というわけで、前回の続きです!すみません!
キリの良いところまで……と考えていたら、今回も5000くらいいってました笑
いつものように、諸々のことはあとがきに書くので……
とりあえず、今回も読んでいただければ幸いです!
タイトルはふざけました。すみません笑
「……あぅ……」
西へ傾いた陽の光が射し込む部屋の中。
部屋の隅でうずくまって項垂れている彼女の姿を見ながら、俺は1人どうしようかと考えていた。
「(不謹慎だけど……やっぱり湊さんは可愛いな)」
しみじみとそう思いながら、彼女の可愛さを再認識する。
湊さんのその姿はまるで猫のようで、色々妄想が浮か……いや、やめておこう。
でもまあ、一応そのままそっとしておいたが、流石にこのままってわけにもいかないだろう。
……そろそろ声掛けるか。
「み、湊さーん?」
「~~~っ!!!」
声をかけた途端、彼女はビクッと身体を震わせる。
しかし……少し経つと、湊さんは先程のように項垂れてしまった。
「(また振り出しに戻ったか……)」
そんなことを考えながら、事の発端を頭に浮かべる。
湊さんはあれから俺の胸の中で泣き続け、しばらく経つまで泣き止まなかった。
しかし、涙が枯れるまで泣いたおかげで無事に泣き止んだ……のはいいのだが、湊さんは次第に落ち着きを取り戻して、周囲をキョロキョロと見回した後、おそるおそるといったように俺の顔を覗いてきた。
そしてハッと何かに気がつくと、彼女は急いで俺の手から離れてしまって……。
というわけで、今に至るのである。
……これ、どうしようマジで。
「おーい、湊さ〜ん」
「……悠さんに、あんなに恥ずかしい姿を……」
名前を呼んでもあまり聞こえていないようで、湊さんは小声で何かブツブツと呟いている。
まあ正直……今回は、湊さんがこうなってる理由がわかる。
他の人の家で家主に抱きつきながら、周囲のことも気にせずに一心に泣き続けたのだ。
そんなの、俺ですら恥ずかしいのだから、湊さんに至っては、今の心境はとんでもない感じになっているのだろう。
…………。
でも、やっぱりこのままって訳にも行かないよな。
流石に俺も気まずいし……。
「(こうなったら……実力行使しかねぇな)」
そう決心して、背後からゆっくりと湊さんに近づく。
ちょっと良心が痛むけど……背に腹はかえられねぇ!
「……どうしよう……どんな顔をすれば……うぅ……」
「湊さん!」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
声でダメなら物理的に……ということで、そっと両手で湊さんの両肩を掴む。
しかしその瞬間、先程以上に湊さんの身体がビクンと跳ねた。
「(や、やり過ぎたか……?)」
湊さんの反応は思っていた以上に大きくて、逆にこっちがビビってしまった。
なんだろう……罪悪感が……。
俺、ドッキリとか向いてないのかな……?
「ゆ、ゆゆゆゆゆ悠さん!?こ、こここれは……!?」
「ご、ごめん……思った以上に驚かせちまった……」
「そ、そんな謝らなくても……!そ、それより……その、肩が!手が!はうぅ……」
「……?」
「あぁ……悠さんはこういう人でした……!」
「……あっ!」
意図していることに気がついて、湊さんの肩からばっと手を離す。
「ごめん!流石に軽々しがったよね……」
「そうじゃなくて……!うぅ~……」
そう言って少し悲しそうな表情を浮かべると、湊さんはまたもや項垂れてしまった。
「(え、違う……のか?)」
頭の中で、間違えてしまった理由を必死に探す。
そうじゃない……とすると、なんだろう……?
