ということで、湊くんのデートの続きです!
前回は何やら不穏なサメ映画を見に行くところでしたが、湊くんたちのデートはどうなってしまうのか!?
サブタイトルで何となく察するとは思いますが、温かい目で見てください笑
今回も読んでいただけたら幸いです~!
湊さんとのデートが始まり、俺たちはまず映画館に行くことにした。
上映までの間、少し時間があったため、飲み物やポップコーンを買ってから座席に座り、周りの迷惑にならないように小声で湊さんと話していた。
いつもと同じような他愛のない話をしていたのだが、何故か今日はいつもより何倍もドキドキしていたし、何より楽しかったんだ。
……今思えば、あのおしゃべりの時間が1番充実していたのかもしれない。
そして映画を見終わり、俺たちは映画館の近くにある喫茶店で休んでいるのだが……。
「…………」
「…………」
気まずい雰囲気を保ったまま、2人の間に沈黙が流れる。
といっても、映画館を出てからずっとこの調子なのだが……。
「ま、まあ、面白かった……です、よね?」
「湊さん……無理、しなくて……いいんだ」
「む、無理なんて……はい……」
「…………」
「…………」
四方八方から世間話が聞こえてくる喫茶店の中で、俺たちの席だけが再び静寂に包まれる。
「(映画を観ていたはずなのに……どうしてこうなったんだ……)」
後悔の念と単純な疑問が、頭の中でぐるぐると回っている。
結論から言うと、俺たちの観た映画は――完全なる外国のB級映画であった。
内容としては、巨大台風に乗ってサメが空から降ってくる、といった話であった。
映画が始まった時点で、湊さんの方を見ると、苦笑いを浮かべており、なんでちゃんと事前に確認しなかったのかひたすら後悔していた。
――けれど、この物語はまだまだこんなものではなかった。
物語の後半に差し掛かった辺りで、イカつい外人が空から降ってくるサメに対してチェーンソーで無双しまくる展開になったのだ。
その時の衝撃は言葉に言い表せないくらいのものであり、いつもなら映画が終わった後に残ってしまうポップコーンを、終盤に差しかかる頃にはもう食べ終わってしまった程であった。
あの時不意に聞こえた“わぁ、ポップコーン美味しいなぁ……”という湊さんの言葉を、俺は一生忘れないだろう。
まあ、色々思うところもあるけど……とりあえず、謝ろう。
「湊さん……ごめん」
「ゆ、悠さん……!?そんな、謝らなくても……」
「俺が、しっかり映画のこと調べていれば……っ!」
「し、仕方ないですよ!ぼ、ボクだって流行りの映画とか知らないですし……ね?」
「サメ映画なら大丈夫だろうとか考えた俺が馬鹿だった……というか、なんで大丈夫と思ったんだよ……」
映画を調べていた時のことを省みながら、自分のチョイスに落胆する。
これ絶対、深夜テンション入ってただろ……。
「げ、元気出してくださいっ!そ、それに……コメディとしては面白かったですよ?」
「……そう?」
「はい!映画観ている時、色んなシーンでツッコミ入れそうになっちゃいましたよ」
「……ほんとに?」
「本当ですって!だから、そんなに落ち込まないでください、ね?」
「湊さん……」
そう言いながら、必死に励まそうとしてくれる湊さん。
まあ、想定とは少し異なる楽しみ方だけど……その気持ちは十分に伝わってきた。
「ごめん……俺がこの調子じゃダメだね。よしっ!まだ次があるんだ、頑張るぞ!」
「その調子です、悠さん!」
「ありがとう!……って、なんで慰めてもらう形になってるんだろ!?湊さんほんとごめん!」
「大丈夫ですよ。それに僕は……悠さんと一緒に映画を見れただけでも嬉しいんですから」
――心臓が止まった。
あまりの破壊力に一瞬過呼吸になりかけ、むせ返りそうになる。
「(やべぇ……危うく昇天するところだった……)」
その様子を見た湊さんは少し心配そうな目をしながら、何があったのかといわんばかりに首をかしげている。
湊さん……恐るべし……。
「……悠、さん?」
「な、ななな何でもないよ???」
