湊君を攻略したい!   作:Kスケ

24 / 76
やっぱり日曜日に間に合いませんでした……ということで前回の続きです!
前回は家電量販店でのデートしてましたが、今回はその帰り際の話です!
ぜひぜひ今回も読んでいただけるとありがたいです~!

追記
前回の時に来週出せない的なことを書いた気がしますが、次の投稿が確実に二週間ほど遅くなりそうなので、今回分割して先に投稿することにしました!
というか、こんな時間に投稿してしまってすみません!!!


俺の彼女がこんなにあざといわけがない

 

 

「――あれ?もう暗くなってる……」

「ほんとだ、時間経つの早いな」

 

いくつか商品を買って店を出ると、辺りは既に暗くなっていた。

確かに、結構長話した気がするけど、そんなに時間経ってたか……?

 

「えーと時間は……って、もう6時過ぎてるのか!」

「えっ、いつの間にそんな時間に……!?」

「俺たち、結構長い時間この店にいたんだな」

 

現在の時刻を告げると、湊さんはマンガのキャラのように目を見開き、驚きを露わにしていた。

しかしその後、長考するような素振りを見せると、顔を伏せて黙り込んでしまった。

 

「湊さん?」

「あ、あの……悠さん。本当に申し訳ないんですけど……」

「ん?」

「そろそろ夕飯を作らないといけなくて……」

「ああ、なるほど」

 

湊さんの言いたいことは分かった。

俺としてはもう少し一緒にいたかったのだが……寮の家事を行っている以上、残念だけど仕方がないのだろう。

 

「それなら仕方ないよ。西園寺さんたちも待ってるだろうし。あ、よければ寮まで送ってくよ」

「え、流石にそんな……申し訳ないですよ」

「いや、もう辺りも暗くなってるし、湊さん1人で帰らせるなんて危ないよ」

「でも……」

「前の一件もあるし……こういう時は、送らせてほしいな」

 

湊さんと初めて会った時のことを思い出す。

確か、あの時も水梅モール付近だったし、もしアイツらが恨みなんか持ってたりしたら流石に危ないだろう。

というか、湊さんをこれ以上危険な目に遭わせたくない。

 

「え、えーと……じ、じゃあ……お言葉に甘えて」

「よしっ、じゃあ帰ろうか?」

「……はいっ!」

 

2人、手を繋いで歩き出す。

もう、今日一日で何度も手を繋いだのに……未だに俺は慣れずに、つい顔を背けてしまう。

しかし、俺の態度とは裏腹に、その様子を見た彼女は、“どうしたんですか?”と言って少し悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

夜の闇に似合わぬような店々の灯りが、俺たちの姿を耿々と照らしていた。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「――さっきの圧力鍋良かったよな?」

「わかります!すごく良かったですよね」

 

店を出てからしばらく経ったが、俺たちは歩きながらもまた家電の話をしていた。

 

「でもボクとしては、あの掃除機がいいなぁって思いました」

「確かに、あの掃除機は値段の割に性能良さそうだったよね」

「お金を稼げるようになったら、欲しいなぁ……」

 

淡い希望を呟きながら空を見上げる湊さんにつられて、ゆっくりと視線を上に向ける。

気付けば辺りの街灯の数も少なくなり、煌々と輝く星空が俺たちの頭上に広がっていた。

 

「綺麗ですね……」

「ああ、めちゃくちゃ綺麗だな……」

「…………」

「湊さん?」

「――ま、またっ!」

「ん?」

「ま、また今度も、その……で、デートに行けたらな……と」

 

少し間を置くと、湊さんは消え入りそうな声でそう言った。

 

悠「(“今度も”……“デート”……!?)」

 

「……いい、のか?」

「え?“いいのか”って……それはこっちのセリフですよ……?」

「あ、いや、だって俺……全然エスコート出来なかったし。なんなら色々失敗しちゃったんだよ!?」

 

ふと、今日の出来事を思い出す。

最初に見た映画は酷かったし、喫茶店ではお通夜ムードだったし、挙句の果てには湊さんに行き先を決めてもらう事になってしまった。

最終的には今日のデートは良かったのだが、もうここまで来ると流石に笑えない。

 

