前回の続きです!
今回から「湊くんの誕生日編」ということで、自分が一番書きたかった話なので、ぜひ読んでいただければ幸いです!!!
追記
なんか先週のUAもめちゃくちゃ増えてて驚きました。
読んでくださっている方、ありがとうございます!
めちゃくちゃ嬉しいです!
「話って何なんだろう……?」
ぼそりとそう呟き、少し赤くなり始めた空を見上げる。
昨日のLINGで西園寺さんに呼び出された俺は、翌日の放課後に湊さんのいる鈴女へと向かった。
そして現在進行形で、鈴女の校門前で誰かが来るのを待っているのだが……。
「(誰も来ない……)」
湊さんに着いたと連絡したのだが、“少し待っていてください”というメッセージが届いてから一向に何も来ない。
湊さんのことだから何か手伝っているのだろうが……慣れない女子校の前だからか少し気まずい。
正直、早く来て欲しい……!!!
「八坂さ〜ん!」
聞いたことのある声が、どこからともなく聞こえてくる。
……なんか、デジャブを感じるような……?
「八坂さん久しぶり〜!……って、そんなに久しぶりでもないかな?」
声のした方向を見ると、そこには皆見さんの姿があった。
あれ?やっぱりなんか、この展開知ってる……?
「今回も皆見さんなんだね」
「そうです!今回も私、皆見美結が八坂さんを迎えに来ることになったのでした〜!……って、あれ?どうしたの???」
「……もしかして、なんだけどさ今回も……寮とかいうことってある?」
「八坂さん……!……ファイナルアンサー?」
どこかで聞いたことのあるような台詞を言うと、皆見さんは真剣な眼差しで俺の顔を見てくる。
「(え、これマジであるのか?ワンモア女子寮あるんか?)」
皆見さんの顔を見ながら、もしもの可能性を考える。
そして――
「……ファイナルアンサーで」
「…………」
「…………」
2人の間に、静寂が流れる。
「……正解!」
「oh……マジか」
どうやら正解してしまったようだ。
……当たっちゃったかぁ。
「これさ、俺また女子寮行くの?マジで?」
「そうだよ〜!今回も第二寮だよ〜!」
「どうして許されるんだよ……」
「なんかね、学園に男の人を連れてくるのは色々とやばいらしいから、前回同様寮になったんだってさ」
「いや、何でだよ……」
普通そういうのは寮の方がダメだろ!とツッコみたくなるが、流石に皆見さんに言っても仕方がない。
いや、ほんと何でだよ……?
「とりあえず、行こっか?」
「……ああ、行こうか……そのうち俺、寮までの道覚えそうだな……」
「よかったじゃん!そしたら湊さんに毎日会えるよ!」
「いや嬉しいけどダメだからね!?」
そんなツッコミをしながら、湊さんたちの住む寮までの道を歩き始める。
既に少し慣れてきた皆見さんとの距離感は、俺にはどこか心地の良いものであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「八坂さん連れてきたよ〜!」
「また連れてこられたよ〜……」
軽口を叩きながら、高級感漂うドアを開ける。
……とまあ、口ではこう言っているが、流石に2回目じゃまだ慣れない。
いやまあ、慣れても良くないんだけどさ。
「あ、八坂さん!こんにちは〜」
鈍い音を立てながら開かれたドアの先には、既に貴船さんの姿があった。
「貴船さん。こんにちは」
「あ、円卓の騎士!」
「違うよ!?……って、まあ、俺が悪いんだけどさぁ。とりあえず、こんにちは、大垣さん」
「こんにちは、なのだ!あ、その……話が終わったら、また遊んで欲しいのだ」
「あー……いいよ。話が何かまだ分からないけど。終わったら遊ぼっか」
「やったぁ!」
そう言いながら、嬉しそうに飛び跳ねる大垣さん。
前回は中二病のことで驚いたけど、こうして見ると、少し無邪気な普通の女の子って感じがしてくる。
「約束なのだ!」
「ああ、約束だ」
大垣さんから差し出された小指に自分の小指を合わせ、指切りで約束をする。
なんか、こういうのちょっとドキドキす――
「――久しぶりね、八坂さん」
突然背後から聞こえた凛とした声に、思わず振り返る。
するとそこには、少し申し訳なさそうな表情を浮かべる西園寺さんの姿があった。
「西園寺さん、久しぶりだね」
「今日はごめんなさい。急に呼び出してしまって」
「いいよいいよ、というか逆にここに来る方が申し訳ないし……というか、あれ?湊さんは?」
「湊は後で来るわ」
「そうなの?」
「今日は、湊無しでしたい話があるから。こちらへどうぞ」
西園寺さんにリビングまで通され、洋風な椅子に腰を下ろす。
“湊さん無しでしたい話”って、一体何なんだろう……?