……誤魔化そうとしたら、変な感じになってしまった。
「で、でも次は……こういう映画観るんだったら、思い切ってCMとかでやってる恋愛映画でも見た方がいいのかもな」
「れ、恋愛……映画、ですか……?」
「ああ。実は今日、そういうの観るか迷ってこっちにしたんだよね……まあ、それで失敗しちゃったんだけどさ……って、湊さん?」
「あぅ……うぅ……」
俺の話が聞こえているのかは分からないが、湊さんは何やらブツブツと小声で何か言っている。
「湊さん?」
「……で、でも……こ、こここ心の準備が……!?」
「湊さーん!」
「うにゃぁぁぁぁぁ!?」
意を決して耳元で名前を呼んだ瞬間、突然叫ばれてしまった。
「み、湊さんっ!?どうしたの!?」
「気にしないで下さいっ!」
「いや、滅茶苦茶気になるんだけど!?」
目を左右に泳がせながらあたふたする湊さん。
流石に、こんなの気にしない方が無理だろう。
「つ、次はどこに行くんですか?」
「いや、相当強引に逸らしたね」
「うぅ……」
少し狼狽えながら、湊さんは徐々に顔を紅潮させる。
まあ、湊さんのためにもこれ以上は聞かないでおこう。
「次行くところはね……うん。た、たぶん大丈夫……なはず」
「……えっ!?どういうことですか!?」
「よ、よし!次こそは大丈夫だから!」
「フラグにしか感じられないんですが!?」
「うっ……」
「……じゃ、じゃあ……これ飲み終わったら、行きますか?」
「あ、ああ……そうしようか」
少し歯切れの悪い返事をしながら、コーヒーを喉の奥に流し込む。
そうして俺たちは、次なる目的地へと向かうのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「――悠さん、ここって……」
「すみません調子乗りました。はい」
少し戸惑いながら、俺の方へと視線を向ける。
店を出てからそんなにかからずに、俺たちは目的地へと辿り着いた。
そう、この――水梅モールに。
「いつもの、水梅モールです……すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
「そ、そんな謝ることでは……」
「ほんとにごめん湊さん!少しはカッコつけたかったんだ!」
変に言い訳せずに、湊さんに本当のことを伝える。
こういう時は、潔く謝ろう。うん。
「でも、なんで水梅モールに?」
「デートといえばショッピングかなって思ったんだけど……近くでショッピングできる場所探したら、ここしか無かったんだ……」
「なるほど、そういうことだったんですか」
「ごめんね……俺、全然ダメだなぁ」
自分の不甲斐なさに、だんだん嫌気が差してくる。
「そんなことないですよ!悠さんが頑張って行き先を考えてくれたこと、僕わかってますから」
「湊さん……」
「僕、嬉しいんです。悠さんがこうやって僕とのデートを楽しみにしてくれてたことが
だから……ありがとうございます!」
そう言って、湊さんは屈託のない笑顔を浮かべる。
今の俺には、その言葉が強く胸に響いて……ただただ、嬉しかったんだ。
傾き始めた夕日の灯りが、俺たちの足元にぼんやりとした影を形作る。
「あ、そうだ!ボク、水梅モールの中で悠さんと行きたかった場所があるんです」
「そうなの?」
「少し、行ってみませんか?」
「全然いいけど……?どこなんだ?」
「うーん……内緒ですっ!」
「内緒……か、どこなんだろ?」
「じゃあ悠さん、こっちです!」
湊さんに手を引かれて、人混みの中を歩き始める。
連なった2つの影は、いつしか1つの大きな影となっていた。
ということで、湊君が何やらどこかに行こうとしていますが……
果たしていったいどこなのか?
デート編はあと2話くらいで終わると思いますので、ぜひ読んでいただければと思います。
追記
今回少し分量が少なめですみません……次は頑張ります!
本当に毎回感想やUAが支えになっていて、滅茶苦茶ありがたいです!
これからも精進しながら書いていきますのでよろしくお願いします!