※原作がノベルゲームのため、ゲームのようにセリフの前に人物名を入れておりますので、そこもご了承ください。……見づらかったらごめんなさい!
湊くん可愛いから、からまれても仕方ないよね……。
投稿遅れてしまってすみません!!!!!!!
次は湊君の誕生日(5/22)に投稿します!
ストックあるので大丈夫です!
「ここの問題はこの公式を使って……」
教室中に、先生の声が響き渡る。
「はぁ~……」
何も無い、退屈ないつも通りの日常。
毎日毎日同じ事の繰り返し。
この歳になっても彼女がいないことを、周りの友人たちにもバカにされる日々……。
そんな日々の中、俺――八坂悠は日常という“渇き”を感じていた。
「じゃあ、ここの問題を……八坂」
「は、はいっ!」
「……寝てたな?」
「いや、寝てないです!」
不機嫌そうな教師に突然指され、驚きのあまり変な声が出てしまった。
これ……まずいのでは?
「先生、悠のやつ爆睡してました〜」
「この上ないくらいに幸せそうな顔で寝てました」
「ちょっ!?お前らっ!」
「おい悠うるさいぞ!先生困ってんだろ?」
「は???」
仲間に裏切られ、声を荒げた瞬間。
更なる裏切りが、俺のことを待ち構えていたのだった。
「(……どゆこと?)」
あまりに衝撃的な光景に、自分でもこれ以上はないんじゃないかと思うくらいの瞬きを繰り返す。
いや、え……これ、何……?
「お前ら……まじ何?どゆこと?」
「八坂くんはちゃんと授業を受けた方がいいと思います!」
「そうだ、そうだー!」
「は?…………は? 」
虚偽のチクリがどんどん増えていき、次第に怒りのパラメーターが頂点へと登っていく。
マジでこいつらあとでシバいたろか……?
「はい八坂は黙れー」
「えっ……!?」
「はぁ……それにしても、お前らほんっと仲良いな」
溜息をつきながら呆れ気味にそう言うと、再び黒板に文字を書き始める。
え、いや、今俺何も悪くなくない?……ひどくない!?
てかこれ、サイレント減点のやつじゃん……。
「違うんです先生っ……これは!」
「実は俺たち……悠のやつに金で……」
「おいおいおいおいおいおい?」
あまりに流れるような裏切りに、思わず壊れた機械のようなツッコミをしてしまう。
なんで俺、こんなこと言われてるの……?
「いじめか?お?新手のいじめか?」
「おい悠……もう隠すのはやめちまえよ」
「は?隠す……?」
「お前がこいつらをいじめてることくらい分かってんだよ!」
「いじめられてるの逆じゃね……?」
よくわからなすぎる展開なんだけど……これ、何?
「お前がそういう人間だってことぐらい、分かってんだよ……なあ、みんな?」
「「「やっぱりか……」」」
「いや、違うよ!?てか、いつからアウェーになったんだよぉぉぉぉぉ!?」
友人たちのボケの連鎖に加え、まさかの集団でのボケに、もはやツッコミが追いつかなくなってる。
これ……授業中じゃねぇのかよ……。
そんな精神的疲労を感じてる中、ふと先生が俺に憐れみの目を向けてくる。
「八坂お前、成績は良いのに……なんでこんななんだ?」
「いや、そんなの俺が聞きたいですよ!?」
「じゃあとりあえず……5人全員、今日の宿題は2倍な」
「「「まじかっ!?」」」
………………。
そんな、いつも通りの日常。
友人には恵まれて、俺としては退屈しないんだが……。
「(そろそろ、彼女……欲しいなぁ……)」
そういう意味で、俺はこの繰り返される日常に、退屈さ――"渇き"を感じていた。
友人とふざけ合う日常も良いけど、正直やっぱり彼女が欲しい。
自分でも邪な考えだとは分かってるけど、ぶっちゃけこの年齢だからどうしようも無いと思う。
「(何か、起こらねぇかなぁ……)」
窓の外に広がる一面の青空を、肩肘ついて、無気力なまま眺める。
そうして今日も、退屈しないけど"退屈な"、そんな一日が始まるのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――キーンコーンカーンコーン