しかし、どれだけ考えても、その答えは今の俺からは浮かぶことはなかった。
「……ところで、さ。湊さん……もう大丈夫なの?」
「……はい。おかげさまで、色々と吹っ切れました」
俺の質問を聞くと、彼女は顔を上げて、改まってこちらを向いた。
そして、ここに来た時とは打って変わって、清々しい笑顔でそう話すのだった。
「突然……あんな感じになってしまって、ごめんなさい」
「ああいや、全然気にしてないから大丈夫だよ。というかむしろ、俺の方こそごめんね。その……過去を思い出させるようなことしちゃって」
「そんなことないです!」
謝った瞬間、湊さんは被せるように俺の言葉を否定する。
「これは……いつか来ることだったんだと思います。家族のこと……ちゃんとしっかり向き合わなきゃいけない時が」
「……そっか」
「だから、悠さんには感謝しかないです。家族のこと、見つめ直させてくれましたし、それに……ボクの、こと……」
そう言うと、それまで憂いの無い笑顔で感謝を述べていたのから一転して、その両頬が仄かに朱に染まる。
しかし、湊さんは首をぶんぶんと振ると、また元の調子で話し始めた。
「すごく……安心したんです。ボクはひとりじゃないんだ、って。悠さんがいてくれるんだ、って」
そう言いながら、湊さんは胸の前で手を重ねる。
けれども……心なしか、その手は少し震えているように見えた。
そして、どこか遠くを見つめながら、ゆっくりとその続きを話し始めた。
「おばあちゃんが死んでから、1人で頑張らなきゃって思うようになってたんです。だから……誰にも言わないように、我慢してたんです。誰にも気づかれないように……自分自身すら気づかなくなるように。ボクは、ボクの心を……隠してたんです」
少し懐かしむように、そして同時に噛み締めるように、彼女はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「でも、悠さんが……頼っていいんだ、って。一緒に背負うから、って。そう、言ってくれて……」
「湊さん……」
「だから、これからは……その……頼ってしまっても……いい、ですか?」
そう言うと、彼女は肩を震わせながら、上目遣いでこちらを見つめる。
その吸い込まれてしまいそうな瞳に、一瞬意識が引き寄せられそうになるが……踏みとどまって、喉をゴクリと鳴らす。
「(そんなの……決まってるじゃないか)」
深呼吸をして、全身に力を込める。
そして、安心させるように笑って……俺は、その言葉を告げた。
「いつでも頼ってくれ!俺に出来ることなら……何でもするからさ」
その返事を聞くと、彼女は目にうっすらと涙を浮かべる。
そして、涙を拭いながら、湊さんは満面の笑みで感謝の言葉を述べるのだった。
………………。
…………。
……。
「あ、あの……ところで……悠さん」
「うん……?」
「それで、その……"ずっと一緒にいる"、というのは……その、ええと……」
「…………」
そう言うと、彼女は左手で涙を拭いながら少し頬を紅潮させて、俺の言葉が返ってくるのを待っている。
………………。
「(そういえば言ったな俺!?)」
自分の発言を思い出しながら、その時の状況を頭に浮かべる。
確かにあの時は一生懸命だったからあんなこと言ってしまったが……でも実際、ある種のプロポーズみたいになっちゃってるわけで……。
「あのっ、それは……」
「…………」
「俺としては、そうなんだけど……ええと……」
彼女の宝石のような透明な瞳が、全てを見透かすかのように、俺の心を捉える。
「……どう捉えるかは、湊さんに任せます」
そして何故か。
テンパった末に、俺はやや卑怯な返しをしてしまった。
「(…………)」
……いくらなんでも、やらかしたなこれは。
「……それは、ズルくないですか?」
「うぐっ……!」
「じー……」
「で、でも俺はっ!今も湊さんのことが好きだから……!」
「……っ……!」
「……あ」
言ってから気付いてしまったが……それは時既に遅かった。
湊さんに問い詰められて、咄嗟に出てきたのは……なぜか、彼女への想いであった。
……いや、なんでだよ。
「そ、その……ありがとう……ございます」
「あ、ああ……」
「…………」
「…………」
2人の間に、気まずい沈黙が流れる。
頭の中で、墓穴を掘ったなと直感がそう告げていたが……俺には、どうすることも出来なかった。
「……そ、そうだ!プレゼント!あ、開けてみてもいいですか?」
「あ、ああ!いいよ全然!」
俺の返事を聞くと、湊さんは少し慌てながらプレゼントの包装を開け始める。
機転の利いた湊さんの対応に助けられ、なんとか会話が続いたが……なんというか、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そんなことを考えているうちに、湊さんはラッピングを取り終わると、箱の蓋に手をかけていた。
そして……。
「じゃあ、失礼して……――あ、これは……!」
ゆっくりと丁寧に、彼女はプレゼントの入った箱を開ける。
その箱の中に入っていたのは――紫色の宝石のついたネックレスと、淡い桜色のヘアピンであった。
「綺麗なネックレス……それに、ヘアピンも……!」
そう言いながら、湊さんは嬉しそうに目を煌めかせる。
その笑顔は、おもちゃを買って貰った子供のように、無垢で美しいものであった。
「本当は色々迷ってたんだ。女の子だと、洋服とかバッグみたいなのがいいのかなぁ、とか。湊さんだと、電化製品がいいのかなぁ、とか。それとも、無難に花がいいのかなぁ、とか」
