ということで、ここから怒涛の展開!となる(はずの)ところを書いていたのですが、思ったよりキリが悪かったので、一旦ここまでで投稿してみました。
自分でも分かってはいるのですが、たぶん続きが気になるような終わり方をしているのではないかと思うので、続きも急いで書きます!
というわけで、今回もぜひ読んでいただけたら幸いです~
「湊さんは……まだ来てない、か」
先に着いたことに安堵しながら、学園前の柵に寄りかかる。
“今すぐに”と言われたから急いで来たけど……流石に早すぎたか?
「それにしても、緊張するなぁ……」
プレゼントに手を置き、ゆっくりと深呼吸する。
――大丈夫、友達に誕生日プレゼントを渡すだけだ。たったそれだけだ。
そう考えて、緊張で満たされたこの気持ちを、どうにか落ち着かせようとする。
しかし……湊さんに対して抱く気持ちと俺達のこの関係が、先程からその考えを邪魔してくるのだ。
「(落ち着け……落ち着け……)」
目を瞑り、再びゆっくりと深呼吸をする。
そして、早まる鼓動を抑えて目を開けると……。
――視線の先に、見知った姿を見つけた。
「あ、湊さ――」
しかし……そう言いかけた途端、俺は言葉を失った。
湊さんの手に握られていたのは――不自然にも、旅行用のキャリーバッグであった。
「湊、さん……?」
「……悠、さん」
湊さんは静かに口を開くと、何とも消え入りそうな声を漏らした。
そして、その両の瞳は……滂沱の雨に濡れているかのように冷たく潤んでいた。
「待たせちゃいましたか……?」
「あ、いや、そんなことは無いんだけど……」
そう言いかけて、二の句が継げなくなる。
意識が……自然とキャリーバッグの方へと吸い寄せられる。
「(キャリーバッグ……か。今から旅行するって訳でもないよな……)」
選択肢を潰しながら、キャリーバッグの理由を考える。
……と言っても、正直もう予想はついているんだけどさ。
悪い方向のことしか思い浮かばない自分を嫌に思いながら、自分に出来ることを考える。
正直な話……湊さんからその理由を聞きたくはない。
だって、俺の推測があっていれば、俺たちの関係は――。
「(でも、聞かなかったら……)」
聞かなかった場合、絶対に後悔するし、もし俺の予想があっていた場合……。
まだ――止められるかもしれない。
そう決心した瞬間、俺はそっと口を開いた。
「湊さん、そのキャリーバッグ……」
「……あっ」
湊さんは小さく声を漏らすと、咄嗟に後ろに回して隠そうとする。
その表情からは、今までにはなかった焦りと不安の色が見て取れた。
「何か、事情があるんだよね……?」
「……っ」
ゴクリと唾を飲む音が聞こえてくる。
「あ、えーと、その……」
「…………?」
「あの……ですね」
「ああ」
どんなことを言われるのか緊張しながら、次の湊さんの言葉を待つ。
「悠さん、少し時間ありますか……?……話したいことが、あるんです」
「……ああ、時間は大丈夫だよ。それなら……あの喫茶店にでも行っ――」
「それじゃダメなんですっ!」
「……っ!」
突如響いた湊さんの声に、一瞬身がたじろぐ。
「今日だけは……今だけはっ!誰にも邪魔されることなく、誰にも聞かれることなく
2人だけで……話せませんか?」
力の籠った真剣な眼差しに、再び気圧される。
いつもとは明らかに違う様子に驚きを隠せなくなるが、同時にそれは、キャリーバッグの理由が俺の推測通りであることを暗に示していた。
そして、その事情が並々ならぬものであることも……。
「(湊さん……)」
何か言おうとして口を開く。
しかし、そこから出てくるのは……ただただ音のない掠れた空気だけであった。
「…………」
「俺としてはいいんだけど……さ」
「……はい」
「2人だけで話せる場所、か」
そう口にしながら、思考を巡らせる。
喫茶店……というか、店とかは他の人もいるしダメだよなぁ……。
どこかいい所は……。
「……悠、さんの……」
「……え?」
「ゆ、悠さんの家……というのは……ダメ、でしょうか……?」
「――――」
思考が……止まった。
湊さんの口から飛び出してきた言葉は、予想外どころのものではなく……動いていた俺の頭を停止させるには十分であった。
「え?ちょ、え!?いや、え?でも……」
そう言いかけて、湊さんの顔を見た途端……口が止まってしまった。
「…………」
少し赤く腫れた湊さんの目が、真っ直ぐに俺の心を貫く。
「(はぁ……、そんな顔されたらさ)」
脳に直接目薬をさされたかのように、思考が澄み渡っていく。
高まった鼓動が、次第に落ち着きを取り戻していく。
「(そんな顔で頼まれたらさ、流石に断れないって)」
そう思いながら、ゆっくりと口元を緩める。
正直、女子を部屋に入れたことなんてないから、滅茶苦茶緊張する。
けれど、理由はどうであれ……そんな顔で頼まれたら、断ることなんてできない。
というか、したくない。
それに、普段あまり頼み事をしない大切な彼女からの頼みなんだ。
このくらいのことは、聞いてやるのが男ってもんだろ。
「うちでよければ……来るか?」
「え……?」
「2人だけでしたい話があるんでしょ?」
「いいん……ですか……?」
そう言うと、湊さんはその潤んだ瞳のまま、上目遣いでこちらを見つめてくる。
自分から聞いたのに遠慮しちゃうのは、湊さんのいい所だと思うし……あ、やばい湊さんが可愛すぎて思考停止しそう。
「それに、言ってなかったかもしれないけど。俺、今一人暮らししてるんだよ」
「そ、そうなんですか……?」
「だから、うちなら誰かに聞かれる心配もないよ……って、まあアパートだから、大きな声出したら隣の部屋に聞こえちゃうかもだけどさ」
はは、と笑いながら、湊さんの返答を待つ。
「ゆ、悠さん、その…………よ、よろしく……お願い、します」
「おう!急いで来たから部屋が少し汚いかもしれないけど。それでもいいなら!」
「……ありがとう、ございます」
先程とは違い、心なしか嬉しそうな声を出す湊さん。
けれど、その表情は依然として暗く悲しげなままで……。
その暗く沈んだ瞳の奥には……どこか触れてはいけないような、果てしなく深い闇が潜んでいるかのようであった。
いかがだったでしょうか?というかすみませんでした……
何でこんな焦らすねん!と思う方もいると思いますが、本当に申し訳ありません!
自分としても思った以上に忙しくて、なかなか書けなくなっていて……というのは言い訳になっちゃうので、ここまでにします。
流れとしては、この後2人で悠の家に行ってから湊がついに……といった感じになる予定です!!
ぜひ次回も読んでいただけたらなと思います~!
……というか、悠君が一人暮らししてるっていう設定、長らく《設定》に書くの忘れてた……笑
追記
感想ありがとうございます!!!ほんとめちゃくちゃ嬉しいです!!!
自分もできる限り全力で、妥協せずに書きたいと思います!