「そしたら、湊さんに呆れられても仕方ないのかなって。もしかしたら……退屈だったんじゃないのかな、って」

「そんなわけないじゃないですか!」

 

俺の話を聞き終わると、湊さんは足を止め、先程までとは打って変わって真面目な口調でそう言った。

 

「湊、さん……?」

「確かに、今日は色んなことがありました。なんかすごい映画も見ましたし、最後に来たのもいつもの水梅モールでした」

「ご、ごめん……」

「――でも!ボクは嬉しかったんです。悠さんと一緒にいられて。今日一日、ずっと楽しかったんです」

 

体をこちらに向き直すと、くしゃっとした笑顔を浮かべながらゆっくりと話し始めた。

 

「こうやって、同じ趣味の人と話せたことって、今まで無かったんです」

「…………」

「だから、ボクにとっては……今日は、本当に楽しかったんです。かけがえのない時間だったんです!」

「湊さん……」

「だから、そんな事言わないでくださいよぉ……」

「でも……」

「じゃあ悠さんは、今日ボクと過ごした時間は、つまらなかったんですか……?」

「うっ……!いや、そういう事じゃ……」

 

そう言うと、湊さんは少し泣きそうな目をしながら、上目遣いでこちらを見つめてくる。

状況的にわざとだと言うことは分かってはいるのだが……そのあざとさが逆に色々とやばい。

あ……これ、語彙力死んだわ。

 

「……どうなんですか?」

「そりゃあ……楽しかったに決まってるだろ!」

「…………!」

「俺だって、普段友達と出来ないような料理の話とかできて、すげぇ楽しかったよ!そして何より……湊さんといられたことが一番嬉しかったんだ」

「悠さん……」

「今日のことは、一生思い出に残るくらいだと俺は思ってるから!」

 

胸の内に溜まった思いの丈を、思いっきりぶつけてみる。

少し言い過ぎな気もしなくないが……まあ、あのあざといモードへの仕返しだと思えば大丈夫だろう。

 

「そ、そこまで言ってくださるとは……あ、ありがとうございます……」

「こちらこそありがとう、湊さん」

「あの、その……今更ですけど、ちょっと……恥ずかしい、ですね。自分で言い出しておいてなんですけど……」

「……い、言われてみれば……確かに……」

 

そんなことを話しながら、歩みを再開する。

しかし、そうして歩くこと数分。

気がつけば、俺たちは寮に着いてしまっていたのだった。

 

「……もう、着いちゃいましたね」

「そう、だな」

 

ぼそりと呟いたその言葉に、同じようなトーンで相槌を打つ。

 

「ボク、もう帰らないと……って、あ!忘れてました……!!!」

「ん?」

 

そう言うと、不意に湊さんはバックからスマホを取り出した。

 

「昨日、美結さんにやり方教えてもらったばかりなんですけど……そ、その……悠さんの、LINGの連絡先を……貰ってもいいですか?」

「あ、ああ。そういえば、スマホ買ったって言われたのに交換してなかったね」

 

同じようにスマホを取りだし、見慣れたアイコンをタップしてアプリを開く。

 

「QRでいい?」

「あの、ええと……はい!」

「…………」

 

今、心なしか少し間があったような気がしたんだが……なんか不安だな。

 

「……ど、どうしよう……QRってどこだっけ……?ここかな……って、あれ?変なとこ押しちゃった!?」

 

不安的中。

俺の予想……やっぱあってたわ。

 

「湊さん、ちょっとそれ貸して」

「は、はいっ」

「開いたらここを押して、その後ここを押すんだよ」

「なるほど……ありがとうございます!助かりました〜!」

「どういたしまして」

「ところで、その……なんでわかったんですか?……ボクが、苦戦してるって」

「それは……」

 

分かったも何も、心の声のようなものがダダ漏れだったんだけど……流石にそんなことは言えない。

さて、上手く誤魔化すか……。

 

「俺、湊さんのことなら大体わかるんだよ!」

「……え?」

 

前言撤回。ガチで失敗しました。

 

「(ちょっとこれはまずいんじゃないか……?)」

 

我ながら割とストーカーじみた発言をしてしまったような気がするが……多分間違いじゃないのだろう。

これは……どうにか誤魔化さないといけないやつだな。

 

「いやっあの、そういうことじゃないからね!?単に一緒にいる時間が多かったから雰囲気とかで分かったってだけだからね!?」

「じー……」

「うっ……!」

「ほんとですかー……?」

「本当だって!」

 

信じられないとでも言いたげな目で、じーっとこちらを見てくる湊さん。

なんというか、心なしかこのジト目にデジャブを感じるんだけど……まあ、湊さんのジト目なら、ある意味ご褒美に感じなくもないから別に良い……のか?

