと考えていると、悠さんは少しはにかみながら口を開いた。
「一応、湊さんと恋人同士ってことになってるからさ。他の子を下の名前で呼ぶのって良くないかなぁ……って。まあ、今回は初対面だし、何回か会ったら変わるかもだけど」
「そうだったんですか……」
「ああ。おかしかった……かな?」
「いえ、そんなことはありませんよ。バレないように徹底してくれて、ありがとうございます!」
感謝されるほどじゃないよ、と言いながら、悠さんは少し頬を緩ませる。
自分だけ特別だったのかなと思ったのだけど、どうやら恋人であることを不自然に思われないように悠さんなりに配慮してくれていたようだ。
……勘違いしちゃったことは、悠さんには内緒にしておこう。
「あ、あのさ……」
「はい……?」
「…………」
「…………?」
会話が途切れ、辺りが沈黙に包まれる。
何か言いかけてたけど……悠さん、どうしたんだろう?
「み、湊さん!」
「は、はいっ……!」
「次はさ、2人だけで出かけようか?は、初デートってことで」
「はい……!
……って、ええっ!?」
悠さんの言葉に、一瞬自分の耳を疑う。
「で、でででデート……ですか!?」
「あ、ああ。さっきも皆見さんに言われたけどさ。やっぱり、この関係がバレないようにするには、ちゃんと恋人らしいことをするしかないと思うんだ」
「そう、ですよね……」
確かに、僕は今日のことを勝手にデートだと考えていた。
理由としてはもちろん、悠さんの言っていることと同じだ。
けど、まさか……悠さんの口から、デートという言葉が出てくるとはゆめゆめ思わなかった。
「湊さん……?やっぱり、嫌……だったかな?」
「ち、違うんです!ちょっと戸惑ってしまっただけで……悠さんとのデート、楽しみです……!」
「……っ……!!!」
僕に背を向け、大きくガッツポーズする悠さん。
悠さんが喜んでくれて、僕としても嬉しいんだけど……。
それにしても……悠さんとデート、か。
「(同性の友達と出かけられるのは嬉しいし、自分で考えてる時は良かったんだけど……でも……いざ、"デート"って言われると……ちょっと複雑なんだよなぁ)」
悠さんから目を逸らし、自分の足元に視線を落とす。
――そう。僕は悠さんの偽の恋人である前に、悠さんに自身の性別を偽っている。
悠さんに、まだ男だってことを打ち明けられていないのだ。
「(ごめんなさい……悠さん)」
罪悪感に、胸を締めつけられる。
正直、悠さんなら言いふらしたり脅してきたりすることは無いだろう。
だからこそ、打ち明けてもいいとも思うんだけど……。
「(でも……怖いよぉ……)」
悠さんに嫌われるかもしれない。軽蔑されてしまうかもれしない。
そんな嫌な妄想が、頭の中を駆け巡る。
そうなったら、もう友達ではいられなくなるかもしれない。
せっかく手に入れたかけがえのない友達を……失ってしまうかもしれない。
そんなことになったら……僕は……ボクはっ――。
「――湊さん!」
「……え?」
不意に声をかけられ、悠さんの方を見る。
「さっきから呼んでたんだけど……どうしたの?」
「あっ、す、すみません!何でも……ないです」
「あ、いや、謝らなくていいんだよ。ただ……」
「ただ……?」
「湊さん、少し悩んでいるように見えたからさ。デート……嫌なら、いいんだよ」
「いや、ちがっ……そういう事じゃないんです」
「そう……なの?」
「はい……嫌では、ないんです」
「じゃあ……悩み事?」
「……はい」
「俺に出来ることなんて、そんなにないけど……言ってくれれば、話くらいは聞くよ」
「あ、いや……」
なんと言ったらいいのかわからず、言葉に詰まる。
流石にこんなこと、本人の前では言えないよぉ……。
「…………」
「ああ……うん。言いにくいことだったら、無理に言わなくていいからね」
「…………」
「でも、今の湊さん……辛そうだからさ。俺に出来ることなら何でもするから」
「悠さん……」
「相談なら、いつでも乗るからさ。話したい時に話してくれればいいよ」
真剣な顔つきで、そっと優しい言葉をかけてくれる悠さん。
「(こんなに心配してくれてるのに……申し訳ないよぉ……)」
悠さんの言葉に嬉しく思いながらも、後ろめたさのようなものが胸の中に募るばかりであった。
「…………」
「…………」
「……よしっ!」
突然、悠さんが足を止めた。
「湊さん、来週の日曜日って空いてるかな?」
「え?あ、空いてます……けど?」
「じゃあ、その日にデートしようか」
「……ふぇ?」
あまりに急な提案に、思考が停止する。
デートするとは言ったけど、なんで急に……?
「俺がそのデートで……湊さんを笑顔にするよ」
意を決した様な面持ちで、悠さんは僕にそう告げた。
「……ぁ……」
悠さんに見つめられ、言葉に詰まってしまう。
それほどまでに……僕にとってその言葉は嬉しかったんだ。
「ダメ……だったかな?」
「いえっ、そんなことありません!」
「じ、じゃあ、次の日曜日……デート、しようか」
「……はいっ!」
幸福感と罪悪感が心の中でせめぎ合いながらも、僕はその誘いを受け入れた。
…………。
このままじゃダメだってことは分かってる。
いつかは話さなきゃいけないんだってことも分かってる。
だけど、今この時だけは……この関係のままでいたかった。
月明かりに照らされた道に、一陣の風が吹き抜ける。
花の香り混じる春の夜風は、なぜだか少し冷たかった。
というわけで、次からは湊くんとの初デートになります!!!
湊くんの可愛い姿たくさん書くぞー!笑
一応、あまりグダグダしないように書こうとは思っているのですが、長くなったらすみません笑
次は主人公視点から始める予定なので、是非読んでいただけたらと思います!
追記
これからも自分の書きたいものを書いていくつもりですが、「ここ改善した方が良い」みたいなのがあったら、気兼ねなく言ってください!逆に喜びます笑
あと本当に感想ありがとうございます!ものすっごく嬉しいです笑