「先生に、湊に手伝わせるように頼んだから。当分は来ないはずよ」
「そうだったんだね……それでさ、話って何かな?」
「実は……」
そうして俺は、西園寺さんたちから説明を受けた。
あと数日で湊さんの誕生日だということ。
湊さんの誕生会を開くつもりだということ。
そして――
誰よりも先に"俺が"湊さんを祝うべきだ、ということを。
「パーティーは夜にここでやるつもりだったので。だから本当は、美結さんも誘わない予定だったんですよ」
「えぇ〜ひどいよぉ!!!私も友達でしょ〜!?」
軽く文句を言いながら、皆見さんは不満げに頬を膨らませる。
「ごめんなさい、皆見さん……でも、特段の要件がない限り、夜間の外出は禁止になっているから……一応今回は、八坂さんもいるから許可することなったのだけれど……」
「ぶーぶー!そこら辺の細かい校則は、西園寺さんがなんとかしてほしいなぁ〜なんて」
「ごめんなさい……」
「そ、そんなに謝らなくても大丈夫だって!?本気で言ってるわけじゃないからね???」
予想以上に西園寺さんが重く受け止めているようで、少し戸惑い気味になっている皆見さん。
こういうことでもしっかりと謝っているところを見ると、やはり西園寺さんは律儀な人なのだろう。
だが、しかし――俺は今、そんなことを考えられる状況ではなかった。
「少し、聞いてもいいかな?」
「ええ、なにかしら?」
「俺が先に祝うべきって……どうして?」
話を聞いてからずっと抱いていた疑問を口にする。
俺だけ先に……といっても、それこそ誕生会でみんなで祝えば良いじゃないか。
どうして、俺だけそんな……。
「カ・レ・シ、だからだよ〜!」
「え?」
「やはり大切な日は、1番大切な人に最初に祝ってもらわないと、と思いまして」
俺の疑問に対してそう答えると、新聞部2人はニヤニヤと口元に笑みを浮かべる。
「でもっ、俺なんかより皆さんの方が湊さんとも長いし。それこそ、西園寺さんの方が――」
「違うわ」
話を断ち切るかのように、西園寺さんはそう告げる。
「確かに、嬉しいことに湊は、私たちのことを大切に思ってくれているわ。それに、私がこの学園に連れてきたことについても、少なからず恩義を感じている」
「だったら――」
「でも違うの」
「……っ」
「最初はそうだったかもしれない。けれど――今は違うの。あなたに、出会ったの」
そう言うと、西園寺さんは何かを思い起こすかのように遠くを見つめる。
「あなたに出会ってから、湊は変わったわ。あなたの話をしてくれる時の湊は、いつもより楽しそうにしているの」
「お姉様、いつも円卓の騎士の話をしてくれるのだ!」
「嬉しそうに話すので、こっちまで嬉しくなるんです!」
「でもっ、俺は、そんな……」
「湊にとって、今一番大切な人はあなた――八坂さんなのよ」
「――――」
西園寺さんから告げられた事実に、一瞬言葉に詰まる。
嬉しいような申し訳ないような……そんな複雑な感情が、俺の中に渦巻いていた。
「湊の誕生日の日、私たちはここでパーティーの準備をするから。あなたが湊を連れてきて欲しいの」
「円卓の騎士がお姉様にサプライズするのだ!」
「俺、が……」
「よろしくね彼氏さん!」
「お願いします」
4人は笑顔を浮かべながら、そして同時にどこか寂しそうにしながら、俺に対してそう頼んできた。
……流石にここまで言われてしまったら、覚悟を決めなきゃだよな。
「……わかった。みんな、ありがとう。俺が湊さんを、絶対に喜ばせてくるよ!」
「お?自信たっぷりだねぇ〜」
「流石は円卓の騎士なのだ……」
「だから違うって!?」
大垣さんにツッコミを入れながら、誕生日に向けて気合を入れる。
責任重大だし、湊さんに喜んで貰えるように色々頑張らないとな。
「よろしくお願いします、八坂さん」
「ああ、任せてくれ。終わったら湊さんを連れてくるから、そこでみんなで盛大に祝おう」
そう言うと、皆笑顔を浮かべながら、俺の言葉に頷いてくれた。
今日は帰ったら、湊さんへのプレゼントでも考えるか。
「あ、くれぐれも、このことは湊には気づかれないようにね」
「わかった、気をつけるよ」
西園寺さんの注意を心に留め、強く頷く。
「(確かに、流石にバレると、サプライズの意味が無くなっちゃうからな)」
そんなことを考えながら、湊さんの喜んでくれる姿を思い浮かべていると――
――ガチャ
「――ただいま戻りましたー!」
突然、ドアの開く音と共に、湊さんの声が聞こえてくる。
その声が聞こえたと同時に、皆急いで話題を切り替え……その場は、どうにか事なきを得たのだった。
…………。
………。
……。
――しかし。
まさか湊さんの誕生日があんなことになるとは。
今の俺には、まだ知る由もなかった。
というわけで、いかがだったでしょうか!
今回は湊のセリフが1つだけというまさかの状態でしたが、次は湊視点になるので、湊くん成分が足りなかった人も多分大丈夫だと思います笑
今回から始まった「湊くんの誕生日編」ですが、実は自分がこの話を書き始めた理由の一つでもあるんですよね~笑
まあ、細かいことは後々あとがきにでも書くので、そこも読んでいただけたら……なんて。
ではでは、また次の話も読んでいただけたらと思います!
追記
今回も色々と感想ありがとうございました!
毎回読むのが楽しみで、ある種自分の原動力になってます笑
誕生日編のせいでEX止まっちゃってるんですが、許してください1