今回は、本当は1つだったところを2分割して出すことにしました……すみません!
ということで、いつもより分量は少ないかもしれませんが、ぜひ良かったら読んでいただけると幸いです~!
「――というわけで、着きましたよ悠さん!」
「おお、ここかぁ……って、ここハマダ電機じゃん!?」
湊さんに連れられ、俺たちは目的地へと辿り着いた……のはいいのだが。
しかし、その場所はなんと……見慣れた家電量販店であった。
「えーと……ここに、俺と一緒に来たかったの?」
「……はい、悠さん料理……というか家事が好きって聞いたので……それに、学校に同じ趣味の人がいなくて……」
なるほど、と納得する。
どうやら湊さんは、前に言った趣味のことを覚えてくれていたようだ。
それに、俺としてもこの趣味を共有出来る友達はいなかったから、同じ趣味を持つ湊さんと来れるのは正直ありがたい。
「じゃあ、今日は2人で色々見て回ろうか!」
「は、はいっ!
……やった!」
そう言って、嬉しそうに小さくガッツポーズをとる湊さん。
そんな姿を見たら、こっちまで嬉しくなってくる。
そうして俺たちは、店の中へと入っていくのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「――悠さん見てください!この炊飯器、ケーキとかヨーグルトとか作れるって書いてあります!」
そう言いながら、先程までとは比べ物にならない程の調子で、目をキラキラさせて家電を見て回る湊さん。
店に入ってからずっとこの調子なのだが……正直、予想以上にテンションが高くて、俺としても少し驚いている。
「確かに、最近は炊飯器にも色々便利な機能がついてるものが出てきたからな」
「そうみたいですね!!!あ、これ絶妙な具合のおこげが作れるってありますよ〜!」
「おおー!それ普通にいいやつじゃん!」
「最近の家電……すごい!」
「確か前に見たやつで、スマホで炊き上がりの確認が出来るやつもあった気が……って、あったあった」
「これですか……?えーと……“スマートフォンで炊き上がりをお知らせ!レシピの設定もアプリで簡単に!”……って、こんなことも出来るんですか!?」
「まあ、こういうものの進化ってめちゃくちゃ早いらしいからな」
「そうなんですか……!」
湊さんは目を輝かせながら、片っ端から色んな商品を手に取っては、無邪気な笑顔を浮かべている。
その姿はまるで、おもちゃを前にした子供のようであり、非常に愛くるしいものであった。
「湊さんは、あんまりこういう店に来ないの?ほら、かなり“新鮮”っていう感じだったから」
「うーん……来ないって訳じゃないんですけど……」
「いつもはもっとオシャレな店に行ってる、とか?」
「いえ、そうではなくてですね……普段は風莉さんたちと一緒に来るんですけど、みんなと一緒だとあまりゆっくりと見れないんですよ」
「そういうことか」
「それに、時間があっても、家事や学校の宿題をやらなきゃいけませんし……」
「なるほど。だから物珍しそうにしてるのか」
「そうなんですよ〜」
そう言って、湊さんは少し頬を膨らませる。……可愛い。
確かに、こういう店は女子達が複数人で来る場所って感じではないし、それこそ料理とか家事全般に興味が無いと立ち寄ることも少ないだろう。
それに、あの寮で家事を行いながら学校の宿題もやらなきゃいけないとなると、本当に時間がないということも分かった。
「あ、こっちはパンを作る機能付きって書いてある!これがあったら朝食作るの楽になるのかな……!」
そんなことを考えていると、湊さんはいつの間にか目を輝かせながらまた商品の方に目を向けていた。
「あー……湊さんは、普段どんな料理を作ってるの?」
「えーと……色々、ですかね。みなさんに飽きないように食べてもらうために、様々な料理を作ってるんですよ」