 

「……って、流石に冗談ですよ!」

「……え?冗……談?」

「はい!悠さんがそういう人じゃないってことくらい、ボクだって分かってますからっ」

 

そう言いながら、えっへんと言わんばかりに胸を張る湊さん。

 

「(……冗談、だったのか)」

 

少し安心して、ほっと胸を撫で下ろす。

もし勘違いされていたら、完全にストーカーになるところだった。

あ、危ねぇ……。

 

「良かったぁ……」

「こんな真似してすみません」

「いやいや、元はと言えば、俺が変な発言しちゃったのが悪いんだしね。あ、というか……湊さん、時間大丈夫?」

「あれ?ええと……あ、本当だ!?」

 

ふと、時間がないということを思い出して湊さんに聞いてみると、案の定、時間が差し迫っているようだった。

 

「すみません悠さん。そろそろ行かないといけないみたいです」

「じゃあ、ここらへんでお開きだね」

「悠さん、その……後で、LING送ってもいいですか?」

「ああ、全然いいよ」

「やったぁ!」

 

そう言うと、湊さんは小さくガッツポーズをとる。

その仕草があまりに可愛くて……一瞬、昇天しかけてしまった。

……鼻血出てないよな?大丈夫だよな!?

 

「家事が一通り終わったらLING送るので、絶対見てくださいね!」

「あ、ああ!できる限りすぐに返事するよ!」

「ありがとうございます悠さん!では、また後で!」

「おう!また後で!」

 

そう言って手を振ると、湊さんは手を振り返しながら、そのまま駆け足で寮へと向かっていった。

……さて。

 

「俺も、帰るか……」

 

ぼそりとそう呟くと、俺は月明かりに照らされた道を、一人歩き始めた。

――ふと、隣に目を向ける。

しかし、そこにはもう誰もいない。

当たり前だ。湊さんはもう帰ったのだから。

けれど、俺は……湊さんがいないことに何とも言えないような寂しさを感じていた。

不思議なものだ。ほんの数週間前くらいまでこれが当たり前だったのに、いつの間にか湊さんがいないとダメになってる。

 

「……“また後で”、か」

 

LINGを開き、最近追加した欄にある初期アイコンをタップする。

アイコンもホームも何も編集されてない状態で、"飛鳥湊"とだけ打ってあるその画面が、何とも湊さんらしくて、思わず頬が緩んでしまった。

 

「よしっ!次のデートは頑張るぞ」

 

深呼吸をして、気合いを入れ直す。

今日は失敗したせいで変なデートになってしまったけど……俺にとっても、そして湊さんにとっても、かけがえのない時間となった。

だからこそ、次は今日よりももっと楽しい時間を過ごしたい。

 

「そうと決まれば、今日はもっとデートスポットについて調べるか」

 

次のデートに期待を寄せながら、少しずつ足を速める。

暗闇を照らす幾億もの星々の光に包まれながら、俺は帰路に就くのだった。

 

 

 




ということでいかがだったでしょうか?
自分としては、本人たち(特に湊)が自覚無しでイチャイチャとバカップルぶりを発揮していて、書いている時ある意味きつかったです笑
次の話は、デート編の最後である「湊と悠のLINGでの会話のシーン」を湊視点で書きたいと思っています!
次は二週間くらい間が空いてしまうと思うので、本当に申し訳ありません……m(_)m
頑張って書きますので、次の話も読んでいただけると幸いです!

追記
前回はたくさんの感想・意見ありがとうございました!
本当に嬉しくて、毎回感想が来るのを楽しみにしています笑
そこでも一応述べたのですが、現在EXストーリー絶賛構成中です!
男の娘のそういうシーンってむずくね……???みたいになって少々苦戦していますが、いつかは出せると思いますので、その時は読んでいただけると助かります笑
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。