湊君を攻略したい!   作:Kスケ

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ギリギリで終わらせました……
というわけで前回の続きです~笑
今回は湊くん視点です!
ぜひぜひ読んでいただけたらなと思います~!

追記
もうすぐ累計UAが6000に届きそうでかなり嬉しいです!
いつもこのような拙い話を読んでくださり、本当にありがとうございます!感謝しかないです!


たそがれ色に染まる道

 

 

 

悠さんと手を繋ぎながら、水梅モールの中を2人歩く。

空は綺麗な黄昏色に染まっており、建物はその光で小麦色に煌めいていた。

 

「(悠さん、かなり落ち込んでたけど……大丈夫かな?)」

 

繋ぐ手の先にある彼のことが、少し心配になる。

まあ確かに、初デートで失敗みたいな感じになっちゃったら、誰だって落ち込むだろう。

 

「(それにしても、あの映画……)」

 

ふと、映画のことを思い出す。

――悠さんと一緒に観た映画。

――なんか色々と凄かったサメ映画。

それはお世辞にも良いとは言えなかったし、初めてポップコーンを食べきってしまったほどであった。

あまりの衝撃に悠さんの方を向いたら、悠さんは額に手を当てて難しそうな顔をしていた。

……今思えば、きっとあの時から落ち込んでたのだろう。

 

「(まあ、ボクとしてはコメディ映画みたいな面白さがあったから、別に嫌いって訳でもなかったけど)」

 

そんなことを考えながら、悠さんの方へと視線を向ける。

 

「どうかしたの?」

「いえ、なんでもないですよ」

 

でも、今日ずっと悠さんがスマホをちらちらと確認していたのを見て、思ったんだ。

色々と調べてくれてたんだなぁって。

今日のこと楽しみにしてくれてたんだなぁって。

そう考えただけで、僕はとても……嬉しかったんだ。

 

「――あの、湊さん……大丈夫?」

「は、はいっ……!あの、どうかしました?」

「いや、さっきから……その……」

「さっきから……?」

 

突然悠さんに呼ばれ、慌てて返事をする。

“さっきから”って、どういうこと?

 

「……あの子可愛いな」

「すごく綺麗な子ね」

「…………」

 

冷静になって耳を澄ませると、周囲から色んな声が聞こえてきた。

なんだろう……なんか、複雑な気分だ。

 

「おい、あの子めっちゃ可愛くね?」

「どの子だ?……って、あのカップルの?」

「そうそう、あの彼女さんめっちゃやばくないか?」

「お前語彙力死んでんじゃねぇか!……まあ、確かに可愛いなあの子」

 

近くにいる男性たちの会話が聞こえてくる。

なんか、すごくべた褒めされてる気がするんだけど……?

 

「湊さん、大丈夫?」

「あはは……ちょっと複雑な気分です」

「やっぱり、"可愛い"って言われるのはあまり好きじゃないんだ」

「そう……ですね、はい」

 

悠さんに聞かれ、素直にそう答える。

まあ一応男だし、この格好でも可愛いって言われるのは少し複雑だ。

 

「(悠さん、流石に変に思うよね……)」

 

隠していることに申し訳なさを感じ、悠さんの方を見る……と。

悠さんはなぜか、少し難しい顔をしながら下を向いていた。

 

「悠さん?」

「あ、いや……うん。湊さんが褒められてるのって、俺としては嬉しいんだけどさ」

「そ、そう……ですか?」

「けどさ……ちょっと、嫌だなって」

「……え?」

「あっ、別に悪い意味じゃないんだ。ただ……ちょっと、なんかね」

 

悠さんの言葉が気になって聞き返すと、その返事はどこか歯切れが悪いようなものであった。

あれ、それって――

 

「ねぇ、おかーさん。あのおねーちゃんかわいい〜!!!」

 

突然聞こえてきた女の子の声に、思考を中断させられる。

 

「まあ、綺麗な子ね。モデルさんかしら?」

「わたしも、あのおねーちゃんみたいになりたーい!」

「うふふ、なれるといいわね」

 

そんな話をしながら、親子は僕たちの前を通り過ぎていく。

そうして、2人は人混みの中へと消えてしまった。

 

「湊さんみたいになりたい、だってさ」

「そ、そんな僕なんて……」

「モデルみたいとも言われてたなぁ〜」

「ぼ、ボクはそんなに可愛くないですってば……!」

「いやいや、みんな湊さんのこと可愛いって思ってるよ?」

「うぅ……」

「まあ俺も、湊さんのこと世界一可愛いと思ってるけどね」

「もうっ!からかわないでくださいよぉ!」

「ごめんごめん、流石に嫌……だよね?」

「そ、それは……その……」

 