最終下校時刻を知らせるチャイムが学校中に鳴り響く。
「(もうこんな時間か……)」
時間の経つ早さを実感しながら、友人と校門へと向かう。
学校を出ると、辺りはすっかり暗くなっており、太陽は既にその姿を隠していた。
友人に別れを告げ、イヤホンを付けていつものプレイリストを聴きながら、一人帰路につく。
今日はクラスの友人の手伝いをしていたせいで、帰りが遅くなってしまった。
「(まあ、今日"も"なんだけどな)」
誰に説明する訳でもないが、やや自嘲気味に訂正する。
というのも、俺は昔から人の頼みを断れない性格で、人から頼み事をされることが多かった。
まあ、俺自身としても、手伝いをした後の"感謝"や"笑顔"が好きだから、なんだかんだ言って断ることなくやっているのだが……。
そのおかげで、友人や知人は人より多い方だとは思うのだが、その分自分の時間が取られることが多かった。
まあ、これが悪い事ではないというのは、頭ではわかっている。
しかし、実際に自分の時間が削られているのを見ると、なんとも言えない気持ちになるのだ。
「(まあ、それでも手伝っちまうんだけどな)」
結局、そんなことを考えても、みんなの笑顔を思い出すと自然と体が動いてしまうのだ。
「(まったく、人の性ってのはどうしようもないもんなんだな)」
そんなことを考えながら、街灯に照らされたいつもの道を1人歩く。
"また今日も何も起きなかったな"と、ため息混じりに吐き捨てる――と、目の前に珍しい姿が見えた。
「あれ、あの制服……"鈴女"の子か?」
"鈴女"――白鈴女子学園といえば、この地域では有名なお嬢様学校である。
ここら辺には、うちの学校や逢生学園もあるのだが、白鈴女子学園はその中でも知名度がずば抜けているのだ。
俺も何回も水梅モールなどで見かけたが、どの子も気品溢れており、可憐な大和撫子のような感じであった。
――だが、そんな鈴女の子がこんな時間に帰るなんて珍しい。
「(買い物帰りか何かかな?)」
ふと、興味本位でそんなことを考えてみる。
しかし、よくよく見てみると、その子の周りに3人の男が付きまとうように立っていた。
それに――何か様子がおかしい。
「(明らかに、困ってる……よな?)」
男3人を前にして、女の子は明らかに嫌がっているように見えた。
………………。
……まあ、この状況で無視して帰れる訳にいかないよな。
「(何も、起こらなきゃいいけど――!)」
ほぼ無意識に、身体が動き始める。
そうして俺は、その子の元へと向かうのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「はぁ……」
すっかりと黒く染まった空を見上げて、僕──飛鳥湊は、1人溜息をつく。
今日は、いつも行く水梅モールではなく、少し遠くの家電量販店にまで買い出しに行っていた。
本当は早めに帰るつもりだったのだけれど……前から気になっていた物を見てたら、思いの外時間が経ってたみたいだ。
「安かったからたくさん買っちゃったけど……こんな時間になっちゃったなぁ……」
まあ、学園からそんなに遠くないから比較的安全ではあるんだけど……以前ひなたさんと水梅モールで不良に絡まれたこともあったから、ちょっと心配だなぁ……。
「(変な人に絡まれなきゃいいけど……)」
そう思いながら、第二寮へと足を早めている、と――。
「ねぇねぇ君?今暇?」
「俺たちと遊んで行かない?」
「きっと楽しいから、ね?」
典型的なチャラ男3人組に、声を掛けられてしまったのだった。
見事にフラグ回収しちゃったよぉ……。
「(というか、どうしよう……ボク、男なんだけど……)」
まさか、ナンパされることになるとは……。
男だってバレてないから良かったけど、ちょっと複雑な気分だ。
「(そ、そんなことより……この人たちを断って帰らないと!)」
幸い、料理は出かける前に作っておいたから、多分みなさん食べてくれているはず。
でも、みんなに心配かけちゃってるだろうし、とりあえず早く帰らないと!