「そっか、寮のみんなに料理を作ってるんだっけ。でもそれって、割と大変じゃない?」
「うーん……まあ、大変だなぁと思うこともありますけど……でも、趣味でやってるんで、楽しいですよ」
少し考える素振りを見せた後、湊さんはどこか嬉しそうにそう話してくれた。
「(これは、俺なんかには出来そうもないなぁ……)」
しみじみと、深くそう感じる。
なんというか、改めて湊さんの凄さみたいなものが分かったような気がした。
「あ!こっちは無水調理ができる圧力鍋って書いてありますよー!水要らないんだ……!!!」
そう言いながら、湊さんはまた別の商品に手を伸ばす。
「(なんか、いつもより活き活きしてるなぁ〜……)」
そんなことを考えていると、湊さんが動きを止めてこっちをじっと見つめているのに気がついた。
「そういえば……悠さんは、普段どのくらい料理するんですか?」
「あー……俺は基本的に、好きな時に作るって感じだからなぁ……」
突然湊さんに聞かれて、咄嗟に言葉が出なくなる。
こういうのって、急に聞かれるとマジで何も浮かばなくなるな……。
「じゃあ、いつもは何を作ってるんですか?」
「うーん……色々?……ってこれ、自分で聞かれるときついな」
「“いつも何作ってるのか”と聞かれると、すぐに出てこないですよね……」
「それなのに……さっきはこんな聞き方しちゃってごめん!」
「いえいえっ!別に大丈夫ですよ。ボクも同じ質問しちゃってますから」
気にしなくていいですよ、と笑いながら話す湊さん。
そうして、顎に手を当てながら目線を上に向けて、何かを思い浮かべるような素振りを見せると、湊さんはにこやかな表情を浮かべた。
「いつか、悠さんと一緒に料理してみたいな〜……なんて」
「あ、じゃあ、次はそうする?」
「え……?いいんですか……!?」
「ああ。次は……俺の家、とかでやるか?」
「ゆ、悠さんの家……」
「嫌だったら別にいいん――」
「嫌なわけないですっ!あの、ボクなんかが行って良いのであれば、ぜひ……!」
何故か分からないけど、半ば食い気味にそう話してくる湊さん。
まあでも、行きたいって思ってくれてるなら、俺としては嬉しいかな。
「大丈夫。湊さんなら全然平気。というかむしろ大歓迎だよ」
「そうですか?……やったぁ!」
そう言うと、湊さんは嬉しそうに目を細める。
「(…………)」
嬉しそうに笑顔を浮かべる湊さんの姿が、次第に何故か犬に見えてきて……。
つい、撫でたくなる気持ちが――
「(……って、いやいやいやいや!落ち着け俺っ!?)」
僅かに残った理性で、撫でようとする気持ちを必死に抑える。
ここで撫でたら流石に色々とやばい……というか、本当の恋人じゃないのに頭撫でるのはガチでまずい……!
「(落ち着け……落ち着くんだ……ッ!)」
「悠さんと何作ろうかなぁ〜安易にカレーかな?それとも肉じゃがかな?」
「…………」
「いや、ここはあえてパエリアみたいな感じでもいいなぁ〜……うーん迷うなぁ……」
どんな料理を作ろうかと、1人悩み始める湊さん。
けれど、そんな湊さんを横目に、俺はただただ自分の欲望を押さえ付けるのに必死だった。
…………。
………。
……。
《後編へ》
というわけで、行先はまさかの家電量販店ということでした~!
といってもまあ、2人とも嬉しそうだからいいと思うんですけどね笑
てなわけで、次は後編ということで、次も視点は悠君なんですけど……良かったら次も読んでいただければと思います!
追記
今回投稿が遅くなってしまったことを考えると、やはりもう少しペースを落とすべきなのではないか、と本格的に思い始めました。
後編は同じペースで出すと思いますが、その後からは少し遅くなるかもしれません。
それでも、できる限り頑張りますので、読んでいただけるとありがたいです!
あと感想めちゃくちゃ嬉しかったです!ありがとうございます!!!