「そうだったんですか」
「でも、色々考えてこれにしたんだ。まあ実は……選んでる最中に、一目惚れしちゃったってだけなんだけどね」
そう言って、買った時のことを思い出す。
店でショーケースを見ていた時、真っ先にこのネックレスが目に入って、他の商品を見ている時も、気づけば意識がそこに行くようになっていた。
そのため、意を決してそのネックレスを買うことになったのだが……。
「(値段は気にしてなかったんだけどなぁ……)」
値段自体は元々気にしておらず、どんな値段でも頑張るぞ、と思っていた。
……が、しかし、彼女さんへのプレゼントですか?と店員さんにニヤつかれながら色々聞かれることとなり……終始大変な目に遭ったのだった。
……まあ、店員さんも悪気はなかったようだし、俺もこれを買えたから良かったんだけどさ。
「一目惚れ、ですか?」
「ああ。これ、絶対に湊さんに似合うなぁ……って。これを付けてる湊さんを想像したら、もうこれしかない!って思っちゃってさ」
「〜〜〜っ!?」
湊さんの顔が、見る見るうちに薄紅色に染まっていく。
「つ、付けさせて貰いますねっ!」
耳まで赤くなった顔でそう言うと、彼女はネックレスを手に取って、少し慌てながら付け始めた。
「どう……ですか?」
表情を隠すように俯きながら、湊さんは感想を尋ねる。
「(これ、は……!)」
――開いた首元に、ゆらりと煌めくアメジスト。
透き通る紫陽花のようなその美しい宝石は、彼女の体をより一層清廉なものへと昇華させていた。
「あぁ……めっちゃ似合ってる……!良かったぁ……これにして……」
「ありがとうございます、悠さん!じゃあ、普段使いさせて……あ、でも……」
そう言いかけて……彼女は言葉を止める。
先程まで嬉しそうにしていたのが、一転してなぜかその表情を曇らせてしまった。
「流石に学園には、付けて行けないですね……」
「あ、そこまで考えてくれたのか……!ありがとう……!でも、学園に持ってくのはきついだろうし、別に無理しなくていいよ」
「そんな、無理なんて……あ!じゃあ、こっちのヘアピンを付けさせていただきますね!これなら、学園でも使えますし!」
「マジか……ありがとぅ……!逆に凄く嬉しい……!」
いえいえと嬉しそうに言いながら、湊さんは箱の中からヘアピンを取り出す。
「じゃあ、こっちも付けてみますね!ヘアピンだから……ここにこうして……」
左目の半ばくらいのところの髪をまとめて、髪の触角の辺りでヘアピンをつける。
「ど、どう……ですか……?」
「――――」
「ゆ、悠……さん……?」
彼女の姿を見た瞬間。
言葉が――出なくなった。
「(これは……やばいって)」
――薄紫の髪に、一筋の桜色が美しく映える。
そして、ヘアピンによって分けられた髪の隙間から、白くて美しい柔肌がその姿を現していた。
「(天使って……いたんだな……)」
初めて見る湊さんの姿に、完全に言葉を失ってしまった。
これ、似合うってレベルじゃねぇ……!
「あ、あの……悠、さん?」
「ごっ、ごめん!」
「……っ!や、やっぱり……僕には、似合いませんよね……」
「ち、違うんだ……!そ、その……に、似合いすぎて、言葉が……っ!」
「〜〜〜っ!?そ、そんなこと言っても、何も出ませんよ!」
「いやもう湊さんのその姿を見られただけで十分ですありがとうございました」
「いきなり早口っ!?」
頬を紅潮させながら、驚いた表情でツッコミを入れてくる湊さん。
どうやら興奮し過ぎたようで、つい早口になってしまったらしい。
我ながら気持ち悪いとは思うが……これは仕方のないことだろう。
だって、湊さんが可愛すぎるのが悪いんだもん……!
「あぁ……買って良かったぁ……」
「あ、ありがとうございます!……でも、2つも貰っちゃっていいんですか?」
「いいんだって!そのために買ってきたんだから」
「悠さん……!では、今日から付けますね」
「ありがとう!気に入ってくれたのなら何よりだよ」
「……はいっ!」
そう言って、左手でヘアピンを触りながら、胸のペンダントをぎゅっと握りしめると、彼女はその顔に一輪の花を咲かせた。
薄く開いたカーテンの隙間から、梔子色に染められた陽の光が差し込む――。
淡い光に照らされたその笑顔が、俺には勿体ないくらいに眩しくて……俺はずっと、見惚れてしまっていたんだ。
というわけで、いかがだったでしょうか?
自分は、悠君の選んだプレゼントが喜ばれてよかったな~と思いながら、湊くん可愛い(脳死)ってなっていたので、書きながらにやけてました笑
内容に関してはまあ、気づいてる方もいると思いますが、湊の対応というか反応が違いますね笑
めっちゃヒロインしてます笑
次の話では、忘れられた湊の用事(家出)に触れたいと思います!
で、終わったらパーティー……長ぇ……笑
ということで、頑張って書いていきますので、ぜひ次回も読んでいただければと思います!
追記
前回からまた間が空いてしまって、すみません!
今年一年は、自分の中で今までで一番忙しい年になるんじゃないかな……と思っていて、今もそうなんですが、投稿ペースはほんとに遅くなってしまうと思います
でも、マンネリ化してるとかそういうのじゃなくて、書きたいことは山ほどあるのに、単純に書く時間がないという感じなので、時間さえ見つければ、どうにかはなると思います。
毎回感想や評価をありがとうございます。返すの遅れたりしちゃうときもありますが、いつもものすごく感謝しています。ありがとうございます!!!
めちゃくちゃ励みになります!