「あのっ、今急いでるんで……」
「あ?ちょっとくらいいいだろ?な?」
もはやテンプレじみた言葉と共に、リーダーと思しき男はギュッと腕を掴んでくる。
「ちょ、やっ、やめて下さいって!」
「おーおー、嫌がってる顔も可愛いね~」
「やべぇ、めっちゃそそるんだけど……たまらねぇなぁ」
「…………」
なんだろう……正直、ちょっとイラッとしてきた。
「(女の子にこんな感じで迫ってくるのはなぁ……あ、いや、ボク男なんだけどさ……)」
そう思いながら、前に水梅モールでひなたさんを助けた時みたいに、軽く投げ飛ばそうかと考える。
けれど、今は夜遅くて人通りも少なく、この人も思ったより力が強いから……1対3だと流石にちょっとまずいかもしれない。
「(というか……もし、男だってバレたらどうしよう……)」
勘違いさせやがって、とか言ってキレてきたら流石に危険かもしれない。
それに、その事を学園にバラされたら……学園にいられなくなるかも……。
「(流石に、それはまずいよね……)」
「ほらほら、こっちで俺らと遊ぼうぜ」
「へへっ、悪いことはしないからよぉ」
僕が何も出来ないのをいいことに、男達はどんどんこちらに詰め寄ってくる。
「(ど、どうしよう……)」
何か打つ手はないかと思考を巡らせる。
しかし、いくら考えても……この状況を切り抜けるアイデアが浮かばない……。
「(そ、そうだ!誰か助けを呼べばいいんだ)」
突然の閃きに、我ながら感心する。
まあ、多分女の子ならすぐに浮かぶんだろうけど……って、今はそんなこと考えてる場合じゃない。
「(でも、これならどうにかなるはず……!)」
そうして、声を出そうとして大きく口を開いた途端――
「(あ、れ……?声が、出ない……?)」
いつも出てくるはずの自分の声が――全くと言っていいほど聞こえなかった。
「(な、どうして……!?)」
どうにか平静を保ちながら、原因を考えてみる。
前に何かの本で、恐怖を感じると体がすくんで声が出なくなったりする、って見たことあったけど……。
「(まさか、ボク……怖がってる、の……?)」
そんなまさかと思って、再び声を出そうと試みる。
しかし、何度声を出そうとしても……無慈悲にも、微かに息が出てくるだけだった。
「ほら、こっちにきていい事しようぜ?」
そうしてる間にも、男達はジリジリと僕との距離を詰めてくる。
「(ボク……ここで終わっちゃうの……?)」
自分の思う限りの最悪の未来が、頭の中でハッキリと形作られていく。
「(おばあちゃん……風莉さん……ボク……ボクは……っ)」
結局、為す術もないまま……僕はまた1人になってしまうのか。
そうして、もうダメだと思った僕は、咄嗟に目を閉じるしかできなかった。
「(……誰か、助けて……っ!)」
祈りに似た言葉が、空を切って溢れ出す。
しかし、目が閉じきるその瞬間――
視界の隅から、人影が近づいてくるのが見えたような気がした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――気づけば、体が先に動いていた。
「(ほんと、人の性ってやつは……)」
自分の行動にやれやれと思いながら、女の子の元へと足を早める。
そんなことなら、面倒事に首を突っ込まなければ良いだけだってことは、自分でもわかっている。
けれど、"あの子が困っている"――ただそれだけで、お節介を焼く理由としては十分だった。
「(それにしても、後先考えずに来ちまったが……これ大丈夫なのか?)」
話してどうにかなる相手なら良いが……もし変に絡んで喧嘩に発展したら、あの子を守りながら3対1で戦わなければならない。
まあ、もしそうなっても、3人なら多少は大丈夫だと思うのだが……。
「(てか、そもそも赤の他人である俺が言っても、誰だお前的な状態になるだけなのでは……!?)」
今更、そんな重大なことに気づいてしまった。
あれ?……俺、詰んでね?
そうして、自分の考え無しの行動に不甲斐なさを感じていると――
「――うぅ……やめてくださいっ!」
今にも消え入りそうな声が、微かに聞こえてくる。
女の子の方を見ると、怯えるように目を閉じて……誰かに救いを求めるように、服をぎゅっと握りしめていた。
「(……そんなことで悩んでる場合じゃないよな)」
人が困っているんだ……何がなんでも助けるのが先だ。
そう思った瞬間、体中から熱いものが込み上げてくる。
兎にも角にも、あの子を助けるんだ。
「(よしっ、こうなったら一か八かだ!)」
そうして決意を新たにした俺は、彼女にジリジリと詰め寄る男達に声をかけに行くのだった。
というわけで始まりました~
いきなり湊くんナンパされてますけど……まあ、どうなるかは次のお楽しみで!
本当に遅れてすみませんでした……