突然、悠さんの口調が、からかうようなものから心配の念が籠ったものへと変わっていく。

そのあまりに真剣な声色に、僕は図らずも驚いてしまっていた。

…………。

気持ちを落ち着かせるために、ゆっくりと呼吸を整える。

……よし。

悠さんには……今の素直な、ありのままの気持ちを話そう。

 

「確かに、少し複雑ですけど……でも、そんなに悪い気もしない、と言いますか……」

 

話しながら、言葉を考える。

実際、自分でもこの心情の変化が分からない。

けれど、それでも……今は、悠さんにこのことを伝えよう。

 

「前と違うというか、なんというか……」

「前よりは嫌じゃない……ってこと?」

「そう……なのかもしれません。もしかしたら……ボクの中で、何か変わったのかも」

 

賑やかな場所の中で、少し真剣な声色で話を続ける。

そんな中でも、悠さんはうんうんと頷きながら僕の話を聞いてくれていた。

…………。

僕の話を一通り聞き終えると、悠さんはそれなら良かったと言って、ゆったりとした優しい笑顔を浮かべた。

 

「……というか、あれ?何で悠さん、ボクがあまり可愛いと言われるのが好きじゃないって、知ってるんですか……?」

「あー……えーっと……」

 

僕が質問した途端、突然悠さんは言葉を詰まらせる。

 

「(言い淀んだってことは……誰かから聞いた、ってことだよね?)」

 

思い当たる人物を頭の中で考える。

でも、このことを知ってるのって、基本的に風莉さんだけな気が……?

ということはやっぱり、風莉さんが言ったってこと、か。

まあ、それしかないと思うけど……一応聞いてみようかな。

 

「それって……風莉さんに聞いたんですか?」

「あ、うん……そう……だけど」

 

少し慎重に尋ねると、思ったよりあっさりと話してくれた。

……ってまあ、悠さんあまり隠し事とか好きじゃなさそうだし、話してくれるのは普通か。

 

「こういうのって本人に言って良いのかな……?」

「ボクは怒ったりとかしてないので、大丈夫ですよ」

「なら、大丈夫か」

「で、それ以外に何か言われました?」

「…………ない、よ?」

「絶対何か言われてますよねっ!?」

 

前言撤回。悠さん、絶対隠し事してるよぉ〜!

 

「いや、別にそんな…………うん。大丈夫」

「それ、大丈夫じゃないですよねっ!?」

 

悠さんにツッコミつつも、何を言われたのか気になって少し考えてみる。

心なしか顔が赤いように見えるから……恥ずかしいこと、なのかな?

 

「(どちらにしろ、気になる……!)」

 

「――あの子たち、カップルかな?」

「あの雰囲気なら、そうかもね」

 

何を言われたのか聞こうとしていると……ふと、どこかから落ち着いた女性の声が聞こえてくる。

気になって周りを見回すと、洋服屋から出てきたスーツ姿の2人の女性がこちらを見ながら話をしていた。

 

「あの女の子、すごく可愛いね」

「わかる〜。男の子の方も別に悪い顔じゃないし、普通にいいよね〜」

「なんかあの2人、初々しいって感じがする」

「わかる〜慣れてない感じがいいわぁ……なんというか、甘酸っぱいって感じ。もしかして、初デート……なのかな?」

「なるほど、それならあの初々しさも納得できるわ〜あの子たち、青春してるね〜」

「うんうん。青春真っ只中って感じの可愛らしいカップルさんだね〜」

「…………」

「…………」

 

あまりの恥ずかしさに、口が開かなくなる。

気になって隣を見ると、悠さんも同じ状況に陥っていた。

色々と言いたいことはあったが、このままこの場にいたらヤバそうなので、とりあえず先を急ごう。

 

「い、行きましょう悠さん!」

「あ、ああ、そうだよな!す、少し急ごうか」

 

そうして、赤くなっているであろう自分の顔を隠すようにしながら、再び手を繋いで歩き出す。

今日は、いつもより周りの視線を多く感じる。

その中で、僕は悠さんと目も合わせられなかったけれど……なぜだか、悪い気はしなかった。

 

 

 




というわけで、いかがだったでしょうか?
自分としては、今回は湊くんがツッコミを入れるところが少し気に入っています笑
……というのはここまでにして
すみません。今回は目的地に着いてからの話を書きたかったのですが、終わりませんでした……。
次はこそは頑張ってしっかりと進めたいと思います……!

追記
感想ありがとうございます!
ほんとにめちゃくちゃ励みになるので、いつも嬉しく思いながら読ませていただいています!
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